ターゲティング広告がパブリッシャーにもたらす利益はほとんどない

ユーザーのプライバシーを踏みにじるトラッキング技術を使ってウェブサイトの閲覧者に表示する広告を選ぶ行動ターゲティング広告で、パブリッシャーはどれほどの価値を引き出せるのか?

最新の調査によれば、パブリッシャーが得られる価値は、ターゲッティング広告を使わなかった場合と比較して、わずか4%増でしかないとのこと。

これは、なぜかくも多くのニュース編集室の予算が削られ、ジャーナリストが職を失い、それでいてアドテクノロジーの巨大企業は相も変わらず大儲けをして金庫を膨らませ続けているのかといった問題に挑発的な光を投げかける発見だ。

サードパーティーのクッキーがひしめく一般的なニュースサイト(TechCrunchも含まれる)を訪れたときは、そのパブリッシャーは本業の他に、ユーザーをプログラマティック広告システムに接続して貴重な個人データが吸い上げ、表示すべき広告の決定に使用するユーザーの閲覧傾向を販売して膨大な利益を貪っていると考えていいだろう。

オンライン広告市場は巨大化し、成長を続けている。IAB(Interactive Advertising Bureau、非営利団体インタラクティブ広告事務局)の資料によると、米国では、2017年に880億ドル(約9524億円)の収益を上げ、前年比で21%増加している。パブリッシャーは、コンテンツだけで大儲けしているわけではないのだ。

それとは対照的に、近年の調査によると、パブリッシャーの大半は、ディスプレイ広告の経済学に締めつけられていることがわかる。2015年のEconsultancyの調査では、そのうち40%ほどが、広告収入が停滞しているか減少していると報告しているという(それゆえ、購読の形式に手を伸ばすパブリッシャーが増えていると断言できる。TechCrunch自身もExtra Crunchを提供している)。

デジタル広告収益の大部分は、最終的にはアドテクノロジーの巨人、つまりGoogleとFacebookがさらっていってしまう。いわゆるアドテクノロジーの複占だ。eMarketerによれば、アメリカでは、この2社がデジタル広告市場での支出のおよそ60%を占めている。およそ765億ドル(約8兆2900億円)だ。

この2つの企業の年間収益は、デジタル広告費全体の伸びを正確に反映している。Googleの親会社Alphabetの場合、収益は、2015年から2018年にかけて、749億ドル(約8兆1083億円)から1368億ドル(約14兆8115億円)に増加している。Facebookは179億ドル(約1兆9382億円)から558億ドル(約6兆0424億円)と増えている(これに対してアメリカのオンライン広告費は、2015年から2018年にかけて、598億ドル(約6兆4745億円)から1075億ドル(約11兆6389億円)以上にステップアップしている)。

eMarketerは、2019年にはこの複占企業の合計シェアは初めて減少に転じると予測している。しかしこれは、パブリッシャーにツキが回って突如として大金が転がり込むからではない。もうひとつのハイテク巨大企業、Amazonがデジタル広告市場のシェアを拡大しているからだ。それは、eMarketerが呼ぶところの「複占の小さな凹み」の始まりと期待されている。

行動ターゲティング広告、いわゆるターゲティング広告は、トラッキング技術の拡散と規制対象とならない目立たない場所でのテクニックを助長するプラットフォームの力学により、オンライン広告市場を支配するようになった。そして、オンライン広告主の目からは、これが非常に効率的に見えたのだと報告書は書いている(測定と特定に疑問が残るものの、多くの研究はターゲティング広告は広告代理店にとって有益であり効率的だと考えているようだ)。

これが、広告の選択を脈絡要素(例えば、今見ているコンテンツや、使用中のデバイスのタイプや、今いる場所など)に依存する非ターゲティング・ディスプレイ広告を閉め出す原因となった。

この非ターゲティングディスプレイ広告は、今では例外的な存在となっている。クッキーがブロックされたときの予備的な地位に追いやられてしまった(とはいえ、プライバシーを保護をうたう検索エンジンのDuckDuckGoは、脈絡に依存した広告事業を黒字に転換させている)。

2017年にIHA Markitが行った調査では、ヨーロッパにおけるプログラマティック広告の86%が行動データを使用していたことがわかった。しかも、そのモデルによれば、非プログラマティック広告の4分の1(24%)も、行動データを使用していたという。

「2016年のディスプレイ広告市場の成長は、その90%が行動データを利用した形式や処理からもたらされた」と同社は見ている。また、2016年から2020年の行動ターゲティング広告は106%成長し、こうしたデータを使用しない形式のデジタル広告は63.6%減少すると予測している。

非ターゲティング広告ではなく行動ターゲティング広告を推すという経済的誘因は、広告主、サイトの訪問者、コンテンツ、行動データのすべてにおいて規模を拡大し、インターネットの分散した多様なオーディエンスから価値を引き出すことに依存している支配的なプラットフォームには自明の理に思える。

しかし、コンテンツ制作者と彼らが関わるユーザーのコミュニティにとって、プライバシー軽視の規模の経済に服従しようという誘因は、きわめて不明瞭だ。

オンライン広告市場に潜在する不均衡に対する懸念はまた、大西洋を挟んだ両地域の政治家や規制当局の、市場の透明性に対する疑問を誘発する。そして、透明性の大幅な改善が求められるようになる。

人のトラッキングで獲得できる賞金

来週、ボストンで開催されるEconomics of Information Security(情報セキュリティーの経済学)カンファレンスのワークショップで発表予定の新しい調査結果がある。この調査の狙いは、ひとつのパブリッシャーが、行動ターゲッティング広告を選んだ場合と、選ばなかった場合の価値を数量化して、デジタル広告の収益のパズルを解く新たなピースになることにある。

この調査については、以前、研究に携わった一人の学者が米連邦取引委員会の公聴会にて研究結果を引用したとき、その存在をお伝えしているが、今回初めて報告書の全文が公開された。

Online Tracking and Publisher’s Revenue: An Empirical Analysis」(オンライン・ターゲッティングとパブリシャーの収益:実証的分析)と題されたこの報告書は、次の3人の学者が共同執筆している。Veronica Marotta氏(ミネソタ大学スクール・オブ・マネージメント、情報および決定科学助教)、Vibhanshu Abhishek氏(カリフォルニア大学アーバイン校Paul Merageスクール・オブ・ビジネス准教授)、Alessandro Acquisti氏(カーネギーメロン大学ITおよび公共政策教授)。

「広告主のキャンペーンの有効性におけるターゲッティング広告のインパクトは広く実証されているものの、オンラインターゲッティングとターゲッティング技術がパブリッシャー、つまりウェブサイトの広告スペースを販売する業者にもたらす価値については、ほとんど知られていない」と彼らは書いている。「事実、行動ターゲッティング広告によるパブリッシャーの利益に関する社会通念は学術研究で精査されたことがほとんどない」。

「報告書でも簡単に触れましたが、複数の株主(小売り業者、パブリッシャー、顧客、仲介者など)のためのオンライントラッキングと行動ターゲッティングの共通の利益に関する主張があるにも関わらず、独立系の研究者からの経済的結果に関する実証的な評価は驚くほど少ないのです」とAcquistiは私たちに話してくれた。

「事実、評価のほとんどは市場の広告主側に焦点を当てられたもので(例えば、ターゲッティング広告のクリックスルーやコンバージョンレートによる増収の評価は非常にたくさん行われてきた)、市場のパブリッシャー側の評価は、ほとんど知られていません。この調査を始めるに当たり、私たちの予測を裏付けるデータがほとんど存在しなかったため、どんな事実が出てくるのか、純粋に好奇心が湧きました」

「私たちには、適格な予測の元になる理論的根拠がありましたが、それらの予測はまったく反対の結果なる場合もありました。ある状況では、ターゲッティングはオーディエンスの価値、広告主のビッド数を増やし、パブリッシャーの収益を増加させますが、別の状況では、ターゲッティングによって広告に興味を持つオーディエンス層が縮小し、それがディスプレイ広告の競争力を低下させ、広告主のビッド数を減らし、結果的にパブリッシャーの収益を減少させます」。

この調査のために、研究者たちは、ニュース、エンターテインメント、ファッションといった幅広いバーティカル市場のウェブサイトを運営するある大手パブリッシャー(企業名は明かされていない)が所有する複数のオンラインショップでの、1週間にわたる「数百万件」ものディスプレイ広告の取り引きのデータセットを提供された。

このデータセットには、サイトの訪問者のクッキーIDが使えるか否かの情報も含まれている。これにより、行動ターゲッティング広告と非ターゲッティング広告の価格の違いが分析できるようになる(研究者たちは統計的メカニズムを用いてクッキーを拒絶したユーザー間の系統的差異に対処している)。

上記のとおり、今回の最も大きな発見は、データ解析の対象となったパブリッシャーが得られた利益の上昇率は、非常に低かったというものだ。それは4%前後に留まる。つまり、平均的な収益の差額は広告1本につき0.00008ドルだ。

この発見は、ネット上で吹聴されている、行動ターゲッティング広告はパブリッシャー、ひいてはジャーナリズムを支えるために「必要不可欠」だとする、声高ながら根拠のない主張と真っ向から対立するものだ。

例えば、これは今月の初めにフリーランスのジャーナリストが公開した「An American Prospect」(米国の繁栄)と題した記事だが、その中に「サードパーティーのクッキーを使わないオンライン広告の掲載料は、同じ広告にクッキーを用いた場合のわずか2%だ」と書かれている。ただし、その数値的データの出所は確認されていない。

「この記事の著者が私たちに話したところによると、情報源は、Index ExhangeのAndrew Casaleが2018年に行ったスピーチだという。その中で彼は、購入者IDのない広告の依頼は、同じ広告でID付きの依頼に対して99%もビッドが低かったと話している。この情報に、アドテクノロジー業界の人たちから彼女が独自に聞いた、クッキーのない広告の価値の減少率は99%から97%という数値の中間値を加味している」。

同時に米国の政策立案者たちは、今になってプライバシー規制に関してヨーロッパに大きく遅れをとっていることを痛感し、インターネットのユーザーがアドテクノロジーの巨大企業によるトラッキングと顧客プロファイルの厳密な実態調査と、その恐ろしさの喧伝に慌てて力を入れている。

米上院司法委員会が今月の初めに開いた公聴会(「デジタル広告のエコシステムとデータ機密性と競争方針を理解する」ために招集された)では、巨大ハイテク企業を規制するか否かではなく、独占的な広告巨大企業をどれほど厳重に処置するかが話し合われた。

「それのために、今日私たちは集まりました。(インターネット上での消費者のプライバシーを保護するための)選択肢の欠如です」とRichard Blumenthal上院議員は言った。「GoogleとFacebookと、その他の市場を独占する企業が過剰にして驚異的な力を有していることは、紛れもない事実です。だからこそ、早急なプライバシーの保護が絶対的に不可欠なのです」。

アドテクノロジー業界が組織的に展開している「侵襲的な監視」とも言うべき行為は、「政府が行おうものなら断じて許されませんが、FacebookもGoogleも、建国の父祖が夢にも思わなかった権力を手にしています」とBlumenthalは続け、アドテクノロジー業界の監視複合体によって吸い上げられ利用されるいくつかの個人情報のタイプを示した。「健康、交際、位置、経済、非常に私的な情報、これらがほとんどなんの制限もなく、誰にでも提供されています」。

この「侵襲的な監視」を思えば、単純に脈絡によって提供される(そのためウェブユーザーをどこまでもトラッキングする必要がない)広告に対して、パブリッシャーにとって4パーセントだけ「プレミアム」なプライバシー蹂躙広告は、とんでもない詐欺に思える。パブリッシャーのブランドも、オーディエンスの顧客価値も、インターネットユーザーの権利とプライバシーも被害者だ。

ターゲッティング広告による増益はほんのわずかであることが、この調査で判明した。しかも研究者たちは、パブリッシャーのプライバシー規制に準拠するためのコストを加味しなければならないと指摘している。

「訪問者へのトラッキングクッキーの設定が無料で行えるとすると、ウェブサイトは確実に損をする。しかし、トラッキングクッキーの広範な利用と、さらに広範に行われているインターネット上でのユーザーのトラッキングは、プライバシー問題を引き起こし、とくに欧州連合においては、厳しい規制の導入を招くことになった」と彼らは綴り、International Association of Privacy Professionals(国際プライバシー専門家協会)による評価の引用へと続く。それによれば、フォーチュンのグローバル500に選ばれた企業は、EU一般データ保護規則に準拠するために、およそ78億ドル(約8444億円)を支出する計画を立てているという。

組織的にインターネット上のプライバシーを侵害するために多額なコストを費やしても、パブリッシャーが価値を得ることは難しい。こうも考えられる。迷惑なトラッカーでサイトを飾り立て、ブランドの評判とユーザーのロイヤリティを獲得しようとするパブリッシャーが負担するコストであろうが、もっと大きな社会的コストであろうが、それはデータを燃料にして弱い立場の人たちを操り搾取する危険性につながっていると。平たく言えば、何も見えていないということだ。

パブリッシャーはこの調査によれば、差益のために自社のコンテンツとオーディエンスという資産の剥奪に加担しているように思える。しかし、アドテクノロジー業界が不透明であるために、彼らを手中に収めている巨大広告企業の計らいで、彼らがどのような「取り引き」をしているかは、彼ら自身にもほとんどわかっていないことが推測される。

そのために、この報告書は、オンラインパブリッシング業界にとって非常に魅力的なものになっている。そして、アドテクノロジー業界で働く人にとっては、実に気まずいニュース速報でもある。

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行動ターゲッティング広告でパブリッシャーが利益を得ることはない。それは、インターネットでタダのものをくれるわけでもない。Googleなどのアドテクノロジー企業があなたのデータを売っているに過ぎないのだ。その企業が持っている価値は、監視もなく広告主に届けられる。

この調査は、ひとつのパブリッシャーが経験した、広告市場の経済のスナップショットを提供したに過ぎない。これが示した兆候は、大金をつぎ込んでプライバシー法に反対し、「行動ターゲッティング広告を潰せばインターネットから無料のものが消える」との主張を根拠にアドテクノロジー業界のロビイストが描こうとしている絵とは、はっきりと異なる。

これ以上不気味な広告は出さないと宣言しても、パブリッシャーの収益がわずかに減るだけかも知れず、まったく同じ破滅を導く指輪を持ってるわけではないことは明確だ。

「簡単に言えば、この調査は指摘されてきたものの実証的な確認がほとんどなされていなかった広告エコシステムの一部の、最初のデータポイントを提供するものです。結果として、これはデータの流れからどのようにして価値が生み出され、さまざまな株主に配分されるのかを透明化する必要性を強調するものとなりました」とAcquisti。この調査結果は、広告市場全体と照らし合わせて読むべきだと総括している。

この調査の反応を聞くべく、広告業界紙IABのCEOであるRandall Rothenberg氏にコンタクトをとったところ、彼はデジタルサプライチェーンは「あまりにも複雑で、不透明すぎる」ことに同意した。さらに、ターゲッティング広告が生み出す価値のうち、パブリッシャーに渡る量が比較的わずかであることに懸念を表明していた。

「身元不明のパブリッシャー1社の1週間ぶんのデータでは、予測可能な調査材料にはなりません。それでも、この調査は、ターゲッティング広告がブランドにとって膨大な価値を生み出すことがわかりました。この匿名のパブリッシャーが競売にかけた広告の90%以上が、ターゲッティング付きで購入されています。しかも広告主は、その広告に60%増しの特別料金を喜んで支払っています。しかし、その価値のほんのわずかしか、パブリッシャーには流れません」と、彼はTechCrunchに語った。「IABがこの10年間訴え続けてきたとおり、デジタルサプライチェーンはあまりにも複雑で、不透明すぎます。この価値の格差は、透明性の大切さを明らかにしています。そうすることで、パブリッシャーは、自分たちが生み出した価値から恩恵が得られるようになります」。

報告書では、アプローチの制限と、追加調査のアイデアについても論じられている。たとえば、クッキーの価値が、そこに含まれる情報の量によって変化する問題だ(これに関して、彼らは初期の発見についてこう書いている。「情報をほとんど含まないクッキーと情報をある程度含むクッキーとを比較したとき、情報は(パブリッシャーの観点からは)非常に貴重であるかに見える。しかしある時点から、クッキーに情報を追加してもパブリッシャーにとっての価値は高まらなくなる」)。また、「クッキーの有無が競売に変化をもたらす」仕組みの調査だ。広告の競売の力学と潜在的メカニズムの働きを解明しようというものだ。

「これは、ひとつの新しい、そして便利であって欲しいと願うデータポイントです。他の人たちの追加調査を必要とします」とAcquistiは、締めくくりとして私たちに話した。「調査活動の鍵は、積み重ねによる進歩にあります。より多くの調査研究が発展的に追加されることで、問題の理解はより深まります。この分野での研究が進むことを楽しみにしています」。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

個性豊かな新世代のデジタル分析ツール6選

サイト解析ツールといえばGoogle Analyticsに始まり、Omniture、SEOでお馴染みのGINZA METRICSなどウェブマーケッターであれば誰でも知っているようなツールが多数存在しますが、米国ではより高度な分析機能に特化した新時代のデジタル分析ツールが続々と登場しているようです。今回はそんな中から、特に厳選した6つのツールを紹介した記事を。どれも個性に溢れる使い方によってはあなたのウェブマーケティングのレベル数段アップさせるかもしれないものばかり。 — SEO Japan

The New Generation Of Digital Analysis Tools

新世代のデジタル分析ツールが次々に登場している。この世代のツールは、スピードを重視し、顧客のデータを統合する機能に秀でている。典型的なツールを使った結果、レポートや分析データが混乱を生じさせているなら、中断し、これから紹介する新しい6つの分析ツールをチェックしてもらいたい。

Heap Analytics

「何もかも手に入れる」がHeap Analyticsが掲げているテーマである。タグの管理と同様に、サイトに少量のコードのスニペットが加えられる。すると、多くのデータがなだれ込んでくる。このデータは、イベントフィードとして、未加工の状態でもたらされる。全てのクリック、タップ、スワイプ、ページが記録される。このようなアクションは、「Facebook いいね!」や「Twitter フォロー」等に分類される。そして、イベントが組み合わされ、スーパーイベントが生成されることもある。例えば「Facebook いいね!」と「Twitter フォロー」を含む「ソーシャルアクション」はスーパーイベントに該当する。

データが「適切」に取得されなかった場合、再び分類が行われる。分析のQAを待つことなく、新しいページもその都度送られてくる。しかし、Heaps Analyticsの本当の実力が発揮されるのは、イベントが特定された後である。

ページビューでデータを分類するその他の分析ツールとは異なり、Heapは、まず、ビジターによる整理を行う。ビジター IDが指定されていない場合は、独自のビジター IDを用いる。続いて、「フォームの一部を入力したユーザー」等の区分が特定され、区分に該当する個人がリストアップされる。さらに、それぞれの顧客に関連するイベントストリームが、IDに加えられ、決定した区分に該当する場合、それぞれの顧客が辿ったルートを簡単に確認することが可能になる。

Heapは、ユニークビジターの人数に応じて、価格が変わるシステムを採用している。50万人のユニークビジターを調査する場合、約2000ドル/月が必要になる。heapanalytics.com/

Lytics.io

Lytics.ioは、全ての顧客データを結びつけ、区分を厳格に絞り込み、その他のマーケティングツールに力を与える。Lyticsは、Eメールアドレスやウェブログ等の少量のデータから着手し、その後、独自のマッチングテクノロジーを用いて、Rapleaf、Facebook、そして、キーワードの検索データを、外部データソースとして使い、顧客の記録に色を塗っていく。最終的に、明確な顧客像を用いた「黄金の顧客記録」が作成される。

一連のルールを介して、Lyticsは、Eメールの送信、メッセージの投稿、さらに、顧客への接触を誘発する細かい区分を生成する。顧客記録には、インターネットを頻繁に利用する時間、位置、頻繁に利用するデバイス、関心、年齢層、そして、心理学的属性のデータが含まれる。

Lyticsの価格は、初期のモデルにおいて約5000ドル/月に設定されている。lytics.io

Nectar

Nectar Online Mediaは、ソーシャルメディアのストリームを統一することでもたらされる「ハイパーパーソナライゼーション」に特化している。また、Nectarは、データを一体化して顧客を総合的に見るだけでなく、顧客を最高のタイミングで行動してもらうことを意図した、スピーディーなトリガーの実施を目標に掲げている。

例えば、販売しているカメラの様々なモデルを展示するページをAさんが閲覧しているとする。Aさんは、特定のモデルを入念にチェックした後、購入せずにサイトを去った。

AさんのFacebookのストリームからデータを確認したところ、イベントが近づいていることが判明した…カリブ海にバカンスに行くようだ。そこで、AさんのFacebookのニュースフィードに100ドルを値引くクーポンを投稿した。次にリマーケティングの手法を使って、Aさんがウェブを利用する際に、カメラと付属品の広告を表示させる。これが、ハイパーパーソナライゼーションである。

Nectarの価格は公表されていない。nectarom.com

Infogr.am

良いか悪いかは別として、見やすさを意識してデータを表示すると、読む量、そして、取り込む量を管理することが出来る。しかし、分析の知識を持つデザイナー、そして、反対に、デザインスキルを持つ分析のエキスパートは少ない。ここで、Infogr.amが役に立つ。

Infogr.amは、既製のインフォグラフィックのテンプレート、そして、カスタマイズ可能なグラフィック、ワードクラウド、そして、アイコンを持つオンラインシステムである。自分のグラフィックと動画をアップロードし、エンベッドすることも出来る。

Infogr.amのシステムは、とても分かりやすい。データを既に用意しているなら、5-10分もあればインフォグラフィックを作ることが可能だ。しかも、その大半は、各種のカスタイゼーションの選択肢を調べることに費やされる。Infogr.amは、静的なシステムであり、インフォグラフィックを投稿したら、数字に手を加えることは出来ない。また、大量のデータを掲載するケースには向いていない。しかし、注目を集めることを目指した有益なサマリーを提供するなら、うってつけのサービスとなる。

Infogr.amは無料版を提供しているものの、テンプレートの選択肢を増やしたいなら、12ドル/月のプロ版の購入を検討しよう。infogr.am

Insight Rocket

Insight Rocketは、自動のマルチチャンネルでのストーリーテリングを可能にする。これは、Tableauのレポートの長所と柔軟性に、主張する力を組み合わせたツールである。Insight Rocketは、スタッツを異なる経緯で解釈する、例えば、ブランドやコマース等の複数のチームを擁する大きな企業に向いている。同じ計測基準を全チームが用いる状況が理想だが、これは稀なケースである。管理するデータを「真実」として表に出す前に、社内で連絡を取り、合意を得る必要がある。

さらに、Insight Rocketには、データの分類を支援する強力なデータ統合チームが控えている。つまり、データが組み合わされ、Tableauのレポートが実施された後、分析スタッフは、自由にデータを研究することが出来る。有益な情報が見つかると、ストーリーのように配信され、Eメールやイントラネットシステムに送り込むことが可能である。その上、ストーリーを踏まえた質問および回答を提供する機能も用意されている。

Insight Rocketの価格は、2000ドル – 10,000ドル/月に設定されており、データのソース、および、必須のサポートに応じて変動する。insightrocket.com

Beyond Core

Beyond Coreは、データ分析の新しい領域を切り開くツールである。真のデータサイエンスの方法、機械学習、そして、自動作成動画を組み合わせている。Beyond Coreは、分析のビギナー、そして、一流の分析のエキスパートに対して、多くの機能を用意している。

ビギナー、または、分析を専門としていないユーザーに対しては、分かりやすいアドバイス機能を提供している。データがシステムに読み込まれると、ユーザーに代わって、マシンが、特に興味深いデータで表を作成する作業を担当し、*その後*、要点を2分間で説明する自動のインテリジェントな動画ナレーションを提供する。分析データを解釈することが出来る人材はほんの一握りしかいないため、このツールは非常に有益である。データの意味を同じ関係者に何度も説明したことがある分析家なら、情報を自動的に送るこの機能を大歓迎するはずだ。

また、Beyond Coreは、高度な分析の取り組みにも対応している。このシステムはHadoopをベースとしており、サンプリングを行うことなく、(数週間ではなく)たった数時間で大量のデータ列を処理することが出来る。データがロードされると、分析担当者は、システムが最適化する列を選択する。その後、計算が始まり、数字を増やす要因が表れる。明らかな答えが表れたら(例えば、保険に加入していない大勢の患者が、病院の費用を上昇させているケース)、当該のグループを排除し、再び分析を行おう。2度目の分析では、より深い相関関係が浮上してくる(分析のやり直しには、通常、数週間を要する)。さらに、多数の変数を加えることが可能であり、初期の変数の選択に対する偏りを取り除くことが可能である。

Beyond Coreはセルフサービス形式のツールであり、価格は500ドル/月~に設定されている。beyondcore.com

ビッグデータ革命は、デジタル分析のスピードとツールに多くの変化をもたらしている。企業の重役陣は、分析スタッフが明らかにするソリューションをまだ知らない。この活躍により、分析の担当者はヒーロー扱いされるだろう。

編集者記: サムネイルで利用した画像は、強力な視覚化ツールのCircosから借りた。


この記事は、Online Behaviorに掲載された「The New Generation Of Digital Analysis Tools」を翻訳した内容です。

「アクセス解析」という言葉が死語に聞こえるハイレベルなツールばかりでした。どれも使いこなすにはそれ相応のマーケティングの知識と経験が求められそうですが、臆せず活用していけば、ウェブマーケティングの効果を劇的に改善できる可能性を秘めていそうですね。あ、もちろんデータアーティストもお勧めです! — SEO Japan

5歳の娘にもわかるDMP講座

フリークアウトやVOYAGE GROUPの上場等でさらに盛り上がってきた日本のアドテク業界。これからさらにブレイクすると思われているのがDMPですが、データマネッジメントプラットフォームの略語であり「データをマネッジするプラットフォームなんだろうな」と何となく想像がつきつつも、具体的に何の役に立つのかピンと来ていない方も多いのではないでしょうか?テクニカルな説明になると一気に理解するのが面倒になってくるDMP、今回はお子様にもわかるようにDMPについて説明したプレゼンテーションファイルを紹介します。 — SEO Japan

プレゼン作成者は以前から「猫」で説明するA/Bテスト・多変量テストなど、難しい話を初心者にわかりやすく説明するのに定評(?)のあるデータアーティストのミック氏。愛娘に語る愛に満ち溢れたDMP講座をご堪能ください。

ネタに終わらず意外とわかりやすかった、これまでDMPを余り理解していなかった人も一歩理解が深まった内容だったのではないでしょうか?!ちなみに愛娘シリーズはこちらの感動巨編ウェブマーケティング会社がサンタに手紙を書いてみたもおススメです。 — SEO Japan [G+]

ハーバード大学の研究報告:検索リターゲティングは検索広告とディスプレイ広告のギャップを埋めるか?

日本でも普及が進んできたリターゲティング広告。今回は特に検索リターゲティング広告に焦点を絞り、検索広告とディスプレイ広告のギャップを埋める存在としてその活用法を考えてみます。ハーバード大学の研究報告というこちらも気になる内容。 — SEO Japan

先日、ハーバード大学の経営大学院が、研究結果報告書「ディスプレイ広告は、検索に影響を与えるのか?アトリビューションとオンライン広告の仕組み」を発表した。この投稿では、報告書の詳しいデータと全ての調査結果を説明するのではなく、一部の結果に焦点を絞り、包括的なテーマを見ていきたいと思う:

  • 検索リターゲティングが、検索とディスプレイのギャップを埋める仕組み
  • ディスプレイ広告の予算を効果的に使って、検索リターゲティングを活用する方法
  • 検索とディスプレイにおける予算調整のリスクを検索リターゲティングが最小限に抑える仕組み

この報告者の中で、研究者は「ディスプレイ広告と検索広告に1ドルを投資すると、ディスプレイ広告では$1.24、検索広告では$1.75の利益になる。その結果、検索広告の予算の割合が36%を増え、その煽りを受けて、ディスプレイ広告の予算が削減された」と指摘している。

SEM vs Display ROI
研究者は、この調査の限界を理解しているものの、この結論は妥当だと思える。しかし、ディスプレイ広告とSEMの関係、とりわけ、銀行のみを対象としている点を考慮すると、過剰に簡略化していると言わざるを得ないだろう。

検索リターゲティングはキャンペーンのパフォーマンスの効果を最大限に高める

これはマーケッターにとって、最善のアプローチとは言えない。事実、この調査結果は、検索リターゲティングを使って、ディスプレイとSEMのパフォマーンスを最大限に高めるポテンシャルを強調している。 ディスプレイ広告は、検索を促し、その結果、検索のクリック率を高めることは、周知の事実である。この調査もまた、「ディスプレイには、検索を介したコンバージョンを高めるだけでなく、検索の訪問およびクリックを促す効果がある」と指摘している。

ディスプレイ広告の予算を効果的に管理する取り組みは、個人的には、難易度が高いと思う。ディスプレイ広告から、どれぐらいの予算を検索に移せばいいのだろうか?ディスプレイは、検索のコンバージョンにプラスの影響を与えるため、マーケッターは、SEMキャンペーンへの逆効果を考慮し、ディスプレイから必要以上に予算を奪わないように注意する必要がある。この問題を解決する上で、役に立つ可能性があるのが、検索リターゲティングだ。

検索リターゲティングは、ディスプレイ/検索のギャップを埋め、検索とディスプレイの予算を大幅に変える必要もなく、また、そのリスクを冒すこともなく、ディスプレイ広告の予算を遥かに効率的に使う機会をもたらす。

まず、マーケッターは、現在のディスプレイ広告の予算の一部を検索リターゲティングキャンペーンに移し、ディスプレイによる検索へのプラスのインパクトを確認するべきである。SEMキャンペーンを展開していない、関連する製品の検索を行っている消費者を獲得しているなら、当該の消費者をファネルに導いていることになる。

ディスプレイの予算を検索リターゲティングに移す

この取り組みは、次の2つのルートで、広告への投資の効率を改善する可能性がある:

  • SEMキャンペーンの範囲外の関連する製品やキーワードで検索を行っている消費者にディスプレイ広告を表示させることで、マーケッターは、ブランドの認知度を高め、当該の製品に対する検索を消費者に継続させることが出来る。

例えば、消費者がFord SUVに対する検索を行い、検索リターゲティングキャンペーンを通して、Toyota SUVの広告が表示されたと仮定する。これは、前回の記事で紹介した、ディスプレイ内のキーワードが拡大されており、SEMの範囲を超えているものの、マーケッターの製品に関連しているケースに該当する。

  • ディスプレイ広告は、マーケッターの製品に対する検索を行った消費者に表示される。その結果、ディスプレイキャンペーンのクリックスルー率を高める可能性がある。

例えば、この調査結果報告書では、「checking account」を検索し、キーワードベースの検索広告を見たものの、ディスプレイ広告が表示されなかったために、クリックしていなかった銀行の消費者に対して、ディスプレイ広告を見せると言う例が挙げられていた(検索のクリックを大幅に増やす可能性がある)。ディスプレイ広告を直接クリックする、もしくは、検索を促し、数日中にSEMを介したコンバージョンをもたらす可能性がある。

検索とディスプレイのギャップを埋める

ハーバードの報告書は、ディスプレイ広告が検索に影響を与える点、そして、キャンペーン全体において、大きなメリットを持っている点を完全に軽視しているわけではないが、パフォーマンスとROIを改善するためには、ディスプレイの予算を検索キャンペーンに移す方針が、解決策だと示唆している。

個人的には、完全にディスプレイの予算を移すのではなく、検索リターゲティングを用いて、両者の穴を埋める取り組みを薦める。こうすることで、ディスプレイ広告を自社製品、または、関連する製品に関心を持っている消費者に表示し、早い段階でコンバージョンファネルに消費者を導くことが可能になる。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「How Search Retargeting Is Bridging The Gap Between Search & Display」を翻訳した内容です。

リターゲティング広告に取り組んでいる方には興味深い内容だったと思いますが、それ以上にトップ大学がこういったネット広告界隈の研究に積極的に取り組んでいることに一層の興味が湧きました。私が関わっているデータアーティスト社でも大学との共同研究を行っていますし、いつか興味深い調査結果の報告ができればと思います。 — SEO Japan [G+]

最新の調査で判明したリターゲティングの現状を示唆する5つのポイント

定期的にリターゲティング広告の話題も紹介しているSEO Japanですが、昨年辺りから日本でもリターゲティング広告が急速に普及してきた気が、1ネットユーザーして感じます。今回はリターゲティング広告の普及では先を進む米国ネット広告市場から最新のリターゲティング広告事情を紹介。基本的な米国リターゲティング広告の状況を理解するのにちょうどよい記事です。 — SEO Japan

現在、リターゲティングが大きな注目を集めている。以前のインターネットの行動を基に、消費者に広告を提供するこの手法は、その他のオンライン広告とは一線を画すメリットを持ち、その効果は実証されている。しかし、リターゲティングの宣伝を耳にしたことがある程度なら、リターゲティングの真実やデータを知れば、大きな衝撃を受けるはずだ。Chango社は、ディスプレイリターゲティングのバロメータ調査: 2013年第3四半期版を行い、米国、カナダ、そして、英国の様々な業界に属する300社近くのメディアバイヤーにリターゲティングの利用に関する質問を投げかけ、信頼のおけるデータを獲得した。それでは、この調査で浮かび上がった5つの重要なポイントを紹介していく。

1. リターゲティングへの支出は想像以上に早いペースで増えている

2年前に行われた同様の調査では、参加者の半分近くが、リターゲティングキャンペーン用に新たなに予算を割り当てたと答えていた。2013年の始めに行われた調査では、新たに予算の枠を作ったマーケッターは17%に減少した。最新のバロメータ調査では、8%にまで落ちている。これは大きな減少であり、現在、マーケッターの20%がリターゲティング専用の予算を用意している点と併せて考えると、さらに衝撃は大きくなる。

linkedin barometer 01 Retargeting: 5 New Statistics That May Surprise You

2. リターゲティングがメジャー化

マーケッター達がリターゲティングの予算を計上している点は分かったが、キャンペーンで中心的な役割を担っているのだろうか? この質問の真相を探るため、バロメータでは、それぞれの会社において「リターゲティングが通常の取り組みになった」と言う指摘を評価してもらった。5.0が「その通りである」を表す中、マーケッター達は3.98と評価していた。

Words Used to Describe Retargeting Retargeting: 5 New Statistics That May Surprise You

3. FBXはリターゲティング革命の中で大きな役割を担っている

リターゲティングに対するフェイスブックの答え、つまり、フェイスブックエクスチェンジ(FBX)がローンチされたのは2012年の12月であった。しかし、既にこの業界では重要なプレイヤーとして認められているようだ。56%は、FBXを利用するリターゲティング戦略の一つとして挙げていた ? ちなみに前回の調査では、41%であった。

4. リターゲティングは様々なメリットを持つ

マーケッターがリターゲティングを利用する仕組みをより深く理解するため、この調査では、先程と同じ5段階評価で、「リターゲティングは複数のメリットがある。消費者をウェブサイトに戻すだけではない」と言う指摘を評価してもらった。すると、平均で3.98と言う評価になり、大半のマーケッターが、サイトリターゲティングは、リターゲティング全体のメリットの一部に過ぎない点を理解していることが明らかになった。

Retargeting Budgets Will Increase Retargeting: 5 New Statistics That May Surprise You

5. リターゲティングは完璧ではない

リターゲティング広告は、たった数年の間に大幅に支持者を増やすことに成功したものの、まだまだ進化する余地は残されている。とりわけ、一部のマーケッターは、統合することに苦戦している。30%近くのマーケッターは、リターゲティングを採用する上で、その他の広告との統合を難点として挙げていた。また、最高の計測モデルとアトリビューションモデルを今でも探していると指摘したマーケッターもいた。

皆さんは、リターゲティング戦略を採用し、マーケティングの取り組みを後押ししているだろうか?


この記事は、Convince & Convertに掲載された「Retargeting: 5 New Statistics That May Surprise You」を翻訳した内容です。

なんというか、思った以上に基本的すぎて「はぁ、そうですか」としかいえないような内容でしたが・・・汗、普及が進んでいることだけは確かなようですね。最後にもあるように、他のマーケティング手法と融合し効果的に活用することはまだまだ課題であるようですが、日本でも今後さらに利用が進んでいくであろうリターゲティング広告、その進化に引き続き注目です。 — SEO Japan [G+]

1つのグラフに見るRSSの死

Googleリーダーの終了まで一か月少しとなりました。当初は多くの批判を浴び、延命を願う署名運動も行われていましたが、世の中の流れには逆らえないのか、Feedlyの性能が思った以上に良くて皆が満足してしまったのか、単にRSSリーダーを使う人が減っているのか、特に問題もなくこのまま終了&フェードアウトしそうな雰囲気です。今回はそんなRSSの現在を、とあるグラフから眺めてみた雑感をアンドリュー・チェンが語ります。 — SEO Japan


“RSS”のGoogle Trendグラフ ー悪い知らせ

最近私は、自分の全てのRSSリーダーをEメール購読に移行することに関してブログ記事を書いたのだが、直ちにそれに対する30件以上の否定的なコメントをもらった。明らかに、それは琴線に触れたのだ。私は今も自分が言ったことを信じているので、ここでそれを裏付けるいくつかのデータと根拠を紹介する:

RSSは廃れつつある

最初に、上の画像は、過去数年間にわたる“RSS”のGoogle Trends検索である。それは、どれくらいの人がGoogleでRSSを検索しているかを教えてくれる。私にとって、それは、消費者対応テクノロジーとして長年関心が薄れていることの表れだ。長期的なトレンドとしてそれに賭けたいブログはあるだろうか?差し迫るGoogle Readerの停止と組み合わせると、RSSリーダーを使用している多くの人達が、代替品に乗り換えるよりも全く使用しない方に移行するであろうことは推測できる。確かに、いつだってフィードリーダーを好む少数派は存在する。しかし、最終的にはRSSはメインストリームのテクノロジーというよりはQRコードやSegwayのようになるだろう。

突き詰めると、RSSはずっと存在し続けるが、コンテンツサービスは双方向性があり互いに話し合う手段になるだろう―あなたは、FlipboardやZiteのような場所で自動的に出現するランダムなブログを目にすることになる―しかし、人々が小さなオレンジ色のRSSボタンを見てそれをクリックするという考えは見込みがない。(ちなみに、“google reader”で検索した結果も良くない)

RSSには返信機能がない

ライターとオーディエンスの双方向性は、ブログを持続することの最も実りある側面の1つだ。RSSはコンテンツを提示する異なる手段として作られ、アイデンティティや双方向性を持たない。Eメール購読(およびTwitter)の一番良い点は、誰が自分の作品に興味を持ったかを実際に見られることだ。彼らに接触してフレンドリーな会話を始めることさえできる。私のキャリアにおける一部の最も重要な関係は、EメールやTwitterを介して作られてきた。

私がEメールを重視しRSSから切り替えたのも、私の望みがオーディエンスとの双方向性のレベルを高めることだったからだ。今、このやり方では、もしあなたが何らかのEメール投稿に返答をすると、それはフィルターにかけられず私の受信箱に直接入ることになる。もっといいことに、私たちは知的な会話さえするかもしれない!

RSSから立ち去ることがより良いコンテンツを導く

フィードバックのループは、どんな種類のコンテンツが自分のオーディエンスの共感を呼ぶのかについてあなたにイテレートさせてくれる。ライターは、自らのライティングを向上するためにフィードバックのループを必要とする―新しい文章が私の読者にメール送信されるたびに、私はたくさんのフィードバックを獲得する。私は、正確に誰が、どれくらいの人が購読を止めたかを知っている。私は、Eメールを書くことによって彼らに理由を尋ねることができる。さらに私は、どれくらいの新しい人達が購読をしたかを知っていて、時々、彼らのメールアドレスのドメインを見て、彼らが法人なのかスタートアップなのかVCなのかなどを把握する。このような詳細が、私がより良いコンテンツを書いたり、自分のオーディエンスのことを知るのに役立つのだ。良いことだらけだ。そして、明らかに、RSSはコンテンツが全てであり、このようなフィードバックは持たない。

消費者が、“統合された”読者に移行している

RSSの興味における否定的な傾向と関連して、消費者は代わりに他のプラットフォームを採用している。RSSリーダーは、異なる時代に発明されたものだ。Blogger、TypePad、WordPressは、私たちがブログネットワークをたくさんの独立型ウェブサイトとして、つまりインターネットのように分散的に考えていた時代に作られた。しかし、今日の消費者は、フォローしたり、フィードを見たり、コンテンツを作成したりするのを全て同じサイトでできることを好むようになっている。これが、TwitterやInstagramやTumblrのフィード指向のホームページの中核であり、これらのより統合されたプラットフォームが勝利を収めたのだ。

Eメール購読者はRSSリーダーよりも2倍アクティブ

私が気付いたもう一つのことは、Eメール購読者は、より粘り強くよりアクティブであるということだ。私のブログからの個人的なデータからは、私は理論的にはEメールよりも5倍多くのRSS購読者を持っているが、トラフィックの観点からは、大量のRSS購読者がその数字を埋め合わせているわけではない。Eメール購読者あたりで計算すると、RSSからリンクをクリックしている人々のアクティビティ率の約2倍獲得している。

そこで、とても実用的な質問になる:ブログが未来のコンテンツのためにユーザー購読を促す際、あなたは何を利用すべきなのか?RSSなのかEメールなのか?その答えは簡単だ、Eメールを選択せよ。言い換えれば、RSSを採用するには、Eメールと同じアクティビティレベルを獲得するために従来の2倍コンバートする何かが必要となる。市場サイズとRSSに対する関心が次第に減少していることや、RSSリーダーを使用しているのは少数派であることを考えると、あなたがどこに行くべきかはかなり明白であると思う。

RSSがデザインし直されるまで、繰り返し言うが、私はRSSを止める。そして、もしあなたもブログを持っているなら、これについて考えるべきだ。


この記事は、@andrewchenに掲載された「The death of RSS in a single graph」を翻訳した内容です。

メールがRSSの代替ツールになるかはともかく、RSSの現状と今後について考える上で色々な示唆を与えてくれる記事でした。記事にも取り上げられていましたが、ソーシャルメディアの普及に伴うこれまで以上の多種多様な双方向コミュニケーションの台頭がRSSの衰退に影響を与えているということはありそうですね。

RSS Readerという言葉の検索数もブログブームと共に2005年位までは伸びていますが、その後は失速していますし、一部の情報収集マニア?を除くとブログやニュースソースを個別に登録して日々情報収集するというようなRSSリーダーを活用した情報収集行動はイマイチ普及しなかったのですかね。情報もより多様化・分散化、そしてさらにリアルタイム化している今、RSSリーダーで情報を追う行為自体(情報を消費するのもそうですが、それ以前の情報ソースの選択&常にアップデートし続ける行為も)は、今の時代の流れには即していないのでしょうか。世の中的にもFlipboardなりGunosyなりシンプルなダッシュボード的インターフェースでその日の(コンピュータが勝手に選んだ)自分の興味にあった関連ニュースを厳選して見る、という種類のサービスが人気です。

もちろんフォーマットとしてRSSは残リ続けると思いますが、人々の情報収集の形はRSSやRSSリーダーを超えて今後まだまだ進化していくのでしょう。 — SEO Japan [G+]

ロボットは人間よりも優れたマーケッターになれるのか?

アドテクノロジーの進化で機会化・自動化が進むインターネット広告の世界。検索広告の入札管理はもちろん、キーワード選定からディスプレイ広告の運用までその範囲は拡がっています。「そんなこといったって人間しかできない作業はあるだろう」と高を括っているあなた、現時点でもアドワーズ広告からFacebook広告までネット広告のかなりの部分が人の手をほぼ介さないプログラミング管理である事実は認識しているでしょうか?そしてアドテクノロジーの進化はまだその入り口でしかありません・・・。広告、そしてマーケティングの未来を考える記事を。 — SEO Japan

人類はかつてないほどに今日の広告を複雑にしている。

意見、アイディア、クリエイティビティが、より良い広告主は誰なのかを見つけ出す戦場に溢れかえっている:人間?それともロボット?これは、マッド・メンターミネーターをミックスしたMad Magazineのパロディの一場面なのか?そうではない。長い間、マーケティング企業は、極めて戦術的で分析に基づいた問題を解決して存在してきた:どのようにしてGoogleAdWordsプラットフォームに最高の広告を構築するのだろうか?あなたの詳細な調査がGoogleで一番の広告主を暴く時、大抵の場合、あなたが発見することは、解決策として利用されている大量のテクノロジーであり、テキストベースの広告を作るのに使用されているクリエイティブな取り組みはとても少ない。それは、キーワード、場所、時刻、競争率の高い用語、トラフィックの高いランダムな用語、入札戦略、一番コンバートする(そしてコストは最も少ない)広告に絞るための他のさらに曖昧なデータポイントを混合する複雑なシステムだ。これらの広告の裏にいるブランドは、クリエイティブな方面はほとんど気に掛けず、それが生きた入札環境の中でどのように反応しているかについて気に掛ける。Facebookは、2012年には広告に45億ドル近く出した(信じられるか?)。そして、Business Insiderの記事『How Facebook Is Replacing Ad Agencies With Robots(どのようにしてFacebookが広告代理店をロボットに置き換えているか)』によると、その仕事のかなりの部分が、クリエイティブなディレクターや、広告代理店、さらには人間の手によるものではない。この記事からの抜粋:“プロのエージェンシーのクリエイティブがほとんど関わっていない広告がこんなに多く表示されているのはかつてないことだ…。エージェンシービジネスの中では、それらの広告は、かつて新聞に登場していた古い案内広告の代わりとして見なされている。”

他の側面がある…

同時に過去10年以上にわたるソーシャルメディアの人気は、今日のひどく中抜きされたメディア飽和状態の環境において注目とエンゲージメントを獲得する唯一の方法はできる限りブランドを人間および人間味のあるものとして作ることだと、ブランドを納得させようとしてきた。このトピックに関する影響力の大きなビジネス本、『クルートレイン・マニフェスト』(初版1999年、日本語で一部読めます)は、“マーケットとは会話である”と言った。ブログ、ポッドキャスト、Twitter、Facebook、YouTubePinterest、その他あなたが思い付くあらゆるチャネルを介して、ブランドは顧客と繋がり、これらの会話と意義のある関係の中で顧客に関与することができる。では、それはどのようになっているのか?私たちは、13年に及ぶソーシャルメディアの商業化にだんだんと迫っており、それを用いて見事に成功したブランドもあれば、投資に対する真の利得を見つけることに苦しんでいるブランドもある。メディアの原動力としてコンテンツを作ることや、それがどのように直接的な反応の原動力に変わるのかを見つけ出すことには複雑さがある。ソーシャルメディアマーケティングにおける現在のイテレーションは、“コンテンツマーケティング”に吹き替えられている。一方で、今でも従来の広告収入もしくはブランドからの収益を得ることを求めているデジタルオンリーの新加入者からの出血を止めようとしているパブリッシャーは、可能性のある広告収入としてネイティブ広告の方を向いている。ソーシャルメディアであるにしろ、コンテンツマーケティングであるにしろ、ネイティブ広告であるにしろ、これら3つ全ての発生地は、ブランドのためにたくさんの手間暇を必要とする。これらは、素早く簡単に勝利する特効薬ではない。どんな形のコンテンツ戦略も、時間と、努力と、継続したメンテナンスを必要とする。多くのブランドにとって、昔のマスメディア広告の世界ではする必要がなかったことだ。

このストーリーの3つの側面

1つの側面においては、私たちには、クリエイティビティよりもテクノロジーによって自動化され動かされる新しい形のパフォーマンスベースの広告があり、そこではスピードとリアルタイムの反応がブランドのパフォーマンスにおいて必要不可欠な要因となる。その一方で、私たちには、コンテンツマーケティングとネイティブ広告がある。それは、コンテンツ、共有、ソーシャルチャネル、ブログ記事やYouTube動画が口コミで広がるのに似たような反応を生み出すものによってもたらされる。これによって、戦略を作り、広告をデザインし、広告を配置する一番良い場所を現実とバーチャルの両方で見つけ出す人々はどうなるのだろうか?マーケティング評論家は『顧客は広告を求めているのではない、会話を求めている』というタイトルの記事を発行するが、私たちが生きている世界では、これらの見境のない一般化はこの新しい消費者を反映していないかもしれない。極めてはっきりしていることは、広告が、宣伝チャネルの真ん中に滑り込んでいくということだ。それは、もはやマーケティング・ミックスの中の800ポンドのゴリラではない。これは、“ビッグ・アイディア”の終わりを告げるわけでもないし、現在たくさんの賞を獲得している広告代理店が近いうちに扉を閉めることになることを意味するわけでもない。

広告はどうなるのか。

私たちに分かっていることは、今日の本当に効果的な広告代理店は、テクノロジー、パフォーマンス、コンテンツ制作、その他を連動して活用しているということだ。それらの言葉をスライドデッキの中にスラスラと書いて信用証明となるチェックマークを付けるのは簡単だが、実際に実施してその専門知識を発揮できるというのは全く異なる話だ。私たちは、リターゲティングとリマーケティングの世界に住んでおり、そこではユーザーは大半のオンライン行動履歴を追跡されるため、ブランドはユーザーの行動をより理解することができ、ユーザーが消費したコンテンツや閲覧した製品に基づいて広告を発信することができる。リターゲティングの取り組みの大部分は、クリエイティビティにはあまり頼らず、データや自動化サービスに多くを頼っている。それと多変量解析を結びつけると、さらに私たちは、クリエイティビティやビッグ・アイディアに欠けており、才能あるクリエイティブ・ディレクターは反対した立場を取るかもしれないが、最も優良な広告を作って提供することができる広告モニタリングテクノロジーの世界に踏み込んでいく。

広告の未来は、これら3つのストーリー(マーケティング自動化、コンテンツマーケティング、広告代理店が提供するもの)が、より大きくより幅広く経済価値をもたらすブランドストーリーを伝えることをどれくらい上手くやるかの競争になるだろう。


筆者について:ミッチ・ジョエルは数々の受賞歴を誇るカナダ発のデジタルマーケティング/コミュニケーションエージェンシー、Twist Imageの代表です。2008年にはカナダで最もソーシャルメディア上で影響力のある人物、そして40歳以下で最も有名な40人の一人、さらに世界で最も影響力のあるオンラインマーケッター100人の一人に選ばれました。著書である「Six Pixels of Separation」(Grand Central Publishing – Hachette Book Group)は、ビジネス/マーケティング書として英語圏で大ベストセラーになっています。ミッチのブログはこちらから。



この記事は、Six Pixels of Separationに掲載された「Do Robots Make Better Marketers Than Humans?」を翻訳した内容です。

最近流行のコンテンツマーケティングが広告代理店、ネイティブ広告がメディアを行きながらえせる手法として注目されているという観点は皮肉的でしたが、さてどう思われたでしょうか。逆にいえば、これまで人が行ってきた従来型の広告の大半はそのかなりの部分が自動運用化できるということでもありますよね。広告とマーケティングはまた違うだろ、という話もあるわけですが、ビッグデータ解析技術が進み、マーケティングの参考になる取得データが増え、そしてそれらを総合的に統合管理できるようになればなる程、プログラミングによる「あるべき広告展開と運用」「あるべきマーケティング戦略とアクションプラン」はある程度導き出されそうな気もするのもまた事実です。

グローバル企業のCMOが世界各国で日々取得、そして長年蓄積してきた膨大なデータを元に、日本のマーケティング責任者に「日本ではこういったマーケティング戦略を取れ。アクションプランはこう。」と具体的に細かく指示し、人間はそれを実行するだけ、なんて世界にも10年後にはなっていそうな気がするのも、想像するとちょっと怖いですね。人が発揮できるクリエイティビティは、クリエイティブやキャンペーンのちょっとした仕掛けのみ、なんてことになったらマーケッターの仕事は面白いのでしょうか。もちろんAppleのiPhoneなどゲームチェンジャー的な存在を築くには人の創造力がないとできないと思いますが(そうあってほしい)、滅多にそういうことがあるわけではないですし、Appleにしてもここまで圧倒的なブランドになれば逆に、マーケティングもプログラミング管理した方が失敗しない路線をきちんと進める方が確実かもしれませんし。

朝から色々考えてしまう記事でしたが、マーケティングや広告に関わる人の多くがどこかそのクリエイティブ性に面白さを求めている人も多いのではと思いますし、実際ウェブマーケティングや広告はクリエイティブ性の低さを既存メディアの人に揶揄されている現状もあると思いますが、さて10年後20年後には、そういった区別も無くなっていると思いますし、どんな世界が私たちを待ち受けているのでしょうか。 — SEO Japan [G+]

ディスプレイ広告にはディスプレイ広告、検索広告には検索広告の基準を

アドテクの進化で盛り上がりを見せているディスプレイ広告ですが、過去10年サーチに侵食されきった結果、多くのマーケッターが検索広告の延長線上でディスプレイ広告を理解・活用しようとしている人が多いようです。今回は、ディスプレイ広告を活用する際に考えるべきディスプレイ広告ならではの基準について、ディスプレイ広告の歴史から紐解いて考えてみた記事を。業界ベテランにも新人マーケッターにも興味深い記事です。– SEO Japan

1990年代が懐かしい – インターネットが登場したばかりで、IPOが容易に行うことが可能であり、CPMが50ドルに到達するのが普通だった時代だ。残念ながら、絶頂を極めた90年代が去り、ITバブルがはじけると、CPMは急激に下落していった。その結果、バナー広告、続いて、ディスプレイ広告が“消滅”すると推測する専門家が大勢現れた。しかし、幸いにも、ここ数年で事態は好転し始めている。

事実、ディスプレイ広告は、堅調に成長を続けている。先日ニューヨークで開催されたAppNexus Summitに参加したところ、フォレスターで主席アナリストを務めるジョアンナ・オコネル氏が、プログラマティックバイイング(註:いわゆるRTB取引全般)の収益は、2007年まで増加を続けるのではないかと推測していた。これは朗報だと言えるだろう。

CPMの平均値もまた上昇を続けており、最新のMediaPostの記事では、2017年までにCPMの平均は3.17ドルから6.64ドルに上がると推測しているフォレスターの見解が引用されていた。

もう少し深く検証してみよう。なぜ、CPMは上がってきたのだろうか?なぜ、ディスプレイは突然再び注目を集めるようになったのだろうか?この業界をリサーチすると、ディスプレイ広告が復活した理由が幾つか見えてくる。 – エクスチェンジが台頭し、マーケットの「安定感」が増した。新しいターゲティングの選択肢(消費者のプライバシーに関する懸念の影響を受けやすい)によって、大量のデータがエクスチェンジの構造に組み込まれた。このターゲティングの選択肢の登場によって、優れた広告主は、ターゲットのオーディエンスに接触する新しく、独自の手段を得た。

個人的には、- ディスプレイが検索とは異なり、同じ“クリック数”ベースの基準で測定するべきではない点を大勢のマーケッター達が理解するようになったことが、最も重要な理由だと思う。

検索の基準とディスプレイの基準の違い

検索マーケティングは、複雑なテーマであり、厳格な領域に発展した。キーワード検索マーケティングは、電話帳の広告によく似ている。1970年代では、会社を見つけたい時は、分厚い電話帳を調べるのが普通であった。電話帳に掲載する広告が大きければ大きいほど、より多くの電話がかかって来る仕組みである。電話の回数を記録することで、大きな広告のパフォーマンスを容易に調べることが出来た。売り上げにつながらなかった場合、広告を出した場所を誤ったか、あるいは、消費者への対応を誤ったかのいずれかが原因であった。

残念ながら、検索広告において単純な基準が採用されたため、大勢のマーケッター達が、ディスプレイベースの広告も同じ基準で計測するべきだと考えるようになった。しかし、このタイプのマーケッター達は、現在、ディスプレイの真価とは、接触、認識、そして、顧客を購入ファネルで動かし、最後まで進ませる力である点を理解しつつある。

通勤中に毎日目にする広告掲示板について考えてもらいたい – 電話帳の広告と同じ基準で掲示板の広告を計測するマーケッターはいないはずだ。メディアが異なれば、計測する方法もまた異なるのだ。

従来のメディアは、オーディエンスを最も重要視している – ディスプレイは、いろいろな意味で従来のメディアに似ていると私達は考えるようになってきた。検索リターゲティングを例にとって考えてみよう。この手法は、革新的なテクノロジーをベースとしたディスプレイターゲティングの戦略である一方で、非常にオーディエンスに焦点を絞った手法でもある。

過去7日間の私の検索履歴を見ると、海外渡航者、テクノロジーに詳しい消費者、さらには、自動車の購入を真剣に検討している消費者のカテゴリに当てはまる。新車、海外のホテルのプラン、そして、最新のアップルのガジェットの広告を掲載する完璧なターゲットだと言えるだろう。

しかし、大半のケースでは、広告を見せることで、消費者の行動を一度止めて、別の行動を取ってもらうことを目指すのは現実的とは言えない。同じように、テレビのCMの視聴者に対して、好きな番組の視聴を今すぐに止めて、行動を起こしてもらえるとは、スポンサーも期待していない。ディスプレイ、とりわけ、広告ターゲティングは、独自の基準で成果を計測するべきである。

ディスプレイの復活について考える時、ディスプレイが何をもたらしたのかを考慮するべきである。検索の直接的なレスポンスとも、広告掲示板や30秒間のテレビCMによる認知度を高めるタイプとも異なるものの、ディスプレイ広告は、急ピッチでこの2つの世界の長所を集めた広告になりつつある。ディスプレイは、認知度とオーディエンスのターゲティングに橋をかけ、広告業界を変えた広告と言えるだろう。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「What Does The Re-emergence Of Display Mean For SEM?」を翻訳した内容です。

若干、ディスプレイ褒めすぎな終わり方な気がしなくもないですが、インターネット歴10年以上のベテランマーケッターには懐かしいネット広告の歴史を再確認、新人ウェブマーケッターにはディスプレイ広告が今に至る過程を学べる良い記事だったと思います。後半書かれているディスプレイ広告のマーケティング手法はまだまだ試行錯誤の段階のものとは思いますが、技術の進化でこういうことが簡単に実現できるようになったのです。スマホなどモバイルデバイスも普及し、24時間体制で(流石に言い過ぎですが)ユーザーの生活を追うことができるようになった今日のデジタル社会。ディスプレイ広告の本格的な活用は始まったばかりです。 — SEO Japan [G+]

アクセンチュアのトップコンサルタントが語るデジタルマーケティングの最新トレンド

日本でもお馴染みアクセンチュアのグローバル部門でデジタルコンサルティングを担当指定しているコンサルタントに最新のデジタルマーケティングのトレンドについて色々聞いてみた気になる記事をAd Exchangerから。ウェブに囚われない上流レベルからの視点がウェブマーケッターにも新鮮であり勉強にもなります。 — SEO Japan

glen-hartmanアクセンチュア・インタラクティブのデジタルコンサルティング部門でグローバルマネッジングディレクターを務める、グレン・ハートマン氏は、テクノロジーとマーケティングの融合を目の当たりにしている。2013年になってさらに競争が激化する中、アクセンチュア・インタラクティブは、CMO(マーケティングの責任者)が変化する課題に取り組む上で支援する活動に焦点を絞り、クライアントの規模に合わせた適切なデジタルマーケティングを策定している。

「適切なメッセージを提供する取り組みは、素晴らしく、また、重要であり、ブランドに対して、または、製品のローンチに対して、キャンペーンベースでこの取り組みを実施することが可能な企業が数多く存在します。しかし、規模に合わせてこの取り組みを実施する必要があるのです… これは大きな問題であり、顧客がマーケティングサービスのプロバイダーに求めている点です。」とハートマン氏はアドエクスチェンジャーに述べている。

2013年が幕を開ける中、どのようなマーケティングおよび広告のトレンドが現れていますか?

グレン・ハートマン: マーケティングが成長している点が、色濃く表れています。「マーケティングの4つのPを見つける取り組み」が最も重要視される時代は、幕を閉じました。CMOの課題は拡大しています。今後数年間で、CMOがCIOよりもテクノロジーに多くの資金を投じるのではないかと言われています。メディア、データを介したクリエイティブ、分析、そして、テクノロジーの集中が進んでおり、この集中に対処することで、マーケティングはテクノロジーと表裏一体である – と言う新たな真実に向き合うことになります。

この取り組みは、消費者の経験、そして、消費者がブランドと交流する仕組みを中心に据えて動いています。今までとは大きく仕組みが変わっているのです。一時的なキャンペーンを脱し、継続的なコミュニケーションを行うと言う考えが生まれています。また、エンゲージメントが、マーケティングのパフォーマンスと効果を計測する新たな手段として採用されているのです。

大きくトレンドが変化しています — 当たり前のことですが — モバイル、特にモバイルを避雷針のように用いて、全てのアイテムをまとめるトレンドが生まれています。キャンペーンから継続的な経験への移行に関するコンセプトにおいて、モバイルは原動力であり、欠かせない存在なのです。モバイルは、別のチャンネルとして扱うのではなく、このようなキャンペーンの拡大(または継続的な経験)を実現する上で貢献しています。

テクノロジーとマーケティングのコンサルティング業界は、Sapient、Cognizant、そして、WPP等の企業が投資を増やしていることもあり、競争が激化しています。2013年、このマーケットはどのように展開していくと思いますか?

