持続可能なマイクログリッドがクリーンエネルギーの未来を作る

気候変動や日常化しつつある自然災害に対抗するために必要不可欠なツールとして、持続可能なマイクログリッドが米国中に作られ始めている。ハリケーン、地震、山火事に襲われた多くの地域では、従来型の電力網による電力供給の維持が難しくなり、停電が発生すれば地域経済は停滞し、究極的には人の命が危険にさらされる。

マイクログリッド(災害時には広域の電力網から独立して運用できるように設計された電力供給設備)が生まれて数十年になるが、21世紀に入るまで発電はもっぱら化石燃料に頼っていた。ソーラーパネルとバッテリー容量のコストが十分に下がって持続可能なマイクログリッドが経済的な現実味を帯びるようになるまでに、そこから20年を要した。しかし、このところの注目度の高まりや設置件数の増加を見るにそれは変曲点に達し、未来のクリーンエネルギーとしての可能性が大いに高まったと言える。

サンタバーバラの例を見てみよう。同郡では、全学校に設置できるマイクログリッドの研究と設計のために50万ドル(約5400万円)を割り当てることについて、11月に統一学区が全員一致で賛成票を投じた。Clean Coalition(クリーン・コーリション)は、予備調査で18の学校の敷地には太陽光で15MW(メガワット)以上を発電できる可能性を割り出している。

こうしたソーラーパネルとバッテリーを組み合わせた「ソーラー・プラス・ストレージ」型のマイクログリッドを適切な学校に設置すれば、自然災害や、昨年10月に数十万人もの住民に損害を与えたカリフォルニアの電力会社PG&Gの停電事故のようなときに、地域社会に貢献できる。こうしたサイトは、重要な緊急援助サービス、痛みやすい食料の保存、照明、電気、インターネット絶続を非常時に供給する場にもなる。

マイクログリッド設置の実現性の調査は6月に完了する。最終的な費用は4000万ドル(約43億円)ほどと見積もられているが、長期の電力販売契約(PPA)を結ぶことで、学区はサイトを無料で設置し、通常の電気料金と同じ形で料金を長期支払いにできる(価格は電力会社の電気よりも安い)。このような契約は、ここ数年の間に再生可能エネルギーの発電コストが継続的に低下し、経済的な有効性が認められて初めて可能となった。そしてこれが、マイクログリッド・ブームの中心的な牽引力になっている。

1月末に、Scale Microgrid Solutions(スケール・マイクログリッド・ソリューションズ)は、投資会社のWarburg Pincus(ウォーバーグ・ピンカス)から3億ドル(約320億円)の投資を受けた。現在のマイクログリッドは、個々の顧客の特別な状況に合わせて設計され設置されるのが普通だ。だがScale Microgrid Solutionsは、運送用のコンテナの中にソーラーパネル、バッテリー、制御装置、バックアップ用のガス発電機を組み込んだモジュール式のマイクログリッド・インフラストラクチャーを提供している。

このモジュールは素早く設置でき、1500万ドル(約16億円)程度の予算でマイクログリッドの設備が欲しいと考える顧客や施設に適したオプションだ。最初のモジュール型マイクログリッドは、2019年5月、高度なクリーンエネルギー技術への投資に特化した金融会社であるGenerate Capital(ジェネレート・キャピタル)の資金援助で設置されている。

一方、米国の反対側、米国自治連邦区プエルトリコでは、自然災害の連続によりソーラー・プラス・ストレージ型マイクログリッドの有効性が証明されている。2017年にハリケーン・マリアがこの地の集中型の電力網に壊滅的な被害を加え、大勢の人たちが1年以上もの期間にわたって電気のない生活を強いられていた。

Rocky Mountain Institute(ロッキーマウンテン研究所)、Save the Children(セーブ・ザ・チルドレン)、Kinesis Foundation(キネシス財団)は、プエルトリコの中心地である山岳地帯の10の学校にソーラー・プラス・ストレージ型マイクログリッドを設置した。学校内の図書館、厨房、水道ポンプが停電の間、無期限で使えるように作られている。設置は2019年12月に完了した。ただでさえ経済復興が停滞していたプエルトリコを危機にさらした1月の群発地震発生の直前だ。ロッキーマウンテン研究所の島しょ緊急事態プログラムが専門情報サイトMicrogrid Knowledge(マイクログリッド・ナレッジ)に話したところによると、いくつもの学校で電力網の電気が止まったが、マイクログリッドは見事に機能し続け、重要なサービスを提供できたという。

