フォードの主力ピックアップトラック「2021 F-150」で採用されたテクノロジーのすべて

Ford(フォード)社は木曜日の晩、エレキギターのリフをバックに、ビデオの中から飛び出してくるような演出を用いて、フルモデルチェンジを果たしたF-150トラックの新型車を大々的に発表した。MCにはなんと、あの歯に衣着せぬDenis Leary(デニス・リアリー)を起用した。

もちろん、そんなことはどうでも良いことで、注目すべきは、フラグシップとして、また最も収益を望めるモデルとして、同社が改良を重ね、形にしてきた内容だ。前回のマイナーチェンジから実に6年が経過している。このまったく新しいF-150は、フォードトラックのファンが大いに期待してきた高い性能と豊富なオプションを備えている。例えば、フォードでは11のグリルオプションを提供している。

しかし、今回際立っているのは、組み込まれているテクノロジーと、マイルドハイブリッドを飛び超えて、いきなりフルハイブリッドパワートレインを採用したことだ。

新しいF-150で採用されたすべてのテクノロジーを以下に紹介する。まずは、インテリアと車載インフォテインメントシステムから。

コントロールセンター

ベースバージョンとなる XL には、8インチのセンタータッチスクリーンディスプレイが標準装備される。しかし、XLT 以上のグレードでは、画面を分割できる12インチのディスプレイが装備されている。これにより、ナビゲーション、音楽、トラック機能など、複数の機能を同時に操作できる。

Image Credits: Ford

接続性とOTA

搭載されている機能をサポートする接続性を備えていなければ、そのディスプレイにいったい何の意味があるだろうか。注目に値するのが、F-150には新しいSYNC 4システムと、最大10台のデバイスまで Wi-Fiアクセスを提供できる4G LTE内蔵モデムが搭載されている点である。前の世代より2倍のコンピューティング性能を備えたSYNC 4は、F-150のすべてのモデルに標準装備され、音声制御やリアルタイムマッピングといった機能も備えている。SiriusXMが提供するオンデマンドオーディオコンテンツも利用できる。

またスマートフォンをワイヤレスでApple CarPlayやAndroid Autoに接続できる。

このマストなシステムは、外部に委託せず、自社で製造しているため、無線ソフトウェアアップデートをサポートする。つまり、対象車種にアップグレードがロールアウトされ、運転アシストシステムの追加や改善を行ったり、地図を最新の状態に保ったりすることができる。SYNC 4はAppLinkシステムを介してサードパーティアプリも提供し、Wazeや「Ford+Alexa」と呼ばれるAmazon(アマゾン)社のAlexa(アレクサ)などにも対応する。

オフィス、寝室、それともダイニングルーム?

フォードが仕事のためにトラックで長い時間を過ごす人にターゲットを絞っていることは明白だ。この新しいF-150のセンターコンソールエリアは作業台へと変化する。この作業台は、書類に署名したり、15インチサイズのノートパソコンを使用したり、サンドウィッチを置いたりできるように設計されている。コンソールシフトレバーをうまく格納することによって、この快適な空間を作り出すことに成功した。ドライバーがボタンを押すとシフトレバーが折りたたまれて格納場所に収まり、ノートパスコンを広げるスペースがつくりだされる。

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テールゲートを外に倒すと、物差しやモバイルデバイスを固定でき、カップホルダーや鉛筆収納ケースにもなる別の作業台が現れる。

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発表前に少しリークされていたが、車内後部座席は完全フラットになる。この「マックスリクライニング」シートはほぼ180度倒すことができ、宣伝されている通り、King Ranch(キングランチ)、Platinum(プラチナ)、Limited(リミテッド)などのハイエンドモデルに装備されている。

ハイブリッドシステム

フォードは、F-150 XLからリミテッドまでのモデルで、フルハイブリッドパワートレインとも呼ばれる「PowerBoost」システムを提供している。このシステムは、フォードの3.5リッターV6エンジンと10速トランスミッションを35キロワットの電気モーターと組み合わせることによって実現されている。この電気モーターは、回生ブレーキによるエネルギー回収を利用し、トラックの下部に設置されている 1.5kWhリチウムイオンバッテリーに充電している。

