突然システムが停止すれば、担当チームは原因の追求と復旧方法の解明のために大混乱に陥るのは必至だ。そんなとき開発者の危機管理を効率的な方法で助けてくれる新しいスタートアップStackPulse(スタックパルス)が、米国時間1月19日、2800万ドル(約29億円)の資金調達を発表し、ステルスモードから姿を現した。
この投資は、実際には未公表だった前回の800万ドル(約8億3000万円)のシード投資ラウンドと、新規の2000万ドル(約20億7500万円)のシリーズA投資ラウンドの2つで構成されている。今回のラウンドはGGVが主導した。Bessemer Venture Partnersがシードを主導し、シリーズAにも参加した。また、GGVのGlenn Solomon(グレン・ソロモン)氏とBessemerのAmit Karp(アミット・カープ)氏がStackPulseの役員会に加わる。
システム停止はどこでも起こり得る。この数カ月内にも、Amazon(アマゾン)やSlack(スラック)などさまざまな企業が事故に見舞われている。Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)などの巨大企業は、サイトリライアビリティエンジニアを雇い、事故の復旧を行うための特別なプラットフォームを構築している。StackPulseは、外部の開発者を呼び出す以外に対処法がない企業にも、そのような能力を持たせたいと考えた。
同社の共同創設者でCEOのOfer Smadari (オファー・スマダリ)氏は、事故が発生し、Slack(スラック)やPagerDuty(ページャーデューティー)などのソースから警告が送られてくる中で、何が起きているのかを把握することは難しいという。StackPulseは、事故の詳細を分析して、できるだけ早く担当者を安心させるようデザインされている。
それはまず、事故の重大度を特定する。誤報なのか、今すぐ対処すべき問題なのか、次の定期点検のときに対応すればよい程度のものなのか。今すぐ修復しなければ事態が悪化すると思われる場合は、StackPulseは原因を突き止めるだけでなく、自動的に復旧を試みるとスマダリ氏はいう。
問題が解決した後も、あらゆる警報や事故データをプラットフォームに集めて、具体的に何が起きたのかの事後分析を行う。
ステルスモードから出た時点で、StackPulseにはすでに数社の顧客があった。オレゴン州ポートランドとテルアビブの拠点には35人の従業員が働いている。スマダリ氏は、2021年末までに100人に増員したいと語っている。この会社を創設するとき、彼は多様な顧客に対応できる多様なチームを構築したいと考えていた。多様な経歴を持つ人々が、優れた製品を生み出すというのが彼の信念だ。また、多様性は同社の最大の目標でもあり、すでに人事のリーダーがその推進にあたっていると彼はいう。
役員会に参加予定のGGVのGlenn Solomon(グレン・ソロモン)氏は、多くの企業が抱える最大の問題を、強力な創設者チームが解決している様子を見て、投資したいと考えた。「彼らが目指す製品の展望について説明を受けたとき、共感しました」と彼は話す。
顧客はシステム停止を我慢できない。ソロモン氏は最前線でこうした問題の解決に奮闘する開発者たちを見てきた。「今ほどパフォーマンスが求められるときはありません。システム停止は企業にダメージを与えます」と彼はいう。StackPulseならそれを改善できると、彼は信じている。
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タグ:StackPulse、システムダウン
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(翻訳:金井哲夫)