EVメーカーRivianが独自の充電ネットワークをアクティブなレジャースポットにも展開する理由

人里離れた道をクルージングするドライバーは、これから数カ月の間に珍しい光景に出くわすかもしれない。都市部や幹線道路ではない、人気のない場所にRivian(リビアン)の充電ステーションが設置されているかもしれないからだ。

電気自動車メーカーのRivianは、ピックアップトラック「R1T」とSUV「R1S」の最初の納車に向けて、米国内に電気自動車用充電ステーションのネットワークを設計し、構築することに着手している。このネットワークには、高速道路に沿って設置される急速充電器が含まれる予定だ。これはTesla(テスラ)やElectrify America(フォルクスワーゲンがディーゼル排出ガス不正スキャンダルをめぐる米国規制当局との和解の一環として設立した事業体)が採用している戦略である。

だが、Rivianは電気自動車の充電設備展開計画に、業界では珍しい第2のレイヤーを追加しようとしている。同社はマウンテンバイクやハイキングコースからカヤックスポット、さらには人気のある登山用の岩場の近くなど、アクティブなレジャースポットの駐車場に数十台のEV充電器を設置する予定だ。オーナーがこれらのアウトドアアクティビティを楽しんでいる間に、彼らが乗ってきた電気自動車に電力を供給するというわけである。これはRivianの顧客基盤に向けた直接的なアピールであり、ブランドと電気自動車に対する信頼を築くために必要なものであると、Rivianの創業者でCEOのRJ Scaringe(R・J・スカーリンジ)氏は充電、バッテリー、自動運転などについての幅広いインタビューの中で、TechCrunchに語った。

「私たちは、州間高速道路以外の場所にRivianの充電施設を造ることにワクワクしています。それによって、これまで充電の問題から電気自動車で行きづらかった場所、電気自動車が歓迎されなかった場所にも、行けるようになり、また行きたくなるでしょう」と、スカーリンジ氏は語った。「電気自動車のオーナーが自分の興味に応じて、目的地やそこまでの道のりを精選したドライブができる手段について、私たちは長い時間をかけて考えました。旅の途中で立ち寄って、2〜3kmあるいは7〜8kmほどのハイキングを楽しむことができるルートがあり、そのすぐ隣には充電ステーションがあるのです」。

「全部取り」アプローチ

Rivianの顧客向けネットワークは、ドライバーが必要とする高速道路沿いの急速充電器と、戦略的にスピードが重要でない目的地に設置された充電器を提供する2本立てとなる。そこで問題となるのは、スカーリンジ氏は「本当におもしろくて、やりがいのある不動産」問題と表現しているが、つまり人々が興味を惹かれるポイントを探り当て、どのルートのどこに充電ステーションを設置するか、最適な場所を特定することだ。

Rivianのネットワーク構築は、消費者のブランド認知度と不動産の知恵を試すだけのものではない。約60億ドル(約6250億円)を調達したこの電気自動車メーカーは、急速DC充電器を含む技術を自社で開発した。

「これについてはあまり話したことはありませんが、あの充電器、パワーエレクトロニクスモジュール、あるいはそれらの充電施設のバックボーンについて、我々は規模を拡大して展開しようと考えています」とスカーリンジ氏は語り、同社の急速DC充電器は約20分で最大140マイル(約225.3km)の走行が可能になると付け加えた。

このハードウェアとそれに付随する充電ソフトウェアは、Rivianのコンシューマー向けネットワークで最も目にすることになるだろう。しかし、このプラットフォームとその周辺のハードウェアは、フリートベース(複数の車両を用いる事業向け)製品にも使用されることになると、スカーリンジ氏はいう。

「商用バンを考えれば、充電器とディスペンサーは少し違うように見えるかもしれませんが、充電機能を構築するために使用されるこれらのパワーモジュールの心臓部は、まったく異なるアプリケーションにも同じように適用されます」と、彼は語った。「それが、当社が中核技術をすべて自社開発した理由の1つです。これによってフリートベースのB2B充電ソリューションと、Rivianの個人オーナーのための一般消費者向けアドベンチャー・ネットワークの両方を、構築することができるのです」。

