Google Photosの「無料無限ストレージ」は、Appleの高価なiCloudを打ちのめすかもしれない

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1テラバイトの写真を保存するのにいくらかかるか? iCloudなら240ドル/年。Dropboxなら100ドル。Microsoft OneDirveなら84ドル。Flickrなら25ドルだ。

Googleは、0ドル。デスクトップでもAndroidでも iOSでも無料だ。

Googleは今日(米国時間5/28)新たなGoogle Photosサービスを公開し、写真とビデオのストレージを無制限に提供する。唯一の制限は写真が16メガピクセルまで、ビデオの解像度が1080Pまでということ。

写真やビデオが大きすぎる時はGoogleが圧縮するが、見た目の画質は事実上変わらないと言っている。iOSおよびAndroidアプリの自動バックアップ機能によって、写真を保存することは忘れてよい。保存のための支払いも忘れてよい。

Google Photos

写真はコンピュータビジョンの金鉱

実質的にGoogleは金をバラまこうとしている。検索広告で十分な利益を上げているので、写真ストレージを長期投資として全面的に補助することが可能だ。Googleは写真が金鉱であることを知っている。そこには撮影した人の情報が大量に含まれ、広告のターゲティングや体験のカスタマイズに利用できる ― それを堀り起こすツールさえあれば。

google-io-20150192Googleには、ある。同社の持つコンピュータービジョン、機械学習、人工知能を始めとする高度な技術を活用すれば、写真に写っている人々、場所、物等を認識し、そのデータをユーザーの個人情報と結び付けることができる。お気に入りの炭酸飲料やオートバイと一緒に写っている写真から、そのユーザーに見せるべき広告がわかる。ランドマークから識別された位置から、何を探しているかを推測できる。そして、友達との自撮り写真から、Googleは誰とシェアするよう薦めるべきかのヒントを得られる。

アプリは、面倒な写真の編集や収集もやってくれる。「アシスタント」機能を使えば、露出過度を修正したり、連続写真をGIFアニメに変換して、あなたの冒険を短編映画にしてくれる。単なるファイルストレージは、誰でも提供できる一般的サービスだが、Google Photosは検索の巨人だけに可能な機能を数多く提供する。

GoogleのVP Bradley HorowitzをインタビューしたBackchannelのSteven Levyの記事によると、同サービスのコンピュータービジョンはまだ完全ではないが、新サービスの中心と言えるものだ。「乗り越えるべき最後の何%かを実現するカギは、大規模に展開することにある。大量のデータを得ることによって、技術を次々と向上させる好循環が生まれる」とHorowitzは言う。

優れたテクノロジーは人間の理解を不要にする

unnamed-fileユーザーを無料ストレージで誘惑することによって、Googleはわれわれの持つ膨大なメディアを手に入れ、同社の機械ビジョン学習システムを教育すると同時に、広告やサービスを改善しようとしている。そして、人は大量の思い出を移動したくないので、Google Photosはユーザーをさらに強く自社のアプリやサービスに結び付けることができる。Googleに情報を与えすぎることを懸念する人もいるだろうが、われわれは既にメールの管理を任せており、さほど悪い結果を招いていない。

しばしばGoogleは、人間を「理解」しようとしないと批判される。しかし、写真が同社の最も強力なテクノロジーを束ねることによって、その必要もなくなる。ストレージ、編集、整理、および検索がすべて同時に実行される。手作業でファイルを移動したり、色を調整したり、対象にタグ付けしたり、山ほどの写真をめくっていく必要はない。

Google Photosが素人フォトグラファーにとって完璧である理由はそこにある。狙ってシャッターを押すだけで、思い出を永遠に残すことができる ― 無料で。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。