年額399ドルだったGoogle Earth Proが無料になった

Google Earthで自分が住んでる町を上空から見たり、パリを3D画像で見物した人はたくさんいるだろう。でも、400ドル(年額!)払ってProの会員になった人は、どれくらいいるかな?

多くはないようだ。少なくとも、Googleが収益源の一つとしてあてにするほどには。

GoogleはGoogle Earth Proの有料会員制をやめて、完全に無料にした。

Proの機能を使うためには、やはりGoogleからキーをもらわないといけないが、そのためには簡単なフォームに記入するだけだ。URLには”free trial”(無料試用)とあるけど、それは無視してよい。無料はもはや、試用ではなくて常時本番だから。Proのクライアントアプリケーションは、ここからダウンロードできる。

かつて1年で400ドルもしたGoogle Earth Proは、どこが違うのだろう? それは主に、プロジェクトの計画やデータの操作に向いている。誰もが必要とするほどの機能ではないが、なにしろこれからは無料だ!

Proバージョンにしかできないことを、列挙してみよう:

  • 画像を4800×3200で印刷できる; 通常バージョンでは1000×1000まで。
  • 数千もの住所データを自動的にインポートして地図上に貼り込める。
  • 画面上のHDビデオをキャプチャできる。
  • 線や経路、多角形、円などの距離や面積を測れる。通常バージョンでは線や経路の距離のみ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


モアベターなStreet Viewを目指すクラウドソーシングな写真投稿アプリMapillaryにSequoiaがシードを提供

GoogleのStreet Viewは、数年前には想像もできなかったほどの、ものすごいサービスだ。しかしあちこちの通りの写真を撮ってそれらを貼りあわせていく作業は、費用も時間も相当かかる。そこでMapillaryは、ユーザのスマートフォンとそのカメラを使って、クラウドソーシングでマップを作ることを考えた。大メジャーなVCの一つであるSequoiaがそのアイデアに賛同し、150万ドルのシード資金を同社に注入することになった。そのラウンドに参加したのは、ロンドンのPlayfair、Wellington、そしてニューヨークの投資家Evan NisselsonのLDV Capitalだ。そのほか、James Currier、Taavet Hinrikus、Naval Ravikantなど数名のエンジェルたちも参加した。

Sequoia Capitalがヨーロッパのスタートアップのシードを投資するのは、きわめて珍しい。

Mapillaryのアプリは、スマートフォンや、GoPro、Garmin Virb、写真撮影のできる低空飛行のドローンなどで使える。それらのデバイスが撮った写真をつないで、通りから見たレベルのビューを作る。同社はこれまで自己資金のみだったが、すでに約600万点の写真がアップロードされていて、地球上の20万平方キロメートルの領域が撮影されている。

CEOのJan Erik Solemは、この方法だとGoogleのStreet Viewよりも頻繁かつシームレスにマップ作成ができる、と考えている。彼は前の会社をAppleに売っている。

たしかにGoogleのStreet Viewよりは安上がりだろうが、ユーザが写真を提出するまえに修正してしまう(自宅を消すなど)危険性もある。Googleはドイツで、何度もそれを要請された。自宅が写っているとプライバシーを守れない、のだそうだ。

最近アップデートされたiOSアプリは、写真のアップロードや、閲覧などの機能が改良され、また同好の士たちとお話できる機能もある。

SequoiaのパートナーRoelof Bothaはこう言う: “Mapillaryのコミュニティは、新しくてより魅力的な画像を作り出すし、カバー範囲も従来のマッピングソリューションに比べて広い。クラウドソーシングの特徴を巧みに生かして、この史上最大の探査事業に誰でも参加できるようにしている”。

Mapillaryは最近OpenStreetMapWiki〕の編集ツールになったから、それらの写真がこのオープンマップ事業にも寄与貢献することになる。またそのクラウドソーシングされたマッピング努力を、運輸交通、建設、都市計画事業、地方自治体などが商用アプリケーションで利用することもできる。