フォードによると、一度の給油でEPA推定航続距離約1126キロメートルを目標としており、少なくとも約5.5トンの牽引が可能である。

電力

このトラックは、「Pro Power Onboard(プロパワーオンボード)」と呼ばれる車載発電機も備えている。オプションのガソリンエンジンで、2.0キロワットの電気出力が可能となる。ハイブリッド F-150では2.4キロワットの電気出力が標準で、オプションで7.2キロワットの出力を選べる。

所有者はキャビンにあるコンセントに差し込んで電源を利用できる。また、荷台には最大4 つの120ボルト20アンペアのコンセントが装備される。7.2キロワットの電源オプションの場合、240ボルト30アンペアのコンセントが備えられている。自動車で移動中に工具のバッテリーを充電することが可能になる。

アシスタント機能が満載

走行時には多くの危険が潜んでいるため、いつも安全に運転するのは容易なことではない。そのためフォードが提供する Co-Pilot 360 2.0システムの一部には運転アシスト機能が含まれている。注目すべき点は、これらの高度な運転アシスト機能はベースモデルの XL から標準装備されていることである。これには、自動緊急ブレーキと歩行者検知を利用した衝突を事前に避けるアシスト機能、ダイナミックヒッチアシストを備えたバックカメラ、ヘッドランプのハイビーム自動切り替え機能、ヘッドランプのオン/オフ自動切り替え機能が含まれる。

フォードはこれまで10個の運転アシスト機能を新たに追加してきた。最も有名なのは、Active Drive Assist(アクティブドライブアシスト)と呼ばれる、ハンズフリー運転機能である。2021年の第3四半期に、全電動式Mustang Mach-E(マスタング・マッハ E)を含む特定の車種にソフトウェアアップデートを介してロールアウトする予定。

ハンズフリー機能は、米国およびカナダの中央分離帯のある、事前に地図に登録されている約16万キロの高速道路で利用できる。モニタリングシステムには、ドライバーが道路に注意を払い続けているかを確認するため、視線や頭の位置を追跡する高度なドライバー顔認識赤外線カメラが含まれる。 DMS は、ドライバーが車線維持モードを選択したときに、ハンズフリーモードで使用される。これは、車線が引かれている道路で機能する。ドライバーが視線を前方から逸らすと、インストルメントクラスターに視覚的に警告が表示される。

ドライバーが左折しようとするときに対向車があればそれを検知する「Intersection Assist,(交差点アシスト)」機能や、縦列駐車や直角駐車を行う際にボタンを押すだけでステアリング、シフトチェンジ、ブレーキ、アクセルを制御する「Active Park Assist 2.0(アクティブ駐車アシスト 2.0)」機能もある。

さらに、「Trailer Reverse Guidance(トレーラーバックガイダンス)」機能や 「Pro Trailer Backup Assist(プロトレーラーバックアップアシスト)」機能もある。これらは新しいものではないが、トラックを運転するものにとってどれも重要な機能である。

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(翻訳:Dragonfly)

RODECaster Proはポッドキャスターに必要なすべてを備える、機能の更新と新たなアクセサリーで

今年は新しい趣味、それも自宅でできるものを検討したりして、すでに始めている人が多いだろう。ポッドキャストが人気を集めており、RODE(ロード)は他のオーディオ会社を引き離して、ポッドキャスト専用のサービスを豊富に投入している。同社が2018年にリリースしたオールインワンのポッドキャスト用プロダクションスタジオ、RODECaster Pro(599ドル、約6万4582円)は、ポッドキャストの可能性を最大限に活用したいユーザーに理想的なツールである。今年、新たなアクセサリーが多数追加されたのみならず、ファームウェアが大幅に強化されて更新され、さらに先を進んでいる。

概要

ロードキャスタープロは強力なプロダクションスタジオでありつつも、オーディオ技術に詳しくない人でも扱えるようになっている。デッキは物理的な操作機能を豊富に提供しつつも比較的シンプルに扱えるようバランスを配慮しており、ボリュームスライダーや大型のパッド型ボタンを使用して大まかな調整を行えるようになっている。より細やかな操作が必要なユーザーは、大型の高解像度タッチスクリーンで様々なメニューを使用し、高度な調整を行える。

ロードキャスタープロは4台のXLR入力を搭載しており、それぞれがコンデンサーマイク用のファンタム電源を個別にオンオフして提供できるようになっている。それぞれのモニタリング出力用に、4台の1/4インチヘッドホン出力が備わっている。ポッドキャストを高音質で録音することに慣れたゲストを迎える場合でも、ゲストが自身の音声のみを聞き取ったり、プロデューサーにすべての録音を管理させることを選択できるため、これは便利である。また、スタジオのモニタースピーカーやその他の出力用に1/4インチのオーディオ出力が左右チャンネル用に設けられている。コンピューターへの接続用にUSB-Cコネクターが用意され、スマートフォンやその他の外部音源用に3.5mm接続が使用できる。スマートフォンはBluetooth(ブルートゥース)経由で接続することもできるため、ワイヤレスでゲストを呼び出す際に非常に便利に使える。

ロードキャスタープロのインターフェースは各入力のボリュームスライダーとプリセットされたサウンド効果、各ヘッドフォンやスピーカー出力用のボリュームノブ、入力のオンオフ切替ボタン、プリセットされたオーディオファイルの再生に使用する大型ボタンと録音用の大型ボタンなどの要素で構成されている。メニューや設定を扱い、録音中にオーディオレベルを視覚的に表示するタッチスクリーンも備えられている。

ロードキャスタープロは、コンピューターやスマートフォンとの接続に頼らず完全に独立して使用できるよう設計されている。録音用にmicroSDスロットを備え、ファイルのアップロードはデッキへのUSB接続またはmicroSDカードリーダー経由で行えるようになっている。また、ロードキャスタープロでマルチトラックのUSBモードまたはステレオUSB出力モードを選択すれば、スタジオハードウェアをMacやPC用のUSBオーディオインターフェースとして使用でき、ストリーミングソフトなど好みのデジタルオーディオ制作ソフトウェアを用いて録音できる。

デザイン

ロードキャスタープロはスタジオグレードのハードウェア操作機能とシンプルさを完璧に融合させており、アマチュアとプロの両方が安心して使用できるデバイスに仕上がっている。デッキをパッケージから取り出してからわずか数分で、サウンドのプロフィールや設定を一切調整せずとも、使い始めることができる。ロードキャスタープロですぐに使えるようロードが最適化した99ドル(約1万666円)のマイク、RODE PodMic(ロードポッドマイク)を使用して、満足のいく録音効果が得られている。

機能はすべて直感的に操作して簡単に扱え、マニュアルやユーザーガイドを使用せずとも使い始められる。ハードウェアインターフェースで最も複雑な箇所は8ボタンのサウンド効果グリッドであろうが、ロードが設定したデフォルトのサウンドでも十分使い勝手がある。MacまたはPCのロードキャスター専用アプリを使用し、自分専用のサウンドを簡単に設定できる。パッケージにはボタンにラベル付けするための判別用ガイドが同梱されている。

スライダーは滑らかに動作して使いやすく、イントロや終了時に手動で均等にフェードインまたはフェードアウトしたりして、録音済みの効果音を簡単に適用できる。有効または無効な入力、ミュート状態、大型の録音ボタンにはバックライト方式のキーが使用されており、どのキーがトラックで有効になっているかを一目で確認できる。

ロードは賢明にもボックスにロック可能な電源アダプターを内蔵したため、録音中にコードが突然引き抜かれる心配はない。XLR入力のそれぞれにクイックリリース式のラッチが取り付けられ、接続をしっかりと固定できる。ロードキャスタープロは13インチMacBook Pro(マックブックプロ)とほぼ同じスペースが必要なことは間違いないが、バックパックに収納して各地で録音できるだけの軽量性を備えている。

タッチスクリーン画面もまたデザインの大きな特徴である。高解像度であり、艶消し用のカバーが取り付けられて様々な照明環境でも視認性を保ち、タッチ入力は非常に応答性が高い。ソフトウェアを使用してデッキの機能を拡張でき、そのうえでナビゲートしやすく、例えばZoom(ズーム)レコーダーのハードウェアジョグコントローラーのような面倒な操作を省いている。

機能

ロードキャスタープロがこれほど使いやすい理由の一つは、シンプルさと強力な機能を両立させている点にある。初心者であっても、パッケージから取り出した状態で何も調整せずに、すぐに使用できるよう設定済みである。ロード製のマイクを使えば、さらに便利になる。マイクのすべてに、サウンド設定を瞬時に最適化するプロフィールが内蔵されている。

ロードポッドマイクはロードキャスタープロで使用できるよう最適化されていることは既に述べた。その結果、最高の使いやすさが得られている。ロードキャスタープロの価格に足踏みしてしまう場合でも、ポッドマイクは非常に安価なポッドキャスト用ダイナミックマイクであり、デッキと組み合わせれば一段上のレベルのサウンドが得られることを述べておこう。こうした組み合わせを使用すれば、ロードの最終的なポッドキャスト環境は、他のソリューションよりも比較的安価に済む。

サウンドをカスタマイズする場合は、内蔵のコンプレッサー、ディエッサー、その他の内蔵されているオーディオ効果を使いこなせる。こうした効果は手動で微調整することもできる。今月初頭にリリースされたバージョン2.1のファームウェアでは、ロードキャスタープロ専用アプリを使用して内蔵のサウンド効果をすべて調整できるようになったため、カスタマイズされた真にユニークなサウンド効果を得られる。

サウンド効果やその他のオーディオトラックを保存し、必要に応じて呼び出せることもロードキャスタープロの大きな特徴である。録音後の編集段階でそうしたオーディオ調整を行うことも可能であるが、録音の最中にその場で使用したほうがずっと扱いやすく、ゲストと真に迫ったやりとりを行うにはこの方法が最適であろう。バージョン2.1のファームウェアではオーディオクリップを無限にループさせる機能も追加されている。録音中にBGMを流し続ける場合に非常に便利となる。

最後に紹介するのは、スマートフォンとの接続機能である。ゲストをスタジオ内へ常に招待できるとは限らないこの状況で、特に効果を発揮する素晴らしい機能だ。ケーブルを使用してスマートフォンを接続するか、遅延を抑えたブルートゥースを通じて接続し、スマートフォンでお気に入りのソフトウェアを使用し、通話を通じて素晴らしいインタラクティブ性が得られる。

アクセサリー

ロードキャスタープロの機能を拡張し、ユーザー体験を改善するため、ロードはアクセサリーの豊かなエコシステムを形成している。最新リリースには、前述のロードポッドマイクも含まれる。また、各入力のバックライト色に対応してハードウェアを簡単に判別するためのカラーケーブルクリップ、標準のヘッドフォンをモニターとして使用するための1.4インチ-3.5mmステレオジャックアダプタースマートフォン接続用のTRRS-TRRS 3.5mmオーディオ外部ケーブル外出時に電源アダプターの代わりに簡単に接続可能なUSB電源ケーブルなどもある

XLRケーブル用の小さなプラスチック製クリップを使用して、簡単かつスマートにデバイスを判別できる。特に、全員が同じマイクを使用している場合(サウンドを一定に保つため、この方法が推奨される)に有効であり、機器のセットアップの見栄えもよくなる。また、ロードキャスタープロキットを録音スタジオや自宅以外の場所で使用する場合は、USB電源ケーブルが特に威力を発揮する。手持ちのUSB充電器が5V/2.5A出力に対応していれば、そのまま使用できる。

しかし、ロードキャスタープロで真に必須となるアクセサリーは、ロードポッドマイクである。無駄を排ししっかりした耐久性の高いマイクであり、持ち運びやすく、様々な取り付け方法に対応しており、屋外やスタジオ内など、各種の環境で使用できる。もちろん、より高価なマイクであればより高い音質を得られるだろうが、ポッドマイクを使用する利点は、ハイエンドなマイクを1台購入する費用でロードキャスタープロ用のマイクを4台購入できることにある。ほとんどの人は、ポッドキャスト用であれば、音質の差に気づくことはない。

まとめ

ロードキャスタープロは自宅でのポッドキャストを一段上に引き上げる素晴らしいアップグレードであり、外出できるのであれば、屋外でポッドキャストする際に完璧なデバイスである。高品質なハードウェア調整に加え、ユーザーからのフィードバックを継続的に反映させ改善されるロードのファームウェアを通じて洗練されたスマートなソフトウェアが付属し、アマチュアやプロを問わず、あらゆる人々にとって完璧なツールと言える。

