Spotifyは3月25日、新型コロナウイルス(COVID-19)危機に関連する新たな取り組みを発表した。新型コロナによって深刻な影響を受けているクリエイティブコミュニティの経済的支援を始める。ここにはウェブサイト上で一般から募る募金機能も含まれる。同社はまた、アーティストがSpotifyのアーティストプロフィールページ経由でファンから直接支援金を集められる機能も加える。一方、リスナー向けにはCOVID-19ニュース・情報ハブをアプリ内に設ける。
新しいSpotify COVID-19 Music Relief Projectは、音楽コミュニティーの中で助けを必要とする世界中の人に経済的支援を提供する認証された組織を推薦する。立ち上げに際しSpotifyはMusiCares、PRS Foundation、Help Musiciansと提携し、今後さらにパートナーを増やす計画だ。
同社はまた、Spotify COVID-19 Music Reliefページを通じて最大1000万ドル(約11億円)の支援金を集め、それを分配するとも話す。経済的支援が必要なアーティストはパートナーサイトで申込方法などの情報を確認できる。
「ストリーミングはアーティストにとってファンとつながる手段であり続ける一方で、アーティストが売上をあげる他の手段の多くはコロナ危機により棚上げされている」とReliefプロジェクトのページには記されている。「我々にできることとして、我々のコミュニティをサポートする手法を見つけるために世界中のクリエイターに経済的支援を行っている組織のリストを扱う」としている。
まだ立ち上がってはいないが、Spotifyはアーティストのための新たな募金機能も加えるべく取り組んでいる。この機能では、ファンが募金先を自分で選択できるようにする。アーティストが、助けを求めている他のアーティストのために直接支援金を募ることもできる。この機能はオプションで、参加しなければプロフィールページへの変更はない。他のサイトでの募金と異なり、Spotifyは手数料は取らないとしている。
もちろん、こうした危機の最中の支援金集めは問題を抱えることにもなりえる。というのも、多くのスキャマーが資金調達者になりすまして不正に稼ごうとしているからだ。アーティストもこうした詐欺の被害に遭うかもしれず、ファンをスキャマーへと向かわせることになるかもしれない。支援金を本当の支援団体から奪うことも考えられる。
個人の資金調達者は通常、自分自身が詐欺師ではなく不正も働いていないことを調べられる必要があるため、事はさらに厄介なものとなる。大規模に支援金集めをしているFacebookですら、新型コロナ拡大のために個人の支援金集めをレビューするスタッフの数が通常よりも少ないとユーザーに警告している。支援金集めをする人はまったくレビューされることがないかもしれないし、仮にレビューされるにしてもいつもよりも時間がかかるとも述べている。ただし、Spotifyのスタッフが減っていることや勤務体制が滅茶苦茶なために、この支援金集め機能はまだ展開されていない。スタッフは自宅から働いているが、新型コロナウイルスは全業種に影響を及ぼしていて、どの企業も影響から逃れられない。
そして、SpotifyはCOVID-19についてのニュースと情報にリスナーが接することができるようにする機能も加えた。アプリ内のハブを通じ、SpotifyはユーザーにABC New、BBC World Service、CNN、Foreign Policy、NPRなどのメディアのニュースやポッドキャストを案内する。
また、他企業と同様、Spotifyも政府や健康情報を扱う非営利団体などに広告スペースを提供している。
COVID-19 Music Relief ProjectとCOVID-19ハブは3月25日から利用でき、アーティストの支援金集め機能はまだ準備中だ。
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)