Googleマップで衛星画像をコンピュータビジョンで彩色強化、一部都市では表示詳細化も

Googleマップに大型アップデートが実施される。一層詳細な情報が付け加えられ視覚的にもわかりやすくなる。改良は自然の地形や生態系からストリートレベルの表示までにおよぶ広汎なものだ。グーグルによれば、衛星写真をコンピュータビジョンで分析し地形や植生などに鮮明な色彩を適用する。人工物についても、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドンなど一部の都市でストリートレベルの情報をさらに詳細化。これには、横断歩道の位置や歩道、歩行者用アイランドの位置形状などが含まれる。

こうしたアップデートはユーザーが徒歩や自転車、キックスクーターのような軽快な方法で移動するときのナビゲーションを容易にする。これらオルタナティブな移動手段はパンデミックによって人気が高まっている(Googleブログ)という。サポートされる都市ではその場の状況を実感しやすくするために道路の幅や歩道の形状などが沿道の建物と同一の縮尺で精密に表示される。

向かって左が更新前、右が更新後(画像クレジット: Google)

グーグルによれば、今回のアップデートでは歩道の段差、車道への切り下げなどの詳細情報は付加されないものの、横断歩道の位置が示されるようになったことはアクセシビリティの改善になっているという。また現在でもGoogleマップは車椅子で通行可能なルート、利用できる交通機関、また店舗レストランなどのビジネスにおける車椅子の利用の可否などを表示している。

同社ではニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドンの詳細地図は今後数カ月の間に順次公開されるとしている。つまり都市マップのアップデートは今すぐは利用可能になるわけではないようだ。アップデートのスケジュールがやや漠然としているのは理由がある。Googleマップのように世界に数十億人ものユーザーがいる(Googleブログ)巨大アプリの場合、何段階にも分けてアップデートを行うのが普通だ。そのため全ユーザーに新機能が行き渡るまでには相当の時間がかかる。

同社によれば最初の3都市への詳細マップ導入が完了した後、この機能を米国以外の都市にも追加していく予定だという。

これと別に世界のユーザーは都市以外の地表の状態をさらに正確にわかりやすく表示するマップ機能を利用できるようになる。

グーグルは地形のカラーマッピングを保有している衛星画像の解析から得るが、特に荒地、寒冷地、森林、山間部などの地形に有効だという。分析によって得られた結果には色相、彩度、明度によるHSV色空間の特定の色彩が割り当てられる。例えば、密林は濃い緑色、 疎林は薄い緑色で表示されるなどだ。ユーザーは砂浜と植物で被覆されているいる地帯を一見して区別できる。またどこが砂漠であるかも判別できし、氷で覆われた極地の氷冠も表示される。雪が積もった山頂や国立公園の境界などもこれまでよりはっきり認識できる。

新しいカラーマッピングはGoogleマップサポートする全世界、220の国と地域の大小の都市、農地、原野など1億平方キロメートルをカバーする。

これまでGoogle マップはオンライン地図で他を大きく引き離したトップとみられていたが、最近アップルがiOSとMacの純正マップで急追を始めている。今回のアップデートはこうした状況で実施される。2018年にリニューアルされたアップルのマップ(未訳記事)は、さほど印象的ではなかったが、その後アップデートを重ねることによって無視できないライバルに成長してきた。

アップル特に大都市ユーザーをターゲットとして、Googleストリートビューより精細度が高い3DのLook Aroundを搭載した。最近ではiPhoneで地平線を撮影するだけで自分の位置が正確にわかるという巧妙な仕組みを導入した。またアップルはパートナーの手助けによる拡張とモデレーションをサポートした探索と発見のガイドを通じてGoogleマップに戦いを挑んでいる。こうした挑戦を受けてグーグルも従来のリードを保つために新機能の導入に踏み切ったものだろう。

グーグルによれば、マップのアップデートはAndroid、iOS デバイスとデスクトップを対象として今後数カ月かけて順次実施されていくという。

画像:Google, TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook