Facebookは広告による差別への対策を拡大

ACLUや他の公民権団体との今年初めの和解条件に基づき、Facebookは差別的な広告ターゲティングを防ぐための措置を講じてきた。

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具体的には、「住宅、求人、貸付といった米国内の広告は、もはや年齢、性別、郵便番号、あるいは文化的多様性に基づいてターゲティングすることができない」と同社は述べている。また、そうしたカテゴリに関連する、より詳細なターゲティングもできなくなっているという。

米国時間の12月3日、Facebookは、同社の広告製品マーケティング担当副社長のGraham Mudd(グラハム・マッド)氏が「差別を削減し排除するための取り組みにおける次のマイルストーン」と表現したことの内容について発表した。

1つ目は、こうしたルールの適用をFacebook Ad Managerだけでなく、誰かがFacebook上の広告を購入する可能性のある他のすべての場所にも拡げていること。つまり、Ads Managerアプリ、Instagram Promote、Facebook Pages上の広告作成ツール、サードパーティの広告購入ツールが利用するFacebook Marketing APIなどだ。

2つ目に、当初は政治的な虚報に対する懸念に対処するために作成した、検索可能な広告ライブラリを拡大して米国内のユーザーをターゲットにした住宅広告も対象となるようにした。

その結果、もし規制当局や公民権団体、ジャーナリスト、その他だれでも、企業が実際にどのようにFacebookを利用して住宅販売の広告を出しているのかを確認したければ、アーカイブを確認できるようになった。これに関するライブラリは、米国時間12月4日以降に広告のアーカイブを開始する。Facebookによれば、いずれは求人や貸付の広告も含める予定だという。

マッド氏は、広告主が新しいルールの中でどのように仕事を進めるべきかを理解するのを、Facebookとして手助けしているとも語っている。またこれを、差別と戦うための「正しいトレードオフ」であると表現する一方で、年齢や性別に基づいたターゲティングを使用しながら「非常に合理的かつ合法的な非差別的広告手法」がこれまでもあったし、今もあることを示唆している。

また現状では、広告主は「こうした制約を考慮した上で、プラットフォームの使い方を再学習しなければならない」とも述べた。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

広告をブロックするブラウザのBraveが450万ドルを調達 創業者は前Mozilla CEOのBrenden Eich

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ウェブブラウザBrave Softwareがシードラウンドで450万ドルを調達した。共同創業者は前Mozilla CEOのBrendan Eichだ。今回調達した資金は同社のオンライン広告やトラッカーをブロックするブラウザの開発費用にあてられる。通常のブラウザではサードパーティによるアドオンや拡張機能によってオンライン広告をブロックするのがほとんどだが、Braveのブラウザではその機能が標準搭載されている。これによってユーザーのプライバシーを保護できるだけでなく、動作スピードとパフォーマンスの向上にもつながるという。特にモバイルでウェブサイトを閲覧するときには顕著な効果があらわれる。

今回のラウンドにはFounders Fund系列のFF Angel、Propel Venture Partners、Pantera Capital、Foundation Capital、Digital Currency Groupが参加した。今回の資金調達により、同社はこれまでに合計700万ドルの調達を完了したことになる。

Braveから提供されたメトリクスによれば、デスクトップ版のブラウザでは従来の1.4倍から1.6倍、モバイル版では2倍から4倍のスピードを実現しており、自動的に広告やスクリプトをブロックすることでバッテリー消費量やデータ使用量を抑えることにも成功したという。

Braveのブラウザはセキュリティやセーフティに関する機能も数多く備えている。HTTPS Everywhereを利用した暗号化通信や、指紋認証機能、フィッシング防止機能、マルウェアのフィルタリング機能、そしてすでに述べたスクリプトのブロッキング機能などがその例だ。

さらに、Braveにはブラウザ上でビットコインによる少額決済ができるマイクロペイメント機能も備えられている。”Brave Ledger”と呼ばれるこの機能は、同社とBitGoおよびCoinbaseとのパートナーシップによって実現した。この機能を使ってお気に入りのウェブサイトに匿名で少額の寄付をすることも可能だ。

「この機能に利用されているテクノロジーはビットコインだけです。ユーザーが望まない限り、ビットコインのことを知る必要も学ぶ必要もありません」とBrave Software CEOのBrendan Eichは語る。「Braveを使用するユーザーは、ビットコインという存在を意識することなしにスムーズな決済機能を利用することができるのです」。

今年1月のアナウンスメントによれば、同社の収益源はブラウザに表示される独自の広告からの広告収入だ。その広告によってパフォーマンスが悪化することはなく、クラウド・ロボットによって検出された「標準的なサイズのスペース」に少数の広告が表示される。また、同社のターゲット広告ではユーザーを簡単に特定できるようなクッキーを利用しないため、ユーザーのプライバシーを保護することもできる(言い換えれば、匿名のターゲット広告だ)。このターゲット広告はデータに保存されたキーワードとマッチする広告を表示するというものだが、そのプロセスはすべてデバイス上で行われるのだ。

広告収入の55%以上はその発行元に支払われ、残りがBraveの取り分となる。そしてブラウザのユーザー数が伸びれば、その割合は7対3までスケールアップされる予定だ。また、長期的な目標としてコンシューマーにも収益が分配されるモデルが計画されている。それにより、分配された収益を使ってお気に入りのウェブサイトに寄付することなども可能になる。

もちろん、マイクロペイメントがどれだけ普及するのかは分からない。しかし、同社はその実験に前向きなようだ。

一方で、Braveの広告戦略に対する批判の声もある。今年4月には十数社の新聞社がBaveの広告戦略は「ずうずうしい違法行為である」との共同声明を発表した。声明を発表したグループにはGannett Co.,とthe New York Times、そしてWall Street Journalの発行元であるDow Jonesなどが参加している。Eichによれば、それ以降Braveとニューヨークの大手新聞社の間では話し合いの場が持たれており、Braveのブラウザ広告のコンセプトを示すために今年後半にはトレーラーを発表する予定だという。

「広告の役割というものが存在するとすれば、それは少ない数でも効果的なものであるべきです」とEichは語る。

Braveのバージョン1.0のリリースは9月に予定されており、現在はiOS、Android、Mac、Windows(32-bitおよび64-bit)、Linux(Debian、Ubuntu、Fedora、OpenSUSE)対応の開発版が提供されている。

Khan AcademyとMozilla出身のBrian BondyとEichによって共同創業されたBraveは、調達した資金を活用して同社のプラットフォームをさらに成長させることを目指す。サンフランシスコを拠点とし、現在14人の従業員を抱える同社は今回の資金をもとに人材を募集中だ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook