Facebookは世界15億の人々をつないでいるが、視覚障害のある人たちにとって、つながるための巨大プラットフォームをアクセスすることは難しい。Jeff Wieland率いるFacebookのアクセシビリティーチームは、そのために立ち上がった。アクセシビリティーチームの目的はただ一つ、障害者がFacebookでシームレスな体験を得られるようにすることで、最終的には、世界をつなぐというミッションを達成する。
現在、視覚障害があり、スクリーンリーダー(画面に表示されたものを認識するツール)を利用できる人たちは、みんながFacebookに書いたものを聞くことはできるが、毎日Facebookでシェアされている何百万もの写真で何が起きているかを知る術はない。
「あなたのニュースフィードがどれだけビジュアルか考えてみてほしい ― おそらく殆どだろう。そして多くの人たちが写真についてコメントしたり、投稿したものについて何かを書いているが、その〈写真〉が何であるかについてはあまり語らないことが多い」とFacebook初の全盲エンジニア、Matt KingがTechCrunchに語った。「つまり私のような人間にとっては、『で、何の話?何を議論しているの?』ということになるのです」。
だからFacebookは、人工知能ベースの物体認識ツールで、目の不自由なユーザーにFacebookで人々がシェアした写真に何が写っているかを伝えるしくみを開発している。わずか3ヵ月前に入社したKingは、彼がどのようにスクリーンリーダーを使ってFacebookを操作しているかを見せてくれた。
「私にとってページは完全に順列です」とKingは私に説明した。「一度に全体を見渡すことはできません。小さな断片が一つ見えるだけです」。
彼がページをスクロールダウンすると、スクリーンリーダーはKingに、6項目のリストがあることを伝え、それはその時点で彼に通知が6件来ていることを意味していた。そして彼が “convo box”[会話ボックス]に到達すると、このツールを使ってコメントを残せることをツールが知らせた。
やがてKingは、テキストと写真からなる友達の投稿までスクロールした。友だちのAnneは、「一年生の写真撮影の日に向けて準備完了」と書いて、写真を載せていた。Facebookが試作中の物体認識技術によって、Kingは、「この画像に含まれるかもしれないもの、コロン、1人以上の人物」という音声を聞いた。これがなければ、KingにわかるのはAnneが「一年生の写真撮影の日に向けて準備完了」と書き、写真を載せたことだけだ ― 何の写真かは全くわからない。別の写真についてツールは彼にこう言った:「この画像に含まれるかもしれないもの、コロン、自然、アウトドア、雲、葉っぱ、草、樹木」
下のフォトギャラリーで、スクリーンリーダーを使って写真を見た時に聞こえる説明を見ることができる。
「まだ100%ではないかもしれないが、たとえそこから生まれるつながりや得られる楽しみの半分だとしても、少なくとも、得られるものが0%から50%に増えることです」とKingは言った。「これは大きな飛躍であり、これからも伸びるばかりです。私はFacebookのこうした取り組みへの投資を、非常に力強く楽しみなことたと考えています。そしてこれは、障害のある人々とすばらしい体験とをつなげる方法の一つにすぎません」
残念ながらスクリーンリーダーの習得には少々時間がかかる。Kingの目標が、視覚障害者にとってもっと敷居を低くすることにあるのはそのためだ。障害のある人たちが、障害のない人たちと同じくらい簡単に、世界のどこにいようともウェブを利用できるようにすることが彼の願いだ。
「Facebookでは、情報と情報テクノロジーの利用を人権とほぼ同じ物であると考えるようになりました」とKingは言った。「つまり、これは雇用への入口であり、あらゆる機会 ― 政府やあらゆることへの参加 ― への入り口です。だから私たちがこの段差を埋められた時が、アクセシビリティーの究極のゴールであり、Facebeookはそれを実現するための特別な立場にいると思っています。それが私の心をとらえました。これは、障害のある人々が他の全員とつながるのを手助けすることによって、彼ら全員に尊厳を与える方法なのです」
チームはこのシステムを年内にウェブまたはiOSどちらかのプラットフォーム向けに提供し、この体験にオプトインできるようにすることを目標にしている。
「何が写っているかを確信を持って伝えなくてはいけません。間違えたくありません。だからAIに投資を続けてこれをすばらしい物にする必要があります。私たちは比較的早く出荷できると楽観しています」とWielandは言った。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)