GovTechのスタートアップ育成するベンチャースタジオのHangarが15億円超を調達

Bloombergのデジタル・キャンペーン・アドバイザーでベンチャースタジオの創業者でもあったJosh Mendelsohn(ジョシュ・メンデルゾーン)氏は「地方や国レベルの常に予算に縛られている政府機関が、彼らが直面している課題に対応できるほど十分効果的にテクノロジーを使いこなしていない」と考えている。

そこでEngineの創業者でHatteryの専務取締役だった同氏は、彼の元ボスとKresge Foundationから1500万ドル(約15億9000円)を調達してHangarを立ち上げ、政府が効果的に取り組んでいない問題の解決を支援する企業を育てていくことにした。

メンデルゾーン氏は声明で「この国は今、前例のない状態に置かれており、企業はさまざまな難題に一度に対応しようとしている。新型コロナウイルスとの戦いがあり、経済の再建、高等教育の費用低減、ヘルスケアのちぐはぐな結果の修復など、大きな問題が数多くある」と述べている。

同社はすでに内部に技術者とビジネスコンサルタントのチームを抱え、米国の政府機関が毎年情報技術に支出する2兆ドル(約211兆8550億円)の一部を自ら手にするつもりだ。

同氏氏が創業したHangarはスタートアップ企業を育てるスタジオなので、一般にベンチャースタジオと呼ばれるが、創業後1年半のステルスモードの時期にすでに4つの企業を創業した。Camberは、政府に人の動きに関するデータを提供して、新型コロナウイルスと戦うヘルスケアの研究者に提供している。Camberはいまや、新型コロナウイルスに取り組んでいる公衆衛生の研究者や疫学者、州政府機関などに人の動きのデータのインサイトを提供する実績を持つ。

Corneaは、防災計画とその管理のための予報用ツールキットを開発している。Outcomeは、新しい学生ローンのサービス。Rosterは、テクノロジーを利用してコミュニティのヘルスワーカーの取り組みを支援するサービスだ。

以前にAppNexusを起業してAT&Tに10億ドル(約1060億円)で売却し、今はHangarに投資しているニューヨークの連続起業家であるBrian O’Kelley(ブライアン。オーケリー)氏は「早急にイノベーションと新たなテクノロジーを必要としている分野は、ヘルスケアや防災計画をはじめとして、とても多い。これらの分野は、人の命と幸福と目の前の現実の問題解決のためにテクノロジーを早急かつ有効に活用しなければならない。Hangarにはすでに、シリコンバレーの深い経験を持つ人々と政策立案の経験者から成る混成のチームが在籍しており、すでにその力を発揮しつつある。彼らの次の段階を支援できることを誇りに思う」とコメントしている。

画像クレジット: Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GoogleのKeenは機械学習版のPinterest

Area 120というGoogle(グーグル)の社内インキュベータからKeenという「AIが関心あるトピックをクラウドから集めてくれる」サービスが登場した。いわばGoogleアラートの改良版だ。ただしGoogleアラートがGoogle検索の結果をメールで通知するだけなのに対して、Keenは機械学習と人間の判断を組み合わせ、トピックをキュレーションする専用ページを作ってくれる。

ユーザー興味を抱いている個々のトピックはKeenと呼ばれる(頭の回転が速いことを指す形容詞から取ったのだろう)。

共同創業者のC.J. Adams(C.J. アダムズ)氏によれば、ヒマな時間にぼんやりスマホを眺めて画像や記事を延々とブラウズしていることに気づいたことがこのプロジェクトのアイデアのきっかけだったという。アダムズ氏は同じ時間を使うなら自分が興味を持つトピックについて学ぶほうがずっとよいと考えた。つまり深く知りたいと思っていたテーマや学びたかった技能などだ。

