MicrosoftのCEO、サティヤ・ナデラ、Apple、Googleと比較して自社の本質を的確に指摘

レッドモンドの本社キャンパスで最近開催されたイベントでMicrosoftのCEO、サティヤ・ナデラは、Google、Apple、Microsoftを比較してそれぞれの長所を分析してみせた。

会社評価額でAppleには及ばないがGoogleよりは大きい会社のCEOの発言だけに注目される。ナデラはMicrosoftのCEOに就任して日が浅いにもかかわらず、Nokiaの買収を完了し、クラウド・コンピューティングに向けて巨艦の舵を大きく切ることに成功している。

ナデラはライバルを次のように分析した。

私はApple、Google、Microsoftがそれぞれを何をする会社なのかと考えることがある。それぞれの会社は独特の特長を持っている。簡単な言葉で要約するなら、こうだろう。私の見るところ、Appleの本質は特にはっきりしている。それはティム・クック自身が最近、明快に定義したとおり、Appleはデバイスを売る会社だ。それがAppleの本質だ。Googleはデータの処理と広告の販売を本質とする会社だ。Googleのビジネスはユーザーに不快感を与えずに広告を表示できる能力にかかっており、その点のGoogleの仕事ぶりは文句のつけようがない。

Appleのハードウェア・ビジネスでの大成功は歴史に残る売上と利益をもたらしている。しかしもちろんこの成功は、慎重に考え抜かれた先見性の高いソフトウェア・ビジネス、なかんずく、iPhoneとiPadで作動するソフトウェアのマーケット、App Storeによって支えられている。iPadのローンチが短期間であれほどの成功を収めたカギはやはりApp Storeにあった。来年早々にも市場に投入されるとみられる新たなデバイス、Apple Watchについても、App Storeは決定的な役割を果たすはずだ。

Googleがオンライン広告市場で圧倒的な存在であることは明らかだが、もちろん広告ビジネスがGoogleのすべてではない。その優れた検索機能があって初めて広告を販売できる。もしGoogleが世界の検索市場を支配できなかったとすれば、広告を売ることもできなかっただろう。

しかしこうした事情があっても、ナデラの分析が本質をついていることに違いはない。ナデラは続けてMicrosoft自身の強みについてこう述べる。

さてそこで、われわれ自身の場合についていえば、Microsoftのビジネスとは他の人々にソフトウェアなどのプロダクトを開発する力を与えるところにある。単にわれわれのプロダクトだけが問題なのではない。もちろんMicrosoftにはビジネス・モデル、収益モデルが存在する。しかし私の考えでは、デベロッパーがアプリケーションを開発できるようにするプラットフォームを提供し、また誰であれコンピューティングに関連する人々が所望の成果物を作れるようにする数々のツールを提供するところでこそ、Microsoftが真価を発揮し、本当の差別化を行えるのだと私は考えている。プラットフォームのプロバイダー、ツールのプロバイダーであることこそ、Microsoftの根本的なアイデンティティなのだ。われわれはその意味することろを深く考えねばならない。

さらに簡単に要約すれば、現在のAppleのコア・ビジネスはiPhoneであり、Googleの場合は検索、Microsoftの場合はWindowsとOfficeの販売だ。しかしAppleはiCloud Driveでクラウドに参入を図り、 Googleはクラウドでのコンピューティングと生産性ツールの提供で勢いをつけつつある。Microsoftもこれに似た戦略でAzureクラウド・プラットフォームの普及とOfficeのクラウド化を図っている。

以前の記事でも書いたように、こうした巨大プラットフォーム企業は、多くの場面でライバルの得意分野に参入しようとして戦いを繰り広げている。Apple、Google、Microsoftは3社ともすでに独自のアプリとハードウェアを開発ずみだ。問題はどの会社が過去の強みを活かしながら新分野で競争に勝つ方策を見出せるかという点にある。3社のどれにせよ新分野参入で主導権を握ったものが、この先の10年の競争を有利に進めることに」なりそうだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。