マイクログリッドの利用は学校に留まらない。いくつかの地域社会では、自宅に設置したソーラー・アンド・ストレージ・システムをリンクさせているところもある。インバーターや制御装置は、この2年ほどで効率が向上し、電力網を補完して、またはそこから独立して参加者同士で電気を融通し合う「コミュニティー・マイクログリッド」の構築コストが、ようやく手の届く範囲になってきたという。

1月、オーストラリアのスタートアップであるRelectrify(リレクトリファイ)は、バッテリーの寿命を最大で30%も延ばし、同時に運用コストも削減するというインバーターとバッテリーの管理技術の継続的な改善にシリーズA投資450万ドル(約4億8000万円)を獲得した。Relectrifyの技術はまた、電気自動車に使われていたが、自動車用としての安定性が低下しすぎたバッテリー(Teslaの大人気の製品も含む)を再利用することもできる。これにより、需要が高まるマイクログリッドに大量の中古バッテリーを転用する道が開かれる。

これらの事業が魅力的に感じられるのは、電力網の回復力や電力網からの独立が化石燃料に依存することが多かったからでもあるが、エネルギー消費者にとって、どんどんコストが下がる安価なオプションになってきたという理由もある。プエルトリコの家庭用電力の価格は、2019年時点で1キロワット毎時(kWh)あたり27セント(約29円)と高額だ。これに対して、家庭用のソーラー・アンド・ストレージ・システムの価格は、条件がよければ24セント(約26円)まで下がる。

ソーラーパネルの設置費用は、調査会社Wood Mackenzie(ウッド・マッケンジー)の調べでは、この10年間で90%も下落した。同時に、地球温暖化とそれに起因する自然災害による早期の影響が、それでなくとも通常の維持管理や高まる需要の対応に苦しんでいる米国のエネルギーインフラに負担をかけ始めている。多くの大手電力会社が老朽化する集中型の電力網に依存する天然ガスやその他の部分的なソリューションに目を向ける中、災厄を経験した社会はすでにマイクログリッドの価値を実感し、競って導入するようになっているのだ。

これらの初期型のサステナブルなマイクログリッドが与える最大のインパクトは、近隣住民に電力を届ける非常用電源としての役割を超える。発電方法と電気の使い方に関する地域社会とエネルギー消費者の考え方を劇的に変化させるきっかけが、そこにはある。地域社会のマイクログリッド・システムでは、住民は電力源との間に具体的で明確なつながりを持つことができ、需要に対して十分な電力が行き渡るように友人や近所の人たちと協力し合うことが求められる。

このようなシステムは、あるかないかの社会的または技術的な制約のために、ピーク需要に合わせて環境にもっとも悪い燃料を常に燃やし続けるよう発電所に要求する現在の電力網とは、まったく対照的だ。持続可能なマイクログリッドは、ついに完全に誰の手にも届く価格にまでなってきた。そしていつの間にかマイクログリッドは、エネルギー消費と復元力に対する私たちの考え方を変え始めた。

【編集部注】著者のAlex Behrens(アレックス・ベレンズ)は、運輸、エネルギー、自動化、分散化における未来のテクノロジーを専門とする調査分析家でありブロガー。Fortune 500に選ばれた企業や技術系スタートアップでのデータおよび運用業務を経験。Seeking Alpha、Spend Matters、Metal Minerといったパブリッシャーのレギュラー寄稿者。

画像クレジット:Will Lester/Inland Valley Daily Bulletin (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

テスラがソーラールーフの施工を開始、ソーラーパネルより安価

Tesla(テスラ)は、住宅用のソーラー屋根材の3つ目のバージョンを、米国時間10月25日のブログ記事と記者会見で発表した。テスラのCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、この3代目Solar Roof(ソーラールーフ)の解説から記者発表を開始し、いくつもの質問に答えていた。同社は、数週間後にはソーラールーフの設置を開始し(すでに始まっているものもあるとマスク氏は言っていた)、1週間に1000件の新規設置を目指しているという。

設置後の外観は通常の屋根材と変わらず、それでいて発電ができるようデザインされたテスラのソーラールーフ屋根材は発展途上の技術だと言える。テスラでは、このコンセプトを発表してから3年間、ずっと改良を重ねてきおり、今までに、2つのバージョンを試験施行している。「バージョン1とバージョン2は、模索段階のものでした」とマスク氏は、先週開かれた収支報告会で話していた。加えて彼は「バージョン3で、ついに成功の準備が整いました」と語った。

テスラのソーラールーフのウェブサイトには、およその見積もりを計算できるページがあるが、それによると10KW(キロワット)のパネルで、平均的な2000平方フィート(約186平方m)の屋根の場合、4万2500ドル(約460万円)となっている。米国の8550ドル(約93万円)の税額控除を受けると3万3950ドル(約369万円)になる。家の住所を入力すれば、その地区での施行費用と、その地方の税額控除から価格を割り出してくれる。テスラのホームバッテリー「Powerwall」(パワーウォール)を追加した価格も知ることができる(2000平方フィートの場合は3台が標準で付属)。

「このソーラーグラスの屋根は、比較的新しい屋根をお持ちの方には経済的なメリットはないでしょう。これそのものが、発電する屋根材だからです」とマスク氏は説明する。続けて彼は、このバージョン3の製品により、テスラは「標準的な屋根の建設費用と(その屋根に載せる形の)ソーラーパネルの価格を下回る」プライスポイントを実現できたと述べていた。

「効果的な設置方法は実に簡単に知ることができます。私たちは、その目的でインストラソンを開催する予定です」とマスク氏。インストラソン(施行マラソン)とは、2つのチームが、小さなあるいは凝ったデザインの屋根にいかに早く施行できるかを競わせる企画だ。「施行方法だけに関しても、かなりの研究開発を行った」とマスク氏は後に繰り返し述べていた。

またマスク氏は、最初は専門の職人を雇い訓練するという。この計画は、最終的にはあらゆる外部の施工業者にも広げる予定だ。収支報告会では、マスク氏とテスラの担当者たちが、施行時間を通常の屋根材をふいて、その上にソーラーパネルを設置する場合よりも短くなるように力を注いでいると話していた。そしてマスク氏は、このソーラーグラスの屋根材を、通常の屋根材よりも早く施行できるようにすることが最終目標であると語った。これはバージョン2と比較して雲泥の差があると、マスク氏は言い足している。

「私たちは、今後数週間以内にできるだけ早く施行を開始します」とマスク氏は準備が整っていることを告げると目標は「数カ月以内」に「1週間に1000件」だと語った。

2018年9月付けのCNBCの記事は、発表から彼らが調査を行った日までの間に2年のギャップがあるにも関わらず、テスラはソーラールーフの施行をほとんど行っておらず、同年1月にニューヨーク州バッファローにあるテスラのギガファクトリーでソーラールーフの製造が開始されたが、ほとんど作られていないと伝えていた。だが、6月に開かれたテスラの定期株主総会では、マスク氏は3代目のソーラー屋根材の準備は進んでおり、正確な数は明らかにしなかったものの、その時点で米国の8つの州で施工を進めていると話していた。

マスク氏は、今日までに一部の製造に遅延があったこと、以前までのバージョンは施工が難しかったことを認めた。そして彼は、テスラのモデル3の増産に触れ、「この1年から1年半の間、ソーラー部門からは実に多くの資源を融通していました」と話した。モデル3による障害が大幅に取り除かれたことで、会社としてこちらのチャレンジに本腰が入れられるようになったという。

マスク氏は、この製品の到達可能市場を世界の住宅1億軒のオーダーで見積もっており、実際に世界展開を意図していると強調した。

ローンチ時点では、ソーラールーフの仕様は1種類しかないが、できるだけバリエーションを増やしてゆくとマスク氏は話していた。それには、陶器やその他の素材に似せたものも含まれる。