このアイデアを発展させるためにアダムズ氏はGoogleの同僚4人を誘った。またPeople and AI Research(PAIR、人間とAI検索)チームの協力を得て作ったのがKeenだという。「人間とAI検索」は人間の活動を中心としてそれを助ける機械学習に焦点を当てたテクノロジーを開発しているチームだ。

KeenはウェブとAndroidで公開されており、利用するにはGoogleアカウントでログインして調べたいトピックを入力すればよい。アダムズ氏はリリースノートでパン焼きバードウォッチングタイポグラフィなどの例を挙げている。

キーワードを入力するとKeenは関連するトピックを提案してくれる。「犬の訓練」と入力すると、「犬の訓練教室」「犬の訓練本」「犬の訓練のコツ」「犬の訓練ビデオ」などが提案されるので適当なものがあればクリックするとそのテーマでKeenが作成される。

後でKeenを開くと興味に合致したコンテンツの画像がピンボードとして表示される。「犬の訓練」の例では、下の画像のように各種記事、YouTube動画、キュレーションされた役に立つソースのリストから、犬の訓練用おやつ製品のAmazonリンクなどが収集されている。

作成されたトピックについてサービスはGoogle検索と機械学習で新たなコンテンツを発見、収集する。ユーザーがKeenにコンテンツを追加、内容を整理すればKeen側からのレコメンデーションも精度もアップする。

使用感はPinterestのAI自動化版といったところだ。

Keenでトピックが作成されたらコンテンツを追加、削除できるのはもちろん、他のユーザーがコレクションを閲覧、編集できるよう共有するオプションもある。コレクションは公開することも、非公開にすることもできる。また新しいコンテンツが追加されたときメールで通知を受け取ることもできる。

実はGoogleアプリのニュースフィードは似たようなテクノロジーを使っている(The Verge記事)。ニュースフィードの場合、ユーザーの検索履歴とユーザーが興味も持っていると入力したテーマを組み合わせて収集された最新ニュースその他の情報がGoogleアプリのホーム画面に配信される。ただしKeenは検索履歴にはタッチせず、ユーザーが直接入力したトピックだけに基づいてコンテンツを収集するという。

またニュースフィードがそのタイトルどおり最新の情報に焦点を当てているのとは異なり、Keenはトピックに関する有用な情報を発表時期によらずに収集する。これは記事だけでなく、イベント、ビデオ、製品カタログなどの関連情報も含まる。

しかしGoogleログインで認証される同社のサービスである以上、収集されたデータは同社と共有される。もちろんKeenも他のGoogleサービスと同様に、同社のプライバシー約款が適用される。

現在のKeenはグーグルという大企業のインキュベータから生まれたばかりのプロジェクトではあるが、インターネットのパーソナル化の一つの方向を示して示しているといえる。テクノロジー企業は、以前から  ユーザーが興味を持つコンテンツを供給することがサービスに対してポジティブなイメージを与え、エンゲージメントを高め、セッションの長さやリテンション率をアップすることに以前から気づいていた。

しかし十分に注意を払わないと、パーソナル化はユーザーにいつも似たような情報を提供、有力な反対意見が出てもそれを伝えることができないといった弊害も起こしやすい。これはユーザーの世界観を狭くするだけでなく、バイアスを強化するフィルターバブル (The Wall Street Journal記事)や同意見だけを集めてくるエコーチェンバー(Cambridge Core記事)などの好ましくない副作用をもたらす。 アルゴリズムに基づいた記事推薦は奇矯なコンテンツを検索しているユーザーを危険な迷路に送り込みいっそう過激化させてしまう(The NewYork Times記事)リスクがある。極端な場合、過激化したユーザーがテロリストになるYahoo News記事)ことさえある。

Keenの場合も機械学習と人間の専門家をペアにするほうが賢明だろう。 しかしKeenではユーザー本人と(もし招待した場合は)友人や家族を以外に人間によるレイヤーは存在せず、AIテクノロジーが情報を集めてくる仕組みだ。

このことは現在のAIシステムに充分な知識を持った人間の専門家のキュレーションが必須であることを示しているが、Keenについていえば野心の範囲を今少し狭くして特定のトピックの情報収集に特化したほうがいいのかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

THE SEEDが京都にインキュベーション施設開設、「関西の若い才能」の活躍サポートへ

シードVCのTHE SEEDは11月25日、京都のスタートアップや最新テクノロジーに関心のある人材に対して作業場所や最新VRデバイスなどを無料で提供するインキュベーション施設「SEEDKYOTO」を開設したことを明らかにした。

SEEDKYOTOは関西の若手起業家および起業家予備軍のチャレンジを後押しすることを目的として立ち上げられたスペースだ。主に学生を対象に無料で使えるインキュベーションオフィスを提供するほか、アクセラレータプログラムを通じて先輩経営者と交流できる場やVCなどによるメンタリングの機会なども設けていくという。

背景にあるのは「関西では投資家や先輩起業家に気軽に会うことが難しい」という課題感だ。

THE SEEDのジェネラルパートナーである廣澤太紀氏によると、ここ1〜2年の間だけでも関西圏におけるスタートアップ支援の総量自体は増えてきているそう。複数のアクセラレータプログラムやピッチコンテンツが開催されていたり、京都リサーチパークを始めとした支援施設が充実してきていたり。「肌感としては2010〜2013年くらいの東京のように、いろいろなスタートアップ活動が盛り上がり始めている」という。

一方で東京と比べて圧倒的に不足しているというのが「初期の段階からリスクを取って挑戦を後押しするVCや個人投資家の数」だ。

「関西にはプロダクトがないような状況でもスピーディーに出資の判断ができるエンジェルや独立系のシードVCがまだ少ない。同じ金額を調達するにしても東京の方が選択肢が豊富で、投資家も出資慣れしているので話がスムーズに進む。また出資後も投資家経由で起業家のコミュニティや集まりに呼んでもらえたり、人を紹介してもらうことも多いが、関西だと『ランチがてら先輩経営者に相談に乗ってもらう』といったことも簡単ではない」(廣澤氏)

廣澤氏はもともと関西学院大学の出身。昨年8月にTHE SEEDを立ち上げる以前から関西の学生がスタートアップや起業に触れるきっかけとなるコミュニティを運営してきた。現在もメインの拠点は東京になるものの、大阪や京都にてミートアップの開催や創業投資を継続的に行っている。

これまでに出資した十数社の中には関西出身者が立ち上げた企業など関西に関わりがあるところも多いが、関西に拠点を置く企業はまだ少ないそう。京都拠点の開設を機にTHE SEEDとして関西圏のスタートアップ投資を強化していくのはもちろん、同じような志を持つ同世代の起業家と交流できる場や、東京のVCや経営者などメンターとなる人物を出会える環境も整えていきたいという。

SEEDKYOTOの協賛企業。VCの代表・スタートアップの経営者によるメンタリングに加えて「PRTIMESの利用クーポン」や「Progateの有料プランを1年間無償提供」といった特典もあるそうだ

「若い才能は東京だけでなく関西にもたくさんいる。実際大学生の人口分布を見ても東京の約25%に対して関西(※大阪、京都、兵庫)は約18%と大きな差はなく、もっと関西からも活躍する若い起業家を増やしていける可能性はあると考えている。自分が関西の若い起業家と東京のVCや先輩起業家をつなぐハブとして多少なりとも機能する手応えも掴めてきたので、SEEDKYOTOを通じて大きな挑戦を後押ししていきたい」(廣澤氏)

東大IPCが新たな起業支援プログラム開始へ、JR東日本スタートアップや三井不動産らと連携

東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)は4月1日、業界のリーディングカンパニーと共同でコンソーシアム型のインキュベーションプログラム「東大 IPC 1stRound」を開始することを明らかにした。

