GVA TECHが法人登記に必要な書類を自動作成する「AI-CON 登記」をリリース

AI契約書レビュー「AI-CON レビュー」や契約書作成支援サービス「AI-CON ドラフト」などを開発・運営するLegalTech(リーガルテック)企業のGVA TECHは1月15日、新たにスタートアップ向け法人登記支援サービスの「AI-CON 登記」をリリースした。

AI-CON 登記は必要書類をアップロードし、最低限の必要事項を入力するだけで法人登記の申請書類を自動作成するサービスだ。

オンライン上に登記情報と株主名簿をアップロードすると、情報が自動的に入力され、あとは移転先の住所など最低限の不足情報を入力するだけで法人登記の際に必要な書類が完成する。なおアップロードのための登記情報はサービス上にて無料で取得することができる。

このサービスにより自動で作成された書類に押印し、法務局に送付するだけで登記手続きが完了する。

「どこの法務局に持っていけばわからない」場合でもAI-CON 登記が機械的に判別し、教えてくれるのもポイントだ。

なおAI-CON 登記は登記に通るための必要な手続きのほか、株主総会、取締役会の実施、議事録の作成など会社法の観点からも適切な手続きを含めたスケジュールを案内する。

GVA TECHによると司法書士に依頼すると通常数日を要するところ、AI-CON 登記を利用すれば最短で数十分から数時間で書類を作成することができる。

GVA TECH代表取締役の山本俊氏は登記申請は「一文字間違えただけで補正しなければならないような世界。少しのミスが大きな面倒を生む。その面倒がビジネスを阻害していた」とAI-CON 登記の開発に関して説明する。

同社いわく、会社の設立、商号や本店住所の変更、役員の変更など、ビジネスを行う上で登記の機会は数多く存在し、これら各種の登記手続きは事由が発生してから2週間以内に行う必要がある。

申請期限を過ぎた場合は裁判所より過料の制裁に処せられる可能性があるため、正確性と迅速性が求められるが、登記書類の作成・申請は複雑であるためビジネスのスピードを損なう原因となっていた。

AI-CON 登記の開発には所属司法書士数において城南5区(渋谷、目黒、世田谷、太田、品川)内で最大規模を誇る司法書士法人ライズアクロスが業務提携先として全面協力している。

ライズアクロスの代表社員、髙橋圭氏は「司法書士に頼むか自分でやるかという話だが、世の中の司法書士は基本的にITリテラシーが低い。適切なプレイヤーがいなかった」とGVA TECHとの業務提携について話す。

AI-CON 登記に関しては「司法書士に本店移転を頼むと5万円くらいする」ため、頼む人がいない場合には自社内でやろうとする傾向にあり、結果、一文字間違えただけで役所に出向く必要が出てくるケースもある、と説明した。

「(スタートアップが)そんなことに時間を使うのであれば、サービス開発に注力してほしいと願っている」(高橋氏)

AI-CON 登記が対応のサービスは登記情報の取得が無料、本店移転と募集株式の発行が5000円ととてもリーズナブルだ。なおAI-CON 登記上で作成した書類を法務局への郵送用封筒と共に届ける「お任せレターパック」というオプションも5000円。

届いた書類には押印箇所が付箋で明示してあるので、付箋に従った押印や簡単な作業、郵便局での印紙購入と送付のみで手続きが完了する。

なおライズアクロス所属の司法書士にメール、電話、Chatworkでの相談が可能で、これは無料となっている。

GVA TECHとライズアクロスは「今後も対象となる登記手続きを順次拡大していく予定」だという。開発中の登記支援サービスは商号変更、目的変更、株式分割、そして発行可能株式総数の変更だ。

2017年1月に設立されたGVA TECHはこれまでに人工知能による契約書レビューのAI-CON レビュー、ならびに契約書作成支援サービスのAI-CON ドラフトをリリースしてきた。2018年4月のリリース以降、事業規模を問わず2000社以上のユーザーに利用されている。

2018年にはTechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルやInfinity Ventures SummitのLaunch Padなどのピッチバトルに参加してきたGVA TECHだが、リーガル面でスタートアップをサポートする同社が本年、さらに躍進することを期待したい。

投稿者:

TechCrunch Japan

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