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(翻訳:Dragonfly)

このサイズでこの機能、史上最強の編集コントローラ「Loupedeck CT」

最近ロケで撮影する時間が大幅に減り、そのぶんデスクでの作業時間が増えているカメラマンやビデオグラファーにとって有効な時間の使い方の1つは、アーカイブや未整理の素材の山に埋もれていた宝を掘り出し、それを使って編集技術を磨くことだろう。少し前にリリースされたLoupedeck CTというデバイスは、その編集作業をさらに楽しくしてくれる。コントローラもプロファイルもカスタマイズでき、よく使われている編集アプリのほぼすべてで動作するため、コンピュータで行う作業自体が全体的により簡単で便利になる優れものだ。

製品の概要

Loupedeckはクリエイター向けの専用ハードウェアコントロールサーフェスを専門に開発しており、その新製品にして最上位の編集パネルがこのLoupedeck CTである。Loupedeck CTはほぼ正方形で、装備されているハードウェアコントロールオプションの数を考えれば、驚くほど薄くて軽い。サーフェス本体には、感触が良く回すとクリック感があるノブが6個、カラーバックライト付きの正方形ボタン12個と円形ボタン8個が配置されている。さらに、タッチパネルディスプレイを備えた大型の中央コントロールダイヤルと、その上部に4個×3個のタッチスクリーン式ボタンが並んでおり、それぞれのボタンを押した時の振動フィードバックもオプションで用意されている。

Loupedeck CTは、付属のUSB-Cケーブル(最新のMacBookを使用している場合は、アダプターかUSB-C to USB-Cケーブルが必要)を使って接続し、動作に必要な電源もここから供給される。背面には小さなゴム製のパッドが付いているため、机やテーブルの表面で滑ることはない。

Loupedeck CTを初めてセットアップする時は、ルーペデックのウェブサイトからソフトウェアをダウンロードする必要がある。ソフトウェアをインストールすると、セットアップウィザードが開き、接続されたLoupedeck CTハードウェアが認識されて、デバイスに表示される構成のオプションが表示される。Loupedeck CTには、よく使われている編集ソフトウェアのプロファイルがいくつかデフォルトでプリインストールされていてすぐに使える状態になっており、使いたいソフトウェアを開くと自動的にそのプロファイルに変更される。

さまざまな編集ソフトウェアに対応していて本当に素晴らしいのだが、1つ特記すべき、そしてやや残念な点は、Lightroom CCが使えないということだ。これはLoupdeckの落ち度ではない。AdobeがLighroom CCのアーキテクチャを変更したため、Loupedeck CTと高度に統合させることを可能にするプラグインがLightroom CCでは使えなくなってしまったのだ。しかしLoupdeck CTでは、Lightroom Classicのプロファイルが今でも利用できる。Lightroom Classicでは前述のプラグインが十分にサポートされているためだ。そのためユーザーは、引き続きLoupedeck CTから自分のライブラリにアクセスして、編集することができる。また、Loupedeck CTを使用してLightroom CCをコントロールすることも可能だ。ただし、基本的にはキーストロークとキーボードショートカットが再現されたプロファイルをダウンロードするか、独自のプロファイルを作成する必要がある。しかし、Photoshop、Photoshop Camera Raw、Lightroom Classicのプロファイル使用時のような柔軟な操作性は得られない。

その点を別にすれば、Loupedeck CTにはプロのクリエイターが使いたいと思うクリエイティブソフトウェアほぼすべてのプロファイルが用意されている。また、デフォルトのシステムソフトウェア設定は、コンピュータで画像、動画、音声の編集を行っていない場合でも非常に便利である。例えば、筆者は仕事で頻繁にスクリーンショットをキャプチャするのだが、そのための簡単なワークフローや、文字起こし中に音声再生をコントロールするワークフローを設定するのにも、Loupedeck CTは非常に便利だ。