MapillaryのアプリはAndroid、iOS、Windows Phone、それにGoProやGarmin Virbなどのアクションカメラ用にも提供されている。

昨年のDisruptで撮った下のビデオの2:30あたりに、ぼくからSolemへのインタビューがある:

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


TBSがアイリッジと資本業務提携――O2O領域で新事業も検討中


東京放送ホールディングス(TBS)グループでベンチャー投資を手がけるTBSイノベーション・パートナーズ(TBS-IP)が11月11日、O2Oソリューションを手がけるアイリッジとの資本業務提携を発表した。

出資額は非公開だが、数千万円程度と見られる。アイリッジは2008年の設立で、これまでに代表取締役社長の小田健太郎氏の古巣であるNTTデータのほか、KDDIやデジタルガレージ、みずほキャピタルパートナーズ、三菱UFJキャピタルなどから資金を調達している。金額的にも今回の調達は、業務面でのシナジーを重視したものと考えて間違いない。

TBS-IPは、5月にソーシャルメディアを中心としたビッグデータの分析事業を手がけるデータセクションとの資本業務提携を発表している。この発表の際、テレビとソーシャルメディアの解析結果を組み合わせてどのように事業にするかが重要ということを聞いたのだけれども、今回もそれと同じような取り組みらしい。アイリッジが持つO2O向けソリューション「popinfo」とテレビやイベント運営などの関連事業を連携することで、互いの価値が向上するような取り組みをしていきたいのだそうだ。

例えば日本テレビは、ソーシャル視聴サービス「JoinTV」を使って「O2O2O(On Air to Online to Offline:テレビ番組やCMからネットに、さらにネットから実店舗などに誘導する仕組み)」なる、テレビだからこそできる新しいマーケティングの手法があるとアピールしてきた。これと同様…かは分からないけれども、TBSも提携先の持つソーシャルメディアのデータやO2Oソリューションを組み合わせることで、新たなマーケティングやビジネスモデルの模索を進めるという。

アイリッジのpopinfoは、位置情報や時間、ユーザー属性と連動してスマートフォンにプッシュ通知を行うソリューション。同社ではこれを軸に、O2O施策の企画からアプリ開発、運営までをワンストップで手がけてきた。これまでの導入事例はジーユーや東急電鉄など大手クライアントはじめとして250アプリ、合計1500万ユーザー(アプリごとのユーザー累計)が利用しているという。

すでに具体的な新事業がアイリッジ側から提案されており、実現に向けて調整を進めている段階だそう。とはいえテレビ局は免許の必要な事業ということもあって、大企業の中でも提携などには慎重な体質があることは確か。「たとえシステム的にオーバーになろうが、ベストエフォートではなく『ミスがない』という事業を行いたいという声はある」(TBS-IPの片岡正光氏)のだそう。だが片岡氏は「そこで外部の新しいプレーヤーと組むからこそイノベーションは起こる。すでにデータセクションについても複数のプロジェクトを社内で進めているが、アイリッジともそういった事例をうまく活かしていきたい」と今後の展開について語った。


位置情報ベースのモバイル広告を展開するAdNearが1900万ドルを調達–国内からはグローバル・ブレインが出資

グローバル・ブレインは10月15日、同社が運営するグローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合を通じて、シンガポールおよびインド・バンガロールに拠点を置くAdNear Pte. Ltd.への出資を実施したと発表した。Adnearはスマートフォンの位置情報をベースとしたモバイル広告配信プラットフォームを提供している。

グローバル・ブレインの投資額は非開示。今回のラウンドでAdNearは、オーストラリア最大の通信事業者であるTelstraのほか、既存株主のSequoia Capital、Canaan Partnersからも資金を調達。その総額は1900万ドルとなっている。日本ではあまり知られていないAdNearだが、同社は2012年にインドでスタート。同年にはSequoia Capital とCanaan Partnersから630万ドルの資金を調達している。

