新しいソーシャルメディアサービス、たとえば画像シェアアプリやニッチネットワークなどを作ろうとするとき、まず考えるのは、出来上がったらできるだけ早く世に出すことだ。しかし、Facebookが行ったシミュレーションや実際に提供されたサービスをいくつか見る限り、小さくスタートするのが良い方法なのかもしれない。
これは容易にシミュレーションできる問題ではないが、「真空状態におかれた球形の牛」の精神に立てば、基本的な仮説をテストするためのもっともらしいモデルを作ることは十分に容易だ。今回のケースでは、研究者はノードのネットワークを作り、そこに「バーチャルサービス」の種を蒔く。そこで一定の条件が満たされれば、別のノードに広がるか、永久に消滅する。
コンウェイのライフゲームをご存じなら、概ね似ているがあれほどエレガントではない。
このシミュレーションでは、サービスが拡散する程度はいくつかの仮定に基づいている。
- ユーザーの満足度は友だちが同じアプリを使っているかどうかに大きく左右される
- ユーザーはアプリを少しずつ使い始め、満足度に応じて利用が増減する。
- ユーザーは不満足なら永久に戻ってこない
これらの条件(および多くの複雑な計算)に基づいて、研究者はさーびずを同時に利用する数を変えてさまざまなシナリオをテストする。
こうした基本的条件の下ではできるだけ多くの人たち(非現実的なので全員ではない)に使わせるのが正しい行動であると考えるてもおかしくない。しかし、モデルを見るとそうではなく、少数の濃密なクラスターノードを作ることが最良の結果を生む。
ここから考えると理由がはっきりする。もし多数の人たちが利用できるようにすると、次に起きるのは、始めに十分な友達を得られなかったり、友達が十分アクティブではなかったノードの大量死だ。この死滅によって近くの他のノードへのつながりが減り、さらに死滅を起こす。それはバーチャルアプリが絶滅に至るほどではないが、多くの脱落者が出たため利用人数は永久に制限される。
一方、自給自足できるクラスターを少数作って利用数を高く維持すれば、通常速度で隣のノードに伝播していき安定成長、低脱落、高利用数が約束される。開始時にサービスを離れる人がずっと少ないからだ。
これが現実世界でどうなるのか見てみよう。小規模でアクティブなコミュニティー(社会的に活躍する写真家、有名人、インフルエンサーなどとそれらのネットワーク)にアプリを提供し、既存ユーザーが招待状を送ることて近隣にノードが作られる。
なんのことはない、多くのアプリがすでにこれをやっている! しかし、今それを科学が裏付けたのだ。
これがFacebookの次の大きなサービスに影響を与えるのか? おそらくないだろう。おそらく担当者たちは判断を下すための要素がほかにいくつもあるだろう。しかしこうした研究でクラウドとグループ意思決定をシミュレーションすることが、精度を高め利用を増やすことは間違いない。
FacebookのShankar IyerどLada A. Adamicによるこの研究は、International Conference on Complex Networks and their Applications[複雑ネットワークと応用関する国際会議]で発表される。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )