Facebook(フェイスブック)は米国時間1月21日、コンテンツについてポリシーの検討を行う新たに設立された外部組織が、同社の最も重要な行為の1つに取り組むと発表した。トランプ前大統領のアカウント停止の決定だ。
米国時間1月7日、Facebookはトランプ氏のアカウントを無期限で停止した。この決定は、前日の大統領の行動を受けて行われたもので、同氏は米国議会議事堂を襲撃する暴徒を扇動し、米国の民主主義を窮地に陥れ、すでに非常に危険な状態になっていた国を揺さぶった。
Facebookの国際問題およびコミュニケーション担当副社長であるNick Clegg(ニック・クレッグ)氏は、トランプ氏のアカウント停止をめぐる状況を「前例のない行動を求めた前例のない一連の出来事」と呼び、 Oversight Board(監督委員)がこの件を審議する理由を説明した。
「当時のトランプ大統領のアクセスを停止するという我々の決定は、異常な状況下で行われました。平和的な権力移行を妨害するために行われた暴力的な襲撃を積極的に煽っている米国大統領、殺された5人の国民、民主主義の座から逃げる議員たち」と、クレッグ氏はブログの投稿で述べている。
「こんなことはかつて起きたことがありません。そして我々は二度と起こらないことを願っています」。
監督委員会は今回の措置を取ることについて述べた声明の中で、5人のメンバーで構成された委員団が間もなく今回のケースを査定し、90日以内に決定する予定だと説明している。
この少人数のグループがトランプ氏のFacebookアカウント(そして将来的に起こりうる大統領に関わるケース)をどのように扱うかについての結論に達すると、決定には監督委員のメンバーの過半数を超える承認が必要になる。その後は少しずつペースが速まり、Facebookは1週間で監督委員の最終決定を実行に移す予定だ。
Facebookはこの監督委員会が独立した外部の組織としたがるが、「拘束力のある」ケースバイケースの決定を行う自立性を持つにもかかわらず、この監督委員会はFacebook自身が起ち上げたものだ。同社が最初に4人の共同議長を任命した監督委員会は、20人のメンバーで構成される組織に拡大していった。
以前にもお伝えしたように、この委員会の仕組みは、削除されたFacebookのコンテンツに対する活動に偏っている。掲載されたままになっているコンテンツではない。一般的に同社や社会にとって大きな頭痛のタネを生み出すのは、後者の方だ。Facebookはこの批判に応えて、当初は削除されたコンテンツの検討に専念するかもしれないが、プラットフォーム上にまだアップされているコンテンツは「できるだけ早く」プロジェクトの活動範囲の一部になることが予定されていると指摘している。
このグループを巡る批判の一部にとって、トランプ氏のケースは監督委員会の決定が実際にどれだけ影響力のあるものになるかを示す重要な機会となる。もしFacebookの決定を覆すことになれば、すでに前大統領は公の場から退いたとはいえ、トランプ氏のFacebookアカウントをめぐる世間の関心を再燃させることになるだろう。
このプロセスで最も興味深いのは、前大統領のアカウント管理者が自分自身の訴えを主張できるということだ。その場合、監督委員会はトランプ氏のアカウントを復活させるべき理由を主張する「ユーザーの声明」を審査することになる。
Facebookの外部の意思決定機関は、同社独自のポリシー決定に対する一種の「最高裁判所」のようなものであることを意味する。実際に迅速に動いたり、その場で対応することはないが、その代わり将来のポリシーケースに洞察を与えることができる前例を確立しようとしているのだ。ケースごとの決定には拘束力があるが、それが生み出す広範な判例がFacebookの今後のポリシー決定に影響を与えるかどうかは、まだわからない。
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(翻訳:TechCrunch Japan)