日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンスの実証実験

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月27日~2021年1月2日の情報から。

日立製作所みずほフィナンシャルグループは2020年12月28日、みずほ銀行みずほ情報総研Blue Labと共同でブロックチェーン技術を活用した物流業界の輸配送代金の早期資金化に関する実証実験の開始を発表した。5社は2021年1月より、金流・商流・物流の一体管理およびサプライチェーンファイナンスの高度化を目指して共同実証実験を開始する。

現行の物流業界は万年のドライバー不足が大きな課題となる中で、労働環境の整備、煩雑な帳票管理の解決に向けて、見積・受発注管理、配車・運行管理業務、請求管理などのデジタル化が加速しているという。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響から運送会社の資金繰りが火急の課題となっており、輸配送代金の早期資金化は、物流業界の発展に寄与する重要なテーマになっている。

物流業界では、荷主からの受注後、物流経路などに応じて複数の運送会社に運送事業を委託する多重構造の商流が存在するが、同実証実験では、これら物流データと連携したファイナンス提供を行い、輸配送代金の早期資金化の実現を目指す。

実証実験では、関東圏の物流企業の営業所、運送会社が参加する。実際に物流の発注・納品・支払に関わるやり取りを、パソコンやスマートフォン上で操作する実証用システムを使い、業務フローイメージの具体化とともにその受容性を検証していく。ニーズ調査として、運送会社へのアンケートやインタビューも実施するという。

日立とみずほグループは、これまでもサプライチェーン領域におけるブロックチェーン技術の活用促進と新規事業の創出に向け、ブロックチェーンを活用し、リアルタイムでの真正性を確保した取引情報を基とする、高度なサプライチェーンファイナンスの実現を目指し、共同で検討を重ねてきた。

具体的には、顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための日立のデジタル技術を活用したソリューション・サービス「Lumada」で開発を進める「サプライチェーン決済プラットフォーム」上で、みずほが開発する新たな「ファイナンス決済スキーム」を金融付加価値機能として提供していく。

また今後は、日立は同プラットフォームの開発を進め、金融以外の業種とのサービス連携も含め、幅広い展開を検討していく。みずほは、新たなファイナンス決済スキーム確立に向け、技術面以外にも、法律・会計などに関する整理を行い、物流業種以外の業種へのニーズ調査なども含めて、ビジネス化に向けて検証を実施していく。みずほは、2021年度内のサービス開始を目指す。

日立のサプライチェーン決済プラットフォーム

日立のサプライチェーン決済プラットフォームは、ブロックチェーン技術を活用して複数事業者間での決済取引を支援する決済プラットフォーム。事業者間で共有・活用するデータをトークンとして扱い、真正性かつ耐改ざん性を確保し管理していく。利用企業は取引情報を活用した金融サービスを享受でき、資金繰りの改善、運転資金確保ができるほか、金融機関は取引情報を分析し、各種金融サービスへの活用が可能になる。

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

また同プラットフォームは、日立の「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を活用。これは、非営利団体The Linux Foundationが運営するクロスインダストリー(異業種連携)共同開発プロジェクト「Hyperledger」によるブロックチェーン基盤「Hyperledger Fabric」の利用環境をマネージド型クラウドサービスとして提供するというもの。

同社は2020年10月、Hyperledgerが認定するベンダー資格を有する企業の1社に認定されている。

みずほの新ファイナンス決済スキーム

みずほの新たなファイナンス決済スキームは、サプライチェーンにおける川上企業が将来の売上見合い(将来債権)を川下企業の信用力で割引可能とする邦銀初の金融サービス。

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

新スキームでは、発注時点で将来債権をトークンとして表象させ、債権者は物流工程の進捗により判断される信用力によりトークンを割り引くことが可能となる。利用企業は、サプライチェーンの商流を裏付けとした将来債権の資金調達により、資金繰りの改善や迅速な運転資金確保が可能になる(特許出願中)。データ管理にはブロックチェーン技術を適用し、サプライチェーン内の債権・債務を一元管理する。

みずほは、物流と金流を連動させ、資金決済の事務負担となっていた照合管理業務などを省力化することも想定しているという。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:オープンソース / Open Source(用語)サプライチェーン(用語)商流新型コロナウイルス(用語)Hyperledger Fabric日立製作所物流 / ロジスティクス(用語)ブロックチェーン(用語)Blue Labみずほ銀行みずほ情報総研みずほフィナンシャルグループLinux Foundation日本(国・地域)

スパークス、トヨタ、メガバンク3行が国内モノづくり企業対象の新ファンドで合意、12月初旬設立目指す

スパークス、トヨタ、メガバンク3行が国内モノづくり企業対象の新ファンドで合意、12月初旬設立目指す

スパークス・グループトヨタ自動車三井住友銀行三菱UFJ銀行みずほ銀行の5社は11月2日、新ファンド設立に向け覚書に調印したと発表した。同ファンドは、国内のモノづくり企業が投資対象。今後5社で、出資規模・その他の出資者・投資対象などの詳細な検討を進め、12月初旬のファンド設立を目指す。

同ファンドでは、優れた技術・人財を有する企業を、TPS(トヨタ生産方式)や経営戦略の策定などにより支援。企業の持続的な成長を通じて、日本のモノづくりの発展に寄与することを主たる目的とする。

これは、「働きがいも経済成長も」(Decent Work and Economic Growth)、「産業と技術革新の基盤をつくろう」(Industry, Innovation and Infrastructure)など国際社会が取り組んでいるSDGs(持続可能な開発目標)の目標にも合致するもので、新型コロナウィルスの影響が長期化する厳しい環境下、日本のモノづくりの競争力向上を通じて社会に貢献する。

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カテゴリー: VC / エンジェル
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ドローン関連スタートアップ支援の「Drone Fund 2号」が52億円調達

ドローン関連のスタートアップに特化した投資ファンドであるDrone Fund 2号(正式名称:千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合)は5月7日、新たな投資家を迎えて総額52億円を調達したことを発表した。

Drone Fund 2号の出資者としては、同1号ファンドから継続のMistletoe Venture Partners、オークファン、DGインキュベーション、日本アジアグループ、キャナルベンチャーズ、FFGベンチャービジネスパートナーズ、リバネス、その他複数のエンジェル投資家。

2号ファンドからは、小橋工業、みずほ銀行、大和証券グループ、マブチモーター創業家一家、KDDI、電通、セガサミーホールディングス、松竹、KSK Angel Fund、その他複数のエンジェル投資家が出資していた。

今回新たに、西部ガス、GMOインターネット、オリックス、日本郵政キャピタル、東京電力ベンチャーズ、ゼンリン、エン・ジャパン、エイベックスの8社が加わり。総額52億円となった。

Drone Fund2号は、すでに新規で7社に投資中だ。具体的には、農業用ドローンを開発するナイルワークス、空飛ぶ車を研究・開発するSkyDrive、個人用飛行装置(エア・モビリティ)を設計・開発するテトラ・アビエーション、京大初のベンチャーのメトロウェザーなどの国内スタートアップのほか、米国やマレーシア、ノルウェーなどの企業へ投資している。1号ファンドを加えると投資先は29社になるとのこと。また、2号ファンドから出資を始めた小橋工業は、TechCrunch Tokyo 2018のファイナリストであるエアロネクストが開発したドローンの商品化・量産化を支援している。