インドネシアの物流プラットフォームLogislyがトラックによる運送のデジタル化で約6億円を調達

インドネシアのロジスティクス産業はとても細分化されており(GBG Indonesia記事)で、数社の大手と何千もの零細企業が併存している。ユーザーは荷種や送り先などに応じてさまざまな業者に運送を頼むことになり、費用も高く、サプライチェーンの管理も難しい。ジャカルタ発のスタートアップLogislyは、「B2Bのテクノロジーによるロジスティクスプラットフォーム」をうたい、米国時間11月2日にシリーズAで600万ドル(約6億3000万円)を調達したことを発表した。資金はインドネシアにおけるロジスティクスの合理化に投じられる。このラウンドは、Monk’s Hill Venturesがリードした。

これにより2019年に創業されたLogislyの総調達額は700万ドル(約7億3000万円)になる。同社のプラットフォームは、受発注と経営管理およびトラックの追跡をデジタル化する。同社はまず、運送業者を検証してからLogislyのプラットフォームに追加する。その後、荷主であるクライアントをトラック輸送のプロバイダーと結びつける。そのために供給と需要と集積してまとめるアルゴリズムを使用している。これにより品物を送りたい企業はトラックを早く見つけることが可能になり、運送業者はトラックに空きスペースが大量に存在する状況をなくすことができる。

共同創業者でCEOのRoolin Njotosetiadi(ルーリン・ンジョトセチアディ)氏は「インドネシアでは常時40%のトラックが稼働しており、残りは暇だったり空荷で帰路についている。この大きな無駄により、ロジスティクスのコストが上がり、デリバリーに遅れが生じている」と語っている。

ンジョトセチアディ氏によるとLogislyは、「インドネシア最大のトラック輸送ネットワークを作り、低コストで信頼性の高いトラックが常時利用できる状態を作りたい」という。

Logislyは現在、インドネシアで1000社あまりが発送者側のユーザーで、eコマースや消費者製品の高速輸送、化学企業、建設業などの業種が多い。これに対して、同社に登録している運送企業はおよそ300社で、トラックの総台数は4万台だ。Logislyの今回のシリーズAは、製品開発の他にこれら運送企業のネットワークの拡大にも投じられる。

同社のクライアントにはインドネシアの大手運送業者も含まれ、UnileverやHaier、Grab、Maersk、JD.IDなど、世界的な企業の名前も見られる。なおJD.IDは、中国最大のeコマース企業JD.comの子会社となる運送会社だ。

インドネシアのロジスティクス業界を狙うVC支援のスタートアップとして、ほかにeコマースのShipperやロジスティクスプラットホームのWaresix、Kargoなどが挙げられる。

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画像クレジット:Logisly

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AC Venturesがインドネシアのスタートアップ向けに84.4億円の初のファンドを発表

インターネット経済が急成長(Googleレポート)している。世界で最も人口の多い国の1つであるインドネシアは、スタートアップに多くの機会を提供している。AC Venturesがそのシーンに、8000万ドル(約84億4000万円)のACV Capital III LPファンドで参加しようとしている。同社はインドネシア時間10月12日、ファンドの最初のクローズを発表した。すでに5600万ドル(約59億ドル)がコミットされている。

資本は今後3年間で、30社のインドネシアのスタートアップに投資される予定だが、最初は最大300万ドル(約3億2000万円)の小切手が、シードもしくはシリーズAステージの企業に渡される。

12人のチームでジャカルタを拠点とするACVは、AC Venturesとインディーズキャピタルによる戦略的アライアンスだ。ACVの創業パートナーは、AC Venturesの創業者でマネージングパートナーであるAdrian Li(アドリアン・リー)氏とMichael Soerijadji(マイケル・ソリジャジ)氏、並びにIndies CapitalのマネージングパートナーであるPandu Sjahrir(パンドゥ・サジャリア)氏だ。サジャリア氏また、インドネシアの2つのユニコーン、Gojek(ゴジェック)とSea(シー)の取締役も務めている。

