GoogleがMastercardとパートナーしてユーザーのオフラインの買い物を追跡する

Bloombergの記事によると、GoogleはMastercardとの秘密契約により、クレジットカードの利用データから小売の売上を調べられることになった。このことは、Googleの本当の顧客が広告主であることの、また新たな証拠だ。

オンライン広告は今や、他のすべての広告媒体を抜き去った。企業は、テレビや新聞などよりも多くの広告費をネット広告に支出している。

オンライン広告に人気があるのは、広告キャンペーンの効果を調べやすいからだ。GoogleやFacebookに広告を出せば、そこから何人の顧客が自分のオンラインストアに来たか分かる。しかも、彼らが何を買ったかすら分かる。

でもテレビ受像機のオンライン広告を見た人が、お店に来てテレビを買った場合はどうか? テクノロジー企業はこれまで何年も、このような、オンライン広告とオフラインの売上とのギャップを填める努力をしてきた。たとえばGoogleは、ユーザーが位置履歴を無効にしていても、常時密かに位置を追跡している日本語関連記事〕。GoogleがMastercardとパートナーしたのも、そのためだ。

Bloombergによると、Mastercardのアメリカ国内のトランザクションデータはすべて、暗号化されてGoogleへ送られる。GoogleはMastercardに金を払い、おそらく他のカード会社からも、同じ方法で情報を得ようとしている。

Googleに個々のトランザクションは見えないが、その大量のデータから有意な情報を取り出すことはできる。たとえば同社は、オフラインの購入をユーザーのプロフィールとマッチングできる。そしてそのユーザーが、広告をクリックしたことも分かる。

広告主はメールのデータベースをアップロードして、オフラインの売上をGoogleのプロフィールと広告クリックにマッチできる。Googleは彼らに、すべてのオフライン売上のレポートを送る。すると広告主は、自分たちのオンライン広告キャンペーンの売上寄与効果が分かる。

それは広告の顧客に、彼らのキャンペーンに効果があったと説得するための、うまい方法だ。オンライン広告の売上効果を確信した彼らは、次の広告予算でGoogleへの配分をさらに大きくするだろう。

このやり方は、大規模な広告ビジネスを構築するためには、プライバシーをある程度、二の次にしなければならないことを、あらためて示している。しかしGoogleがMastercardとの今回の契約を公表しないことは、かなり気持ち悪いな。ユーザーには、(自分のデータの使われ方について)知る権利があるからね。

このMastercardの一件は、ユーザーのGoogleアカウントの“Web and App Activity”(Webとアプリのアクティビティ)でオプトアウトできるそうだが、その設定は見つけにくいし、大量のものをかき分けて探さなければならない。そもそも、オフラインの購入は、“Web”でも“アプリ”でもないけどね。〔訳注: 今はアメリカ限定だから日本語のGoogleアカウント設定にはない。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa