女性起業家のための新しいファンドJane.VCは、起業家たちが紹介者なしで電子メールを送ることを望んでいる

ベンチャーキャピタリストにプレゼンテーションをしたいだろうか?まず「有力な紹介者」が必要だ。少なくともほとんどのビジネスがそうしたアドバイスを受ける筈だ。

そうするには、あなたが興味を持っているVCにかつて投資をさせた人物 ―― 典型的には男性だが ―― を見つけて、彼らにあなたを紹介させなさい。何故か?VCは彼らにお金を稼がせてくれた人を愛しているからだ。当然ながらあなたの側に少なくともそうした人が1人でもついていたならば、彼らはあなたの話を喜んで聞いてくれるだろう。

だがそのサイクルには大きな問題がある。全ての起業家が億万長者と仲が良いわけではなく、また特にシリコンバレーの外に拠点を置いていたり、あまり目立った背景を持たない起業家は、彼らに望ましい紹介を行ってくれるネットワークを持っていない場合が多い。

クリーブランドとロンドンに拠点を置く新しいベンチャーファンドであるJane.VCは、女性起業家たちに紹介者なしに直接電子メールを送ることを促している。彼らに直接ピッチを送ろう。裕福で成功した紹介者は不要だ。ファンドはこれまでに、産業分野を問わずアーリーステージの女性起業家の企業に、2万5000ドルから15万ドルの投資をするために、200万ドルを調達している。このファンドは、これまで女性にとって望ましいとは言えなかった、VCの不透明でアクセスできないモデルを捨て去っている。

「私たちはJane.VCを、全ての女性のためのVCと呼びたいと思っています」とTechCrunchに語るのは、ファンドの共同創業者であるJennifer Neundorferだ。

21世紀センチュリーフォックスとYouTubeに勤めた後、中西部のスタートアップのためのアクセラレーターであるFlashstartsを、創業し率いていたNeundorferは、スタンフォードビジネススクールの同級生のMaren Bannon(LittleLaneの元CEO兼共同創業者)とパートナーを組んだ。これまでのところ、彼らは保険テクノロジー企業であるProformexと、企業がモバイルならびにウェブアプリを作成配布することを簡単にする、企業向けソフトウェアのスタートアップであるHatch Appsを支援してきた。

「私たちはまっすぐにアプローチします」

次世代ベンチャーキャピタルファンドの多くの仲間たちと同様に、Jane.VCは、最高の創業者たちがシリコンバレーの中だけで見つかるという考えには強く反対している。その代わりに、同社は世界的に展開しており、根本的な透明性と正直なシステムが最終的には報われるという哲学の下で活動している。

「起業家の時間を大切にしましょう。そしてもし見込みがなければ素直にNOと言いましょう」とNeundorferは語る。「私はそうしたやりかたの対極の位置にいたのです。多くの起業家は、実際には興味を持ってくれていないVCに対して無駄な時間を使っています。起業家の時間はとても貴重なので、私たちはそれを大切にしたいのです。私たちはまっすぐにアプローチします」。

Jane.VCは世界中での投資を計画しているが、ベイエリアの創業者たちに背を向けているいるわけではない。NeundorferとBannonは、シリコンバレーのネットワークを活用して、米国全体に広がる9人の女性からなる投資委員会と協力して、取引相手を見つける。

「私たちは極めて男性偏重のこの世界で、資金を調達し、その中で多くの浮き沈みを経験してきた女性なのです」とNeundorferは付け加えた。「女性に投資することは正しいだけではなく、そのことで多くのお金を稼ぐこともできると信じています」。

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(翻訳:sako)

画像クレジット:Getty Images

あるVCがファンドの規模を急激に拡大しないワケ――業界の流れに逆行するEmergence Capital

テック業界への投資を強化しようとする機関投資家が増えたことで、シリコンバレーでは実績のあるベンチャーキャピタル(VC)が資金調達で困ることはない。今年の3月にはSECに提出された書類によって、General Catalyst13億7500万ドルのファンドを立ち上げたことがわかった。これは同社の18年におよぶ歴史の中でも最大規模だ。設立から35年が経つBattery Venturesも、今年に入ってから2つのファンドを組成し、合計調達額は同社史上最大だった。さらにSequoia Capitalは、複数のファンドを通して合計120億ドルを調達中だと報じられており、これは同社だけでなくアメリカ中のVCを見渡しても、これまでになかった規模だ。

設立から15年のEmergence Capitalもやろうと思えば彼らのように巨額の資金を調達できただろう。同社はエンタープライズ向けのプロダクトやSaaSに特化したアーリーステージ企業への投資を行っており、その実績には定評がある。Emergence CapitalのポートフォリオにはストレージサービスのBox(上場済み)やソーシャルネットワーキングのYammer(2012年にMicrosoftが12億ドルで買収)、生命科学や医薬業界向けのCRMで有名なVeeva Systemsなどが含まれている。Veevaにいたっては、2013年の上場でEmergenceに300倍以上ものリターンを生み出したと言われている(Emergenceは650万ドルの投資で手に入れた31%の株式をIPOまで保有し続けた上、彼らはVeevaの株主の中で唯一のVCだった)。

そんなEmergenceであれば、第5号ファンドで何十億ドルという資金を調達できたはずなのに同社はそうしなかった。カリフォルニア州サンマテオに拠点を置く彼らは、その代わりに2015年に設立された3億3500万ドルのファンドから調達額を30%だけ増やし、先週の金曜日に4億3500万ドルの投資ビークルを設立した。

先日、Emergenceの共同創業者Jason Greenと話をする機会があった。彼は4人いるジェネラル・パートナーのひとりでもあり、同社の要と言える存在だ。私たちが特に聞きたかったのは、なぜ在シリコンバレーの他のVCのように、前回のファンドから調達額を大きくひきあげなかったのかという点。この質問に対しGreenは「私たちは プロダクトマーケットフィットを目指すアーリーステージ企業のなかでも、一緒に仕事がしやすいコアメンバーがいる企業に絞って投資を行っている」と答えた。このターゲット像が変わっていないため、ファンドの規模も変える必要がないと彼は言うのだ。

とは言っても社内ではいくつかの変化があった。2016年にはKaufman FellowsからEmergenceに移って3年のJoe Floydがパートナーに昇格。なお、Kaufman Fellowsは2年間におよぶベンチャーキャピタリスト育成プログラムを運営している。またEmergence Capital共同創業者のBrian Jacobsは、このたび新設されたファンドにはタッチしないのだという。そこでGreenにJacobsは仮想通貨投資を始めようとしているのか(最近よくある動きだ)と尋ねたところ、彼は「Jacobsはそれよりも慈善活動に取り組もうとしている」とのことだった。

Emergence初の投資先はSalesforceだった。それ以外にも、2016年にServiceMaxをGEへ9億1500万ドルで売却し、昨年にはIntacctをSage Groupに8億5000万ドルで売却。新しい企業への投資は年に5〜7社といったところだ。続けて私たちはEmergenceがどうやってその5〜7社を選んでいるのかという問いを投げかけた。

するとGreenはまず、Emergenceは「テーマを重視している」のだと答えた。そして、同社は設立当初からSaaSやクラウド、ホリゾンタル(業界を問わない)なアプリケーション、そしてエンタープライズ向けプロダクトに特化してきたが、今後は関連分野の中でもう少し業界を絞っていこうとしているとのことだ。最初のターゲットは「コーチングネットワーク」とGreenが呼ぶプロダクト群で、これはエンタープライズ向けの機械学習テクノロジーと読み替えることができる。たとえば彼らの投資先でシアトル発のTextioは、AIを搭載したツールでビジネスライティングの可能性を広げようとしている。また、営業電話の音声を分析し、営業チームにリアルタイムでフィードバックを送るシステムを開発するChorusもEmergenceの投資先だ。Greenがこのようなプロダクトを総称して「コーチングネットワーク」と呼ぶのは、システムが人間を代替するのではなく、人間の仕事のパフォーマンスを上げるための手助けをしているからだという。

またEmergenceは、“デスクレス”労働者にも注目している。デスクレス労働者とは、世界の労働者の80%にあたる、オフィスの外で仕事をしている人たちのことを指す。これは決して新しいトレンドではないが、「早いイニング」だとGreenは語り、関連テクノロジーは「世界中のチームで徐々に浸透し始めている」のだという(急成長を続けるビデオカンファレンスシステム企業Zoomへの投資も恐らくこのカテゴリーに入るのだろう)。

Greenは具体的な投資額については明言しなかったが、従来のVCのようにEmergenceは投資先の株式の20%以上を保有するようにしており、「シリーズAから(イグジットまで)通して」企業をサポートしているのだという。

また最新のファンドで新たに加わった投資家がいるのかという問いに対しては、「財団法人や基金への寄付など、リターンを世のために使うだろうと私たちが信頼できる何社/人かをリミテッドパートナー(LP)に選出した」と答えた。

現在の流れとして、巨額の資金を調達しないことが「だんだんと珍しくなってきている」とGreenは語る。「今は簡単に多額の資金を調達して思いっきり投資できてしまうため、かなりの自制心がいる。そんななかEmergenceはずっと軸をブラさずにいることを誇りに感じている」

結局のところは「自分がやっていて楽しいことがすべて」だと彼は続ける。「私たちは単にお金を賭けているわけではなく、事業に直接関わるのを心から楽しんでいるのだ」

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(翻訳:Atsushi Yukutake

アーリーステージでの大型資金調達の弊害――フラットラウンドが普通になる日

【編集部注】執筆者のDuncan DavidsonはBullpen Capitalのジェネラルパートナー。

スタートアップエコシステムにとって、2017年は苦難の年になるだろう。2016年にクローズされたシリーズCの約半分が、ダウンもしくはフラットラウンドだった(評価額が直近のラウンドと同じ、もしくはそこから下降した)のだ。シリーズBの段階にある企業はこれから痛みを覚悟しなければいけない。要するに、フラット(ラウンド)は新しいアップ(ラウンド)なのだ。頭字語で溢れるテック界にあえて新しい語を投じるのであれば、「FITNU: Flat Is The New Up」ということになる。

しかも、この変化はシリーズBで止まることはないだろう。もしもあなたの会社がシリーズAを既にクローズしていて、今年新たに資金を調達しようとしているのであれば、この記事の内容があなたの会社を救うことになるかもしれない。あなたの企業がシードステージにあれば、もっとこの記事が参考になるだろう。

何が起きたのか?