同アライアンスはすでに、Shipper(シッパー)、Kargo(カーゴ)、Stockbit(ストックビット)、BukuWarung(ブクワルン)、ESB、Co-Learn(コラーン)、KitaBeli(キタベリ)、Aruna(アルナ)、Soul Parking(ソウル・パーキング)の9つのスタートアップに投資を行っている。同アライアンスはeコマース、金融技術、MSME(零細および中小企業)にサービスを提供するスタートアップ、ならびにデジタルメディア対応サービスに焦点を当てる予定で、リー氏はTechCrunchに対して、エンターテインメントに加えて教育やヘルスケアなどのセクターを網羅できると語った。

ACVはまた、投資先の企業と緊密に連携し、事業開発、主要な幹部の採用、その後の資金調達を通じて企業を指導していく予定だ。また、グロースハッキングや資金調達などのスキルについて創業者たちを指導するために、AC Academy(ACアカデミー)などのプログラムを立ち上げた。

インターネットの普及とオンライン決済は過去5年間で大幅に進んだが、eコマースは依然として、インドネシアの小売市場全体(JPモルガンレポート)のごく一部を占めているのに過ぎない。このことは、スタートアップにとってイノベーションを起こす余地が十分にあることを意味する。たとえば、インドネシアには600の無人島があるため、物流は非常に細分化されている。ACVの投資先であるShipperは、異なるプロバイダーを介した複数の出荷を売り手が一度に管理するのに役立つプラットフォームを提供する(未訳記事)。

ACV Capital IIIの資金調達は、COVID-19のパンデミックの前に始まったが、リー氏によればインドネシアのような国々では、危機がもたらした経済的犠牲にもかかわらず、多くの種類の技術の採用が加速する可能性があるという。たとえば、個人商店やその他の中小企業のデジタル化業務に焦点を当てているBukuWarungは、最近オンライン注文や非接触型決済の需要に応えてデジタル決済を開始した。別のACVポートフォリオ企業であるESBも、レストランに対して同じことを行っている(Deal Street Asia記事)。リー氏は、ソーシャルディスタンスの流れの中で、食品および飲料事業がオンライン注文とデリバリーに目を向けるにつれ、デジタル決済サービスへの関心が高まったのだと語る。

「私たちはインドネシアでいくつもの素晴らしいチャンスを見ています、そして私たちはインドネシアのスタートアップに世界から今まで以上の関心が集まっているのを知っています」とリー氏はいう。「インドネシアは世界で4番目に人口の多い国で、テクノロジーを通じることで、より良くより効率的に提供できる製品やサービスがたくさんあるのです」。

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(翻訳:sako)

インドネシア拠点のBukuWarungが10億円超を調達、マイクロマーチャント向け決済機能や信用スコアを提供

Y Combinatorのアクセラレータープログラムを終了して1カ月後、インドネシアの中小企業に金融サービスを提供するフィンテックスタートアップのBukuWarung(ブクワルン)は、DST Global、Soma Capital、20VCを含む著名な投資家から新たな資金調達を行ったと発表した。

資金調達額は非公開だが、情報筋によると1000万ドル(10億5600万円)から1500万ドル(15億8400万円)の間とのこと。新たな資金は、BukuWarungのテクノロジーチームの採用に使われる予定だ。TechCrunchは7月にBukuWarungを初めて取り上げた。

今回のラウンドに参加したエンジェル投資家には、著名な創業者や幹部が数名含まれている。金融テクノロジープラットフォームPlaidの共同創業者であるWilliam Hockey(ウィリアム・ホッケー)氏、Tinderの共同創業者であるJustin Mateen(ジャスティン・マティーン)氏、Superhumanの創業者であるRahul Vohra(ラフル・ヴォーラ)、Adobeの最高プロダクト責任者でありScott Belsky(スコット・ベルスキー)氏、Clearbitの会長兼スタートアップアドバイザーのJosh Buckley(ジョシュ・バックリー)氏、元Uberの最高プロダクト責任者であるManik Gupta(マニック・グプタ)氏、Spotifyの元アジア新市場責任者のSriram Krishnan(スリラム・クリシュナン)、20VCの創業者のHarry Stebbings(ハリー・ステビングス)氏、Bond Capitalの投資家のNancy Xiao(ナンシー・シャオ)氏、Fastの共同創業者であるAllison Barr Allen(アリソン・バー・アレン)氏が名を連ねている。WhatsApp、Square、Airbnbなどに投資したエンジェル投資家もいる。