同プログラムでは年2回の開催、各回5件の採択を予定していて本日より初回の募集を始める。

TechCrunchでも何度か紹介してきたように、これまで東大IPCでは「東大IPC起業支援プログラム」を通じて、起業を目指す現役学生や卒業生などの東大関係者、起業直後の東大関連スタートアップの支援を行ってきた。

事業化資金とハンズオン支援を6ヵ月に渡って提供するこのインキュベーションプログラムには累計で10社が参加。内7社はすでに資金調達を成功させている。先日UTECから資金調達を実施したBionicMや、昨年10月にグローバル・ブレインなどから3.5億円を調達したソナスも過去の採択スタートアップだ。

今回発表された東大 IPC 1stRoundは東大IPC起業支援プログラムの支援対象や支援規模を大幅にアップデートしたもの。採択企業には従来通り6ヶ月のハンズオン支援に加え、最大1000万円の活動資金やJR東日本スタートアップなど6社のコーポレート・パートナーとの協業支援、様々な開発リソース、各分野のプロフェッショナルサービスなどが提供される。

支援内容の一例としては10万ドルのAWS利用権&技術支援、あずさ監査法人のプロフェッショナルにより財務・経営管理サポート、会議室の無償寄与など。初代コーポレート・パートナーは以下の企業らだ。

  • JR 東日本スタートアップ
  • 芙蓉総合リース
  • 三井住友海上火災保険
  • 三井不動産
  • 三菱重工業

若手VC3人がインキュベーションコミュニティ「Sprint」を始動、11月には合宿型イベントも開催

先日TechCrunchではインキュベイトファンドが主催する合宿型のシードアクセラレーションプログラムである「Incubate Camp 10th」の様子を紹介したが、近年VCや事業会社が主催するインキュベーションプログラムやピッチコンテストが日本でも盛んになってきている。

プログラムごとに期間や内容は異なるが、上手く活用すれば起業家にとっては投資家との出会いの場、事業をブラッシュアップする場にもなるだろう。今回新たに始動した「Sprint」も3人のベンチャーキャピタリストが立ち上げた、起業家向けのインキュベーションコミュニティだ。

Sprintを主催するのはプライマルキャピタルの佐々木浩史氏、TLMの木暮圭佑氏、IF Angelの笠井レオ氏。いずれも20代から30代前半のベンチャーキャピタリストだ。冒頭に書いた通りすでにさまざまな起業家向けのプログラムがあるが、事業を立ち上げたばかりの若手起業家や、起業を視野に入れビジネスプランを考えている起業家予備軍に特化して、早い段階で気軽にVCやエンジェル投資家と接点を作れる場を作るべく、この取り組みをスタートしたという。

この「気軽に」というのがSprintのポイントだ。世にある多くの起業家支援プログラムでは、主催サイドとのパートナーシップを前提としていたり、主催者サイドが参加者に投資を行う、もしくは優先交渉権を持つといったケースが少なくない。もちろんプログラムを通してスタートアップのプロダクトをブラッシュアップしていくという意味ではエコシステムにおいて重要な役割を果たしているが、そういった座組みにチャレンジできるのはあくまで成長ステージのスタートアップに限られる。Sprintでは特にそういった条件は設定せず、同世代もしくはそれに近い駆け出しの起業家と投資家を結び付けるコミュニティとしての活動を重視するという。

具体的な取り組みとして、11月3〜4日にかけて、35歳以下の若手起業家(起業準備中の人を含む)を対象とした投資家との合宿型イベントを神奈川県・湯河原のThe Ryokan Tokyoで開催する。メンターには、主催者である3人に加えて、BEENEXTの前田ヒロ氏、GLOBIS CAPITAL PARTNERSの湯浅エムレ秀和氏、East Venturesの金子剛士氏の計6人の投資家が参加。期間中にメンタリングを行うほか、起業家とペアを組んで事業案のブラッシュアップも行う。参加社数は6社を予定しており、こちらのフォームから応募可能だ。募集期間は10月13日までとなっている。

シリコンバレー発のアクセラレーター・Plug and Playが日本で始動、大企業と組んだ支援プログラム

左から、江原伸悟氏、フィリップ・誠慈・ヴィンセント氏、矢澤麻里子氏

米・シリコンバレーに本拠地を置き、2006年から10年以上にわたってアクセラレーター・投資家として活躍するPlug and Play。シリコンバレーのサニーベールにあるアクセラレーション施設の「Plug and Play Tech Center」には、米国内外から多くのスタートアップや、彼らを支援する大手企業(公式パートナー)が集まっている。現在では世界10カ国でアクセラレーションを実施。毎年約150社のスタートアップに出資しており、その中にはDropboxPayPal、最近ではLendingClubといった名前が並ぶ。

そんなPlug and Playが日本法人のPlug and Play Japanを設立。国内での活動を本格化した。日本法人の代表には、米国のPlug and PlayにてIoTやモビリティ領域のアクセラレーションを担当していたPhillip Seiji Vincent(フィリップ・誠慈・ヴィンセント)氏が就任。また、Venture Partner/取締役に元サムライインキュベートの矢澤麻里子氏が、Program Manager/プログラムマネジャーとして元楽天の江原伸悟氏がそれぞれ就任する。

Plug and Play Japanでは、第1期となる日本でのアクセラレーションプログラムについても発表している。プログラムには公式パートナーとして、三菱UFJ銀行、東急不動産、電通、パナソニック、SOMPO Digital Lab、富士通、フジクラが参画。Fintech、IoT、InsurTech(保険領域)の3つのテーマを主軸にして、日米中心に約20〜25社のスタートアップを採択。メンタリングや事業ノウハウ、オフィス環境の提供、パートナーによる支援などを行う。募集期間は9月1日より9月15日まで。プログラムは11月8日より3カ月間を予定する。申し込みは同社のサイトから。またプログラム開始に先駆け、10月には東京・渋谷に東急不動産とともにコワーキングスペースを開設する。

この数年で「オープンイノベーション」という言葉を随分聞くようになったが、まだまだ言葉ばかりが先行している状況といっても過言ではない。スタートアップと大企業で実証実験をやったら、その後に本格的な提携もなくプロジェクトは終了なんてケースも耳にする。Plug and Play Japanのメンバーもそういった状況は認識しているとのことで、米国や海外でかれらが手がけて北大企業とスタートアップの連携を日本でも実現したいと考えているようだ。同社は渋谷に完成する新拠点を軸に、大企業とスタートアップ、日本と米国やその他のエリアを結ぶ「イノベーションのプラットフォームを作っていく」(ヴィンセント氏)としている。

またアクセラレーションプログラムやコワーキングスペースの運営に加えて、スタートアップへの投資も進める予定だ。「日本ではシードマネー(の出資を)受けやすくなってきたが、(全ての)スタートアップが育っているかというと、また違う。あくまで投資は手段。それに加えて大企業との連携やグローバルなメンターのアドバイスなどでスタートアップを支援していく」(矢澤氏)

Verizon VenturesとR/GAが共同で、デジタルメディア「ベンチャースタジオ」を発表

投資会社のVerizon Venturesと広告代理店のR/GAは、Verizon Media Tech Venture Studioという名前の新しいプログラムを発表した。

R/GAのグローバルCOOおよびR/GA venturesのマネージングパートナーであるStephen Plumleeによれば、これまで同代理店による”venture studio”プログラムたちは、他のスタートアップアクセラレーションプログラムに似た形で始まったが、いまは「金融資本、クリエイティブ資本、そして顧客関係資本」へのアクセスを拡大しているということだ。言い換えれば、スタートアップたちは単に資金やアドバイスを得るだけではなく、R/GAの制作スタッフや顧客と一緒に、製品に取り組むことになるということだ。