複数の投資家によれば、2017年は転換期になるはずだった。アメリカでは2016年のVCファンドの調達総額が過去最高の420億を記録し、私たちは既にバブルを乗り越えたはずではなかったのか?

実はそうではなさそうなのだ。ユニコーン企業をいわゆるプライベートIPOに仕向けていたVCが動揺しはじめた2015年にバブルが弾け、彼らの投資意欲が下がってしまった。これにより、VCコミュニティ全体が勢いを失い、膨大な数のシードラウンドと高い評価額を支えきれなくなったのだ。その結果、少数の企業に投資が集中することになった。

PitchBookの調査によれば、アメリカにおけるシードラウンドの数は、2015年Q2の1537件から2016年Q4の872件へと43%も落ち込んだ。これは過去4年間で最低の水準だ。アーリーステージのラウンド(シリーズA、B)もこれに続き、2014年Q2の830件から2016年Q4は524件まで減少した。

その一方で、ひとつひとつの調達額は膨れ上がっている。2016年に行われたシードラウンドのうち、100〜500万ドル規模の割合は42%で、これは過去10年間におよぶPitchBookの調査史上最高だった。さらに、2016年にアーリーステージ企業に投じられた資金のうち、約半分が2500万ドル以上の規模のラウンドに流れこんでいた。

PitchBookの調査を裏付けるように、Redpoint VentureのTomasz Tunguzも2010年から2016年の間に、シードラウンドの調達額の中央値が27万200ドルから75万ドルへと約3倍に増えたと指摘している。Crunchbaseのデータをもとにした彼の分析では、同じ期間にシリーズAの調達額の中央値が300万ドルから660万ドルへ、シリーズBについては1000万ドルから1500万ドルへと増加したとされている。

なぜフラットラウンドが増えているのか?

バブル期には、シードステージの企業をターゲットとするVCが急増したため、シード資金を獲得できるスタートアップの数も増加した。しかし、シリーズAの企業をターゲットにしたVCの数はほとんど増えなかったので、ファンドの調達額だけが増大した。そして、VCは自分たちのビジネスのニーズに応えるため、1件1件の投資額を吊り上げたのだ。

しかし残念なことに、1000〜200万ドル規模の”超大規模な”シリーズAに値するスタートアップはほとんど存在しない。その結果、シードラウンドを越えてシリーズAまでたどり着く企業の数が急減したのだ。シードラウンドに続いてシリーズAでの資金調達に成功した企業の割合は、2012年の約25%から2014〜2016年にかけて10%以下に下がったとPitchBookは発表している。その後、多くのシード企業が追加資金を調達することに成功したので、恐らく現在の割合は20%といったところだろう。これでも、かつての45〜50%という水準に比べるとかなり低い。

早過ぎる段階で巨額のシリーズAをクローズした企業の多くが、シリーズBでも大金を手にして現金を食い尽くし、シリーズCに至る頃には評価額がそのままか、最悪の場合落ち込んでしまうという現象も起きている。先述の通り、2016年Q3に行われたシリーズCの約半数がダウンもしくはフラットラウンドだったのだ。

この理由は次の通りだ。例えば、シリーズAで投資家が25〜30%分の株式と引き換えに1000万ドル投資したとする。そうすると、ポストマネーの評価額は3300〜4000万ドルになる。シリーズBへの参加を考えている投資家は、シリーズBのプレマネー評価額がシリーズAのポストマネー評価額の少なくとも2倍になることを望んでいるが、もしもその水準に達していなければ、シリーズCまで投資を待った方が良いと考えるのだ。

バブル期であれば、評価額を2倍にするのは何ら難しいことではないので、当時のスタートアップは流れに乗ってシリーズBをクローズした。しかし、市場が冷静さを取り戻した結果、シリーズCでの彼らの評価額はシリーズBと同等、もしくはそれ以下になってしまったのだ。この流れは、今後シリーズCからB、A、シードへと侵食していくだろう。つまり、Mark Susterの見解とは逆に、まだ冬の時代は終わりを迎えていないのだ。

“リシード”ステージ

今年、シリーズA企業は、シリーズBを開催できるレベルまでプレマネーの評価額を上げるのに苦労するだろう。万が一、フラットもしくはダウンラウンドになってしまった場合は、”リシード”のタイミングだ。つまり、シードラウンドをクローズした直後の企業のような姿を目指し、できるだけコストを抑えるようにしなければいけない。

多くのファウンダーが、フラット/ダウンラウンドがスタートアップの”死”を意味するかのように考えている。この理由には、株式の希薄化と対外的な意味での数字のインパクトの両方がある。

しかし、株式の希薄化によって倒産に追い込まれた企業は存在しないし、外からの評価はフラット/ダウンラウンドの後に、その会社がどういう対応をとったかで決まる。新しい現実に沿って組織を改変できたのであれば、その会社は魅力的に映るのだ。ダウンラウンド後に組織の贅肉を落とし、より持続可能なモデルを構築できれば、ダウンラウンド自体は問題ではなくなる。

