畑を走り回るAigenの農業ロボットは二酸化炭素排出量のマイナス化を目指す

そのロボットは今のところ、雑草を抜くことしかできないが、Aigen(アイジェン)は「雑草を抜くロボットを作っているわけではない」と断固主張する。同社のミッションは惑星規模の土壌再生であり、農業をカーボンネガティブにするための道筋を作っているのだという。

そんな主張には説得力があったに違いない。なぜなら、同社はシードラウンドで400万ドル(約4億6000万円)を調達したと発表したばかりだからだ。このラウンドはNEAが主導し、AgFunder(アグファンダー)、Global Founders Capital(グローバル・ファウンダーズ・キャピタル)、ReGen Ventures(リジェン・ベンチャーズ)が参加した。

Aigenは太陽電池を搭載した自律型ロボットを開発している。このロボットは、コンピュータビジョンを利用して、敵か味方か、作物か雑草かを見分けながら、畑を走り回ることができる。その最初のバージョンは、1日に最大3エーカー(約1万2000平方メートル)の農地を、ただひたすら歩き回っている。

「私の親戚がミネソタ州で農業を営んでいるのですが、彼らとは以前から話をしてきました。農家は従来の農業のやり方では問題があることを実感しています。化学薬品を進んで使い、土壌の耕起を愛し、何千年にもわたって大気中に炭素を放出してきた農法を愛する保守的な人々でさえ、他の方法に目を向けるべきなのではないかと気づき始めているのです」と、AigenのCEOであるRichard Wurden(リチャード・ウルデン)氏は語る。そんな話を聞いてきた同氏は、農業の炭素排出量をマイナスに逆転させることに、特に情熱を注いでいる。「現在、農業は炭素排出量の約16%を占めています。将来的には、ディーゼルの排出ガス、土壌の圧縮、化学薬品の使用、耕す回数を減らすことで、マイナスにできる可能性があります」。

このスタートアップ企業が根拠としているのは、光合成は全体ではカーボンネガティブであるということだ。植物は空気中のCO2を取り込んで糖(正確には炭水化物)に変える。つまり、実質的には空気中の二酸化炭素を大地に戻しているのだ。Aigenは、テクノロジーと農業のやり方を変えれば、カーボンニュートラル、あるいはネガティブな状態にすることも可能だと主張している。この草取りロボットは、会社が進むべき道の第一歩にすぎない。今、本当に価値がある物を作り、プラットフォームを拡大して、将来的にはより多くのミッションを遂行できるようにするというのが、同社創業者たちの主張だ。

「私たちは画像によるデータ収集を行っています。このロボットには複数のカメラが搭載されており、あらかじめ学習させたAIを使って植物やさまざまな物体を識別しています。見ているものが何だかわかったら、ロボットの下に備わる2本のアームを使って、植物を取り除くか、増殖させるかを判断します」と、同社COOのKenny Lee(ケニー・リー)氏は説明し、その小型軽量ロボットの価値をアピールする。「重機は土壌を圧縮するため、根が下ではなく横に伸びてしまいます。これが問題なのです。なぜなら、これでは植物が取り込んだ炭素を地中深くに送ることができないからです。トラクターや大型の農業機械を減らすことができれば、農業の仕組みを変えられます」。

Aigenの小さな太陽電池ロボットは、クルージングしながら自分の仕事をこなしている(画像クレジット:Aigen)

「Aigenの技術は、クラス最高のAIとロボット工学を活用し、人類最大の問題にエレガントなソリューションを提供します」と、NEAのパートナーであるAndrew Schoen(アンドリュー・ショーン)氏は述べている。「彼らの製品は、惑星規模で相当な量の大気中の炭素を封じ込める自然の強大な力を解放させるものです」。

同社は、今回の資金調達の評価額を公表していない。

画像クレジット:Aigen

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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