デザイン

上記で簡単に触れたが、Loupedeck CTのデザインには一目で引きつけられる。なぜなら、Loupedeckが公表していたマーケティング用の情報や画像を基に予想していたものより、はるかに小さく感じるからだ。平均的なキーボードよりわずかに高く、縦横の長さは同じくらいで、机の上では小さなマウスパッドや大きなトースト1枚分ほどのスペースしか取らない。そのコンパクトなスペースの中に、多くの物理的なコントロールが配置されているのだが、ソフトウェアを使用することで、それぞれのコントロールの機能をさらに拡張させることも可能だ。

わずかにラバー加工を施したマットブラックの仕上げは、見た目も触り心地も良い。また、どのコントロールにも、使用時の触覚フィードバック体験に多くの配慮がなされているようだ。ノブを回した時のカチッという音から、何かを一段階増やしたことがわかり、大きなダイヤルの滑らかなアクションはアナログ感があり楽しめる。ボタンはすべて深いクリック感があって、押している感覚がしっかり伝わってくる。また、タッチスクリーンボタンを押すと、かすかに「ブン」と鳴る振動フィードバックが指先に非常に心地よく伝わり、タッチスクリーンボタンを分離する隆起部分もあるおかげで、慣れてしまえば手元を見なくても指先の感覚だけでLoupedeck CTを使用できるくらいだ。各ノブはクリック可能なボタンとしても機能する。また、中央にある大きなダイヤル上面のタッチスクリーン円形ディスプレイでは、さまざまなソフトウェアボタンやスクロールリストを使用してカスタム設定できる。

Loupedeck CTはそのコンパクトさにもかかわらず、壊れやすい感じはまったくせず、品質への安心感を与えてくれる適度な重量感がある。レイアウトについて言えば、キーボードに似た長方形型のLoupedeck+と比較すると、正方形のデザインに合わせなければいけない分だけ若干の妥協が感じられる。これは短所かもしれないが、同時に、キーボードの横に置いて使いやすいという長所でもある。

結論として、Loupedeck CTのデザインはさまざまな配慮が随所に感じられる考え抜かれたデザインだと思う。クリエイティブソフトウェア用の非常に優れた物理コントロールを提供しつつも、デスク上で占めるスペースはPalette(パレット)のモジュール式コントローラでLoupedeck CTと同じ機能を組み立てる場合よりもはるかに少なくて済む。

機能

Loupedeck CTの最大の強みはそのプロファイルにある。このプロファイルがあるおかげで、箱から出して接続するだけですぐにお気に入りのソフトウェアを使って素早く効率的な編集作業を開始できる。各プロファイルはそれぞれのソフトウェアで最適だとされるデフォルト設定になっている。しかし、その標準的な設定が自分には合わないと感じる場合は、いつでも納得いくまでカスタマイズして微調整できる。

Loupedeck CTのソフトウェアでは、カスタマイズや独自のツールセットの追加をドラッグアンドドロップで行えるため、いろいろな設定を試しながら使い方を素早く習得することが可能だ。何がどこにあるのか、どのようにネストされているかのロジックを理解するのに少し時間がかかったが、試しにいろいろいじって少し遊んでみるとその仕組みがよく理解できる。

同様に、Loupedeck CTではインターフェイスに色分け階層システムを使用しているため慣れるまで少し時間が必要だが、最終的にはLoupedeck CTの操作に便利な視覚的ショートカットとして使えるようになる。ワークスペース全体を制御するボタンとライトは緑色、ワークスペース内のアクションは紫色で色分けされている。1つのアプリに複数のワークスペースを設定できるため、特定のタスクを実行するための仮想ツールボックス全体を保存しておくことができる。

Loupedeck CTはこのように、圧倒感を与えないシンプルな設計でありながら、上級プロも満足のコントロールオプションを実現する豊富で複雑な機能を備えている。前述したように、すべてはカスタマイズ可能であり(ナビゲーション上の理由から再マップできない「o」ボタンのようないくつかのボタンを除く)、プロファイルをエクスポートして複数のマシンで共有または使用することもできる。またプロファイル(他のユーザーが作成したものを含む)をインポートして、新しいワークフローやソフトウェアを素早くセットアップすることも可能だ。

Loupedeck CTには8GBの内蔵ストレージが搭載されており、コンピュータ上でリムーバブルディスクとして表示されるため、プロファイルや作業中のファイルをまとめて簡単に持ち運ぶことができる。

まとめ

549ドル(約6万円)という価格ゆえ、Loupedeck CTは万人向けとは言えないが、Loupedeck CTにはクリエイターに限らず作業効率を改善したい人に役立つ機能がたくさんある。Loupedeck CTを使えば、いわば編集コンソール全体を大抵のバックパックやブリーフケースのタブレットポケットに入れて持ち運べることになる。しかも、ソフトウェアを使って柔軟かつ容易に設定が変更できるため、実際には多数のコンソールをまとめて持っているのと同じだ。加えて、Blackmagic Design DaVinci Resolve Editor keyboardのような同等のツールは、2倍以上のコストがかかる可能性がある。

仕事や趣味で、グラデーション、カーブ、角度、スライダーの調整にかなりの時間を費やす機会があるのなら、Loupedeck CTをおすすめする。同様に、音声の文字起こしやクリーンアップに多くの時間を費やしている場合にも、表計算アプリのようなもので作業する際に多数のショートカットを使いこなして「キーボード戦士」のようになっている場合にも、Loupedeck CTは大いに役立つだろう。

筆者はカメラマンやビデオ編集者のワークフローを改善する目的で開発された数多くのハードウェアをテストしてきたが、これまでに定着したものはなく、特に自宅でも移動先でも使えて定着したものには出会ったことがない。筆者は実際にLoupedeck CTを使ってみて、これは今後定着していくデバイスだと感じた。

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(翻訳:Dragonfly)

2020年ベントレー新型フライングスパー:極上の乗り心地とパフォーマンス

なんと言ってもBentley(ベントレー)なのだ。最高である。

ベントレーの新型フライングスパーはラグジュアリーを極めた高級セダンである。ほとんどのスポーツカーよりも大きなエンジンを搭載し、極上の座り心地の4つの座席を備え、まるでシャワーフロアを滑る石鹸のようになめらかに道路を滑走する。27万9000ドル(約3000万円)という価格を掲げたさすがの仕様である。

パワフルであるにもかかわらずこの上なく快適なのがこのセダンの特徴だ。ベントレーによると、同車はW型12気筒エンジンを搭載しており時速は207mphに達するとのことだが、それを確かめようという気にはなれなかった。速く走るということは、目的地に早く着いてしまうということだからだ。新型フライングスパーを試乗した1週間、ずっと運転していたいとどれほど願ったことか。

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レビュー

新型フライングスパーはベントレーのセダンにおける長い歴史を反映している。ベントレーの4つのラインナップの中でフライングスパーは、豪華なミュルザンヌモデルのひとつ下のより手頃な価格のモデルとして格付けされており、よりドライバーにフォーカスしたセダンである。サイズは若干小さく少し控えめではあるものの、それでも仕上がりは秀逸である。

ボンネットのクリスタルオーナメントに至るまで、フライングスパーの全ては極上の体験を叶えるためにデザインされている。後部座席のヘッドレストのピローは、著者のベッドにある枕よりも柔らかくサポート力がある。マッサージシートの機能は的確。オーディオは響き渡る低音とクリアな高音が楽しめる驚きのクオリティだ。

フライングスパーが持つ快適性は、格下クラスの車種でも提供されている。大型セダン向けのマッサージシート、贅沢な素材、大型セダンにして卓越したドライビングダイナミクスは、8万ドル(約860万円)のキャデラックや15万ドル(約1600万円)のメルセデスベンツでも体験できるのだ。私はこれらの車を全て運転したことがあり、どれも素晴らしいのだが、フライングスパーはどの点においても少しずつ他社を上回っている。しかし、他社よりもはるかに高額なこの価格が正当性を持つか否かは、お金を払う人が決めれば良いことである。

ラグジュアリーで惹きつけ、パフォーマンスで心を掴む

フライングスパーの走りは堂々たるものだ。ボンネットの下に搭載されたW型12気筒エンジンがクルージングに十二分なパワーを提供。最高出力626hpと663フィートポンドのトルクを発揮し、パワーは底なしだ。これこそが堂々たるセダンに必要とされているものなのである。車両の俊敏性を高めるために再構成されているものの、過去のモデルと同様、今回アップデートされた フライングスパーも全輪駆動を採用している。今回の仕様では、ほとんどの動力が後輪に送られる。前輪に動力が供給されるのは、主に車が後部のスリップを検出した場合だ。その結果、高速のスタートを切っても十分な安定性を確保できるようになった。

高速時にフライングスパーはその実力を発揮する。なめらかなシフトと驚くほどの惰性能力で道路を走り抜ける。アクセルオフ時には余力で延々と惰性走行を続けていられるような感覚だ。実際に機械面で同社は卓越した成功を収めており、ドライバーと同乗者双方に比類ない乗り心地を提供している。フライングスパーの乗車体験を極上のものにするために熟練した運転手は必要ない。ベントレーはあらゆる問題点を細やかに解決。アグレッシブな運転であっても乗り心地を快適なものにしてくれる。

新型フライングスパーでの居眠りは禁物だ。この車は3.7秒で時速60マイルに達するのだ。これより速い車はあるが、このベントレーほど大きな車でこの実力はほぼ存在しない。スピードを出してもサイズ感が安定感をもたらし、音の遮断効果のおかげで運転席のすぐ目の前で起きているエンジンの激しいドラマからドライバーを隔離。誤解のないよう言うと、フライングスパーは高速ではあるものの素早いという感覚とは違う。これは素晴らしいことである。ベントレーがもたらすエクスペリエンスは、首の折れるような高速スタートとは一線を画すものなのだ。

ヘッドレストピローが最高だ

インテリアには期待通りの設備が整っており、広さも余裕のある造りだ。ドライバーは快適かつ見晴らしの良い位置にゆったりと収まり、後部座席の乗客は5つ星ホテルにある枕と同じくらい柔らかいヘッドレストで快適に過ごすことができる。

セダンにモダンな要素をプラスすべく、車載インフォテインメントスクリーンが中央に埋め込まれている。超ワイドスクリーンにユーザーコントロールのほとんどが表示されるが、これは少し時代遅れに感じられる。フォルクスワーゲンブランド全体(VWはベントレーを製造している)の他のトップクラスの車両と比較すると、触覚フィードバックやエアージェスチャーなどの先進的な機能やデザインの洗練性において同システムは劣っている。

しかし画面自体には驚かされる。ボタンを押すだけで画面が逆回転し、木製のトリムに埋め込まれた3つのアナログダイヤルが姿を表す。モダンな要素を隠し、ベントレーが誇る時代を超えたエレガンスを演出する上品なクラフツマンシップである。

ベントレーフライングスパーの車内はある意味、馴染みのあるものだ。回転するインフォテインメントシステムを除くと、フィット感やトリムは、アウディ、メルセデス、レクサスによるトップクラスのセダンと変わらない。他とは違うインテリアを望む場合は、ベントレーミュルザンヌにステップアップするしかない。

後部座席にもリクライニングリアシート、マッサージャー、車内温度とメディアを調節するタッチスクリーンを備え、前部座席と同様の心地良さを実現。しかし大型セダンにしては後部座席の足元の余裕は少ない。快適ではあるものの、身体の大きい大人は予想よりも窮屈に感じるかもしれない。少なくとも現時点では、フライングスパーでは拡張ホイールベースを備えていない。後部座席に座ると前部座席よりも特別な体験を得ることができる。何せこのヘッドレストピローが極上なのである。

フライングスパーの約27万9000ドル(約3000万円)という価格は、BMW、アウディ、メルセデスのトップクラスのセダンをはるかに上回っている。これら自動車メーカーのスーパーセダンも同レベルのパフォーマンス統計と豪華な仕様を備えているため、売り上げは難航するだろう。生で見るとフライングスパーは競合他社とは異なる威厳を放っているのが分かる。フライングスパーはテクノロジーを内部に秘めつつ、時代を超えたエレガンスを体現しているのだ。

フライングスパーはドライバーと同乗者双方に素晴らしい体験をもたらしてくれる。一部の高級車は豪華さかパフォーマンスかのどちらかに重点が偏っており、これを両立させるのは簡単なことではないが、ベントレーのセダンは見事にこれを実現してくれた。ドライバーはほとんどのスポーツカーに劣ることのない素晴らしいスポーツセダンを運転することができ、同乗者はこの上ない快適な乗り心地を体験できるのだ。

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