今回、Media Tech Venture Studioが最大10社に対して提供する14週間のプログラムでは、各自に10万ドルの資金を与え、ニューヨークにあるVerizonの新しい「オープンイノベーション」スペースも作業場所として提供する。同社が探しているのは、コンテンツの作成や、パーソナライゼーション、仮想現実と拡張現実、人工知能、コンテンツ配信、インタラクティブ広告、そしてeスポーツ分野のスタートアップだ。

「Verizonの考えは、市場に本当に出てみて、そこで何が起きているのかを知りたいということなのです」とVerizon VenturesのPaul Heitlingerは語る。「参加企業たちにとって真に魅力的なのは、Verizonのビジネスユニットと直接仕事ができることです・・・私たちの技術、ネットワーク、そして舞台裏のものすべてに触れることができるのです」。

同時にHeitlingerは、プログラムに参加しても「Verizonの専属として働かなければならいということは意味しません」と語った。

これらのスタートアップたちが、この後更にVerizon Venturesからの追加投資を受けることができるのか、という質問に対して彼は「いいえ、とは言いませんし、はい、とも言いません・・・Verizonのビジネスに良く馴染む特定の会社があると感じた場合には、他のスタートアップに対するものと同様に、私たちは投資を行いますよ」と答えた。

Verizonはデジタルメディアへより深く入りこもうと努力を重ねてきた、そうした動きは、go90モバイルビデオアプリや、AOL(TechCrunchの親会社)の買収はもちろん、現在進行中のYahoo買収 などに現れている。

Verizon Media Tech Venture Studioへの申込み期限は5月30日である。プログラムの開始は7月31日が予定されている。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: DAVID RAMOS/GETTY IMAGES

VR特化型インキュベーション施設「Future Tech Hub」が茅場町にオープン

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プレステVR、Oculus Rift、HTC VIVEなどのVRヘッドセットが出揃い、2016年はVR元年と呼ばれている。けれど、VRが本当にメインストリームになるには、コントローラーなどVRに関連したハードウェアの開発やユーザーが楽しめるコンテンツ、あるいは生活を便利にするソフトウェアの存在が不可欠だ。12月14日、ブレイクポイントはそのようなVRプロダクトに取り組むスタートアップを支援するインキュベーション施設「Future Tech Hub」の正式ローンチを発表した。

ブレイクポイントは起業支援型レンタルオフィスを都内で3箇所運営し、スタートアップの支援を行っている会社だ。今回、VRに特化したインキュベーション施設を立ち上げたのは、「日本からグローバルレベルのVRスタートアップを輩出するため」とブレイクポイント代表取締役、若山泰親氏は話す。

米国ではGoogleやFacebookなど、すでにトッププレイヤーがVRに参入し、中国でもVR関連の企業が多く立ち上がっているが日本は出遅れているのが現状と若山氏は説明する。VR市場は大きくなると考えている日本の大手企業も多いが、VR市場の全貌がまだ見えないために動けないでいるという。リスクが高い今の状況には、スタートアップが素早く立ち上がって、競う余地があると若山氏は言う。

Future Tech Hubはブレイクポイントのみで運営するのではなく、運営パートナーにソーシャルゲームのgumi、そしてgumiの子会社でVRスタートアップのインキュベーションプログラムを開催している「Tokyo VR Startups」を迎えている。また、テクニカルパートナーにはゲーミングPCを手がけるサードウェーブデジノス、VRヘッドセットを提供するHTC、クラウドコンピューティングサービスのAWSが参加している。

こうしたパートナーを迎えることで、Future Tech HubではVR開発に最適な設備を整えるだけでなく、入居者が最先端のVRの情報に触れられる場にしていくことができるという。また、スタートアップが事業運営で壁に突き当たった時に助けとなるコミュニティーの形成を行っていくと若山氏は話す。

「Future Tech Hub」は茅場町駅から5分ほどの場所に位置し、現在5社のスタートアップ入居している。今後1年で30社程度のVRに取り組む個人や法人の入居を予定しているという。