Kara Penn(カラ・ペン)氏は、4人の娘の母であり、マネジメントおよび戦略コンサルティング会社Mission Spark(ミッションスパーク)を経営している。
そして今、彼女はHustle Fund(ハッスルファンド)のおかげで、エンジェル投資家でもある。
Hustle Fundは2021年5月、コロラド州に拠点を置くペン氏のように、より多くの人々がエンジェル投資を利用できるようにする新しいイニシアチブAngel Squad(エンジェルスクワッド)でステルスから抜け出した。
「当社は、スタートアップのエコシステムで多様性を増すためにしなければならないことは、性別、人種、居場所にかかわらず、エンジェル投資家における多様性を増すことだと信じています」と Hustle Fundの共同創業者兼ゼネラルパートナーのElizabeth Yin(エリザベス・イン)氏は語った。
Hustle FundはAngel Squadを通じて、インクルーシブな投資家コミュニティの構築を特に目指しており、最低投資額を低く、利用しやすいように設定し(最低1000ドル、約10万9000円から)、投資家に「エンジェルの心得」とHustle Fundとともに投資する方法を提供する。
イン氏は「エンジェル投資家になるには、大金持ちで2万5000ドル(約270万円)の小切手が切れなければいけないという誤解がありました。少なくとも私はそのように思っていました」とTechCrunchに語った。「でも実際シリコンバレーでは、1000ドルの小切手で投資している人たちがいます。これはほとんどの人が考える額よりもはるかに手に届く額です。少額の小切手をたくさん集めて、企業に対して多額の小切手を切ることができるという点で、このグループを作る価値があります」。
ペン氏はこれまで、不動産、食品、アパレル、金融などさまざまなセクターで5社のスタートアップに投資している。
ペン氏は自身のことをエンジェル投資において「完全な初心者」としており、今のところはこの経験を楽しんでいる。
「すばらしい実業家は誰でもなれ、どこにでもいるというHustle Fundの考え方が気に入っています」とペン氏はTechCrunchに話した。「あらゆるレベルの専門知識が揃い、どんな質問にも答えてくれる協力的なコミュニティの一員でいることを楽しんでいます」。
またこの経験により、彼女はテクノロジーとAI、データの収集と利用、新しい市場の創出など、今までに触れたことのない方法で知識を広めることができるようになった。
「自分の会社で社会的影響力のある組織の戦略に専念する者として、創業者が複雑な問題に対して創造的な解決策を特定して市場に出す方法を探したり、難しい問題をスマートな方法で解決しようとしている革新的な人々のネットワークに触れることを望んでいます」とペン氏。「このように触れる機会があることで、難しい社会問題にこれらのアプローチを適用することについて考えようという気持ちにさせてくれます」。
Hustle Fundはエリザベス・イン氏とEric Bahn(エリック・バーン)氏によって創業されたベンチャー企業だ。両者ともにプレシードソフトウェアのスタートアップへの投資を目標に持つ、500 Startups(500スタートアップス)の元パートナーだ。同社は従来、通常は最低限の有望製品を持つ企業に2万5000ドルを投資し、チームと連携して企業の成長を助けている。同社ウェブサイトによると、年間およそ50件の投資を行っている。
最近、新規ファンドに 3360万ドル(約36億8000万円) 調達した。
「当社にとって最も重要なものの1つは、このスタートアップのエコシステムの方法を変えるという大きなミッションです」とイン氏。「起業家として、そしてアクセラレーターの業務を行うときの両方で、特定の履歴書があったり、特定の学校を卒業しているとか、特定の人種や性別だと、会社を立ち上げて、資金を調達する上で有利だということに気づきました。この項目に当てはまらなければ、多くの人にとって起業はとても困難なことになる可能性があるのです。だから当社はあらゆる階層からの多くの創業者に投資しているのです」。
Hustle FundのベンチャーパートナーBrian Nichols(ブライアン・ニコルス)氏は、AngelList(エンジェルリスト)でLyft(リフト)の元社員のシンジケートを開始した。いくつかの取引を行った後、AngelList以外の人々に対するシンジケートを開いている。
「あらゆるバックグラウンドの世界中の人々が、プライベートマーケットに多様性を求めていることがわかりました」とニコラス氏は話した。「Hustle Fundとは、投資していた企業の趣味が合うので、共同投資という形で関係を築いたのです」。
ニコラス氏は現在、同社のAngel Squadイニシアチブを助けている。これまでに合計で150名以上の投資家を集めたコホートを2回行った。同社のミッションに忠実に、投資家は通常のエンジェルシンジケートよりも多様性に富んでいた。メンバーの46%が女性で9%が過小評価されているマイノリティ、32%が弁護士や医者、アーティストなどのテック以外の専門職であった。シリコンバレーに拠点を置いているのは1/3に過ぎない。
Angel Squadでは毎週、ネットワーキングから、Hustle Fundが投資を検討している機会を密かに伺ったり、創業者とミーティングを行うか否かの理由について話し合ったりするなど、さまざまなイベントを開催している。
ニコラス氏は「ゼロから始めることを考えてみてください。たくさんのステップをスキップできて、スタートアップを評価するプロセスで大金を失う前に、エリザベス(・イン氏)にやり方を教えてもらうことができるのです」とTechCrunchに語った。「Angel Squadはまさに、私が投資に興味を持ち始めた3、4年前に望んでいたものです」。
シリコンバレーは威嚇的なところもあるが、実際はすべてにおけるエキスパートはいないとイン氏は認識している。
「私たちは人々がとても親切な環境を作ろうとしています。『嫌なやつ禁止』ルールがあり、人々が安心して学び、質問でき、エンジェル投資について何も知らなくてよいという環境です。実際ほとんどの人はエンジェル投資について知っていません。私たちは新しい人をこのシステムに招き入れたいのです」。
「嫌なやつ」ではない他、Angel Squadのメンバーになるための他の条件には、価値を高め、公認の投資家になることが含まれる。
「現在の競合的なラウンドで、私たちが投資しているポートフォリオ企業を積極的にサポートしたい人々を求めています」とニコラス氏。「プログラムに参加したい方は全員、当社チームによる面接があり、『あなたが創業者を助けられることは何か』といった質問がされます。受動的な資本は探していません。受動的な資本はエコシステムのこの時点ではさほど役に立ちません」。
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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Hustle Fund、多様性、インクルーシブ
画像クレジット:Hustle Fund
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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)