今日(米国時間2/1)はAlphabetにとって記念すべき日となった。まずGoogleは今回の四半期決算で初めて「他の事業」の成績を公開した。しかし大ニュースはその点ではなかった。
Googleの今期決算はウォールストリートの予測を粉砕し、213億ドルの売上と8.67ドルの1株当たり利益(EPS)を計上した。アナリストは売上を208億ドル、EPSを8.09ドルと予想していた。これと同時に、Alphabetは世界でもっとも時価総額の高い株式上場企業となった。
第4四半期決算の発表と同時に株価は8%アップし、時価総額は5580億ドル〔約67兆円〕となった。 Appleの時価総額は5350億ド〔約64兆円〕ルなのでこれを抜いたことになる。
もちろんこの後に予定されている決算説明の電話会議で意外な問題が発覚するかもしれず、また株式の保有者が利食いを図って売りに回り、株価が下落するかもしれない。しかしそれとは別にGoogleとテクノロジー・ビジネスにとって今日が大きな日となったことには変わりない。
決算資料でCFOのRuth Poratは「第4四半期における大幅な売上の増加は モバイル検索、YouTube、広告のプログラム化、その他すべての面でわれわれの多年にわたる投資が実を結び、ビジネスがきわめて好調であることを証明するものだ」と述べた。
AlphabetがいつかはAppleを追い越すことは確実と見られていた。その理由ははっきりしていた。Appleが多少はソフトに依存しながらも本質的にはハードウェア企業であるのと同様、Alphabetは多少のハードウェアを売っていても本質はソフトウェア企業あり、ソフトウェア企業のパフォーマンスはハードウェア企業を大きくうわ回るのが常だ。
またここ数年Appleの株価は下がり気味だった。
これに反してGoogleの株価はこの1年間、上がり続けてきた。
こちらはGoogle Financeによる簡単な比較だ。
Googleのコア・ビジネスについてみていくと、クリックあたりコストが対前年比で13%減少しているのに対して有料クリック数は31%増加している。一般にモバイル化の進展とともにクリック単価は低下する傾向にある。しかし Googleのビジネス・トレンドはご覧のとおりだ―Googleは依然として全速力で紙幣を印刷している。
Googleのコア・ビジネスは単に利益率をアップさせているだけでなく、規模も拡大している。今日の発表によれば、Gmailのアクティブ・ユーザー数は10億となった(ただしCEOのスンダル・ピチャイはこの数が1日あたりか1月あたりかを述べていない。われわれは1月あたりの数字だろうと推測している)。
今日の発表はハードウェア・メーカーが直面する困難を象徴するものかもしれない。Appleの成長の原動力は―世界で最強、最長の成長力の一つであることは間違いない―世界経済の減速と共に向かい風を浴びて失速しがちた。またハードウェアには市場の飽和という限界が存在する。また新製品に対してユーザーがどれほどアップグレードしようとするかという問題もある。しかし世界経済の先行きがどうあろうと、人々はGoogleで検索し、Googleのソフトウェアを使い続ける。さらにこの会社は「他の事業」にも大きく賭けている。
これまでスマートデバイスのNestのような「課外活動」はGoogle本体の活動に含まれていたため、投資家はそれらの事業の個別の財務内容を知ることができなかった。本業以外の事業がどれほどビジネスに寄与しているのか(あるいはその逆か)、投資家としては推測するだけだった。しかしGoogleがAlphabetに再編されたため、われわれは個別事業のパフォーマンスをある程度知ることができるようになった。
なるほど「他の事業」の売上が増大していることは事実だった。2015年には4億4800万ドルが他事業分として計上されており、これは2014年の3億2700万ドルから大幅にアップしている。しかし赤字の額の増大も天文学的で、2014年に19億ドルだった損失が2015年には36億ドルに膨れ上がっていいる。
またGoogleといえども世界経済の動向と為替レートの変動から無縁ではなかった。売上は対前年比で18%アップしているが、仮に為替レートの変動による不利益がなければ24%のアップになっていたはずだ。Appleは為替レートの変動により売上ベースで50億ドルの影響を被ったと述べている。Googleについては売上について約10億ドルの影響があったことになる。
われわれはこの件について引き続き取材を続けている。 決算説明の電話記者会見は太平洋時間午後1時30分〔日本午後6:30〕に予定されている。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)