しかし、シリーズAでの優先株の発行数を考えると、資本構成はもっと難しい問題だと言える。もしも、あなたのスタートアップがシードラウンドで200万ドルを調達し、株主は200万ドル分の優先株を手に入れたとする。さらにシリーズAで1000万ドルを調達し、ここでも調達額分の優先株を発行したとしよう。すると、合計1200万ドル分の優先株が発行されたことになり、さらにここに返済しなければならない負債が加わってくる。

まともな投資家であれば、シードラウンド後の評価額で1200万ドル分もの優先株を発行した企業を好ましくは思わないだろう。さらに、シリーズBをクローズした後に”リシード”の必要性がでてくると最悪だ。そうなると2500万ドル分、もしくはそれ以上の優先株を発行したことになる。何としてでもリシード期間中に、優先株の割合を減らしたいところだ。これはバーンレートを下げるよりもずっと難しい。

次は誰の番?

「フラットは新しいアップだ」というのは、バブル後の状況を表すひとつの表現だ。2014、2015年に期待されていた企業は、シリーズCでフラット/ダウンラウンドを経験した。そして、シードラウンドで100万ドル、シリーズAで1000万ドル調達したような企業が、現在シリーズBに臨もうとしている。しかし、そのうちの多くは、シードラウンド後の企業の姿を目指し、社員を減らし、キャップテーブル(各株主の保有割合や株価などが記載された表)を見直すことになるだろう。廃業に追い込まれるよりは、リシードの道を選んだ方がマシだ。矛盾しているようにも思えるかもしれないが、従業員が少ない方が争いが減り、成長スピードが上がる可能性もある。結局のところ、まだ準備ができていない状態で大規模なシリーズAを敢行したのがそもそもの間違いだったのかもしれない。

シード企業も、明日は我が身と気を引き締めなければならない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

“打率”5%も当たり前―、9割のVCに断わられる前提で資金調達を効率的にクローズするには?

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【編集部注】執筆者のNathan Beckordは、VCの投資を受けたスタートアップFoundersuiteのCEO。同社は資金調達を行う起業家向けに、CRMや投資家とのコミュニケーションを促進するツールを開発している。

年の変わり目は、起業家の間にも新しい風を吹かせる。新しい会社を設立したり、新たなプロダクトを開発したり、資金調達したりと、彼らに何か新しいことへチャレンジさせる力が新年にはあるようだ。

もしもあなたも、新たに資金調達を行おうと思っているならば、是非この記事を参考にしてほしい。それでは、早速はじめよう。

ステップ1:投資家候補をかき集める

資金調達は数のゲームだ。設立した会社がSnapchatくらいのレベルで成長していたり、これまでに複数の企業を上場させた経験があったりしない限り、起業家はたくさんの投資家にアプローチしなければならない。

「たくさん」の投資家にだ。

そのため、資金調達における最初のステップは、150〜200人ほどの投資家リストを作ることからはじまる。

資金調達の一般的な「打率」(プレゼンの数に対するコミットメントの割合)は、5%と言われている。ここから逆算すると、10人のエンジェル投資家にシードラウンドへ参加してもらいたいとすれば、まず200人をリストアップしなければいけない。

AngelListやFoundersuiteなどの無料サービスを使えば、投資家を分野や所在地から検索することができる。またCrunchbaseを使えば、自分たちのスタートアップに似た(競合ではない)企業を検索でき、そこから投資家情報も確認できる。関連キーワード・フレーズを使って(例:SaaS企業への投資で有名なVC/エンジェル投資家は?)、Quoraから投資家を探すというのも手だろう。

PitchBookMattermarkCB Insightsといった有料データベースには、さまざまな検索・フィルタリング機能が搭載されている。他にもTechCrunchPE HubTerm SheetInside Venture CapitalVenture Pulseといった、資金調達関連の情報を掲載しているニュースサイトやウェブマガジンも参考になる。

ステップ2:候補を絞る

資金調達は営業プロセスそのものだ。そして優秀な営業マンは、誰にどのくらいの時間を使うかというのを強く意識している。

この考え方は、営業と同じくらい(もしくはそれ以上に)資金調達でも重要になってくる。サンフランシスコからメンローパークまで1時間半かけて移動したのに、会いに行った「シード投資家」は20万ドルのMRR(マンスリーランレート)を求めていたり、そもそも新規の取引をやっていなかったりすると目も当てられない。

無駄になった半日という時間は、スタートアップ界では永遠に感じられるほど長い時間だ。

だからこそ、時間の無駄や頭痛や不安の種を減らすために、ステップ1で集めた投資家候補をしっかりと評価し、絞り込んでいかなければいけない。リストから候補者を外す際には、以下のような基準を参考にしてほしい。

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もともとのリストから、大体25〜30%くらいの数まで投資家候補を絞りこめれば、まずまずといったところ。きちんと候補を絞ることで、実際に投資家へコンタクトしだしたときの打率がかなり上がるようになる。