Chinmay Chauhan(チンメイ・チャウハン)氏とAbhinay Peddisetty(アビネイ・ペディセッティ)氏の共同創業者が二人が昨年立ち上げたBukuWarungは、インドネシアの6000万人の「マイクロマーチャント」(小規模事業者)をターゲットにしており、近所の店またはワルン(小規模な家族経営のビジネス)のオーナーも含まれている。

このアプリはもともとペンと紙の台帳の代わりとして作られたが、今後はクレジット、貯金、保険などの金融サービスを導入する予定だ。8月に同社はBukuWarungのプラットフォームにデジタル決済機能を統合し、商店主がOVOやDANAのような銀行口座やデジタルウォレットから顧客の支払いを受け取ることができるようにした。BukuWarungの目標は、KhataBookやOKCreditがインドで展開しているのと同じ役割をインドネシアの商店主に果たすことだ。

BukuWarungがデジタル決済を開始した理由の1つは、新型コロナウイルスの感染蔓延の間、非接触取引と即時支払い(インスタントペイアウト)を求める顧客の需要に応えたことにある。この機能を導入して以来、同社はすでに年率換算で数百万米ドルの総支払額(TPV)を処理しているという。同社によると、現在ではインドネシアの第2、第3階層の都市を中心に、750拠点で約120万人の加盟店にサービスを提供しているそうだ。

デジタル決済は、BukuWarungの金融サービスを構築するための第一歩でもあり、他の会計サービスとの差別化にも役立つだろう。ペイメント機能は現在無料で、BukuWarungは手数料にわずかなマージンを上乗せするなど、さまざまなマネタイズモデルを実験している。

「BukuWarungが決済サービスを開始した理由もまた、非常に戦略的なものです。なぜなら、市場には多くの需要があるからです。私たちが提供する支払いは、銀行から得るよりも費用効率が良く、より安いので、1カ月未満で数百万の年間TPVを得られました」とチャウハン氏は語った。

「インドのKhatabookのような企業もデジタル決済を始めています。その理由は、それがビジネスを構築し収益化するための非常に重要なステップだからです」と彼は付け加えた。「決済ができなければ、なにもできません」。

「金融サービスプラットフォームを構築することは、簿記台帳に代わるユーティリティアプリを提供することと、最終的には運転資金や貯蓄、保険商品の融資を含む、商人にとって不可欠なサービスになることの違いである」とチャウハン氏。BukuWarungの会計機能は、信用力を評価するためのデータを提供することで金融サービス面に影響を与えるだろう。また、伝統的な銀行から運転資金を確保するのに苦労することが多いマイクロマーチャントが信用枠を利用できるよう支援する。

画像クレジット:BukuWarung

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(翻訳:TechCrunch Japan)

インドネシア拠点のクラウドキッチンスタートアップYummyがソフトバンク・ベンチャーズ・アジア主導で12.6億円調達

インドネシア拠点のYummy Corporationは9月24日、SoftBank Ventures Asia(ソフトバンク・ベンチャーズ・アジア)が主導するシリーズBの資金調達で1200万ドル(約12億6500万円)を調達した。同社は、インドネシア最大のクラウドキッチン管理会社をうたうスタートアップ。共同創業者兼最高経営責任者のMario Suntanu(マリオ・サンタヌ)氏は「調達した資金はより多くの主要都市への進出と、データ分析を含む技術プラットフォームの開発に充てる」とのこと。

このラウンドのほかの参加者には、Intudo VenturesとSovereign’s Capital、新規投資家としてVectr Ventures、AppWorks、Quest Ventures、Coca Cola Amatil X、Palm Drive Capitalが含まれる。シリーズBにより、Yummy Corporationのこれまでの調達総額は1950万ドル(約20億5600万円)になる。

2019年6月にサービスを開始したYummy Corporationのクラウドキッチンのネットワークは、Yummykitchenと呼ばれ、現在ジャカルタ、バンドン、メダンに70以上のHACCP認定施設が含まれている。Ismaya Group(イスマヤグループ)やSour Sally Group(サワーサリーグループ)などの現地の大手ブランドを含む50社以上の食品・飲料企業と提携している。

