日本の民間宇宙スタートアップ企業ALEがシリーズA追加ラウンドで総額約22億円の資金調達

民間宇宙スタートアップ企業ALEがシリーズA追加ラウンドで総額約22億円の資金調達

「科学を社会につなぎ 宇宙を文化圏にする」をミッションに掲げるALE(エール)は2月26日、2019年9月5日に公表したシリーズAの追加ラウンドとして、第三者割当増資を実施したと発表した。引受先は、宇宙フロンティアファンド(スパークス・イノベーション・フォー・フューチャー)、Horizons Ventures、THVP-2号投資事業有限責任組合(東北大学ベンチャーパートナーズ)、個人投資家など。

引き続き同追加ラウンドにおいて、既存投資家および新規投資家を引受先とする追加調達を検討しており、2022年4月までを目処に総額約22億円(今回の資金調達金額を含む)の調達を完了する予定。シリーズAを含む累計調達金額は総額約49億円となる。

ALEは、同追加ラウンドで調達する資金を基に、2023年に技術実証を予定している人工流れ星衛星3号機の開発、同年のサービス開始に向けた事業開発、2021年度に技術実証を予定しているEDT(導電性テザー)を利用したデブリ化防止装置の開発、さらには大気データ取得活動の要素技術開発およびその体制構築を着実に実行していく。

2011年9月設立のALEは、「科学を社会につなぎ 宇宙を文化圏にする」をミッションに掲げる民間宇宙スタートアップ企業。人工流れ星を始めとした宇宙エンターテインメント事業で宇宙の美しさや面白さを届け、人々の好奇心を刺激することで、さらなる宇宙開発のきっかけを作るとしている。

また宇宙から貴重なデータを取得し、地球の気候変動のメカニズム解明に寄与することを目指す。両者を有効利用し、人類の持続的な発展に貢献するとしている。

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豪大学ジョイントベンチャーICRARがはくちょう座X-1は予測より大質量と報告、ブラックホール形成の常識覆す可能性も

豪大学ジョイントベンチャーICRARがはくちょう座X-1は予測より大質量と報告、ブラックホール形成の常識覆す可能性も

NASA / CXC /M.Weiss

1964年に人類が初めてに発見したブラックホール、はくちょう座X-1が、実はこれまで信じられていたよりもはるかに巨大であるとの研究結果が発表されました。これにより天文学者たちはブラックホールの形成と成長のしかたを再考しなければならないかもしれません。

連星系を成しているとされるX-1は、これまで15太陽質量、つまり太陽15個分の質量とされていましたが、ハワイ~プエルトリコ間の米国各地に設置されたアンテナで構成された超長基線電波干渉計(VLBA)を用いた6日間の観測結果は、ブラックホールは21太陽質量を持つことを示しています。そして、われわれの星からX-1までの距離もこれまでの6000光年ではなく、7200光年を少し超えるぐらいに遠いことがわかりました。

銀河の中心にあるとされる超大質量ブラックホールが数百万から数十億太陽質量とされていることを考えると、恒星質量ブラックホールであるX-1の大きさなど宇宙のなかでは大したものでないように思えます。しかし、X-1が15でなく21太陽質量となると、ブラックホール形成のときに失われた恒星の質量の推定値も考え直さなければならなくなります。

ブラックホールの質量は、主にブラックホールになったもとの恒星の大きさと、恒星風(太陽風)の形で失われる質量の量に依存します。より高温で明るく輝く星はより重く、より多くの恒星風を生成する傾向があるとされます。そのため、星の質量が大きいほど、崩壊前および崩壊中に恒星風によって質量が失われやすくなり、ブラックホールが発する電波が強くなります。

しかし一般に、天の川銀河における恒星風の強さは、元々の星の大きさに関係なく、生成されるブラックホールの質量を15太陽質量以下にとどめる程度だと考えられていました。新しい調査結果はそうした認識をくつがえすものです。

「ブラックホールをこれほど重くするには、明るい星が一生の間に失う質量の量を減らす必要があります」と研究者は述べています。

新しいブラックホールの質量と地球からの距離の数値を使って計算した結果、はくちょう座X-1が信じられないほど速く、高速に近いほどの速さで回転していることが確認できたとのこと。これは、これまでに見つかった他のブラックホールよりも高速とのことです。

研究者らは、今後もX-1の観測を続けることを計画しています。オーストラリアと南アフリカで建設が進められているスクエア・キロメートル・アレイ(Square Kilometer Array:SKA)が稼働すれば、それを使った観測でX-1やその他のブラックホールの観測でより詳しいことがわかることが期待されます。天の川には1000万から10億のブラックホールが存在する可能性があり 、それらの少なくともいくつかを研究することで、この謎を解き明かすことができるかもしれません。
(Source:Science、via:MIT Technology ReviewsEngadget日本版より転載)

