企業・自治体がエリア限定で「ローカル5G」ネットを構築できるルーターをシャープが開発、9月以降に提供予定

企業・自治体が限定ネットワークを構築できる「ローカル5G」対応ルーターをシャープが開発、9月以降に提供開始予定

シャープは8月17日、ローカル5G対応ルーターの試作機を開発したと発表した。ローカル5Gの実証実験やネットワーク検証用として、本年9月以降に提供開始予定。

ローカル5Gは、企業や自治体が、敷地内・工場内・農場など、特定のエリア限定で構築できる5Gネットワーク。高速大容量・低遅延・多数同時接続など5Gの特徴を生かしながら、個別ニーズに応じた独自のネットワークを構築できるという。建設現場での建機遠隔制御や医療施設での遠隔診療、生産効率を高めるスマート工場など、さまざまな用途での活用が期待されているとしている。

同試作機を介してカメラやFA機器、各種センサーなどを無線または有線でローカル5Gのネットワークに接続することで、大容量データを超高速で伝送可能となる。受信時最大約3Gbps/送信時最大約600Mbps(理論値)の超高速データ通信を実現。Wi-Fi6対応、2.5GBASE-T対応LAN端子、USB 3.0(Type-C)端子を搭載するなど、無線・有線の接続機能を採用。利用シーンや端末に応じた接続方法を選択可能なほか、無線と有線の同時使用も行える。

また同機は、ローカル5Gの周波数として2019年12月に制度化された「28.2-28.3GHz」に加え、今後の割り当てが検討されている「28.3-29.1GHz」「4.6-4.9GHz」にも対応。周波数の拡大も見据え、幅広いネットワークの検証に活用できるという。

  • サイズ/質量: 約157×84×16mm/約270g
  • 通信速度: 受信時最大約3Gbps/送信時最大約600Mbps(理論値)
  • 対応周波数: 28.2-28.3GHz/28.3-29.1GHz/4.6-4.9GHz
  • ディスプレイ: 約2.4インチQVGA (320×240画素)TFT液晶ディスプレイ
  • Wi–Fi: Wi-Fi6対応(11a/b/g/n/ac/ax。2.4/5GHz)。同時接続可能台数:16台
  • 有線LAN: 2.5GBASE-T × 1(内蔵)
  • USB: USB 3.0(Type-C)
  • バッテリー容量: 約4000mAh

4倍速有機ELと240Hz駆動タッチパネルを搭載のAQUOS zero2、ゲームは快適か?

シャープは、SIMフリースマートフォン「AQUOS zero2 SH-M13」を2月28日に発表、3月13日より販売開始した。もともとAQUOS zero2自体は、1月30日にドコモ、au、ソフトバンクのキャリアモデルとしてリリースされており、SIMフリーモデルはそれから約1カ月遅れて市場に投入されたことになる。

シャープはSIMフリーモデルに特設サイト(https://jp.sharp/k-tai/mvno/)を作るぐらい力を入れているが、キャリアとの関係性を踏まえて時期をずらして販売開始しているのだと思われる。iPhoneはSIMフリーモデルとキャリアモデルが同日に発売されているが、これはアップルがキャリアより強い立場にいるからできることだ。

AQUOS zero2 SH-M13の実売価格は10万5000円前後

SIMフリーモデルはDSDVデュアルSIMスロット

AQUOS zero2 SH-M13はSoCにSnapdragon 855を採用。メモリーは8GB(LPDDR4X)、ストレージは256GB(UFS type)を搭載している。microSDメモリーカードスロットは非搭載だ。ディスプレイは4倍速(毎秒240回)の約6.4インチ有機ELフルHD+(1080×2340ドット、HDR対応)。カメラは、標準カメラ(約1220万画素、F値1.7、78度、光学式手ぶれ補正)、広角カメラ(約2010万画素、F値2.4、125度、電子式手ぶれ補正)、インカメラ(約800万画素)が搭載されている。

本体サイズは約高さ158×幅74×厚さ8.8mm、重さは約141g。6インチ以上、3000mAh以上、防水(IPX5以上)対応という条件において世界最軽量がうたわれているが、バッテリー容量は3130mAhと少なめ。バッテリー駆動時間は、連続通話時間がVoLTE約2170分、3G約1900分、GSM約870分、連続待受時間(静止時)がLTE約550時間、3G約615時間、GSM約530時間とされている。

急速充電規格にはUSB Power Deliveryに対応しているが、2つの充電ICを積んだ「パラレル充電」仕様となっており、発熱源を分散することにより充電しながらでもコンテンツを楽しめるという。なおボディーは防水・防塵仕様(IPX5、IPX8、IP6X)だ。

キャリアモデルはシングルSIMスロットだが、SIMフリーモデルはデュアルSIMスロット仕様でDSDV(Dual SIM Dual VoLTE)に対応している。また、SIMフリーモデルにもおサイフケータイ機能が搭載されており、キャリアモデルのように不要なアプリがプリインストールされていることもない。

本体前面と本体背面

本体上面にはSIMカードトレイ、本体下面にはUSB Type-C端子が装備されている

本体右側面には電源ボタンとボリュームボタンを配置

SIMカードスロットはnanoSIMカードのデュアルスロット仕様。microSDメモリーカードは装着できない

4倍速、240Hz起動でゲームが快適

さてAQUOS zero2 SH-M13最大の売りの4倍速(毎秒240回)の約6.4インチ有機ELフルHD+ディスプレイだが、非常に表示が滑らかだ。今回バトルロイヤルゲーム「PUBG mobile」をプレイしてみたが、1回目でいきなり「ドン勝」をゲットできた。タッチパネルも240Hzに高速化されていることもあり、ゲーミングスマホと比べてもトップクラスのディスプレイ品質を備えていると言える。

ワンプレイ目でいきなり「ドン勝」できた。ただしクオリティを「HDR」、フレーム設定を「極限」、演出を「MOVIE」、アンチエイリアスを「有効」にすると、「fpsが不安定です」という警告メッセージが表示された。それでもプレイに大きな支障はなかったが、勝敗を優先するのならデフォルト設定がやはり無難だ

「Geekbench 5」のMulti-Core Scoreは2692、3DMarkのSlingshot Extreme – OpneGL ES 3.1は5674。「iPhone 11 Pro Max」のGeekbench 5のMulti-Core Scoreは3498なので、ベンチマークスコア上AQUOS zero2 SH-M13は約77%の処理性能ということになる

締まった黒の表現、豊かな発色は有機ELディスプレイならではの美しさだが、残念なことがひとつある。現時点では「Netflix」アプリでHDRコンテンツを再生できないのだ。実際、NetflixのサポートページのHDR対応Android端末にシャープ製品は1台も含まれていない。これではせっかくの美しいディスプレイも宝の持ち腐れだ。シャープからNetflixにHDR対応Android端末に加えてもらうように強く働きかけてほしいところだ。

黒が漆黒として表示されるのは有機ELディスプレイならではの特性だ

NetflixでHDR対応コンテンツを再生しようとしても、「HDR」のアイコンが表示されない

AQUOS zero2 SH-M13の弱点はカメラ。少し雲が出ている晴れの日にテスト撮影してみたが、全体的に露出が暗めで、なおかつ明るい部分が白飛びしていた。また、いまどきのスマホとしては夜景モードが搭載されていないことも残念。夜景はそれなりに明るく撮れるが、照明が当たっている看板などが強く白飛びしてしまっている。本製品にはF値1.7と明るく、光学式手ぶれ補正に対応した標準カメラが搭載されている。伸びしろがあるはずのカメラ画質については、ファームウェアアップデートで向上されることを強く期待したい。

標準カメラで撮影

標準カメラで撮影

広角カメラで撮影

標準カメラで撮影

標準カメラで撮影

「海外で現地SIM」ならSIMフリーモデル

AQUOS zero2はドコモ版が8万7912円、au版が8万2100円、ソフトバンク版が9万5040円のところ、SIMフリーモデルはiPhoneと同様に実売価格10万5000円前後と割高だ。しかし、海外で現地SIMを使う機会が多いのならデュアルSIMスロット仕様のSIMフリーモデルがオススメ。iPhoneも物理的なSIMとeSIMでデュアル待ち受け可能で、いまではeSIMも地域ごとに複数販売されている。しかし、それでも現時点では現地SIMのほうが選択の幅が広い。デュアルSIMスロット仕様のAQUOS zero2 SH-M13は、海外の通信コストをできるだけ抑えたいという方にもってこいの端末と言える。

動画で見る「AQUOS zero」シャープ初の有機ELスマホ

eng-logo-2015シャープが今冬に発売する、日本製有機ELディスプレイ搭載スマートフォン「AQUOS zero」。発表会場より実機動画をお届けします。

「AQUOS zero」は、三重県と大阪府で生産した自社製有機ELディスプレイを搭載。画面サイズは6.2インチで、解像度は2992 x 1440。また、画面の中央に向かって緩やかに盛り上がる独自の曲面形状を採用し、タッチ操作時の指の動きにフィットするため、タッチ操作がしやすいとアピールします。

6.2インチの大画面ながら146gという小型スマホ並の重量も売り。この軽量化には、液晶に比べてバックライトが不要な有機ELディスプレイの採用が寄与しているほか、側面フレームにアルミニウムではなくマグネシウム合金を採用、さらに背面に軽量・高強度のアラミド繊維を用いたことで実現しています。

発表会場では、AQUOS zeroの実機を風船で浮かせるパフォーマンスも披露されました。

製品の詳細はこちらの記事をご覧ください

シャープ、国産有機ELスマホ「AQUOS zero」発表

Engadget 日本版からの転載。

シャープがさくらインターネット、ABBALabと手を組んで「モノづくり研修」開催へ

左からABBALabの小笠原治氏、シャープの村上善照氏、さくらインターネットの川畑裕行氏、tsumugの牧田恵里氏、ABBALabの亀井聡彦氏

左からABBALabの小笠原治氏、シャープの村上善照氏、さくらインターネットの川畑裕行氏、tsumugの牧田恵里氏、ABBALabの亀井聡彦氏

シャープ、さくらインターネット、ABBALabの3社は10月12日、IoTベンチャー企業を対象とする合宿形式のモノづくり研修「SHARP IoT. make Bootcamp supported by さくらインターネット」を開催することを明らかにした。第1回の開催は11月の予定で、現在参加企業を募集中だ。

この研修はIoTベンチャー企業の早期かつ確実な事業化を支援するもの。3社それぞれの立場から、モノづくりに必要な知識、ノウハウを提供していく。

シャープからは100年以上に渡ってメーカーとして培ってきた量産設計や品質、信頼性確保などのモノづくりの技術やノウハウを提供。さくらインターネットは通信環境とデータの保存や処理システムを一体型で提供するIoTのプラットフォーム「さくらのIoT Platform β」を元にした、ソフト/サーバー技術およびプラットフォームの知識を提供。そして投資ファンドのABBALabは事業化にあたって必要な資金調達のコツを提供する。10日間のプログラムとなっており、参加費用は1社2人の参加で85万円。

SHARP IoT. make Bootcamp supported by さくらインターネットのスケジュール(仮)

SHARP IoT. make Bootcamp supported by さくらインターネットのスケジュール(仮)

この研修を通じて、ベンチャー企業のモノづくりに起こりがちな設計ミスや品質不良、納期遅れといった課題に対する基礎知識を身につけることができるとしている。

モノづくりのノウハウをスタートアップにも

今回のプログラムが発表された背景には「新たな経営体制になったことで、生まれ変わっていきたい」というシャープの強い思いがあった。

「シャープが生まれ変わっていくために、まずはスタートアップを支援して小さなビジネスの立ち上げをサポートできれば、必ず社会の役に立つだろうという思いはありました。またスタートアップを支援することで彼らが持つ熱意を社内に取り込み、技術者を刺激できればいいなと思っていました」(シャープの村上善照氏)

その思いに賛同した、ABBALabの小笠原治氏はこう語る。

「意外に思うかもしれませんが、ハードウェアのスタートアップには、基本的にモノづくりの知識がないんです。最近は課題を解決するためにハードウェアのスタートアップを立ち上げる人が増えてきているので尚更です。そういった人たちに、シャープさんが長い年月をかけて蓄積されたノウハウを伝えて、モノづくりの基本的な知識を身につけてもらおう、と。これまで、大手企業のノウハウが外に伝わる機会はなかったので、今回一緒にできて、すごく嬉しいですね」(小笠原氏)

スカラシップ制度も用意

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シャープはこれまでにこういったスタートアップに特化したプログラムを提供してきたことはなく、の技術ノウハウが知れる機会は、滅多にない。プログラムを見てもわかるが、この研修に参加することによって、シャープが培ってきた技術ノウハウを余すことなく知ることができるだろう。

しかし、スタートアップにとって気になるのが参加費用だ。スタートアップ支援プログラムの多くは参加費用が無料だが、この研修には1社2人の参加で85万円の費用がかかる。これについて、小笠原氏は次のように説明する。

「『スタートアップの支援でお金をとるの?』と思われるかもしれませんが、この研修ではシャープさんのブートキャンプに参加したからシャープさんとモノを作らなければいけないといった縛りが発生することは一切ありません。何の紐付きもない支援は難しいと思いますので、きちんとそこは線引きをして、『費用を払ってノウハウを買う』というスタンスにしています。また、プログラム中の成長度合いによって、ABBALabが費用を負担するスカラシップ制度も用意しているので、スタートアップによっては費用負担はなくなると思います」(小笠原氏)

7月に試験的に合宿を開催

こうした大企業がスタートアップを支援する取り組みの多くは、開催から数カ月も経過すると、「結局どうなったんだっけ?」となってしまいがちだ。しかし、このモノづくり研修はシャープ、さくらインターネット、ABBALabの3社が「本気でスタートアップの支援をしたい」という思いもと立ち上がったこともあり、すでに実績も出ているという。

今回発表した研修を、7月に試験的に開催。その研修から次のステップに進むスタートアップが幾つか誕生したため、正式な形で進めることになったそうだ。

7月の合宿に参加した、不動産向けIoTデバイスを開発する「tsumug(ツムグ)」の牧田恵里氏は研修に参加した感想を、こう口にした。

「私たちはいま、鍵のデバイスを作っているのですが、スタートアップで鍵のデバイスと聞くと多くの人が難しいと感じると思います。実際、私たちもそうでした。ただ7月のトライアルに参加して、安全基準や品質管理などシャープが量産する上で大事にしてきたノウハウを提供してもらえて、改めて鍵のデバイスが作れるかもしれないと思えました」(牧田氏)

実際、tsumugはABBALabからの投資を受け、シャープから量産サポートも受けるフェーズに入っているという。このような形の支援が、この合宿を通して一社でも多く増えていけばいいと考えているそうだ。

11月に開催される1回目のSHARP IoT. make Bootcamp supported by さくらインターネットでは4社の参加企業を募集。最初は年間で16社の支援を目指していき、今後、その母数を増やしていくことも狙っていくという。