サンタヌ氏は「新型コロナウイルスの感染蔓延による移動制限の間、ほとんど自宅に閉じこもっている人々が食べ物を宅配するようになり、Yummykitchenのビジネスは『健全な成長』を示した」と述べた。調達した資金は、より多くのパートナー、特に新型コロナウイルスの継続的な影響に対応するために業務をデジタル化し、配達を拡大したいと考えているブランドを獲得するために投下するとのことだ。

東南アジアにおけるクラウドキッチンの数は、新型コロナウイルスの感染蔓延前から増加し始めた食材宅配の需要に牽引され、この1年で急速に増加している。しかし、収益の大部分をデリバリーに依存している食品・飲料ブランドにとって、自社のキッチンやスタッフを運営することはコスト面で不利になる可能性がある。クラウドキッチンをほかの企業と共有することで、利幅を拡大することができるという算段だ。

インドネシアでサービスを提供しているほかのクラウドキッチンのスタートアップには、HangryやEverplateなどがある。そして、これらの企業とYummy Corporationは、主要な2社のプレーヤーと戦っている。もちろんそれは「スーパーアプリ」を擁するGrabとGojekであり、どちらも大規模なクラウドキッチンのネットワークを運営し、オンデマンド配信サービスと統合できるという強みを持つ。

サンタヌ氏は、他のクラウドキッチンと比較したYummyの最大の強みは「キッチン設備に加えて、完全に管理されたロケーションやキッチン運営サービスを提供している点」を強調する。つまり、レストランやF&Bブランドを含むYummyのパートナーは、自分たちのチームを雇う必要がなく、料理の準備と配送はYummyの従業員が担当する。また同社は、クライアントにデータ分析プラットフォームを提供し、ターゲットを絞った広告キャンペーンや、フードデリバリーアプリ上でのリスティングをより目に見えるものにするための支援も実施している。

ソフトバンク・ベンチャーズ・アジアのSouteast AsiaアソシエイトであるHarris Yang(ハリス・ヤン)氏は声明の中で「同社のF&B業界における強力な専門知識とブランドへのユニークな価値提案を考えると、Yummyがこの分野のリーダーであり続けると確信している。Yummy のチームをサポートし、この新興セクターでの事業拡大を支援できることを嬉しく思います」とコメントしている。

画像クレジット:Yummy Corporation

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(翻訳:TechCrunch Japan)

インドネシアの零細ショップ向け簿記アプリ「BukuWarung」

インドネシアには、約6000万人の「マイクロマーチャント」がいる。彼らは食品やその他の生活必需品を販売する零細商店の店主であり、顧客と親しい関係にあることが多い。彼らはよく顧客にツケ払いを認めるが、財務追跡の多くは依然としてペンと紙の台帳で行われている。BukuWarung(ブクワルン)の共同創設者Chinmay Chauhan(チンマイ・チョウハン)氏とAbhinay Peddisetty(アブヒナリ・ペディセッティ)氏はこのプロセスをインドネシアの小規模な企業向けにデザインされた財務プラットフォームでデジタル化したいと考えている。彼らの目標は、簿記ツールから始め、運転資本へのアクセスなどへサービスを拡大していくことだ。

BukuWarungは現在、Y Combinatorのスタートアップ・アクセラレータ・プログラムに参加している。またBukuWarungは、East Ventures(イーストベンチャーズ)、AC Ventures(ACベンチャーズ)、Golden Gate Ventures(ゴールデンゲートベンチャーズ)、Tanglin Ventures(タングリンベンチャーズ)、Samporna(サンポルナ)、ならびにGrab(グラブ)、Gojek(ゴジェック)、Flipkart(フリップカート)、PayPal(ペイパル)、Xendit(エクセンディット)、Rapyd(ラピッド)、Alterra(アルテラ)、ZEN Rooms(ZENルームズ)、およびその他の企業の戦略的エンジェル投資家からシード資金を調達している

チョウハン氏とペディセッティ氏は、シンガポールに拠点を置くピアツーピアのマーケットプレイスであるCarousell(カルーセル)で働いているときに知り合った。ここで彼らは販売者向けの収益化製品を開発していた。チョウハン氏はさらに、東南アジアにおける配車サービスとオンデマンドデリバリーの最大手Grabで、商店主向け製品開発にも取り組んでいた。しかし、BukuWarungを思い付いた背景には本人たちが育った環境も関係している。チョウハン氏とペディセッティ氏の家族はどちらもご近所向けの小規模商店を経営しているのだ。