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AIによるSAR衛星データ解析システムを開発するスペースシフトが5億円調達、開発体制を大幅強化

AIによるSAR衛星データ解析システムを開発をするスペースシフトが5億円調達、開発体制を大幅強化

衛星データ解析システムの開発を手がけるスペースシフトは2月16日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による5億円の資金調達を発表した。引受先は、宇宙特化型の宇宙フロンティアファンド(スパークス・イノベーション・フォー・フューチャー)、EEI4号イノベーション&インパクト投資事業有限責任組合(環境エネルギー投資)ほか1社の合計3社。

今回の調達は、同社初の大型資金調達という。調達した資金により、開発体制の大幅に強化し、SAR(合成開口レーダー)衛星データ解析に特化したAIの開発を推進する。

近年、AIやビッグデータ処理、クラウドの普及を背景に、地球観測データの活用が様々な分野で進んでいる。ただ、従来自動解析に活用されていた衛星データは、主に光学衛星による可視光を用いた衛星写真だったという。

これに対してSAR衛星は、太陽の光を必要としないため、雲で被われていても地表の様子を見ることができ、夜でも観測可能であるなど利点も多く、今後の衛星データ利用の拡大においては重要な存在という。

ただ、SAR衛星は光学衛星と異なり、衛星から発するマイクロ波の反射により地表を見るため、独特なノイズがある画像になり、地表の様子を判読には特殊な知識を必要とする場面が多くある。

この課題解決のためスペースシフトが開発した新方式では、専門家でも判読が難しいとされるSAR衛星の画像をAIによって自動解析可能としたという。

スペースシフトは、今後もSAR衛星データの解析のためのソフトウェア開発に経営資源を集中させることで、世界中のあらゆるSAR衛星事業者、衛星データ利用者が必要とする高度な衛星データ解析技術を提供。地球全体のあらゆる変化を検知可能にすることで、社会活動の最適化、持続可能な社会の実現に寄与するとしている。

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「地球をハックする」衛星データ解析コンテスト運営のSolafuneが資金調達を実施

「地球をハックする」衛星データ解析コンテスト運営のSolafuneが資金調達を実施

衛星データ解析コンテスト「Solafune」を運営するSolafuneは1月22日、ANRI、East Venturesを引受先とする資金調達を発表した。調達した資金を基に事業をより加速させ、宇宙産業市場をリードしてくテクノロジー企業として、事業の拡大に邁進する。

Solafuneは、「Hack The Planet.」をミッションに衛星データなどを活用して地球上のあらゆる事象を制御可能にしていくための事業を展開。その先駆けとして、衛星データを活用したデータ解析コンテスト「Solafune」の運営を2020年10月より開始した。

取得のハードルが高い衛星データのデータセットをオープン化した反響は大きく、初回に開催したデータ解析コンテストでは100人以上のAIエンジニアが参加。1500件以上の解析結果の収集を実現した、現在も急成長中のプラットフォームという。

今後も同社は、企業課題や社会課題の解決を主な目的としたデータ解析コンテストを継続的に開催し、世界中からAIエンジニアが参加する解析プラットフォームとして日々進化し続けるとしている。

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大混乱の2020年からスタートアップが学べること

覚えているだろうか、ベンチャーキャピタリストの開業がニュースになった頃を。あるいは、Zoomに投資していたのがアナーバーの男1人だけだった頃を(ウソじゃないよ)。この数カ月間はかつてない忙しさで、スタートアップの成長ぶりや注目のIPO、新たな資金調達など年末になってもニュースは途切れることがない。

活況の強気市場の中でも、私は若きスタートアップたちがどうしているかを振り返ってみたかった。本誌のAlex Wilhem(アレックス・ウィルヘルム)記者と私はPichbookが提供したデータに没頭し、果たして次のDoorDashes(ドアダッシュ)やAirbnbs(エアビーアンドビー)が最初の資金調達をするのかを見極めようとした。

答えはといえば、シード資金投資は花開いたがその様相は複雑だった(未訳記事)。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、民間投資家にとってどの魅力的なスタートアップの基準が大きく変わった。そしてその変化は一部の分野や人々にリスクとなってふりかかった。