とても興味深いです。CMOは、CFOに対して、どのように投資に対する利益を得るのか、そして、CEOに対して、どのようにビジネスのインパクトを与えたのかを説明する難題、さらには、テクノロジーのチームとCIOを結びつける難題を抱えています。また、以前は気にする必要も、解決する必要もなかった様々な課題が生じています。

そのため、CMO、ブランドマネージャー、そして、マーケッターは、新しいタイプのマーケティングサービスプロバイダーを探しているのです。私達が話題に取り上げているトレンド、つまり、データおよび分析を介したメディアとテクノロジーの集中に対処することが可能な会社やサービスが必要とされています。このような領域の中心に存在し、CMOが新しい課題に向き合うことが出来るように支援するサービスが求められているのです。

マーケティング戦略は、激増するデータソース – ソーシャル & モバイル – そして、このデータソースと店内の購入のデータ、販売地点管理のデータ、そして、場所によるデータの違いと相互参照する方法を理解する取り組みに焦点を絞っています。このデータ、そして、このデータを取り扱う分析サービスは、クリエティブおよびブランド戦略に力を入れていた以前のサービスの能力とは大幅に異なります。このような新しいサービスは、新しいタイプの基準の厳格さ、そして、この厳格な基準を支えるテクノロジーを必要としているのです。

親会社のテクノロジーサービスとの提携、または、買収や統合に注目すると、この業界が、クリエイティブのプロセスを理解する取り組み(重要)、テクノロジーサイド、そして、データと分析の活用の間の中心に向かって競争していることが分かります。割と複雑であり、このような — 3つ、もしくは、4つの領域を全て理解する製品の中心 — を提供することが出来るようになるのは、まだ時間がかかりそうです。

この統合を介して、そして、マーケットに参入するエージェンシーを介して、多くの会社が、独自のシステムを売り、独自のプラットフォームを作ろうとしています。これは良い傾向だと言えるでしょう。しかし、この分野では、クライアントに代わって、既に多くの投資が行われています。私達は、プラットフォームにとらわれないアプローチを中心に採用しており、また、既に行われた投資を活用することが出来るように、そして、無理強いするのではなく、クライアントに見合った最善のソリューションを特定することが出来るように、このようなシステムを詳細に調査し、専門的な見解を得られるよう努力しています。速やかに行動を起こしたいのなら、…既に投資済みの取り組みを足場とする手段を見つける一方で、この取り組みを革新する必要があるのです。

アクセンチュア・インタラクティブとして、デジタルマーケティングにどのように対処していますか?また、どのように企業名やブランドを宣伝していますか?

このビジネスに参入したのは、クライアントの要請がきっかけでした。クライアントは、アクセンチュアを熟知しており、アクセンチュア、そして、複雑なグローバルレベルのテクノロジーの問題を処理する私達のスキルを信頼しています。私達は、この評判に基づいて取り組みを行い、CMOが抱える課題に向け、この評判をマーケティングに活用しています。CMOが、徹底的なマーケティングソリューションの全て – 戦略、顧客分析、キャンペーン、先程取り上げたその他の全体的なチャンネル – にアクセスし、さらに、規模に応じて利用することが出来る手段を作り出す: これが私達にとっての大きな強みです。

アクセンチュアのルーツを考慮し、テクノロジーのプロバイダーと見られることが多いため、この点はなかなか伝わらないかもしれませんが、私達は以前からCMOと行動を共にしています。私達は強固なCRM、分析ツール、そして、顧客サービスを用意しています。 アクセンチュア・インタラクティブは、現在、メディアおよびマーケティングの支出を合わせると100億ドルを超えるクライアントを抱えています。これは、マーケティングの課題の最前線であり、アクセンチュアインタラクティブの成長の要素であり、CMOと共に前に進むため、力を入れている分野でもあるのです。


この記事は、AdExchangerに掲載された「Accenture Interactive On Convergence of Creative, Data, And Tech」を翻訳した内容です。

アクセンチュアの場合、規模の大きいグローバル企業、大企業がクライアントの中心とは思いますが、日本企業、中小企業でもエッセンスとしては全く同じ話だと思いますし、日本のウェブマーケティング会社、広告代理店も1サービスエージェンシーからステップアップするにはこういう思考と行動をしていくことが大事なのでしょう。 — SEO Japan [G+]

検索リターゲティングのよくある質問とその答え

今年のディスプレイ広告市場、進化するアドテクの力も借りて昨年以上に盛り上がるかどうか気になるところですが、サーチマーケッターが気になるメニューでいえばやっぱり検索リターゲティング。SEO Japanでも定期的に記事を紹介いますが、いまだによく分からないという人も多いと思いますし、今回は検索リターゲティングに関するよくあるQ&Aをまとめた記事を。 — SEO Japan

検索リターゲティングを数年前にマーケットに導入して以来、顧客候補が答えを求める質問に変化が見られるようになった。2年前、興奮と好奇心でマーケットは満ち溢れ、「どのような仕組みで効果を上げるのか?」、「どれぐらいコストはかかるのか?」、そして、「始めるにはどうすればいいのか?」を尋ねる声が多かった。

しかし、模倣する業者が買い手を混乱させたこともあり、質問は遥かに複雑化になった。採用曲線を進むにつれ、この傾向も続いていくと思われる。

基本的な質問以外にも、次の7つの疑問を問う人達が多い:

  • 検索データをどこで手に入れるのか?
  • グーグル SSLは影響を与えるのか?
  • サイトリターゲティング/リマーケティングと何が違うのか?
  • これは誰が買うのか ? 検索チーム?あるいはディスプレイチーム?
  • 検索リターゲティングは、ダイレクトレスポンスと同じではないのか?
  • 拡大することは出来るのか?
  • どのようなキーワードを利用するべきか?

検索のデータをどこで手に入れるのか?

これは慣れていない人が最も混乱する分野の一つである。通常、ベンダーは、複数の様々なソースを利用しているが、ソースは効果によって決まる。

Chango(チャンゴ)では、主なイベントのデータを利用するようにしている – これは「リファラー」データとも考えられ、ユーザーがグーグル、ヤフー!、あるいはビングで検索を行い、別のサイトに辿りついた際に手に入る。受け入れるサイトはリファラーのURLを見ることが出来るため、リファラーと言う用語が用いられる。

また、コードを発し、データの取得を支援するため、サイトのオーナーを金銭的に保証するパートナーシップも存在する。このパートナーシップはNAI(ネットワーク・アドバタイジング・イニシアチブ)の標準に準拠している。

ソースによっては何らかの提携企業を介して、検索が行われる度に検索履歴を入手するツールバーのデータもあれば、インベントリを率先して収益化する「三流」の検索エンジン、そして、その他の形式のソフトウェアも存在する。 

データによって重要度は異なるため、それぞれの状況で何が効果が高いかを分析し、当該のソースを利用する取り組みは容易ではない。

グーグル SSLは影響を与えるのか?

少しはあるが、たいして大きな影響ではない。検索リターゲティング業界の人間なら、この疑問への明確な回答は避けたいはずである。しかし、データへの影響はごく僅かであり、キャンペーンの規模に影響を与えるようなものではない。

サイトリターゲティング/リマーケティングと何が違うのか?

いまだにこの点を尋ねる人が多いことに、私は驚いている。しかし、この業界はとても狭いため、このようなひどい製品名をつけた責任を負わなければならない。

簡単に言うと、サイトリターゲティング(サイトリマーケティング)とは、サイトを訪問し、去った人達に広告を見せる取り組みである。つまり対象のオーディエンスは既存のビジターであり、既存の顧客である可能性もある。サイトリターゲティングには多くのメリットがあるが、このメリットとは、収益を上げるために既に資金を投じたオーディエンスから追加の収益を得ることである。

反対に検索リターゲティングは(適切に実施した場合)見込み客に焦点を絞っているツールである。検索リターゲティングの目標は、サイトにアクセスしたことがない新たなオーディエンス候補を探すことだ。

この点を理解してもらえたなら、サイトリターゲティングと検索リターゲティングが共食いしない点も分かってもらえるはずだ。事実、この2つのツールはお互いを補っており、同時に実施することが可能であり、また実施するべきである。検索リターゲティングは、新たなオーディエンスをもたらし、一方のサイトリターゲティングは、購入ファネルから出てきた際にコンバートしてもらうために存在する。

この違いをさらに理解する上で、「7種類のリターゲティング」(インフォグラフィック)と「リターゲティングを徹底解剖」(ホワイトペーパー)は役に立つはずだ。

これは誰が買うのか ? 検索チーム?あるいはディスプレイチーム?

素晴らしい質問だ。また、これは当初、誤って理解していた質問でもある。当時、検索リターゲティングは、SEMの分野にとって理想的なツールだと考えられていた。実際にキーワードをベースにしており、私達の多くが、検索マーケッターが影響力を高めると考える将来有望なRTB(リアルタイムビッディング)を利用し、パフォーマンス主導型であった。

現実には、検索リターゲティングは、基本的にディスプレイバイイングなのだが、検索マーケッターの心の中には精神的なわだかまりがあり、これが障害になっているように思える。

弊社のビジネスの約80%はディスプレイのバイヤー(エージェンシーと直接のクライアントを合わせて)、そして、残りの20%はSEMのチームから依頼される。双方のバイヤーはほとんど同じような行動を取るものの、どちらかと言えば、ディスプレイのバイヤーは、バイイングサイクルが短く、大きな予算を持つ傾向が見られる。これは「バナー」用の予算を既に得ているためだ。

検索リターゲティングは、ダイレクトレスポンスと同じではないのか?

同じではない。繰り返すが、業界全体で私達は命名に対する責任を負わなければならない – 「リターゲティング」さらには「検索」を何かに加えると、マーケッター達はすぐにダイレクトレスポンスを想像する。

検索リターゲィングの仕組みに注目してもらいたい – あらゆる行動メディアバイイングに共通することだが、特性ごとに適切なオーディエンスを特定する取り組みが最も重要視されている。

プレミアムネットワークから購入する場合、デモグラフィックかサイコグラフィックのことが多く、直接サイトから購入する場合、どんな人達がサイトに集まっているかが重要視される。検索リターゲティングにおいては、実際にユーザーが明言している興味とユーズに左右される。

一部のブランドのバイヤーはこの違いに気づき、大きく得をした – 影響を与えるべき適切なオーディエンスを4分の1のコストで見つけることが出来るにも関わらず、わざわざ25万ドルを購入につぎ込み、そのうち40%を損失する、あるいは、結果が読めないプレミアムのプレースメントに投資するのは理に適っていない。アーリーアダプターは大勝しており、その他の人達もやがてこの点に気づくだろう。

拡大することは出来るのか?

有難いことに、拡大することが可能だ。さもなければ私はイングランドに逃げ帰っている。検索リターゲティングが登場して間もないころ、スケールはデータへのアクセスおよびメディアへのアクセスによって制限されていた。進歩の過程で、この2つの問題は既に解決されており、150万ドル/四半期以上の契約を締結する小売業者も現れている。

メディアの観点では、全てのメディアエクスチェンジに結びつけると大きなアドバンテージになり、ユーザーの90%以上にアクセスすることが可能になる。また、RTBがメディアバイイングに占める割合は現時点では20%程度だが、今後の3年間で50%にまで増えると見られており、機会は右肩上がりに拡大していく。

メディアの質も変化している – 誰も欲しがらないような半端者ではなくなり、完全無欠のメディアに成長している。

どのようなキーワードを利用するべきか?

これは目標に大きく左右される。私達が実際に目にしている主なカテゴリーを挙げていく:

  • 既存のPPCキーワードリスト(通常はすべての製品およびカテゴリーの用語を網羅する)
  • コストが原因で、PPCの中から最適化されたヘッドターム
  • SEOのウィッシュリスト
  • 競合者のブランドおよび製品の用語

ここで答えが提供されていない質問がある場合

コメント欄で気軽に質問して欲しい。ここで遠慮なく質疑応答をすることも、あるいは、具体的な情報または公にしたくない情報について尋ねたいことがあるなら、直接連絡を取ることも可能である。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「The Most Frequently Asked Questions In Search Retargeting」を翻訳した内容です。

私もこの記事を読んで検索リターゲティングに対して中途半端に理解していた部分が明確になった気がしました。日本ではまだまだ普及が進んでいないような気もしますが、さていち早くこの分野にチャレンジするウェブマーケッターはいるでしょうか? — SEO Japan [G+]

セマンティックSEOで小売業者が売上を上げる方法

昨日、セマンティック技術に関する記事を紹介しましたが、今回はより具体的にセマンティックSEOを意識してEコマースの売上を向上させる仕組みについて解説した記事をサーチエンジンランドから。マークアップについての知識が必要となり、若干、難易度高めなのでその覚悟でどうぞ。 — SEO Japan

セマンティック SEOは、ウェブマーケティングの手法としては新しい部類に入り、SEOとセマンティックウェブの技術を組み合わせた取り組みである。セマンティック SEOには、検索アルゴリズムのテキスト、キーワード、そして、リンクに頼るだけでなく、人口知能に焦点を絞り、ユーザーの意図(クエリの意味)を理解する試みが含まれる。以前、「小売業者が構造化マークアップを使って製品のビジビリティを改善する方法」を投稿し、構造化マークアップを利用する取り組みを取り上げたことがある。

また、数週間前、「schema.orgを利用するeコマースSEO、細かくなる」の中で、アーロン・ブラッドリーは、グーグルがeコマースのschemaをGoodRelationsからschema.orgに導入した点を取り上げ、この方針により、コマースサイト向けのschema.orgのクラスとプロパティが大幅に増え、その結果、小売業者にインパクトおよびメリットがもたらされると指摘していた。

構造化データの重要性

つまり、今まで以上に小売業者にとって、構造化データに対する語彙およびシンタックスに力を入れる取り組みが重要になりつつあるのだ。アーロン・ブラッドリーも説明していたように、構造化データは、ウェブページのコンテンツの意味の詳細を、検索エンジン、そして、データを消化するその他のコンピュータに対して、容易に処理することが出来る仕組みで送信する。

様々な語彙が公開されているが、小売業者に主に影響を与えるものは2つだけである。その2つの中でも、GoodRelationsのオントロジーがより重要であり、その次にオープングラフのプロトコルが続く。そのため、GoodRelationsに焦点を絞って説明していく。

とりわけ人気の高いシンタックスは、GoodRelationsのオントロジーで用いられるRDFa、そして、Schema.orgの階層で用いられるMicrodataの2つである。

構造化マークアップの語彙およびシンタックスは、セマンティックマークアップと言い換えることが出来る。

セマンティック SEOには、セマンティックマークアップをウェブページに導入し、ドメインおよびページの意味を補い、コンピュータが容易に処理することが出来るようにする取り組みが含まれる。その結果、検索エンジンは、クエリに対してユーザーにより良い結果を提供することが出来るようになる。

私は、小売業者に対して、GoodRelationsのオントロジーを2010年から推奨してきたが、現在、セマンティック SEOをSEOのベストプライクティスとして採用することが不可欠になっている。その理由を説明していく。

ビジネスのデータ & デジタルコンテンツに容易にアクセスすることが出来る

ビジネスのデータには、リッチメディアの動画コンテンツ、製品のレビューや評価、場所および連絡先の情報、専門的な情報、特別販売、製品情報、医療情報等が含まれる。セマンティック SEOにより、このようなデータは次のような状態になる:

  • コンピュータが読み取り可能な検索エンジン、ウェブアプリ、カーナビ、タブレット、モバイルデバイス、アップルのマップ、SIRI、イェルプのマップがアクセス可能になり、また、Linked Open Dataによって消化される。
  • セマンティックマークアップによって、ビジネスのデータは、検索エンジンにとってチョコレートのような存在になる。つまり、検索エンジンに気に入られ、すべて取りこんでもらえる。
  • 検索エンジンはこのデータを理解し、ユーザーエクスペリエンスを改善するため、どのように集めればいいのかを理解している。
  • 検索エンジンは構造化データを使って、SERP内でデータを表示し、CTRを高める。

グーグルはGoodRelationsの語彙に対応する

2011年7月、グーグルはGoodRelationsのサポートを開始すると発表した。予備調査では、GoodRelationsの拡張子を持つ検索結果では、クリックスルー率(CTR)が30%高くなった点が証明されている。セマンティックマークアップを加えると、検索エンジンは当該の情報を使って、ページを直接SERPに表示する取り組みを強化する。

GoodRelationsは、製品やサービスの詳細を検索エンジン、モバイルアプリ、そして、ブラウザに親切な仕組みで配信する強力な語彙である。RDFaをウェブのコンテンツに加えることで、顧客候補の人達に、すべての機能、サービス、そして、得られるメリットを提供し、その後、顧客候補のコンピュータは容易に情報を取り出し、提示することが出来るようになる。検索エンジンは、このような情報を集めたがっている。

GoodRelationsによって、レストラン、ホテル、レンタカー会社、そして、小売業者が容易に1日限定の特価、営業時間、そして、メニューを様々なスマートフォンアプリに直接送信しやすくなる。サポートを望むそれぞれのアプリに別々にフィードを用意する必要はなくなる。

どこから手をつければいいのか?

モバイルがウェブの小売ビジネスにおいて欠かせない存在になっている点は、ご承知の通りだ。モバイル = ローカルである。ローカルは、誤解されることが多く、軽視されることが多い検索の分野である。よく調べると、大半の小売業者は、ローカルおよびセマンティック SEOの複数の分野で不十分な取り組みを行っていることが分かる。

まずは、Store LocatorとMobile Store Locatorを変更しよう。次に、ローカルSEOのベストプラクティスの導入、地図の最適化、そして、IYPのリンクの最適化を実施する。

Rio SEOで製品開発部門のシニアディレクターを務めるビル・コナード氏は、「このような重要な自動ローカルSEOの手法を実装すると、SERPでの1ページ目で複数のリスティングを掲載してもらえる可能性がある」と指摘している。実際に、クライアントのサイトが上位にランク付けされるように、コナード氏はschema.org[place]とMicrodata[local business]を全てのウェブサイトに挿入している。

まず最適化、次にデータをマークアップ

すべてのローカルのビジネスデータを集め、最適化したら、次にGoodRelationsを使って製品をマークアップする作業に移る。 まずは、ローカルデータを集め、最適化し、オンラインのデジタルな店舗と実際の店舗を結びつける必要がある。

すべてのデジタルおよび実際の店舗をシンクさせたら、検索エンジンと情報サービスは、同じデータを消化するようになる。これは「データフィデリティ」と呼ばれる。データフィデリティは、信頼性およびオーソリティを作り出し、その結果、見返りとして、SERPの1ページ目に複数のスペースを与えてもらえることがある。

GoodRelationsのセマンティックマークアップをページに加えると、1ページ目のリスティングを強化し、CTRを高める効果が見込める。RDFaの詳細は、GoodRelationsのコミュニティウィキを参考にしてもらいたい。このウィキには、GoodRelationsの語彙、コンピュータ、モバイルアプリ、そして、検索エンジンが理解することが可能なeコマースの情報を配信する取り組みに関する情報が掲載されている。

教訓

セマンティックマークアップを利用することで、SERPのビジビリティが改善され、CTRが30%改善される可能性がある。GoodRelationsの語彙は、コンピュータ、モバイルアプリ、そして、検索エンジンが理解することが可能なコマース情報の配信において、標準として認められている。まずは、ローカルおよびモバイルの分野での整理および最適化を行う必要がある。最適化を行った後、構造化マークアップを加えると、ビジビリティ、そして、ウェブ小売サイトの利益が共に改善される可能性がある。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「How Web Retailers Can Profit With Semantic SEO」を翻訳した内容です。

肝心のGoodRelationsの詳細ページが英語ですし、正直、これだけ読んで即導入というわけにはいかない内容でした。。。今年セマンティックSEOで一歩進んだSEOを実現していきたい人はこのページを起点に一度じっくり勉強してみては。 — SEO Japan [G+]

セマンティック技術と検索エンジンの進化、SEOへの影響

ウェブの進化と共に注目されてきたセマンティックの概念ですが、それが検索エンジンに与える影響については余りわかっていない検索マーケッターも実は多いのではないでしょうか。ということで、今回はそんなセマンティック技術と検索エンジンの関係について解説した記事をサーチエンジンランドから。セマンティック検索の歴史はもちろん、最近の検索エンジンの進化を理解したいという人にも最適な内容になっています。 — SEO Japan

「セマンティック検索」はホットな話題ではないが、検索および検索エンジンに対して、新たな一面、そして、影響をもたらしてきた。さらに、的を絞ったセマンティック広告に大きなインパクトを与えてきた。

セマンティック検索に関する今回の一連の特集記事では、セマンティック技術の発展の経緯、そして、商業ベースで存続可能となり、話題を集めるようになった理由を探っていく予定だ。また、このテクノロジーが単純な検索エンジンを超えた「答えを提供するエンジン」に進化し、ユーザーエクスペリエンスを改善した経緯にも触れていく。

例えば、グーグルでクエリ[Barack obama birthday]を検索した際の直接的な回答を以下に挙げる。

グーグルのインサイドサーチブログで行われた告知によると、これは「人工知能」エンジン、別名「スタートレック」エンジンの構築の序章に過ぎないようだ。

ナレッジグラフの告知を行うブログの最後に記されたアミット・シンガル氏のコメントは注目に値するものであった:

「グーグルは、はじめの一歩 – ナレッジグラフ – を踏み出し、検索をより知的にレベルアップし、私が思い描いてきた「スタートレック」のコンピュータへ近づくことに成功した。」

セマンティック検索

多くの人工知能、自然言語処理(NLP)、または、機械学習技術は「セマンティックテクノロジー」と言い変えることが出来る。セマンティックとは、「意味」を意味する。そのため、通常、セマンティック技術は、セマンティック検索だけを指すものではない。

しかし、例えば、セマンティックにターゲットを絞った広告、自動的なトピックの認識等、その多くは、検索の改善に活用することが可能である。多くのセマンティック技術は、語彙集や用語集と考えられる基本的なオントロジーを解読する。

「セマンティックSEO」をテーマとして挙げているため、今回は、セマンティックウェブに関連するコンセプト、そして、グーグルやその他のメジャーな検索およびソーシャルエンジンによる、セマンティック技術の採用をおさらいし、利用されているオントロジー – セマンティックやコンセプトを網羅する – そして、オンページの構造化マークアップを介してメタデータで定義される構文を紹介する。

セマンティック検索は、メタデータを使って(活かして)文書の検索を改善する考え方を指す。検索エンジンにおいては、メタデータをHTML 5で埋め込む行為を具体的に示している(セマンティックマークアップ、検索エンジンが現在対応しているフォーマットまたはHTML 5の構文: RDFa ライトとマイクロデータを使って)。

検索エンジンがメタデータを活用する仕組みとは

SERPのエンハンストディスプレイもその一つである(グーグルのリッチスニペット、ビングのタイル、ヤグー!のサーチモンキー)。また、エンハンストディスプレイは、ビジュアルの面でより魅力的なディスプレイおよびインターフェースを提供し、CTRを高くする傾向が見られる。

さらに、Sindice.com、グーグルのナレッジグラフおよびナレッジカルーセル等 – 消化されたメタデータを使って直接検索を実施する行為も、この情報を活用する一つの形である。

これは、一連の確率的な結果(青いリンク)を提供するエンジンから、“答えを提供するエンジン”への進化に大きく貢献している。ユーザーは、複数のクエリを実行して、一つのクエリに対する答えを得る(または得られない)行為を面倒に感じている。クエリに対する答えの関連性は最も重要であり、この目標を達成するために、セマンティック技術を活用することが出来る方法が幾つか存在する。

また、機械学習技術は、トピックの妥当性確認を裏付ける/改善する上でも活用することが可能である。それでは、過去のセマンティックウェブの採用を振り返っていこう:

  • ヤフー!がサーチモンキーを立ち上げる: 2008年2月
  • ビングがパワーセットを買収する: 2008年7月
  • グーグルがリッチスニペットを用いたレビューおよびレビューのアグリゲートを導入する: 2009年5月
  • グーグルがRDFaを使ってイメージのライセンスを特定する技術を導入する: 2009年8月
  • グーグルが動画のRDFaのサポートを開始する: 2009年9月
  • グーグルがリッチスニペットを利用して「ウェブを改善する試み」への支援を呼び掛ける: 2009年10月
  • グーグルが組織を描写するための構造化データの導入を発表する: 2010年3月
  • グーグルがレシピのリッチスニペットの発表を行う: 2010年4月
  • グーグルがリッチスニペットの世界展開を発表する: 2010年4月
  • フェイスブックが RDFaベースのオープングラフプロトコルの発表を行う: 2010年4月
  • グーグルがメタウェブを買収する: 2010年7月
  • グーグルがグーグルリファインの告知を行う: 2010年11月
  • グーグルが買い物サイト向けのリッチスニペットの導入を発表する: 2010年11月
  • グーグル、ヤフー!、ビングがSchema.orgの発表を行う: 2011年6月

セマンティック技術は関連する答えの提供に貢献する

このように、2011年6月、3つの主要な検索エンジンは歩調を合わせ、schema.orgのサポートを発表した。つまり、過去のマークアップ(RDFa)の標準を飛び出し、マイクロデータのみをサポートし(セマンティックウェブコミュニティの怒りを変え、後に態度を軟化させる)、そして、データを消化する検索エンジンの役割を論理的に受け入れ、その結果、高い標準、データの品質、そして、標準化団体の定義がもたらされたのであった。

一連のリンクだけでなく、実際のの関連する答えを提供することは、すべての検索エンジンが目指していた目標であった。このような答えは、上述したメカニズムを活用して、引き出せれるようになった。

ユーザーの意図の特定もまたセマンティック技術を活用することが出来る領域の一つである。 この取り組みは次の仕組みで実施される:

  • クエリの一部、または、全体におけるクエリを正確に解釈する
  • 信頼の高いソースで過去に認証された情報を使って、直接推測を行い、「有力な予測」を答えとして提供する
  • 消化された情報を加える、または当該の情報を推測することで、このナレッジベースウェブ・オブ・データ、または、グラフデータベースを集約および増加させる。

例えば、グーグルのブログ等が説明しているように、HTML 5のように、エンベッドしたメタデータの形式でこの情報を作成または配信する取り組みによって、マイクロデータやRDFa ライトを追加することで出来る。しかし、これは検索エンジンが消化または理解することが可能な構文に過ぎない。因みに、HTML5は互換性がある。

語彙集(オントロジーまたはタクソノミ)も課題の一つに挙げられている。標準化は様々な分野でプラスに働くため、3つの検索エンジン – グーグル、ビング、そして、ヤフー!は、標準のschma.orgの語彙やオントロジーの利用を義務付けると2011年6月2日に発表した。この3社の検索エンジンが抱えるユーザーベースは巨大であるため、利用するオントロジーや語彙を強制する力を持っている。

一方で、セマンティックウェブコミュニティは、その他の多くの定義されたオントロジー/語彙を用意しており、オープンソースとして提供している(eコマース向けのGoodRelations FOAFSIOCWordnetDBpedia ? ウィキペディアから抜粋等)。

Schema.rdfs.orgには、自動的に構造化マークアップを生成するためのチュートリアル、ソフトウェア、そして、ツール等、すぐに始めたい人のためのリソースが豊富に提供されている。

schema.org

それでは、引き続き、schema.orgの発表後のセマンティックウェブの採用を見ていこう。

楽曲のフォーマットが増える: 2011年8月

semantic music formats

NFLのマイクロデータおよびスポーツのスタッツが登場する: 2011年8月22日

 

今後のコンサートのスケジュール: 2012年2月

アンサーエンジンになりつつある検索エンジン

この年表は、この記事を作成している時点では、2012年5月のナレッジグラフの導入およびカルーセル化によってクライマックスに達する。

ナレッジグラフは、フリーベースを直接拡大したアイテムであり、また、schme.orgで定義された、もしくはグーグルによって必要があると見なされた「構造化マークアップ」を介して消化されたその他の情報によって強化されている。

ナレッジグラフ自体は、クエリの右側に描かれる。これは、事実を基にした、または事実を集めた情報を介して、「答えを提供するエンジン」を目指すグーグルの取り組みの一つである。

2012年6月、ツイッターは「Twitter Cards」の告知を行った。これは、“コンテンツにリンクを張るツイートにメディアエクスペリエンスを加える”手段である。Twitter Cardsの詳細は、semanticweb.comの投稿で確認してもらいたい。

2012年7月、グーグルウェブマスターセントラルは、ウェブマスター向けの構造化データダッショボードを導入し、消化された構造化データを確認することが出来るようにした。グーグルがこの方針を強化する点を示唆するコメントがこのブログに掲載されている。

「構造化データはウェブのエコシステムにとって欠かせない役割を担う存在になりつつある。グーグルは特定のタイプのコンテンツを検索結果内で目立たせることが可能なリッチスニペットを含め、構造化データを様々な方法で活用している。業界基準のフォーマットおよびschemaを用いて、コンテンツをマークアップすることで、ウェブサイトは構造化データを活用することが可能である。

以下にschema.orgのbookに対する約200万のアノテーションに関するサイトレベルのデータを掲載する:

バンド「Coldplay」の結果の表示に注目してもらいたい。schema.orgのリッチスニペットのマークアップ(music等)がこの画面には明確に統合されている。

以下にナレッジカルーセルの機能(上部のスクロールバー)が組み合わされたナレッジグラフの画面を掲載する。ナレッジグラフは、単純にフリーベースやセマンティックウェブ関連の技術のような構造化マークアップを含む、その他の認証済みのページや信頼されているソースから延長されている。

以下の結果ページをもたらしたクエリは「Tom Cruise Movies」である。ナレッジカルーセルは、2012年9月より世界の英語ページに導入されている。


上の例を見れば一目瞭然だが、エンハンストディスプレイはSERPのスペースを吸収する。

セマンティックなマークを介してCTRが増加

セマンティックSEO(schema)においては、マークアップしたアイテムに対するCTRが高まる点、そして、ナレッジグラフ/カルーセルおよびリッチスニペットやその他のグーグルが集めた情報に、スクリーンのスペースが割かれる点(ナレッジグラフの結果が表示されることが多い、グーグルのRHS上の場所やイベント)もまた見逃せないポイントである。

以下に例を掲載する:

今後の展開においては、検索に対する情報を得る上でもグーグルに注目し、結果のグラフを確認する価値はある。そのため、私は[Semantic Search]で検索を行った。その結果を以下に掲載する。

拡大するセマンティック技術の利用

どの用語が最も多く検索されているのだろうか?下のグラフのピークは、ウォルマートのセマンティック検索エンジンのインパクトを示している(10-15%売り上げを押し上げる)。

また、グーグル、ビング、そして、その他の検索エンジンのバーティカルに対して、schema.orgの高い順位の用語が反映される点も注目に値する。下のイメージで、ユーザーが特定のバーティカルを選択する場合、クエリ内の意図を理解しやすくなる。/p>

ご自由に公式のschema.orgのサイトと比較してもらいたい。私は実験目的で、schema(owlバージョン)をロードした。

Protegeと言うツールを使って、結果の階層の画像を確認すると、素晴らしい図が出来あがる。私は[place]の拡大に焦点を絞ったが、好きな選択肢を選ぶことが可能である:

セマンティック SEOのメリット

結論を言うと、セマンティック SEOおよびセマンティック技術は、検索エンジンに多くの強力なメリットをもたらす。

  • SERPでのディスプレイのビジュアル面の強化(リッチスニペット)
  • 関連する答えに対して、検索エンジンが当該のデータを直接検索し、より関連する結果を取得する
  • 検索エンジンが分類子やその他の機械学習メカニズムを使って、ページ上のトピックの情報を確認する
  • ユーザーの意図を特定する上で支援する(コンテキストが再現率/関連性を改善する)

このシリーズでは、今後、具体的にバーティカルを取り上げる予定だ。バーティカル検索が関連性を改善し、ユーザーの意図を特定する仕組みの詳細を明らかにして、さらに、推奨エンジン、セマンティック技術広告等に用いられているセマンティック技術に注目していく。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「How Search & Social Engines Are Using Semantic Search」を翻訳した内容です。

私も最近セマンティック技術について勉強中だけに、色々な情報がまとめてあり役に立った記事でした。こうしてみると最新の検索技術の多くがそのベースをセマンティック技術に依存しているのですね。次世代SEOを考える上でもヒントになる情報が満載でした。最もこれまで一時的にでも通用していたようなトリック的SEOがあるわけではなさそうですが、、、検索エンジンがユーザーにとってより便利な存在に少しずつ進化しているのは間違いなさそうです。 — SEO Japan [G+]

ディスプレイ広告と検索広告の4つの違い

アドテクの進化で昨年注目が高まったディスプレイ広告の復権ですが、RTB等、検索広告で培われてきた入札型の仕組みもあるせいか、検索広告の延長オプション的に利用しているマーケッターが多いようです。今回は検索広告とディスプレイ広告の違いについて、マーケティング上の位置付けから考え直したみた記事をサーチエンジンランドから。今年ディスプレイ広告に本格的に取り組んでいきたいあなたにはピッタリな内容です。 — SEO Japan

昨年、ディスプレイが検索に似ていると言う誤解を何度も耳にした。SEO業界の関係者なら、誰でも一度や二度は聞いたことがあるはずだ。この(一部においては的を射ている)誤解は1つのファクターが原因となり、発生している。それは、ディスプレイにおいて台頭した、オークションベースのマーケットである。

これから説明していくが、この理由が誤解を招くには幾つか訳があると私は考えている。

ディスプレイはオーディエンス&リーチが全て

広告ターゲティングの増加によって、ディスプレイにおいて、今まで以上にオーディエンスが重要視されるようになった。行動広告および検索リターゲティングは、ブランドがディスプレイ広告を使って、消費者を購入ファネルに動かそうとする、または、動かす取り組みを支援する、ファネルの中間または上部のアクティビティに焦点を絞っている。

一方検索に関しては、広告の精度は高いものの、接触範囲は限られている。キーワードベースの入札 vs 検索アクティビティ、オンラインの行動、心理学等から引き出すオーディエンスをベースとした入札も重要な違いの一つである。

リアルタイムのメディアはダイレクトレスポンスとは異なる

適切な広告を、適切なタイミングで、適切なオーディエンスに提供すると言うコンセプトは、検索およびディスプレイにおいて存在する。しかし、リアルタイム広告のレスポンスは異なる。

検索は、明確に決められたダイレクトレスポンスチャンネルそのものである。ユーザーが検索を行うと、直後に検索クエリに関連する広告が返され、その時点でアクションを起こしてもらうことを期待する。

ディスプレイ、具体的に言うならデータベースのディスプレイ広告においては、オーディエンスの情報に応じて、ディスプレイ広告のターゲティングが行われる。ウェブサイトを訪問したり、詳しい情報を求めたりして、すぐにアクションを起こさなくても、数日後、または数週間後にアクションを起こす可能性がある。

その間、他のディスプレイ広告が表示される。このタイプのリアルタイムのメディアでは、優先順位付け、頻度の制限、そして、検討期間中に消費者に影響を与えることが重要な鍵を握る。

ディスプレイにおいては、最高のタイミングで消費者に接触することが出来るかどうかは、クリエイティブ、メディア、そして、データの最適化の組み合わせに大きく左右される。

ディスプレイ & 検索は異なるメトリクスで計測される

簡潔に言うと、ディスプレイは検索とは異なるため、検索と同じクリックベースのメトリクスで測定するべきではない。検索マーケティングは複雑なトピックであり、厳格な規律が生まれている。キーワードの検索マーケティングは、電話帳の広告にとてもよく似ている。70年代では、会社を探す際は誰もが電話帳を使っていた。

ディスプレイは、クリックほど単純に、そして、容易にメトリクスに頼るタイプの広告ではない。ディスプレイは、マーケッターが利用可能な様々な接点を考慮する場合、最も計測しやすいチャンネルと言っても過言ではない。まず、接触範囲が広い。ディスプレイキャンペーンは、インプレッションをベースに購入が行われ、そして、露出を最大限に拡大することに焦点を絞っている(ターゲットが絞られているかどうかは別として)。

次にエンゲージメントだ。ディスプレイにおいては、クリエイティブにおける機会があり、この点においても、メトリクスを加えることが出来る。一部のディスプレイキャンペーンはサイトのビジター数に注目している – どの広告がサイトのコンバージョン、そして、コンバージョンとROIに貢献しているのかを把握するため。

要するに、ディスプレイに対するメトリクスは広告主によって、そして、キャンペーンによって異なるのだ。そのため、キャンペーンの目標と実際に利用するメトリクスを合わせることが肝要である。

例えば、ある小売業者がある製品の販売を望んでいる場合、1つの広告のみが売り上げに貢献していると言う状況は考えにくい。

検索でのキーワードの購入はキーワードレベルのディスプレイ広告とは異なる

検索リターゲティングは検索ではない。検索リターゲティングのコンセプトは、ディスプレイの戦略である。キーワードの利用においても、違いが見られる。

ディスプレイにおいては、検索履歴を基にターゲットに選んだオーディエンスに応じて、インベントリを購入する。一方の検索では、キーワードに入札する。

基本的な違いを説明しよう。まず、検索広告では、キーワードリストを使って、選択したワードに入札する。ディスプレイの場合、CPMで支払う金額が決まり、当該のワードだけでなく、関連するワードやカテゴリで検索を行ったオーディエンスをターゲットにすることで範囲を拡大する。

次にディスプレイにおいてだが、ディスプレイはファネルの早い時期に消費者に接触することが出来る。なぜなら、検索エンジンだけでなく – 複数の検索の要素全体で検索用語を活用するためだ。ほとんどの場合、検索リターゲティングは、純粋にディスプレイ戦略として利用されるが、検索を拡大するために、検索チームによって活用されることもある。

ディスプレイは、確かに今まで以上に検索のような特徴を持つようになったかもしれないが、基本的に品種が異なる。オーディエンスのリーチ、認識、そして、メトリクスの違いを見れば、この2つのチャンネルに異なる戦略が採用される点は一目瞭然である。

ディスプレイが検索に似ていると言う考えは2012年限りで引退させ、2013年からは様々なチャンネルを連動させる取り組みを取り入れてもらいたい。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「The Most Common Misconception Of 2012: Display Looks Like Search」を翻訳した内容です。

広告価値も違えばメトリクスも違う、それぞれの良さを理解して活用していきたいですね。記事にもあるようにファネルモデルを適用すれば、それぞれの意義も活用法、効果測定の値も比較的考えやすいかもしれません。目指せ相乗効果で一歩上のウェブマーケティング。 — SEO Japan [G+]