大量のデモと発表と超長距離のウォーキングの日々が終わった今、自信を持って申し上げたいのは、今年のCESのベストはHolorideである!ということだ。もちろん、あくまでも個人的な評価だが、今年のCESで見たものの中ではHolorideが最高だ。
今年のCESは、全体的に良かったんじゃないかな。メインテーマはスマートフォンまわりのネットサービスだ。今やものすごく多様なデバイスがAmazonやGoogle、Appleなどのサービスをサポートしている。CES 2019でその次に目立ったのが、新しいチップセットと自動運転プラットホームだ。でもいちばん印象的だったのは、Audiが産んだスタートアップHolorideだ。このドイツの自動車メーカーは、VRを全車に載せてエンターテインメントを提供し、乗り物酔いを防ごうとしている。
Iron Manが助けを求めている、とRocketが言った。そこで、その宇宙の戦闘に加わってThanosの悪者たちをやっつける。そのとき、頭にはOculusを着けていて、体は宇宙空間の中で銃を構え、H難度のアップ&ダウンを体験している。まるでディズニーワールドの遊具の世界だし、たしかにそのコンテンツにはディズニーも協力している。でも、実際にいた場所はラスベガスで、AudiのSUVの後部座席に乗って時速145キロでトラックを走っていたのだ。
トラックを2周したが、H難度のVR体験にもかかわらず、全然酔わなかった。車の外に出ても、ふらつかない。ただし、車の中でスマホを使ったりしないタイプだけど。
Holorideの真価は、VRコンテンツと自動車の動きとの同期にある。車が動くと、同じ方向へコンテンツも動く。そのために、車酔いがなくなるのだ。…と、思う。
AudiはVRを全車に載せるつもりで、この小さなスタートアップを創った。そのファウンダーたちはすでに過去数年間、車載VRの研究開発をやっている。社名はAudi Electronics Ventureで、Audiの子会社だ。その技術のライセンスをAudiがHolorideに提供し、スタートアップはオープンなプラットホームから多くの自動車メーカーやコンテンツデベロッパーにライセンスを提供していく。
VRのデモは、これまでにたくさん体験したけど、今回はとっても良かった。車載、という形にも無理がない。エンターテインメントを提供するだけでなく、酔いを防ぐ。Uberの車や長距離バスが広告入りで採用するのは、時間の問題だろう。飛行機の中でもよいし、小さい子を乗せた長時間ドライブも、これで楽になるだろう。
Holorideは一種の賭だから、コンテンツやそのデリバリー、他との互換性など、問題はまだ山積みだ。離陸するためには、デベロッパーと自動車メーカーと消費者を巻き込んだエコシステムを作る必要がある。すばらしいユーザー体験は、頑張れば作れる。しかしそれを売るのは、また別のスキルだ。
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