Wikipedia、自前の「Fact Card」作成/共有できる新版iOSアプリケーションをリリース

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Wikimediaは最近、モバイル版アプリケーションの機能改善に取り組んでいる。しばらく前にAndroid版の新しいアプリケーションがリリースされていたが、このたびiOS版も登場した。ビジュアル面を改良し、検索が容易となり、またFacebook、Twitter、Google+などのソーシャルネットワークにて記事や画像をシェアしやすくなっているのが特徴だ。

Wikipediaの月間ビジター数は現在、5億程度なのだそうだ。このオンライン百科事典の項目数は3400万件で、対応言語は288にものぼっている。このWikipediaはiOSの機能と密接に結びついてもいるのだが、それには良い面もあったが悪い面もある。すなわちSpotlightSiriなどでWikipediaのコンテンツが探せるというのは、Wikipediaにとっても悪い話ではない。しかし他アプリケーションとの連携を深めるあまり、ネイティブアプリケーションを使ってもらえる機会を減らすことにも繋がってしまったのだ。さらに、モバイルアプリケーションの数は増加の一途を辿っており、Wikipediaアプリケーションはホームスクリーンのみならず2番目、3番目の画面からも追いやられてしまうことになってしまったのだ。

Wikipediaが、アプリケーションに新機能を投入しようと考えたのには、そうした理由もあったわけだ。ネイティブアプリケーションの魅力を高め、手軽に使えるようにし、そしてもちろんエンゲージメントを高めたいと考えたのだ。目的を持って項目の検索をしているとき以外にもアプリケーションを使ってもらえるような工夫を加えようともしている。

たとえば新版には「Random」(おまかせ表示)機能があり、面白い記事を紹介するようになっている。また「Nearby」(付近)メニューを使うと、現在いる場所に関連する記事を提示するようにもなっている。こうした機能を実装することで、Wikipediaの利用場面を広げていきたいと考えているわけだ。

また新しい版では、モバイル上での操作性は向上しコンテンツへのアクセス速度も改善しているようだ。デザインも一新しており、画面右上のメニューからは記事の見出しを一覧して簡単に概要をつかむことができるようにもなっている。さらに多くの場合は記事の先頭部分に大きな画像が表示されるようになっていて、ビジュアル的な魅力も高めようとしている。

検索バーをより目立つようにして、また最近の検索項目を表示するなどして、基本的な使い勝手もよくなっているようだ。

Wikipediaアプリケーションを起動した人に、ひとつの項目だけでなく、他にも多くの記事を読んでもらって、より長い時間使い続けてもらおうと配慮されているわけだ。記事末尾には「さらに読む」の欄もあり、ここから簡単に他の記事にジャンプすることもできる。また記事中の画像をタップすると、記事内で利用されているすべての画像を順にみていく機能も実装されている。

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ソーシャル機能をみてみると、画像の上に記事中から選択した箇所をオーバーレイ表示した画像をFacebook、Twitter、Google+、メール、テキストメッセージなどで共有できるようになっている。これはAndroid版でも注目されていた機能だ。Wikipediaを実利的なツールとしてのみならず、ソーシャルで楽しめるアプリケーションにしようとする試みのひとつだと評価できる。

Wikipediaに載っているような内容について、議論するときなどにもとても便利な機能だと思う。記事へのリンクと必要な抜粋部分を別々に記述するのでなく、必要な箇所を強調した「fact cards」のようなものが簡単に作れるわけだ。ただ議論に勝つだけでなく、スマートに勝つことができるようになったと言えようか。

アプリケーションはこちらから入手できる。

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(翻訳:Maeda, H