ステップ3:アプローチ方法を考える

このステップの目的は、ステップ2で絞り込んだ各投資家へのアプローチ方法を考え出すことだ。

最も有効なのは、共通の知人を通じた紹介だ(さらにその知り合いによって、投資家が過去に儲けを出していればベスト)。

ある投資家との繋がりを確認するためには、その投資家の名前をLinkedInの検索欄に入力し、1次もしくは2次コンタクトの中にその人がいないか確認すればいい。

もしも共通の知人がいないときは、アプローチしたい投資家のポートフォリオに含まれている企業のファウンダーにメールを送ってみるという「攻略法」もある。その際は、まず信頼関係を築くために、投資家がどんな人だったかや、どんな手助けをしてくれたかといった話をして、その後に紹介をお願いした方が良い。

最後の手段が、紹介無しで直接投資家にメールを送るという方法だ。この方法をとっているスタートアップを多く見かけるが、返信が来る確率が1%以下というのもザラだ。

ステップ4:進捗管理のためのシステムとプレゼン資料を準備する

これまでのステップで、投資家のリストを作って、その絞り込みを行い、各投資家へのアプローチ方法を考えだした。次は、実際に資金調達を行うための準備だ。

各スタートアップには、進捗管理システムを構築することを私は強く勧めたい。アプローチしようとしている投資家の数が多いため、投資家の名前や交渉の段階、会話の内容、確認事項やToDoといった事項の管理がかなり複雑になってくる。

ミーティング1回当たりに3つ、4つ確認事項が出てくるとして、100〜150人/社の投資家を相手にすると考えると、その複雑さがわかるだろう。

投資家候補や彼らとの膨大な数のやりとりを管理するためのシステムが必要だ。

多くのスタートアップがExcelやGoogle Docsを使って進捗を管理しているが、1週間もすればスプレッドシートがさまざまな情報で溢れかえってしまうことがよくある。

そこで最近流行っているのが、「かんばんボード」メソッドだ。各投資家を「カード」にして、新規→プレゼン済み→デューデリジェンス→コミット(または交渉決裂)と、交渉の段階に応じてカードを動かしていくというのがこの管理方法の概要だ。ファウンダーに人気のかんばんボードを利用した管理ツールとしては、FoundersuiteやPipedriveTrelloなどがある。

他にもSalesforceなどのCRMを、投資家情報管理の目的で使っている企業もある。どのサービスであれ、投資家候補や彼らとの膨大な数のやりとりを管理するためのシステムを導入すべきだ。

もうひとつこのステップで準備するのが、10〜20ページのプレゼン資料だ。別途1、2ページで、エグゼクティブ・サマリーと予測財務諸表を入れておくことも忘れないように。

プレゼン資料は、交渉時の「主力」として常に必要になる重要なアイテムだ。アドバイスが必要な人は、このガイドが参考になる。またインスピレーションが必要であれば、ここで有名スタートアップのプレゼン資料を見ることもできる。

ここまで準備ができたら、ステップ5へ進む前に、友人やアドバイザー、弁護士、知り合いの投資家を相手に、最低5回は通しでプレゼンを行ってほしい。資金調達中はプレゼン資料を絶えず調整していくことになるので、フィードバックを集めて資料を改良するという習慣をこの段階で身に付けておいた方が良い。

ステップ5:投資家とのミーティング(複数を同時並行で)

投資家候補のリストと管理システムが整い、ようやく本格的に資金調達をはじめる準備ができた。

このステップでは実際に投資家へアプローチし、契約獲得に向けて勢いをつけていく。

まずは、投資家の紹介に応じてくれた知人へメールを送るところからはじめよう。参考メールが以下だ。

題名:投資家紹介のお願い

本文:Jeffへ

自分で立ち上げたスタートアップの資金調達を今やっていて、Jeffが<Xさん、Yさん、Zさん>とLinkedInで繋がってるのを見たんだけど、簡単に紹介してもらえない?

次に、Jeffが紹介できると答えた投資家ひとりひとりについて、新しく簡潔なメールで紹介をお願いする。<>で囲われたところには、自分の会社の情報を入れて使ってほしい。

題名:<Felicis Ventures>の<Aydin Senkut>紹介のお願い|<Acme Analytics シードラウンド:毎月28%成長中>

本文:Jeffへ

現在Acmeで<100万ドル>のシード資金を調達しています。私たちは<商業用ドローンのための解析・支払ソフトを開発しています>。既に<69社の法人顧客>がいて、売上は毎月<28%>伸びています。

<Aydin>のアプローチやポートフォリオ(<例:Flexport>)は、私たちの会社と関連性が高く、是非一度お話したいと考えています。

Acmeの資料はこちらからご覧頂けます。
以上、宜しくお願い致します。

Jennifer

上記のように、会社概要に加えて、投資家にとって魅力的だと思われる指標やアピールになりそうな情報、さらにその投資家と話がしたい理由を3つのセクションに別けて書けば十分だ。

このメールを受け取ったJeffは、転送ボタンを押して、投資家に実際に会いたいか(オプトインのアプローチ)聞くだけでいい。こうすることで、Jeffはほとんど時間をかけず、かつ彼の大事なソーシャル・キャピタルを無駄遣いすることなく、Jenniferを投資家に紹介できる。

紹介者の忙しさと人脈の広さには相関関係があるため、紹介者の負担を減らすというのは極めて重要なことなのだ。

そして、リストに含まれている投資家全員分、上記のプロセスを繰り返す。これまでのステップの各項目をしっかりと行い、投資家が求めるものとプレゼン内容がある程度合致していれば、カレンダーはすぐに投資家とのミーティングで埋まっていくだろう。

ステップ6:ミーティングを繰り返しながら前進あるのみ

ここからが資金調達の本番だ。このステップでは、さらに勢いをつけていかなければならず、そうするための1番の方法は、ミーティングをたくさん行うことだ。毎日、毎週、資金が調達できるまで投資家とミーティングを重ねよう。

投資家はファウンダーの熱を感じることができ、それがファウンダーの自信に繋がり、さらにそれがスタートアップ自体の魅力を引き立たせる。逆に、資金調達が長引いてプレゼンの勢いが落ちると、投資家もそれを感じ取ってしまう。

ミーティングの形式は、カフェでのカジュアルなものから、オフィスでの正式なもの、スカイプを通じたものまでさまざまだ。ほとんどの場合、ミーティングの時間は30分から1時間くらいになる。挨拶を終えたら、まず忘れずに紹介者の話をして、もしも紹介者と親しい関係にあれば知り合ったきっかけについても触れるようにする。

プレゼンの流れはそのときどきで変わってくるが、重要な点はしっかりカバーできるように話を進めたい。

1、2分の間小話をしたら、いよいよプレゼンを開始する。私は投資家にどんな形でプレゼンを行えばいいか尋ねることが多い。「どのようにお話すればよいでしょうか?資料に沿ってお話するか、まずデモからお見せするか、このままお話をつづけましょうか?」といった感じで質問し、投資家をプレゼンに巻き込むのも手だ。

直接会わずにプレゼンを行うときは、画面共有ソフトをしっかりと準備し、ビデオ会議システムのソフトのアップデートに10分も浪費してしまうようなことがないようにする(実際にこれはよく起きる)。

プレゼンの流れはそのときどきで変わってくるが、重要な点はしっかりカバーできるように話を進めたい。さらに投資家からも、投資先企業にどのような価値を提供しているか(一般的な「付加価値」)や、投資が決まったら自分たちのスタートアップをどのようにサポートしてくれるかなどについて話を聞くことをオススメしたい。

そして「どのくらい興味を持って頂いていますか?」や「投資を決めるまでに、どのようなプロセスをとられていますか?これ以降のステップはどのようになっていますか?」といった質問でミーティングを締めくくる。

(この時点で、ステップ4で構築した進捗管理システムの存在に感謝することになるだろう。どういたしまして)

ステップ7:クロージングに向けて

20回もミーティングを繰り返せば、資金がすぐに集まりそう(約2ヶ月)か、時間がかかりそう(3〜6ヶ月)かなんとなく掴めてくるだろう。ほとんどの企業は後者のため、心配する必要はない。

ミーティングが上手く進めば、段々と投資家からも深い話がでてくるだろう。つまり彼らが興味を持っていれば、話題が評価額や投資条件へとシフトしていくはずだ。その後、プライスドラウンド(投資実行前の評価額が決まっている場合)であればタームシートを、コンバーチブルノートを発行する場合は、コミットメントレターを投資家から受け取ることになる。

一方で、15〜20回ミーティングを繰り返した後にタームシートをもらえなくても、諦めてはいけない。資金調達は数のゲームだ。ステップ1で触れた「打率」を覚えているだろうか?プレゼン数に対するコミットメント数が5〜10%であれば問題ないのだ。この数字を逆から見ると、90〜95%の確立で投資家に断られるということになる。だからこそ、断られるのもプロセスのうちだと割り切り、まだやりきっていないうちに諦めてはならない。

意思の弱いファウンダーはすぐに諦めてしまうが、賢いファウンダーは諦めどきを知っている。一般的に言って、最低でも50人/社の投資家と話し、それでも何の興味も持ってもらえないようであれば、一旦資金調達は諦めて、もっとトラクションを獲得してから再挑戦した方が良いかもしれない。

そうでなければ、パイプラインに残っている投資家と頻繁に連絡をとって、どうにか話を進めよう。自分の会社の最新情報や新機能を知らせるメールを送っても良い。ゴールは投資家から何らかの回答を受け取ることだ。もしも答えがNOであっても、パイプラインからその投資家の名前を消すことができる。粘り強さと少々の運があれば、きっと誰かが良さに気づいてくれるはずだ。

初めてのタームシートを受け取ったら、それを利用して他のファンド(やエンジェル投資家)に決定を急がせよう。口頭でのOKをもらったら、Paul Grahamのハンドシェイクディールの手順(The Handshake Deal Protocol)に従って、確約を得るようにする。コミットメントやタームシートの数が増えるにつれて契約力が強まり、クロージングは近づいてくる。

最後に

以上が資金調達のプロセスだ。無事クロージングを迎えたあとは、同僚や紹介者と祝杯をあげるなど「クローズ後の栄光」を楽しんでから仕事に戻ろう。次のラウンドは、もう12〜14ヶ月後に控えている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

アーリーステージの企業がShippoのシリーズAから学ぶべきこと

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シリーズAのクロージングは難しいことで有名だ。その厳しさから”シリーズA危機”という言葉が生み出されるほどである。また、シードラウンドで資金調達に成功したスタートアップのうち、25%しかシリーズAをクローズできないとも推定されている。

複数の配送会社に対応したAPIを提供しているShippoは、その苦難を乗り越えたスタートアップのひとつだ。先月同社は、USVをリードインベスターとするシリーズAで700万ドルを調達したと発表し、今後USVのAlbert Wengerを取締役として迎える予定だ。

他の起業家がShippoの経験から学べるよう、彼らは特別な計らいとして、シードラウンドとシリーズAで使われたプレゼン資料を一般公開することを決めた(記事の末尾参照)。プレゼン資料からは機密情報が取り除かれているものの、Shippo CEOのLaura Behrens Wuはそれぞれの資金調達の詳細について話をしてくれた。

TC:2014年にシードラウンドで資金調達をしようとしていたときの話からはじめましょう。いつ頃資金調達の必要性を感じましたか?また、その時はどんなゴールに向かって進んでいましたか?

Wu:Shippoをはじめてから7ヶ月経った頃に資金調達を決断しました。最初の4ヶ月は手持ちの資金を使い、残りの3ヶ月は500 Startupsのプログラムに所属していて、Shippoの成長に関する数字を確認したとき資金調達の必要性に気づきました。機能しているプロダクト・満足している顧客・取引量の増加という、ビジネスに最低限必要なものはその頃既に揃っていたんです。一方で、その当時私たちのプロダクトがヒットしていたとも、市場にフィットしていたとも言えないんですけどね。その頃から何度も何度もプロダクトの改良を行ってきましたし!

新米ファウンダーだった私たちは、Shippoのビジネスに参加して会社の成長を手助けしてくれるような支援者を探していました。また、事業の成長に専念できるよう、資金調達のプロセスは本業とは全く別のスケジュールで捉えるようにしていました。

TC:あなたと共同ファウンダーのSimonはどちらも外国人ファウンダーですよね。アメリカではどのように投資家とのネットワークを作っていったんですか?

Wu:当初は500 Startupsを通じてでしたが、その後は自分自身の評判を高めることでネットワークを築いていきました。さまざまな場面で会う投資家(や他のファウンダーなど全員)に、自分のことを、信頼に値し責任感がある人だと考えてもらいたいですよね。そのためにも、自分が約束したことを必ずやり遂げるということが大切です。アドバイスをもらって人の時間を使っておきながら、なにもアクションを起こさないなんてことは、絶対にしてはいけません。

TC:当時のShippoの段階において、投資家はどのような指標を重要視していたんですか?

Wu:投資家はトラクションの兆候を見たがっていました。私たちは、ユーザーが常にShippoを利用し、気に入っている(利用率・継続率の増加、低い解約率などを指標として)ということを投資家に証明することができました。また、常に議論にあがっていたのが市場規模で、支援先企業にとって十分な可能性がその市場にあるのかというのを彼らは知りたがっていました。

TC:シードステージにある企業には、何も指標がなかったり、あったとしても価値ある洞察が得られるほどではないという場合が多いと思いますが、彼らにはどのようなアドバイスをしますか?

Wu:ひとつのKPIを重視するということですね。指標を得たいがために複数の指標を準備する必要はありません。本当に意味のある数値だけに集中するんです。もしもそれが何か分からない場合(もしくは目標に到達しない場合)は、お客さんが自分たちのプロダクト無しでは生きていけないと思うほど、彼らを満足させることに集中すればいいんです。

TC:投資家を説得させるのが最も難しかったことはなんですか?

Wu:マーケットプレイスやECが盛り上がっている一方、配送業に注目している投資家はあまりいませんでした。配送業に隠された問題を知らない人にとっては、とても地味な業界ですからね。しかし、そのうち問題の深層や、私たちのプロダクトがどのようにその問題を解決できるか、さらにはそこからどのようなデータが得られるか、といったことにある人が気づきはじめると、段々と興奮が高まっていったんです。

TC:ラウンドはクローズまでにどのくらいかかりましたか?また、ラウンド自体はどのように構成されていたんですか?

Wu:私たちが資金調達に注力しようと決めてからは、全部ひっくるめて約4ヶ月程度かかりました。その間に125もの投資家と話をしました。一旦勢いづくと、とても上手く進んで行き、全てが3週間のうちにまとまりました。当時はYC Safeがまだなかったので、法律事務所が用意した通常のコンバーティブル・ノートの書類を準備して、Jeff Clavierがそれを基にプライスドラウンドを計画しました(これはとても一般的な書類とプロセス)。

他社とちょっと違っていたのは、シード段階のプライスドラウンドで取締役のポジションを投資家に渡したことですかね(これは一般的なアドバイスに反する動き)。しかしこれは私たちにとって、とても価値のあることでした。シード段階で取締役になるということは、私たちが成功するまで支援し協力するという覚悟をその投資家が持っているという表れですからね。私たちがシリーズAで資金調達した際に、Jeffは取締役のボジションをはずれ、通例に従ってシリーズAの投資家が取締役になれるよう席を空けてくれました。

TC:会社をシードステージからシリーズAで資金調達ができるようになるまで成長させる上で、1番大変だったことはなんですか?

