Jason Goldbergが次に仕掛けるソーシャル・アプリの「Pepo」がシードラウンドで235万ドルを調達

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人々から注目を浴びた数々のスタートアップ(Fab.comFabulisJobster)の創業、そして、事業の失敗やピボット(HemFab.comFabulisJobster)などで有名なJason Goldbergは、今年初めにPepoを創業してもう一度闘いの舞台に立つことになった。ソーシャル・メッセージングアプリのPepoでは、特定の興味に関する情報を掲載したり、その情報を読んでリアクションを残すことができる。そして今日(現地時間6日)、Pepoはシードラウンドで235万ドルを調達したと発表した。

起業家が一度でも失敗すれば、投資家に必ず悪い印象を残すことになると考えている読者がいれば、Goldbergのストーリーによく耳を傾けてみてほしい。

今回のラウンドに参加した投資家たちは、かつてGoldbergが創業したデザイン・マーケットプレイスのFab.comに、合計で約3億ドルもの資金を出資した者たちだ(Fab.comはその後PCHに投げ売りされることになる)。今回のラウンドでリード投資家を務めたのはTencentで、この他にもGreycroft、Vectr、Correlationなども本ラウンドに参加している。Goldberg自身も今回の出資に加わっている。

かつてFab.comに出資していた投資家や、同社の取締役だった者のなかで、今回のラウンドに参加しているのは、TencentのJames Mitchell、OrienteのGeoff Prentice(前職はAtomico)、Allen Morgan、David Bohnett、Howard Morgan、Nishith Shahなどの投資家たちだ。先週TechCrunchが実施した取材によれば、10名いたFab.comの元取締役のうち7名が今回のラウンドに参加していることになる。

彼らがもう一度Goldbergを支援しようと決断しただけでも驚くべきことだが、実際には、彼らから最初に提示された金額は、最終的に合意に達した金額よりも高かったそうだ。(Pepoのチームメンバーは、かつてGoldbergと共にFab.com、Jobster、Socialmedianなどのスタートアップを運営していた)。

「より大きな金額での出資も提案されましたが、ゆっくりとしたペースで進めていくことにしました」とGoldbergは話す ― 彼が今日登壇していたTechCrunch Disrupt Londonでの会話だ。同社がアプリを最初に公開したのは今年2月で、それ以降の運営資金はGoldberg自身が負担していたという。

なぜ投資家たちは、3億ドルもの資金を燃やし尽くした張本人であるGoldbergにもう一度賭けてみる気になったのだろうか。考えられる理由の1つは、逆境にも負けないGoldbergの精神力だろう。彼は、自分が犯した失敗をとてもフランクに、そしてオープンに語る人物だ。

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また、ソーシャルの要素を加えたデザイン・マーケットプレイスであるFab.comと、(少なくも今は)ソーシャルにEコマースの要素を少し加えたPepoは、まったく異なる分野のプロダクトだということも理由の1つとして考えられるだろう。

そして、少なくとも今のところはPepoが順当な成長を続けているというのが3つ目の理由だ。

Goldbergによれば、同社はマーケティング活動をほとんど行っていないにもかかわらず、「Cooking」カテゴリーでは1万2000ビュー、「food food food」では4000ビュー、「Global Gay Travelers」では1万8000ビューを記録しているという。Pepoを新しく利用するユーザーの50%が、その後毎週Pepoを利用するようになるそうだ。加えて彼は、多くのダウンロード数よりもエンゲージメントの方が重要なのだと語っている(多くの場合、ダウンロード数はユーザーからの興味を継続的に惹きつけていることを表す指標ではない)。

Pepoのコンテンツは数種類のカテゴリーに分けられている。Pepo側が設定したカテゴリーもあれば、ユーザーが作ったカテゴリーもある。

Pepoでは、観光地、ホテルに備え付けのジム(創業者のJason自身が作成)、料理、食べ物関連、ファッション、テクノロジーなど様々なカテゴリーがカバーされている。それぞれのカテゴリー内では、Pinterestのような形で、テーマに関連する写真や動画、リンクなどが流れてくる。ユーザーはアイコンなどを利用してコンテンツに反応したり、質問をすることができる仕組みだ。

アプリの完成度について聞かれれば、「まだアーリーステージの段階だ」と私は答えるだろう:料理カテゴリーを例にすると、アプリには様々なユーザーから投稿された料理の写真が並んでいるが、レシピや作り方についての情報はほとんどない。また、そのような情報をユーザーが簡単に加えられるようなツールも不足している。

このアプリにはPinterest、Facebook、Instagramなどの強力な競合がおり、特定のグループ向けのコミュニケーションツールを構築して失敗した企業もいる(Snapguideの失敗は、そのような例のほんの一部だ)。それについてGoldbergは、Pepoは「自分が情熱を捧げるプロジェクト」なのだと話す。何か新しいことに挑戦するための理由付けは数多くあるが、そのどれにも劣らない強力な理由だ。

Goldbergは技術的な挑戦やチャンスへの対応の仕方に関して、人情味にあふれる意見を持っている。Pepoを創業したきっかけについて聞かれた彼は、自分のお気に入りのスナックを見つけようとインターネットで検索したときの経験がきっかけだったと話す。

「Pepoのアイデアは、私が情熱を捧げるものの1つを追い求めていた時に生まれました。アボカドトーストです」と彼は語る。

「昨年のクリスマス、私は夫と一緒にシドニーに旅行に行きました。その時、私たちはアボカドトーストが食べたくて仕方がありませんでした。Googleで検索してみましたが、そこで見つけたスタティックな情報に私たちは満足することができませんでした。Facebookでも美味しいアボカドトーストを食べられる場所を教えてほしいという投稿をしましたが、投稿はどんどん下に流れていってしまい、情報を知っている人にそのポストがリーチすることはありませんでした。その経験から私が思ったのは、自分たちと同じようにアボカドトーストが大好きな人と即座につながることができ、世界中にいるアボカドトースト愛好者とメッセージのやり取りもできるような場所があるべきだということでした。つまり、自分の友達や、そのまた友達、近くにいる人たち、ユニークなものに対する情熱や専門知識を持つ人たちなどと、即座につながることができ、情報が消えることがなく、いつでも検索可能なメッセージング・プラットフォームです。そのようなサービスにおいて、美味しいアボカドトーストを探すことは、無数に存在する使い方の1つでしかないのです」。

今後、無料アプリのPepoはスポンサーチャンネルを開設したり、「ネイティブ広告」などを利用したマネタイズ方法を検討していく。Pepoのスポンサーチャンネルを開設するため、Goldbergは様々なブランドと話を進めている最中であり(ブランド名は明かさなかった)、これが実現すればPepoのコンテンツ強化につながるだろう。また、Pinterestなどと同様に、ブランドにモバイルメディアへ露出する機会を提供することにもなる。

Goldbergが好んで話に取り上げるのが、Twitterの共同創業者がローンチしたMediumだ。「Mediumはパブリッシャーやライターたちにフォーカスしており、それが上手くいっているおかげで、パブリッシング分野においてはFacebookなどの動向を気にする必要がありません」と彼は話す。「私たちは、ユーザーが特定の分野に関わるコンテンツを書いたり、写真を投稿したりすることができるベストな場所を提供していきます。特定の話題について話したり、ユーザーが情熱を捧げるものについて話しあったりする際に、ユーザーから最も選ばれるプラットフォームになりたいと思っています」。

彼がDisrupt Londonに登壇したときの様子は、この動画で観ることができる:

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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