Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は米国1月25日、米政府が政府機関の乗用車、トラック、SUVを米国製の電動タイプに取り換えると発表した。米国の車産業とサプライチェーンで100万人の新規雇用を生み出すという、選挙中の幅広い公約につながっている動きだ。
約束が実現すれば米国の自動車メーカー、特に乗用車から商用バン、軽トラックなど多様なポートフォリオを展開している企業にとって後押しとなる。
バイデン大統領は「the Made in America(メイドインアメリカ)」大統領令への署名に先駆けて、大統領令では連邦政府の調達に関する慣行に厳しいルールを適用するとコメントした。政府には従来の「buy American(バイアメリカン)」ルールがあり、そこには連邦政府が調達するプロダクトの一定量は米国製でなければならないと記されている。
今回の大統領令は抜け穴を塞ぐもので、米国で生産された製品の購入を増やすのが目的だとバイデン大統領は述べた。大統領令はプロダクトの閾値と国産品の価格設定を上げる。これは、政府が米国以外のサプライヤーから購入できるものとの価格の違いを意味する。また、プロダクトが十分に米国で生産されたものかを判断するプロセスもアップデートする。
スピーチの途中でバイデン大統領はバイアメリカンのルールが、連邦政府のかなりの数の車両に拡大されると述べた。
「連邦政府は膨大な数の車両を所有しています。これらをここ米国で、米国人労働者によって生産されたクリーンな電気自動車に置き換え、何百万という新規雇用を創出します。自動車関連では100万人の雇用です」。
これは大きな機会だ。米一般調達局(GSA)の入手可能な最新データによると、米政府は2019年に車両64万5000台超を所有していた。そのうち約22万4000台が乗用車で、41万2000台超がトラックだ。
「GSAは政府車両のグリーン化を含め、気候危機を克服するために政府の購買・リース力を行使する機会の模索に注力します」とGSAの広報担当はTechCrunchに電子メールで述べた。「GSAは現在、連邦政府のミッションをサポートするために乗用車22万4000台を管理しています。クリーンエネルギー車両テクノロジーを活用することでGSAは大統領の気候分野における目標の達成を支え、その一方でこうした次世代の車両が米国人労働者によって米国で製造されるよう米国の自動車製造業界と協業します」。
指令を完全遂行するのは簡単ではない。連邦政府の車両の多くはリースで、契約の長さ次第では電気自動車への移行が遅れることもあり得る。充電インフラ、サプライなど他にも障害がある。また要件となっていないようだが、バイデン大統領は1月25日も含めこれまでに何回も自動車組合の仕事を支持すると公言してきた。
Tesla(テスラ)は電気自動車メーカー最大手とされている。しかし同社には組合労働者がおらず、たとえやや安めのModel 3でも車両価格が高いことは障壁となり得る。
Ford(フォード)とGM(ゼネラルモーターズ)は現在のところEV供給量は多くないが、両社ともユニオンショップ(労働者が必ず職場の労働組合に加入しなければならない制度)を有しており、EVプロダクトの拡大にかなり投資している。
GMは2021年1月初め、EVトップメーカーを目指す270億ドル(約2兆8000億円)の取り組みの一環として、法人顧客に電動・コネクテッドプロダクトのエコシステムを提供するための新しい事業部門を立ち上げた。BrightDropと呼ばれるその部門は2つの主要プロダクトで始動する。航続距離250マイル(402km)のEV600と呼ばれる電動バン、そしてEP1と命名されたポッド状の電動パレットだ。
同社は2025年までに新たに30種のEVをグローバル展開する計画だと述べた。同社によると、そうした発売車両の3分の2超が北米で販売され、Cadillac、GMC、Chevrolet、Buickを含むGMの全ブランドでEVが展開される。
一方、Fordは2020年11月、電動化への115億ドル(約1兆2000億円)の投資の一環としてE-Transitという設定変更が可能な電動貨物バンを発表した。同社は主に消費者マーケットでの電動化に注力してきた。代表的なものがMustang Mach-Eだ。同社のミズーリ州クレイコモにあるカンザスシティー組立工場で生産されるE-Transitは商業部門向けだ。
また Rivian(リビアン)、Lordstown Motors(ローズタウンモーターズ)、Fisker(フィスカー)などを含め、新規EVメーカーの参入も相次いでいる。Rivianは電動ピックアップトラックの生産・発売を2020年7月に開始し、その後電動SUVに取りかかる。同社はまたAmazon(アマゾン)向けの電動バンの開発・組み立ても手がけている。
バイデン大統領の車両置き換え指令は、選挙運動期間中に訴えてきたことに基づいている。大統領は電動車両製造と投入資材、パーツの部門において米国をグローバルリーダーにすべく、購買力、R&D、税、通商、投資政策を含め「連邦政府が有するあらゆる手段を使う」と約束していた。
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カテゴリー:モビリティ
タグ:アメリカ、電気自動車、ジョー・バイデン
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(翻訳:Mizoguchi)