Wu:ファウンダーに期待される役割がすごい速さで変わっていくことです。もともとは全て自分たちでやっていたのに、専門家を雇って権限を委譲していなかければいけません。そしてファウンダーとしての私たちの役目は、会社がスケールするにつれて目まぐるしく変わっていきます。チームが出来上がってくると狂乱状態がおさまってきて、より大きな課題に取り組めるようになるんですが、それでもプレッシャーは変わらずそこにあります。ただ、そのプレッシャーは当初のものとは少し性質が違うような気がします。

TC:スタッフの雇用というのはどのファウンダーも直面する課題のようですが、どうやって効率的に人を雇う術を学んだのですか?

Wu:当初は、以前自分の下で働いていた人や一緒に働いていた人など、知り合いを当たるのが1番の手段でした。しかしそれでは数が稼げません。

私たちは、大規模な雇用方法についてはまだまだ模索している最中です。雇用は、一時期私が自分の時間の約80%を費やしていた程、シリーズA後のShippoにとって大きな焦点のひとつとなっています。現在私たちは、リクルーターや紹介ボーナス、ブランディング、カンファレンス参加など、さまざまな方法を試しているところです。近いうちに新しい情報を共有できればと思っておりますのでお楽しみに!

TC:シリーズAでは、どのようにアプローチ先となるVCを決めましたか?シードラウンドと比較して話をしたVCの数に変化はありましたか?

Wu:シリーズAでは25社のVCと話をしました。さらに私たちは、組織としてのVCだけでなく、その中にいるパートナーという存在に重きを置いていました。また、これまでに大型のマーケットプレイスやEC企業の立ち上げに関わったことがあり、願わくばECショップが日々直面している配送に関する問題点を理解しているような投資家と仕事をしたいと考えていたんです。結果的に、シードラウンドの投資家の支援を引き続き受けると同時に、USVのAlbert WengerがShippoに参加することとなり、私たちは興奮しました。Albertが持つTwilio(別のAPI企業)とEtsyでの経験は、非常に貴重ですからね。

シードラウンドに比べるとずっとタイトな日程でしたが、自分たちのスケジュールに沿って、プロセスに振り回されるのではなく、私たちの方からプロセスを進めていきました。

TC:プレゼン資料以外に、デュー・デリジェンスの一環として何か別の資料を準備しましたか?

Wu:シリーズAのミーティングに向けて、Shippoのフィナンシャルモデルと収支予測が正確かつ完全かというのをチェックし、顧客からの推薦状も持っていきました。さらにはSocial Capitalのmagic 8-ball分析を行い、これは投資家だけでなく私たちにとっても大変有益な情報でした。今でも会社の状況を確認するために分析結果を使っています。

TC:シリーズAでの資金調達前に知っておけばよかったと思うことは何ですか?

Wu:数週間の間でシリーズAの投資家について深く知ることはできないため、彼らとは資金調達のプロセスを開始するずっと前から関係性を築きはじめなければいけません。そして資金調達の段階で、既にどの投資家に参加して欲しいかというのが分かっていれば、彼らとの会議がもっと効果的なものになります。

TC: Shippoの投資家であるAlbert Wenger(USV)やJeff Clavier(SoftTech VC)とはよく話をしているようですが、積極的なアドバイザーの存在はどのくらい重要だと思いますか?

Wu:Jeffとは月次の電話ミーティングをしていますが、それだけでなく必要に応じて彼とは連絡をとっています。何かあればどんなときでも彼にテキストを送っていますし、Albertについても同じことが言えます!

私は定期的に連絡をとることで信頼関係が構築されると強く信じています。投資家は(悪い)ニュースを聞いたときに驚くべきではないと思いますし、彼らとは常に会社の動向に関する最新情報を共有すべきだと思います。つまり、取締役会の場にサプライズがあってはいけません。

Version OneのBoris WertzFundersClub、500 Startups、Jeff、Albertは、大企業との交渉の場や、見込み顧客への紹介、採用者候補の選定、オペレーションに関するアドバイスなど、さまざまな場面で私たちにとってかけがえのない存在でした。

TC:シリーズAに到達するのは大変ですが、シリーズBに到達するのも同じくらい大変ですよね。今後Shippoの成長を持続または改善するにあたって、どんなことを考えていますか?

Wu:成長を続けるには、繰り返しになりますが人材の雇用が不可欠です。Simonと私しか会社にいなかった頃は、私たちが全部やらなければいけませんでした。でも今は、自分たちのやっていたことを他の人ができるようにしなければいけません。そのためには、仕組みやプロセスが必要で、現在専門家の力を借りながらそのシステムを構築しようとしています。最高の幹部陣を揃えるのは本当に重要です。

また、私たちは話をした全ての投資家から資金を調達したわけではありません。その代わり資金調達のプロセスで、たくさんの素晴らしいフィードバックを得ることができました。そのフィードバックを持ち帰って、私たちの事業のさまざまな点を改善するのに使おうとしているところです。

TC:Shippoの次の一手は何でしょうか?

Wu:私たちはどんな企業や人に対しても、よりスマートにものを送ることができるテクノロジーを提供したいと考えています。

Shippo Seed Deck

Shippo Series A Deck

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter