FacebookはSnapchat Storiesに対抗するMessengerアプリの新機能、”Messenger Day” を全世界で公開した。(例によって順次導入されるため全ユーザーが利用できるまでには時間がかかる)
ポーランドやオーストラリア等での数百万人のユーザーによるテストを終え、iOSとAndroidおよびデスクトップのメッセージ画面で木曜日(米国時間3/9)に公開された。新機能を使うとデコレーションを施した写真やビデオを友達や全ユーザーに公開することが可能で、内容は24時間後に消滅する。
Messenger Dayが軌道に乗ればMessengerが最近強化したカメラ機能と共に ビジュアル・コミュニケーションの推進にも拍車がかかるだろう。Facebookのメッセージング担当VP、David Marcusは、Dayには将来「おそらく」広告が挿入されMessengerで最大の収入源になるだろうと話した。
WhatsApp Status、 Instagram Stories、Facebook Storiesに続き、Messenger DayはSnapchatと競合する。IPOを果たしたSnapchatにとってユーザー成長が弱点だ。Messengerは既に10億人が使っている。Messenger Dayが発表された日にはSnapの株価がわずかに下がった。
今回の発表は、SnapchatはStoriesを発明したかもしれないが、コンテンツメディアとして自分たちはどこよりも大きいというFacebookの哲学が表われている。Facebookはコピーすることを恐れない。たとえどんなに批判されようと。重要なのはユーザーにとって価値があるかどうかだけだ。
なぜこれ以上シェアする場所が必要なのか、というのは当然の疑問でありおそらく必要はない。しかしもしMessengerがStoriesのスタイルに楽しみだけでなく利便性を加えることができれば、昔の思い出を消費するだけでなく新しい思い出を作るきっかけになるかもしれない。
Messenger Dayを使ってみる
Dayを見る
Messenger DayはMessengerのホーム画面のチャットスレッドの上方に表れる。 Instagram Storiesが5ヵ月に1.5億人のデイリーユーザーを獲得したのと同じスタイルだ。そこには名前とプロフィール写真だけでなく、友達の写真が並んでいる。
いいね!の数は表示されないが、Dayに対しては定型メッセージや絵文字で返信できる。
Snapchatにない特殊な機能がActive Now(オンライン中)だ。グリーンのドットが表示されているMessenger Dayは相手とすぐチャットできることを意味している。こうしてMessengerは孤独を解消するという、Down To LunchやFreeやFoursquareが失敗した目的を果たせるかもしれない。
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昨年12月に導入された大きなカメラボタンは、Dayの利用の促進するためだった。画面下の大きなシャッターボタンを押せばすぐに画像やビデオを追加できる。
デフォルトでは投稿は「全員」に公開される。しかしFacebookによると、アプリのトップにDayが表示されるのは、メッセージを送ってこられる相手だけだ。公開範囲を設定しておけば毎回指定する必要はない。友達に直接送信することもできる。送ったDayを見た人は投稿の下に表示される。
コンテンツにはお絵描きやテキスト、セルフィーレンズ等の効果を加えることができる。
カテゴリー別フィルターを使えば、「一緒にコーヒーでもどう?」「今晩映画に行く?」「一杯飲もう」「走りに行こう」等のアクションを付加できる。簡単にオフラインで友達を招待することができる。しかもFacebookで「誰か一緒にディナーを食べに行く人」を誘って誰も返信しないと悲しい思いをするが、Messenger Dayでは投稿はすぐに消滅し、返信はプライベートなメッセージで送られてくるので孤独だと思われる心配はない。
ちょうどいいフィルターがなければ、自由にテキストから作ることができる。
足りないもの
全体的に見てMessenger Dayは思っていたよりスムーズで反応も早い。Instagram Storiesと同じく、興味がなければ無視するのは簡単だ。友達がたまにしかDayを投稿しなくても問題ない。
それでも私が今すぐ欲しいと思った機能で欠けているものを以下に挙げる。
- Dayの投稿全体をビデオとして保存してFacebookのフィードに流す(Snapchat)
- スワイプで使えるカラーとライトのフィルター (Snapchat, Instagram)
- 写真の表示される時間の指定
- モノにピン止めできる3Dスタンプ(Snapchat)
- フェイス・スワップ (Snapchat)
- Bitmojiのようなカスタマイズ可能なアバタースタンプ (Snapchat)
- 絵文字をスタンプとして簡単に使える (Snapchat)
- キャプションの背景色 (Instagram)
- 簡単なGIF作成 (Instagram)
- お絵描きのブラシ (Instagram)
- 友達を参照して、返信すればグループチャットを始められる(Instagram)
時間と共に上記のいくつかは実現されるだろう。世界展開のバージョン1としては十分よくできていてすぐに使えると感じた。
今のところDayのビジネス利用は許されておらず広告もないが、Marcusに尋ねたところ、「おそらく。今後テストしていくつもりだが、高速でやりとりされるメッセージの邪魔はしたくない。それが守られる範囲で良い広告の方法があれば効果は大きいだろう」という返事だった。
Snapchatを攻撃する包囲網
ビジュアル・コミュニケーションは未来だ。これに乗り遅れたチャットアプリの将来は暗い。しかし、MessengerはDayをスレッドの上に被せることによって従来の表示件数を減らすリスクを負っている。通常のチャットアプリとしてMessengerが成長するのを妨げてまで、積極的にソーシャルメディアへと参入する価値はない。Facebookは一般公開後に各地域のメッセージ件数が減らないかどうかを慎重に見極める必要があるだろう。
FacebookのStoriesスタイルへの参入は遅かったが、これで全アプリでSnapchatと戦う体制が整った。成功すればSnapchatの成長をさらに食い止めることができる。特に、MessengerやWhatsAppやInstagramをこれまで使っていなかった海外のティーン・ユーザーの取り込みも期待できる。Snapchatの熱心な既存ユーザーを乗り替えさせることはできないだろうが、新しいソーシャルネットワークに登録する必要がないことは説得材料になる。
手加減は一切ない。Facebookは臆面もなくSnapchatの良いところを盗み前面に押し出している。これはイノベーションに逆行しているようにも思える。少なくてもスポーツマンシップに反する。しかしFacebookのイデオロギーは常にスケーリングが中心でありオリジナリティーではない。最初のソーシャルネットワークではなかったが、誰もが使うようになった。Storiesは発明していないが、最初に作った者が報われるとは限らない。報われるのは誰もが使えるようにした者だ。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)