Facebookのノスタルジー機能が発表されてからちょうど1年経つ。Facebookは「過去のこの日」の誕生1周年を記念して、いくつかの数字を発表した。
「過去のこの日」は Timehopを大胆にコピーしたサービスだが、スタートアップの良いアイディアを大きいプラットフォームが横取りするのがいかに成功への近道であるかを実証してもいる。毎日6000万人がFacebookの「過去のこの日(On This Day)」を訪問しており、1億5500万人が通知を購読している。このサービスは過去のその日の写真、近況、その他Facebookへの投稿を再現する。
ちなみにTimehopは2011年に開始されており、2014年の終わりには1200万の登録ユーザーを集めた。1日あたりアクティブ・ユーザー(DAU)は600万人だ。
「過去のこの日」がリリースされたとき、TimehopのCEO、Jonathan Wegenerは脅威になるという見方を抑えようと懸命だった。Wegenerは私の取材に対し「〔Facebookの新サービスは〕Timeopが価値のあることをしているのだという印象を強めた。われわれの投資家の一人は『Facebookが真似しないようだったそのサービスはそもそもやる価値がないのだろう』と言ったがうまい表現だ」と語った。TimehopはShasta Ventures から2014年7月にシリーズBのラウンドで1000万ドルを調達した他、総額1410万ドルのベンチャー投資を受けている。
Timehopは現在もTwitterその他のソーシャルメディアから多くの訪問者を集めているが、「過去のこの日」がカバーするユーザーが増えるにつれて、Facebookのユーザーからの利用は下降するだろう。Facebookは15億9000万人という途方もないユーザーベースにものを言わせてニュースフィードでプロモーションに努めた結果、スタート以來わずか1年で「過去のこの日」の利用者を5倍に増やした。
Facebookは私の取材に対して「この1年間プロダクトの改良を重ねた結果、われわれはユーザーがどんなコンテンツを見たいか理解を深めることができた。ユーザーを悲しませるような内容は表示されないようになっている。『過去のこの日』に何が表示されるかを決めるのに人工知能を幅広く利用している。ユーザーの過去の行動や人口動態的属性を考慮したパーソナライズが行われており、ユーザーがすでにブロックしている相手や、元カノ、元カレなどすでにロマンチックな間柄ではない相手に関するコンテンツはFacebook側で予め除去している」と説明した。
Facebookはオンライン上に登場してからすでに12年たつ。Faceboookの持つわれわれの歴史は驚くほど詳細だ。Timehopその他のサービスはユーザーの過去のオンライン履歴を収集することにかけては優秀でも、Facebookはわれわれを一人ひとりよく知っており、そこに違いが生まれてくる。たとえば手当たり次第に過去の写真を表示するのではなく、昔から仲が良かった友達とのツーショットを表示するという具合だ。
Timehopは生き延びている。しかし今回公開された統計数字はデベロッパーに対する深刻な警告だろう。プロダクトを開発する際に、体重400キロのゴリラのようなプラットフォームに近寄り過ぎることは賢明ではない。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)