「GrabやCarousellで商店主向けの収益化製品を開発していた経験から、どうやればいいのかはよくわかっています。またインドネシアには大きなポテンシャルがあるのもわかっています。6000万人の商店主がオンラインを利用しデジタル化を遂げるのを支援することができるのです。マクロレベルで見ると、これは大きなビジネスチャンスであり、また個人レベルでも、何百万という商店主に影響を与えられるという可能性を感じています」とチョウハン氏は語っている。

紙での簿記の場合、財務追跡に手間がかかるだけでなく、顧客のツケがどれくらいあるのかがわかりづらい。チョウハン氏とペディセッティ氏はTechCrunchに対し、彼らの目標は、KhataBookやOKCrediがインドで行っているのと同様のことをインドネシアで行い、彼らの会社を財務サービスも扱う会社に拡張することだと述べた。

BukuWarungは昨年サービスを開始して以来、インドネシアの750の市町村で60万人の商店主が契約しており、現在月平均ユーザーは20万人に上る。チョウハン氏とペディセッティ氏は、インドネシアの6000万人に上る零細・中小規模の商店主たちにサービスを利用してもらうことが目標だと言う。彼らはすでにインドネシア初のクレジット追跡アプリの1つであるLunasbos(ルナスボス)を買収している。

Image Credits: BukuWarung

BukuWarungのサービス開始準備を進める中で、2人はインドネシアを旅しておおよそ400人の商店主と、簿記、クレジット追跡、会計の問題点について話し合った。このときの商店主たちとの会話から、2人はまずは簿記アプリに焦点を当てることにし、簿記アプリサービスを10ヶ月前に開始した。

4月から6月にかけてインドネシアでは部分的なロックダウンが行われたが、BukuWarungのユーザーの大部分は食料品など生活必需品を扱う商店主であるため、アプリは成長を続けている。小さな都市や村では、人々のキャッシュフローが非常にタイトで、またその多くは月々の定期収入を持たないため、商店主はよく顧客にツケ払いを認める。チョウハン氏は「みなツケで売り買いしているということを、私たちは調査で突き止めました」と述べている。

そこへ来て、多くの商店主は顧客と親しい関係にあるという地域的特色がある。

チョウハン氏によると「これは地域によって異なるのですが、商店主はご近所のたくさんの人々のことを昔から知っていて、通常、500インドネシアルピーから最大約100万インドネシアルピー(約7500円)を貸し付けています」ということだ。しかし、顧客の自宅を回って支払いを求める回収時期になると、多くの商店主はためらいを感じるのだという。

「私たちが開発したアプリを使用すれば、彼らは顧客を探したり電話をしたりしなくてもすみます。アプリが顧客に自動的に貸付回収通知を送るからです。この『ソフトなメッセージ』のおかげで、ためらいを感じることなく、商店主として確実に顧客に通知を届けることができるのです」と同氏は付け加えている。

商店主たちと話すうちに、BukuWarungの創設者は、多くの商店主が従量課金制のデータプランとローエンドのスマートフォンを使用していることにも気付いた。そのためユーザーがいつでもそれぞれの記録にアクセスしアップデートできるよう、アプリは可能な限り軽量で、オフラインでも機能する必要があった。アプリの開発においてデータと容量をできるだけ少なくすることに重点を置いた結果、他の簿記アプリとの差別化を図ることができ、このことがインドネシアで契約数とユーザー数を維持することに役立っていると2人は述べている。

チョウハン氏とペディセッティ氏は、ユーザーがデジタルウォレットやファイナンスなどのオンライン決済システムへアクセスできるよう、同社の成長に合わせ金融テクノロジー企業と提携するつもりであると語った。

Y CombinatorのパートナーであるGustaf Alströmer(グスターヴ・アルストレーマー)氏は、TechCrunchへの声明で「新興経済圏向けのデジタルインフラストラクチャ開発は、特にCOVID後の世界においては大きなビジネスチャンスとなります。BukuWarungはこの課題に取り組むことができるチームであると信じています。私たちはインドでのKhatabookやOkCreditの取り組みを見てきましたが、BukuWarungが同様に成長し、インドネシアにおいて零細企業に力を与えることになると考えています」と述べている。

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