調剤薬局のDXを推進するカケハシが約18億円調達、薬局の業務効率化からオンライン服薬指導までをサポート

カケハシは10月12日、総額18億円の資金調達を発表した。第三者割り当て増資によるもので、引受先は、既存投資家である千葉道場ファンド(千葉道場2号投資事業有限責任組合)、DNX Ventures、Salesforce Venturesのほか、新規投資家としてCoral Capital(Coral Growth)、三井住友トラスト・インベストメント(ジャパン・コインベスト3号投資事業有限責任組合)とSony Innovation Fund by IGVが加わった。今回の資金調達により累計調達額は約55億円になる。

今回調達した資金は、薬局業界のデジタルトランスフォーメーションを支援する既存事業の拡大と新規事業の創出、それに伴う組織の拡充へと継続投資するとのこと。現在、新型コロナウイルスの影響や今年9月に改正・施行された薬機法(薬剤師法並びに医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)によりオンライン服薬指導について取り決めが定められるなど、​薬局業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)への要請が高まっているそうだ。

同社は、調剤薬局のDXを進めるための、薬局体験アシスタント「Musubi」やおくすり連絡帳アプリ「Pocket Musubi」などのサービスを開発・提供しており、業界の注目度はさらに高まっている。

Musubiは、処方にあわせた薬剤情報、患者の健康状態や生活習慣に合わせた指導内容・アドバイスをタブレット端末の画面に自動提示しつつ、患者と一緒に服薬指導を進められるツール。 薬歴の下書きが自動で作成されるため、患者とのコミュニケーションと同時並行となり作業効率がアップするというメリットもある。これらのDXにより、服薬指導とは毎日数時間かかっていた薬歴記入による業務負担が大幅に削減されるわけだ。

もちろん、業務の状況や店舗の経営状況、患者との関係性をデータで可視化できるため、新たに義務化される服薬期間中のフォローアップについても、Musubiを活用することで現実的な業務フローの構築が可能となるという。

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調剤薬局向けクラウド「Musubi」開発のカケハシが26億円調達、伊藤忠やアフラックが株主に加わる

カケハシは10月31日、シリーズBラウンドで第三者割当増資による26億円の資金調達を発表した。引き受け先は既存株主のDNX Venturesやグロービス・キャピタル・パートナーズのほか、新たに伊藤忠商事、電通ベンチャーズ、アフラック・イノベーション・パートナーズ、みずほキャピタルが加わった。今回の資金調達により累計調達額は約37億円となる。そのほか既存の引き受け先は以下のとおり。

  • STRIVE
  • 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ
  • 千葉道場2号投資事業有限責任組合
  • Coral Capital(旧500 Startups Japan)
  • SMBCベンチャーキャピタル

カケハシは、調剤薬局向けのクラウドシステム「Musubi」を開発している2016年3月設立のスタートアップ。患者の疾患や年齢、性別、アレルギー、生活習慣、検査値などのデータを基に最適化した服薬指導をサポートする。季節に応じた対応や、過去の処方や薬歴などを参照した指導内容の提示も可能だ。データを入力していくことで各種情報が蓄積され、より高い精度で患者に最適な服薬指導やアドバイスを自動提案してくれる。

Musubiはタブレットを使用するサービスで、服薬指導中に患者と薬剤師が一緒に画面を見ながら、話した内容をタップするだけで薬歴の下書きを自動生成できるのも特徴だ。調剤薬局といえば、医師から出された処方箋を手渡して薬をもらうだけの場所になりがち。通常は「(処方された薬を)ジェネリック医薬品に切り替えますか」「お薬手帳を持っていますか?」ぐらいの会話しか発生しない。

こういった環境にMusubiを導入することで「かかりつけ薬局」としての存在感が増すという。患者にとっては、診察を受ける医療機関はさまざまでも、薬を受け取る調剤薬局を1つに決めておくことで薬歴が集約されるので、調剤薬局で市販薬を購入する際の服薬指導やアドバイスの精度も増すはずだ。小児科や皮膚科などは平日でも混み合っていることが多く待ち時間が長い。深刻な症状を除けば、調剤薬局に相談して解決というケースも増えるだろう。

カケハシによると、今回調達した資金のうちの大半は、Musubi事業の拡大と新規事業の創出に必要な人材に投資するとのこと。同社は2019年2月に大阪に拠点を開設するなど首都圏以外での事業展開を進めている最中だ。

電子薬歴システムのカケハシが9億円調達、売上はすでに月4000万円

電子薬歴システム「Musubi」を提供するカケハシは5月14日、グロービス・キャピタル・パートナーズ伊藤忠テクノロジーベンチャーズSalesforce VenturesSMBCベンチャーキャピタルDraper Nexus Venture Partnersグリーベンチャーズ500 Startups Japanより、シリーズAラウンドで総額9億円の資金調達を実施したと発表した。

Musubiは、薬剤師が患者に対して行う服薬指導で利用するクラウドサービスだ。指導の内容は自動でクラウド上に蓄積されるため、コミュニケーションと同時に薬歴記入ができることが特徴。この時間短縮の効果は大きく、毎日2〜3時間の業務負担を大きく削減することが可能であるほか、患者の疾患、年齢、性別、アレルギーなどの情報や過去の薬歴などを参照して最適な指導を行うことができる。

カケハシは2018年3月に行われたB Dash Campピッチアリーナで優勝したスタートアップだ。壇上に上がった代表取締役の中尾豊氏は、同社の月次売上高はその当時すでに4000万円に達していると話し、会場を驚かせた。現在、Musubiには約8000店舗からの問い合わせがあり、それらの店舗への導入率は約6割だという。

カケハシは今回調達した資金を利用して、エンジニアとカスタマーサポートの人員を大幅に強化することを目指す。このタイミングで大型調達を行い、人員強化を行うことでサービスの改善点やニーズを現場から汲みあげることが必要であると考えたようだ。

カケハシは2016年3月の設立。これまでに2度の資金調達を行い、合計で約2.5億円を調達した。今回のラウンドを含む累計調達金額は約11.5億円となる。