同社が手がけるのは、スマートフォンの位置情報をベースとしたモバイル広告配信プラットフォーム。スマートフォンの位置情報をもとにユーザーの職業や年収、趣味・趣向などを推定し、特定の属性に限定して広告を配信したり、ジオフェンスを用いた広告配信(地図上に仮想的な境界線を設定して、そのエリア内に入ったユーザーに対して広告を配信する)をしたりしている。

Adnearの発表によると、同社では現在5億3000万人のユーザープロファイルを保有しているそうだ。特定の時間毎に位置情報を取得することでユーザーの属性を推定するのが特徴で、すごく大ざっぱに言えば、例えば朝は住宅地にいて、平日昼間は大学のエリアにいる、週末には住宅地や都心部にいるようなユーザーであれば「週末は都心部で遊ぶこともある大学生」だと判断するというような仕組みだそうで、20日もあればかなり精度の高いプロファイルがつくられるのだそうだ。

事業を展開するのはアジア太平洋地域。これまでにP&GやAudi、Unilever、BMW、Vodafoneなどのグローバル企業や、トヨタ自動車、ソニーなどの日本企業がクライアントになっているという。グローバル・ブレインでは今後、AdNearの日本進出支援も進めるとしている。


リアルタイム地図作成のCartoDBが$8Mを調達、地図生成とソーシャルメディアの統合もねらう

地図の作成(ないし地図の“生成”)など地理的空間を扱うプラットホームは、今日のWebやアプリにとって欠かせない。だからこそ、Apple Mapsがお粗末な出来栄えでローンチしたとき、大騒動になったのだ。だからこそ、地図作成を担う大小の企業が、この魅力的でしかも重要な分野で栄え続ける。地図や、地図を主体とするデータ視覚化を、動的にリアルタイムに生成する処理は、まだ最終安定解のない大きな問題だからだ。

今日(米国時間9/10)は、Web上の地図作成や地理空間処理を提供するプラットホームCartoDBが、ベルリンのVC Earlybird Venture Capitalが率いるシリーズAのラウンドにより、800万ドルを調達した。既存の投資家Kibo VenturesVitamina Kも、このラウンドに参加した。資金は主に、企業の規模拡大に使われる。同社はスペインのマドリッドで起業し、今ではニューヨークに本社がある。

地図作成(mapping)や地理空間(geospatial)アプリケーションをオープンソースで提供している同社は、今やユーザ数が5万を超え、実際に使われているアプリケーションは10万以上ある。

同社の競合他社は、EsriやGoogle Maps Engine(Google MapsのB2B部門)だ。MapboxやHere(Nokiaが保有)も、ある意味では競合する。しかしCartoDBの売りはあくまでも、リアルタイムで動的な地図生成と視覚化にある。また、地図の“ストーリー化”(storytelling)にも力を入れたい、と同社は言っている。それはソーシャルネットワークのデータやコンテンツを地図上にリアルタイムでオーバレイしていく機能のことだ。

このストーリー化が普及すれば、コンスタントにアップデートされるデータやコンテンツを軸に、地図ベースのコミュニティが生まれるだろう。またそういうコミュニティを作るためのアプリケーションを、同プラットホームが提供するWebエディタや同社のAPIで制作できるようになる。

同社が作った地図上のソーシャルメディア層の例として、ニューアルバムをリリースしたBeyoncéに関するツイートがある。また、Deloitte、Twitter、NASA、UN(国連)、 National Park Serviceなどの大きな企業や団体、大学ではStanford、Yale、 Columbiaなどが、大規模なリアルタイムデータの分析に利用している。たとえばこれは、都市再生に関する地図だ。

インドの選挙のために作った地図もあるし、Twitter上のスーパーボウルもある。

GIS技術の市場は25億ドル、データ視覚化の市場は42億ドル規模と言われる。本誌TechCrunchも、今後まだまだ見ていかなければならない業界だ。

そんな中でCartoDBは、出足好調と言えるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))