米国時間3月11日、欧州の大手石油・ガス企業であるShell(シェル)は、化石燃料からの脱却を目指して技術開発を行う企業を支援するために同社が運営する、Shell GameChanger Accelerator(シェル・ゲームチェンジャー・アクセラレーター、GCxN)への新たな参加企業群を発表した。
この先この3社は、製品化の支援を行ってくれるShellの技術リソースを、利用することができるようになる。
ShellのGCxNプログラムマネージャーのHaibin Xu(ハイビン・シュー)氏は「GCxNの第4期生たちは、炭素を大量に排出していた従来のプロセスを、電気化学技術で代替できることを証明してくれるでしょう。再生可能エネルギーのコストが下がり続ける中で、業界を超えた取り組みやパートナーシップによって、これらの技術適用を、コスト効率よく拡大し、実用上の影響を与えることが可能であることが証明されるでしょう」と語る。
Shellのアクセレレーターは、このプログラムに選ばれたスタートアップ企業に対して、最大25万ドル(約2700万円)の非希釈的な資金を提供する。プログラム参加者は、インキュベーター、アクセラレーター、大学などのネットワークパートナーからの推薦を受け、ShellとNREL(米エネルギー省国立再生可能エネルギー研究所)による審査を経て決定される。
声明によれば、過去3回のプログラムの卒業生たちは、5200万ドル(約56億7000万円)を調達し、グリーン経済に51種類の新しい仕事をもたらしたとのことだ。
また、このアクセラレーターに参加した新会社たちはどれも、炭素集約型で持続可能な手法への移行が難しい分野の中で、炭素排出量を削減する方法を生み出すことに注力している。
さて前置きはこれ位にして、今回Shellが支援するスタートアップ企業たちを紹介しよう。
- Air Company(エアーカンパニー):ブルックリンを拠点に、二酸化炭素をアルコール、蒸留酒、香料、殺菌剤、そして消費者向け企業用の製品に変えるビジネスを行っている。最終的には合成燃料事業への参入も狙っている
- Ionomr Innovations(アイオナモー・イノベーションズ):グリーン水素製造、水素燃料電池、炭素回収技術には、イオン交換膜やポリマーが必要だが、バンクーバーにあるこの会社は、そうした部品をより安く、より環境に優しいものにすることを狙っている
- Versogen(バーソジェン):Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領の出身地であるデラウェア州から参加した同社は、以前はW7 energy(W7エナジー)という名前だった。燃料電池のコストを下げるための高性能な水酸化物交換膜を製造している
NRELのGCxNプログラムマネージャーであるKatie Richardson(ケイティ・リチャードソン)は次のように語る。「私たちの現代生活のほとんどすべての側面が、特定の材料や燃料に依存していますが、それは多大な影響をもたらしています。例えば、米国の製造業は、今後10年以内に米国最大の温室効果ガス排出源になることが予想されています。今回選ばれたGCxNスタートアップ企業たちが再構築しているのは、基本的な商品やサービスの二酸化炭素排出量を削減するために必要な構成要素なのです」。
カテゴリー:EnviroTech
タグ:Shell、再生可能エネルギー
画像クレジット:Tim Boyle / Getty Images
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(文:Jonathan Shieber、翻訳:sako)