ソーラー屋根材と施行には、耐風雨性(最大風速約58m毎秒など)と発電性能に25年間の保証が付く。ソーラールーフは、同等サイズの従来式の後付けソーラーパネルよりも多くの電力を発生する。しかし一方、個々のタイルの発電効率は従来式のソーラーセルよりも低い。それでも、カバーできる屋根の面積が広いためにソーラールーフのほうが高性能ということになるのだ。

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(翻訳:金井哲夫)

Teslaのカウアイ島ソーラー設備は、この会社の未来像を垣間見せる

Teslaによるハワイ州カウアイ島へのソーラー設備の設置は、単なる製品のローンチではない。TeslaによるSolarCityの買収が単なる賢い選択ではなく、実際に必要なものだったことを証明する最初のものだ。

必要なものだったという理由は、それがTeslaによる、ソーラーエネルギー(並びに他の再生可能エネルギー)の実用化と、陽射しの強い場所だけではなく、あらゆる場所でコスト効率のよい発電を可能にしたい、という壮大なビジョンを助けることになるからだ。

カウアイ島発電設備の開所式でTeslaのCTOであるJB Straubelは、沢山のハワイの政府関係者たちがアロハとサンダルという服装で居並ぶ中で、色の濃いズボンにたくしこんだ青いシャツという、その場には少々不似合いな出で立ちで話した。しかしStraubelは自信に溢れ、その外見とは裏腹に寛いだ様子で、社交的な地元の電力会社幹部たちよりも、イベントを楽しんでいるかのようだった。

もちろんStraubelにはこの瞬間を味わう十分な資格がある。なにしろ一部の金融オブザーバーたちは、昨年発表されたTeslaによるSolarCityの買収計画から、11月に行われた実際の買収までを不安視していたのである。彼らが批判的だったのは、なぜ電気自動車メーカーがソーラーパネルを製造販売している会社と結びつく必要があるのかという点だった。

カウアイ島のソーラーストレージ設備の除幕式で、式典参加者たちに見てもらうために用意されたModel X。Teslaは2016年11月にSolarCityを買収した。

何かを企んでいたように見えたTeslaが、明確な解答を持っていたのかどうかが知りたい点だ。TeslaのCEOであるElon Muskは、複数のプレスイベントや四半期業績報告では、この協業の裏にあるロジックに対する質問に対して、あからさまに憤激しながら回答していた。SolarCityはTeslaにとって財政的重荷になるのではないかという質問を受けて、Muskは当初、その質問を馬鹿げたものと呼び、なぜ現在の貸借対照表に注目するのかと言いたい欲求を抑えられないようだった。真実はその逆だったのだ。

しかし、実際のデモを行うことほど批判者に上手く反論できるものはない。そしてTeslaは今や、2つの会社が、1つ屋根の下で、何故利益を生み出すようになったのかを示した。最初に示されたのは、契約書のインクも乾かぬ買収直後に発表された、ソーラールーフ製品の発表だった。SolarCityとの共催のイベントで、TeslaはPowerwall 2による、ホームエネルギーストレージソリューションの発表も行った。そして2番目が、カウアイ島設備の設置だ。このプロジェクトでTeslaは、コンシューマ市場におけるその可能性を、より大規模に、商用目的で電気利用者たちに広げて行けることを示した。

ソーラーパネル群は、Teslaの占有するGrove Farmの土地を広く覆い、緩い起伏の上に波のように並んでいる。ここであなたは、奇妙な形状を持ち不自然に青い人工の湖(ソーラーパネル群)を見下ろしながら、山々の頂に囲まれて立っているような感じを受けるだろう。商用バッテリーのTesla Powerpack 2の列が、静かな白い山々のように、傾いた人工の湖の隣に並んでいる。それは近所の射撃場で使われるクレーを作るためにも使われている赤土の上に、はっきりとしたコントラストを見せて立っている。

ソーラーパネルのフィールドの隣に立ち並ぶ、Tesla Powerpack 2の長い列

施設全体で13 MW(メガワット)のエネルギーが出力される、これは通年で、およそ19,438 MWhの電力となり、52 MWhまでの電力を保持することができる。そして20年契約中の固定価格で、カウアイ島に対して1 kWhあたり13.9セントで供給する。それは現在、カウアイ島で(現在は支配的な手法である)ディーゼル油を燃やして得ている電気代の半額である。新しいソーラーストレージ設備はカウアイ島の4500軒の家に電気を夜通し供給することが可能であり、これは最新調査による6万7000人の島の人口に比べても相当の家庭数である。

「このようにして、私たちは1日中ほぼ24時間、非常に堅牢で信頼性の高いソーラー電気を顧客に届けることができるのです」とStraubelはインタビューに応えた。「これは非常に異なったタイプのプロジェクトです。通常は、グリッドまたは家庭に直接繋げられたソーラーパネルを使います。そして太陽が出れば電気が供給され、雲が出たら止まってしまいます」。

ストレージのない直接発電は、良い露光が得られるかどうかに依存するだけでなく、相対的に小さなコミュニティに多数配備されたときや、家庭の占める割合が多いときには、資産というよりも負債になってしまう。カウアイ島全域で、ソーラーパネルが屋根の上に載せられているのを見ることができる。そうした一握りのパネルを目にしないまま、住居エリアや商業エリアを車で走り抜けることはできない。

沢山のリチウムイオンストレージユニットが並んだPowerpack 2ユニットの内側。それぞれのPowerpack 2は200kWhのエネルギーを保持できる。

「(ダイレクトソーラーは)ある程度までの、割合と戸数に対しては上手く働きます」とStraubelは言う。「しかしもし、この島で目にしているもののように、数が多すぎる場合には、どこかの時点でストレージを追加しなければなりません。さもなければ再生可能エネルギーやソーラーの変動性が、電気全体のインフラ全体を管理する際の問題になってしまうのです」。

カウアイ島の設備は、Teslaが高い要求を持つ商用プロジェクトに対して何ができるかを示すためのものである、そして世界中のエネルギー供給者たちの興味をそそる象徴としてデザインされたものだ。Straubelによれば、太陽光の大部分を使うことができる者たちだけを相手にしているわけではない。

「すぐにコスト上のメリトが得られます」とStraubelは語る。「そして、それは世界中の多くの場所でも成り立つのです。このハワイの島だけで成り立つわけではありません。このことは直感的には納得されていません。多くの人びとが、今日でもソーラーが高価なものだと考えているのです。しかしソーラーのコスト、ストレージのコストは急速に低下していて、これらのプロジェクトは多くの場所で費用対効果の良いものになっているのです」。

すぐにコスト上のメリットが得られます

— Tesla CTO JB Straubel

Straubelは、Teslaが多くの場所の多数の顧客と、カウアイ島のようなプロジェクトを配備すべく交渉を行っていると語った。ただ現時点では特定の地域の特定の顧客に言及できる段階ではない。順番待ちあるいは進行中のプロジェクトがあるので、ほどなくこれに似たプロジェクトを沢山目にすることになるだろうと彼は語った。

「再生可能エネルギーをバッファリングして保存する機能は、それが風力であろうとソーラーであろうと、共通して求められる基本的な要件です」と彼は説明した。「再生エネルギーを保存して非常に信頼性の高いものにする技術なしに、世界中の多くの国や都市が願っている高い割合(の再生可能エネルギー利用)は実現できません」。

SolarCityのパネルの列は、ソーラーエネルギーを最大に受け取ることができる角度で設置されている、パネル同士は、1人の人間が余裕を持って歩ける程度に離されている。

実際に、再生可能エネルギーの供給に対する定量可能な目標が、世界の多くの都市や州政府によって設定されている。そして風力とソーラーの供給源に対するストレージコンポーネントなしに、30パーセントを超えることは極めて難しいことが明らかなのだ。特に多くのリソースが既に発電インフラの建築にコミットされている場所では、この点への貢献でハードルを下げることができる。

買収後、初めて大規模プロジェクトによって示されたTeslaによるSolarCityの獲得の成果は、各国の電力供給側ならびに大規模な商用電力消費者向けの、新興ならびに成長市場にアプローチして行く、完璧な組み合わせである様相を見せ始めた。ちょっとしたことだが、低い位置から眺めてみると、Teslaのカウアイ島ソーラーファームは、どこまでも遠く優しくうねる海のように見えた。

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(翻訳:Sako)

イーロン・マスクのTesla、イーロン・マスクのSolarCityに約28億ドルで買収を提案

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Elon Muskの企業が集まって大帝国を築こうとしている。本日、電気自動車とバッテリー企業Teslaは、ソーラーパネルの導入企業SolarCityの買収提案を行ったことを発表した。両社が合わさることで、自宅にソーラーパネルを備え、巨大なバッテリーを充電し、自宅の全てのものと電気自動車に電気を供給することが可能となる。

この買収提案はまだSolarCityの取締役会で承認されていないが、承認された場合、SolarCityの株式はTeslaの株式と交換される。SolarCityの時価総額、21億4000万ドルから21%から30%の上乗せ価格での買収となる。つまり、TeslaはSolarCityを25億9000万ドルから27億8000万ドルの間で買収する計算だ。

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ソース: WSJ

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SolarCityは損失を出していた

SolarCityはここのところ数百万ドルの損失を出し続け、株価の評価が下がっていた。それに伴い買収するのが比較的簡単になった。SolarCityの株価は買収提案の発表後、20%跳ね上がった。SolarCityのバリューに対する上乗せ分は、発表後数時間で随分と少なくなったことを意味する。

Musk、そしてTeslaとSolarCityのどちらでも役員を務めるAntonio Graciasは買収提案に関する決議には参加しない。Teslaは、乗っ取るのではなく、あくまで友好的に買収を進めたいと伝える。

MuskによるMuskの救済措置?

Teslaの株価は時間外取引で13%下がった。この買収案件は、SolarCityの救済措置だと考える人もいるからだ。Muskが保有する22.2%の株は、Teslaが買収することで救済される。今日の発表があるまで、SolarCityの株価は昨年12月より50ドルも値を下げ、21ドル付近を推移していた。このまま株価が下がり続ければ、Muskは多額の資金を失う。Teslaは自分たちでソーラービジネスを構築することもでき、株価がさらに下がるようならその時にSolayCityの資産を買収することもできる。しかし、そうすると何千万ドルとMusk自身の資産が目減りすることになる。

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Tesla PowerwallがSolarCityのソーラーパネルからの電力を保存し、太陽が出ていない時も電気が使えるようにする。

買収について考察した時、両社がうまく噛み合ってシナジーを生むか疑問の余地があるだろう。Teslaが電気自動車に空より高い水準を求められるのは、営業に労力を割く必要がそんなにないからだ。一方SolarCityは常に訪問販売や電話営業を行っている。Teslaでは、車の出荷まで全てが工場内で行われるが、SolarCityはソーラーパネルを導入を進めるために契約販売員の軍隊がトラックで外を走り回っている。

しかしMuskは賢いので、私たちには予知できない計画を立てているのかもしれない。

垂直統合型エネルギー企業

Teslaのチームは「全体像を完成させる時期に来ました。Teslaのカスタマーはクリーンエネルギーの車を運転し、私たちのバッテリーパックを使って、エネルギーを効率的に消費できます。ですが、持続可能エネルギーソースへのアクセスが必要です。つまり、太陽です」と伝える。

Teslaは、この買収の理由が理にかなっていることを以下のように説明する。

「私たちはカスタマーに一貫したクリーンエネルギーのプロダクトを提供する世界で唯一の垂直統合型のエネルギー企業となります。カスタマーが運転する車から始まり、それを充電するためのエネルギー源の確保、そして自宅や会社の電力の全てを賄うまでが完結します。Model S、Model X、Model 3、ソーラーパネルシステム、パワーウォールの全てが揃うことで、エネルギーを最も効率的で持続可能な方法で配分し、消費することができるようになります。カスタマーのコストが下がり、従来の石油燃料や電力網への依存を最小限に留めることができます」

両社の株主のどちらにとってもこれが金銭的に妥当な取引でなろうとなるまいと、この戦略は大胆なものだ。1000年後の人達も「ELON MUSK」の名前を覚えていることになるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website