2人の投資家が次のようにその力学を説明している。

FreestyleのJenny Lefcourt(ジェニー・レフコート)氏

シード投資の金額は、「次のDoorDashを逃すわけにはいかない」と考えて早期に動いた大型ベンチャーキャピタルによって釣り上げられたと私は考えます。資金が豊富な大型VCは、2倍、3倍、10倍になりうるスタートアップの勝者を引き当てるためにそれなりの現金をつぎ込むべきだと考えているようです。

Eniac VenturesのNihal Mehta(ニハール・メフタ)氏

直接人と会うことができないので、投資家は「自分たちのソーシャルの輪とすでに繋がりのある」「証明された」起業家に投資することに安心感を覚えます。

この長期的な視野の偏狭は、この時期女性ファウンダーが除外されたことを意味している。ベンチャーキャピタルの社交サークルは殆どが白人男性だからだ。分野別に見ると、eコマースとEdTech(教育技術)にとっては良い時期だったが、旅行、娯楽分野には厳しかった。

こうしたデータはスタートアップ世界に一種の不協和をもたらす。シード投資がかつてないほど活発で豊作だといっても、これは一部の人にとって良いニュースでも、そうでない人にとっては悪いニュースだ。景気と不景気が同時に成り立つというのは覚えておくべき警告だ。

Red, orange and pink sheets of paper on edge on blue background in wave pattern to mimic fire

画像クレジット:Getty Images

Edtech(エドテック)2021年最大の課題

EdTechのような年(未訳記事)を経験したセクターは他にない。この分野は全世界で100億ドル(訳1兆350億円)の資金を集め、リモートラーニングはツールから必需品へと変わった。

2020年私が書いたお気に入りのエドテック記事を以下に挙げる。

そしてTechCrunchに書いた今年最後の記事(未訳記事)で私は、リモートラーニングの普遍化は新規ユーザーに間違いなくブームをもたらしたが、この分野が早く簡単にスケーリングしたことでイノベーションを起こす機会は限定されたかもしれない。

来る年向けて私から贈る最大の助言はこれだ。

2020年のエドテックにとって柔軟性と根性は生き残りの戦術であり、利益と成長そしてなにりよも、私たちが学習するための必要なテクノロジーにとって「これだ」という瞬間をもたらした。新しい年を迎えるにあたり、この分野は短期的修正という思考を捨て、偏狭的視野から広く長い視野へ進化しなくてはならなくなるだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

宇宙スタートアップのための1兆6570億円の小切手帳

宇宙スタートアップへの投資は確率に反する行動だ。それは時として必要になる詩的センスでもある。本誌のイベント、TC Session: Space 2020の中で、TechCrunch記者の何人かがどんな種類の資金が宇宙に注ぎ込まれているのかを詳しく分析した。

  • ある人は、宇宙スタートアップへの投資は経済不況に関わらず落ち込んでいない、なぜなら政府の介入によって予算に余裕がある(未訳記事)からだと考えている。空軍予算160億ドル(約1兆6570億円)を管理する人物は、スタートアップに基地に来て欲しい(未訳記事)と思っている。
  • 3人のVCが、宇宙のゴミと持続可能性、および宇宙での製造のメリット(未訳記事)について語った。

現在ベンチャーキャピタルのDCVC所属でPlanet Labsの共同ファウンダーだったChris Boshuizen(クリス・ボシュイゼン)氏による次の発言はよく知られている。

私たちはまだSFの未来に住んでいません。自由に飛び上がってごみを拾い持ち帰ることはできないのです。それはとてもとても大変なことで、おそらく5年先になると思いますが、私たちが支援してこの目で見たいとことの1つです。

アンクル・サムが宇宙に浮かんでいる画像。左肩の上に空軍のロゴが見える。

2020年にいなくなったスタートアップを思い出してみる

スタートアップを立ち上げるのはいつでも難しいが、パンデミックによる予期せぬ展開によって、2020年は多くの企業があまりうれしくない最後を迎えることになった。そこで、TechCrunch年末恒例の一環として、2020年に失われたスタートアップに敬意を評したい。

私のまとめは以下の通りだ。

  • これは楽しいリストではない。失敗はつらいが燃え殻をかき分ければ教訓の1つか2つを見つけられる。たとえば?ビッグネーム、ビッグな計画、そして膨れ上がる資金は実際に金を稼ぐ代わりにはならない。
  • リストには、短編ビデオアプリのstrong>Quibi、法務テックのスタートアップ、Atriumはじめ、ウイルス蔓延とともに破綻した多くの旅行スタートアップが入っている。
  • 一部の企業は新型コロナのために失敗したが、多くの場合根本的なビジネス欠陥やひび割れがパンデミックが始まるずっと以前から見え隠れしていた。

TechCrunch周辺

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook