Instagramがフィード末尾に「おすすめ記事」を追加、新たな広告スペースを発見

Instagram(インスタグラム)が新しい広告スペースを見つけた。フィードの末尾だ。2018年にFacebook(フェイスブック)傘下の同アプリは、ユーザーがInstagramフィードを最後までスクロールした時に「You’re All Caught Up」(コンテンツは以上です)とユーザーに通知する機能(未訳記事)を導入した。このほどInstagramは、このスペースを利用してユーザーに一般記事のお勧めや広告を表示すると発表した。

「You’re All Caught Up」メッセージの本来の目的は、Instagramの使いすぎを防ぐことだった。当時この機能は、スクリーンタイム(アプリ利用時間)の状況を知らせるためにFacebookが実装したいくつかの機能の1つ(CNBC記事)であり、ユーザーがFacebookとInstagramアプリに費やした時間を見られるダッシュボードや一定の利用時間に達した時に知らせてくれるリマインダー、通知を止めるツール(未訳記事)なども同時に提供された。

一連の変更は「ソーシャルアプリのつくりが中毒性を誘発しすぎ、ユーザーのメンタルヘルスに悪影響を及ぼすのではないか」というテック業界全体の問題意識から生まれた行動の一環だった。その頃Google(グーグル)とApple(アップル)もそれぞれのスクリーンタイム管理ツールを公開し、YouTubeはビデオを見ている時間を監視して、ユーザーに休憩をとるよう促す機能(未訳記事)を提供した。

最近では、中国製ショートムービーアプリのTikTok(ティクトック)の米国での常習性の高まりがパンデミックと相まって、多くの人々にかつて自らに課したスクリーンタイム制限の撤回を促した。これが、Instagram自身のスクリーンタイム管理への取り組み縮小を後押しした可能性も考えられる。

Facebookのソーシャルメディア独占にとって最大のライバルであるTikTokは、常習性 が強すぎるとをすで叩かれている。(Rolling Stone記事Daily Iowan記事Forbs記事The Guardian記事)。これは、ユーザーを引きつけるコンテンツの種類を即座に学習し、その情報を利用してユーザーのフィードをパーソナル化する高度なアルゴリズム(未訳記事)によるものだ。ユーザーはTikTokの短いコンテンツ形式と超速のユーザーインターフェースによって、アプリに費やす時間を増やし続けている。2019年のデータ(Hootsuiteレポート)で米国の平均的TikTokユーザーは1日に8回アプリを開き、46分使用していた。最新レポートではこの数字が1日52分に増え、最近のある調査によると、若いユーザーは1日80分使っているという報告もある。だから今Instargramが、ユーザーにスクロールをやめてアプリを離れることを勧める方針を考え直しているのは当然だろう。

「我々のゴールは、コンテンツを読み終わったことを明確に示し、その後の時間をどう使うべきかを自分で決めらるようにすることです」とInstagramのプロダクト担当ディレクターであるRobby Stein(ロビー・スタイン)氏は説明する。「フィード読み終えたあとも興味のある投稿を探し続けている人がいるのを見て、そうしたい人には簡単に深堀りできるようにしたいと考えた」と続ける。

同社はさらに、ほとんどのユーザーはそもそもフィードの最後まで行くことがなく、「You’re All Caught Up」のメッセージを見ていないことを付け加えた。

「Suggested Posts」(お勧め記事)機能は、Instagramに新しい一面をもたらすものであり、ユーザーが自分ではフォローしていないが気に入るかもしれないとInstagramが考えるおすすめコンテンツと共に広告を掲示できるようになる。広告主にとっては自分の売り込みを読んでもらえるチャンスが増える。

ビジネス視点では、広告スペースが増えることのインパクトの方が大きい。しかし、健全なデジタル生活への取り組みを取り下げるというInstagramの決定は、同アプリやスクリーンタイム増加の動き全般に長期的な影響を与えるかもしれない。すでに多くの親が子供のスクリーンタイム制限をコロナウイルス封鎖の中で緩めており、多くの大人がオンライン滞在時間を増やしている。(Washington Post記事Fast Company記事New York Times記事Washinton Post記事)。ソーシャルディスタンスの世界ではオンラインネットワークの価値が高まっていると主張する専門家もいる。こうした新たな規範のおかげで、Instagramの「Suggested Posts」機能の公開に対する反発はなくなるかもしれない。

新機能は全世界で展開中であるとInstagramは説明している。

画像クレジット:Instagram

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook