Facebookが、米国をはじめ海外で展開している機能「インスタント記事(Instant Articles)」を日本でも展開する。あわせて「いいね!」以外の感情を投稿できる「リアクション機能」の導入も開始した。
インスタント記事は、Facebookアプリのニュースフィード上に直接ウェブメディアの記事を表示する機能。これまでであればフィード上に流れてきた記事をクリックし、アプリ内ブラウザを立ち上げてニュースサイトにアクセスしてからその内容を読む必要があったが、メディアが事前にFacebookのサーバ上に記事を提供することで、読み込みにかかる時間が通常の10倍の速度になるという。
米国では2015年5月にThe New York TimesやBuzzFeedなど9社をパートナーメディアとしてこの機能の提供を開始。2015年12月には、韓国、インド、台湾などアジアの50以上とパートナー提携。現在は世界350のメディア企業がテストプログラムに参加し、毎日100社以上が記事を配信している。今回日本からは、朝日新聞社、産経デジタル、東洋経済新報社、日本経済新聞社、毎日新聞社、読売新聞東京本社が参加している。
また、リアクション機能はニュースフィードで共有された投稿に対して「いいね!」以外の感情を共有できる機能だ。これまであった「いいね!」のほか、アプリならボタン長押しで「超いいね!」「うけるね」「すごいね」「悲しいね」「ひどいね」の合計6つのリアクションを付けることができる。
ちなみにこれはFacebookの関西弁設定にも反映されており、これまでの「ええやん!」に加えて「めっちゃええやん!」「笑たやん」「すごいやん」「悲しいわ」「そら怒るわ」の共有が可能になっている。
2015年にユーザー数10億人を達成したFacebook。同日の記者発表会で登壇したFacebook最高製品責任者のChris Cox(クリス・コックス)氏は、「次の10億人」を獲得するためには、より様々な環境で利用できるサービスが求められると説く。「デバイスは進化し、普及したが、ネットワークの進化はそれより遅い。様々なデバイス、ネットワークを通して皆さんにサービスを使ってもらいたい」(Cox氏)。
そのために、最先端のiPhoneではなく(古い)Androidで、4G回線でなく2G回線でFacebookを利用するとどうなるかなども検証しているのだそうだ。実際、インドのデリーでは、ネットワークの遅さから5人に1人のネットワークが接続できず、また記事を1つ表示するのに30秒以上かかることがあるという。こういった環境ではインスタント記事の価値は大きいと語る。
Instant Articlesはメディアサイドにもメリットがあるという。例えばタップ操作で写真のレイアウトを変更したり、地図情報との連携なども可能。画像や動画を多用したリッチな広告も配信できる(もちろんメディアはそのためにコンテンツを準備する必要がある)。
広告のレベニューシェアに関する情報は明らかにされなかったが、海外ではパブリッシャーが販売した広告であれば売上の100%、Facebookが販売した広告なら売上の70%をパブリッシャーが得ることができる。なおインスタント記事は米国向けのアプリなどではすでに提供されているが、日本での提供時期は未定。メディア側の準備が整い次第順次提供される予定だ。リアクション機能については、同日より機能が提供される。