Googleエンジニアリング部門のSVP John Giannandreaが、TechCrunch Disrupt SFで、人工知能に関する優れた談話を語った。とくに彼は、人びとは汎用の人工知能に対して心配しすぎだ、と考えている。
数年前にGiannandreaは、人工知能を4歳の子どもにたとえた。しかし今日はその説を改め、もっとひどい、と言う。“4歳児ほどの汎用的能力*もない”、と彼は述べる。〔*: 汎用的, general purpose, 知識を一般化してさまざまな目的や状況に対応/応用できる能力。〕
“今はAIに関して大量の誇大報道がある。多くの人が、汎用AIの勃興をめぐって、いわれのない不安を抱えている”、とGiannandreaは語る。“機械学習や人工知能はきわめて重要であり、産業に革命をもたらすだろう。Googleは検索エンジンのような、そのための建設工具を作って、生産性を高めようとしている”。
本誌TechCrunchのモデレーターFrederic Lardinoisは、さらに突っ込んで、AIアポカリプスを心配しているか、とGiannandreaに尋ねた。
彼は答えた: “AIアポカリプスに関しては、まったく心配していない。例によってそれは誇大宣伝とお手軽コメントの常套句であり、そんなものを専門に作ってる人たちがいるのだよ”。残念だったね、Elon Muskさん!。
AIアポカリプスに関しては、まったく心配していない
また、強力な機械学習応用製品を作れるのが、Googleのような巨大テクノロジー企業だけであることも、不安や心配を招いている。Googleのような企業はデータの巨大な集積を独占し、独自のプロセッサーまで作り、数十億もの消費者に到達できる能力を持っている。
しかしGiannandreaによると、Googleは人工知能のコミュニティとの開かれた会話を維持する必要がある。データセットに関しては、Googleは機会均等化に努めている。“実際には、人びとが考えるほどの膨大なデータは要らないのだ。それに、オープンな大型データセットもたくさんある”、とGiannandreaは述べる。“われわれも、ビデオや画像のデータセットを公開しているし、他社も同じことをしている”。
そしてGoogleの社内でも、大学等の研究者と会社の技術者たちが一緒に仕事をしている。“われわれ技術者は、そういう研究者たちや製品開発の専門家たちと密接な関係を維持している”、とGiannandreaは語る。
さらに同社は、偏りをできるかぎり避けるために、同社のAIプロダクトのアーキテクチャを外部と共有していく必要がある。“機械学習の動作や結果が公平公正であることのために、われわれは大量の時間を投じている”、とGiannandreaは述べる。“データに偏りがあったら、偏りのあるシステムが作られてしまう。Google内部でも、また研究者との協働においても、機械学習の公平公正さと、データの偏りを防ぐことには多大な努力を投じている”。
そして彼によると、そもそも人工知能という用語が、正しい言葉ではないかもしれない。Giannandreaによると、人工知能という言葉にはあまり意味がない。“できれば、人工知能という言葉は使いたくないね。ビッグデータも、そんな言葉のひとつだ。漠然としすぎているし、明確な定義もない。まだ、マシンインテリジェンスの方がましだな”。