体験をコントロール

Rivianは、R1TとR1Sを市場に出すために数年と数億ドル(数百億円)を費やしてきた。これまでに60億ドル(約6250億円)を調達しているが、その資金は技術開発や製造規模の拡大で簡単に消えてしまう。Rivianネットワークは、自動車メーカーがユーザーの所有体験全体をコントロールすることで信頼性を高めたいと考えているならば、必要な事業であるとスカーリンジ氏は主張する。

現在、ChargePoint、EVConnect、EVGo、Electrify America、Greenlotsなど、多数のサードパーティの充電会社が運営されている。従来の自動車メーカーは、電気自動車の展開に先立ち、これらの企業と提携し、戦略的な投資を行ってきた。しかし、スカーリンジ氏には、サードパーティのネットワークに完全に依存する気はない。

「問題は、決済プラットフォーム、稼働時間、パフォーマンス、充電器の予約機能など、充電の手間を省くために必要なことが、私たちの手ですべてコントロールできないということです」と、スカーリンジ氏はいう。「Rivianアドベンチャーネットワークでは、これらを私たち自身が100%コントロールすることができます。どのクルマが、どれくらい充電しているか、料金はいくらだったか、すべて私たちは知ることができます。充電器の設置場所についても、まさしく独創的になれるので、Rivian独自の特別な場所に設置することが可能です」。

開放それとも閉鎖?

Rivianネットワークは明らかにRivianの顧客のために構築されている。しかし、これが必ずしもテスラのスーパーチャージャーネットワークのようなクローズドな独自システムになるわけではない。

急速充電に使われる一般的なコネクタは、CCS(Combined Charging System、通称コンボ)かCHAdeMO(チャデモ)の2種類だ。Rivianが採用している直流コネクタのCCSは、近年ヨーロッパや北米で普及が進んでいるオープンな国際規格である。

つまり、RivianのトラックやSUVはアダプターを使用しなくても、CCS対応ならどのサードパーティ製充電ステーションも使用することができるということだ。これは同時に、CCS規格を採用している他の電気自動車も、理論的にはRivianネットワークを使用できることを意味するが、ソフトウェアがその使用をブロックする可能性もある。

Rivianの電動ピックアップとSUVの最初の納車開始が予定されている2021年夏までに、いくつの充電ステーションがオープンするかについて、スカーリンジ氏は正確な数を明らかにしようとはしなかった。2021年には米国で数十カ所の充電ステーション(各ステーションには平均6つの充電コネクタがある)が建設予定であることに同氏は言及した。

「そのネットワークが構築されたら、非常に大きなバッテリーパックを持たなければというプレッシャーを取り除くことができるでしょう」と、スカーリンジ氏は語った。

Rivian R1TとR1Sには、一度の充電で300マイル(約483km)以上の距離を走れるバッテリーパックが標準装備されている。2022年1月には、R1Tに400マイル(約644km)以上の距離を走れるバッテリーパックが用意される予定だ。5人乗りおよび7人乗りのR1Sでさらに航続距離が長いモデルについては、生産開始後に発表されることになっている。Rivianは最終的に、より小さな航続距離250マイル(約402km)のバッテリーパックを搭載して価格を抑えたR1TとR1Sを発売することも計画している。

具体的な数字はなくても、Rivianの充電ステーションに対するスカーリンジ氏の希望と計画が、「数十」をはるかに超えることは明らかだ。

「ネットワークの規模は、一朝一夕にできるものではありません」と彼はいう。「米国全土をカバーするには数カ月、高密度にカバーするには数年の時間が必要です。2023年か2024年までには、確実に我々はそれを実現できているでしょう」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Rivian電気自動車充電ステーション

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:TechCrunch Japan)

投稿者:

TechCrunch Japan

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