ロシアの情報工作組織が米国の人種的緊張を高めるためアフリカにアウトソーシング

2016年の選挙でロシアの悪名高いトロールファーム(情報工作組織)が偽情報をばらまいた際に使った多くの戦術に関して、ハイテク企業側も知見を蓄積しているため、トロールファームの活動はより創造的になっている。

FacebookTwitterからの2つのレポートによると、ロシアのInternet Research Agency(IRA)と関連がある個人による偽情報活動が再び米国を狙っているが、今回はアフリカで活動しているという。

「このネットワークは偽情報に反応する層を構築する初期段階にあり、ロシアの個人に代わってガーナとナイジェリアのスタッフが(一部は意識的に、一部は無意識に)運営していた」とFacebookはブログ投稿で説明している。

CNNはガーナとナイジェリアでの活動について独自に詳細な調査を行ったようだ。活動拠点の家にも行った。そこではガーナ人のグループが米国の社会問題をターゲットにした投稿を作成していた。

驚いたことに、偽情報に特化したソーシャル分析会社であるGraphika(グラフィカ)が発見したのは、活動が米国の選挙や大統領候補に焦点を当てていたわけではないことだった。候補者をコンテンツに登場させるときには人権、寛容、人種差別といったレンズを通した内容にしていた。

GraphikaのチーフイノベーションオフィサーであるCamille Francois(カミーユ・フランソワ)氏は、ロシアを拠点とする活動はガーナ拠点のNGOを一種の代理人として使っており、少なくとも関与したスタッフの一部は仕事の本来の目的に気づいていない可能性が高いと指摘している。

「この運営体制が示すのは、外国の活動主体が代理のグループを独創的な方法で使おうと考えているということだ。また、情報操作の拠点に場所は問わないことを示している」とフランソワ氏はTechCrunchに語る。

ほとんどのアカウントは2019年後半に開設された。作成されたコンテンツは人種に関する問題、特に米国の黒人と白人間の緊張に関連するものだ。Facebookによると、活動は黒人の歴史や優秀さなどのトピックに集中していたが「警察の残虐行為などの弾圧や不正に関する内容」にも焦点を当てられていた。

Facebookは活動に関与した49のアカウント、69のページ、85のInstagramアカウントを発見した。Facebookでは、比較的初期のアカウントには約1万3500人のフォロワーがついていた。Instagramのアカウントには約26万5000人がフォローしていた。

Twitterでは、ロシアの活動に関連するガーナとナイジェリアの71のアカウントが「人種や公民権などの社会問題に関する話題を利用して社会的不和を広げる」ために、同様のメッセージを拡散していた。

米国に今も存在する社会的分断を、ロシアがさらに広げようと続けられている試みは驚くべきことではないが、警戒すべきだ。Twitterは、国​​内のほとんどの偽情報が国外からではなく国内から発信されているという有用な注意喚起情報を発信している。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

女優のレスリー・ジョーンズは嫌がらせを受けてTwitterを去った

Cast member Leslie Jones poses at the premiere of the film "Ghostbusters" in Hollywood, California U.S., July 9, 2016. REUTERS/Mario Anzuoni

「ゴーストバスターズ」リブート版(2016年最新作)のメインキャストで、「サタデー・ナイト・ライブ」の出演者でもあるた女優レスリー・ジョーンズが、トロール(ネット上で攻撃を仕掛ける心ない輩)の人種差別的書き込みの集中砲火を浴びた結果、Twitter利用をやめることをアナウンスした。

「涙と悲しみに満ちた心で、今夜Twitterとお別れします」という書き込みを最後にジョーンズのアカウントは沈黙した。最後の数日はトロールたちとの闘いに費やされていたのだ。「私が映画に出演したことでこんなことになりました。映画を嫌うことは構わないけれど、今日私が受け取った悪意の塊は…耐えられません」。

主役が全員女性であることが報じられて以来リメイク版「ゴーストバスターズ」は批判にさらされて来た。その反感の中心にあったのは、ゴーストと戦うのは女性ではなく男性が相応しいとの信念である。だがトロールたちは、映画中唯一の黒人俳優であるジョーンズひとりを目がけて、人種差別的嫌がらせの対象とした。

金曜日の公開以来、ジョーンズはTwitter上で嫌がらせメッセージを書き込まれ続けた。「いい?私は猿と呼ばれて、尻の写真や、おぞましいコラージュ写真まで送られたの。人間て何なのかしらと考えたけど、もう沢山よ」とジョーンズはツイートした 。

ジョーンズはTwitterに嫌がらせを報告したと表明したが、猛攻撃は続いた、あるユーザーは彼女の名前の偽アカウントを作り、同性愛者や人種差別的中傷を続けた。「Twitter。あなたが言論の自由を持ってるのはわかる」とジョーンズは書いている。「それは結構。でもこんな拡散が起きたときの何らかのガイドラインはあるべきね」。

この状況はついにTwitterのCEOジャック・ドーシーの注意を引き、「ハイ、レスリー、フォローしてるので、良かったらDMを送って下さい」という反応を引き出した。

ドーシーの反応は恐ろしく生ぬるい、そしてこれこそがTwitterの特定個人対象の嫌がらせキャンペーンへの対応への変革が必要であることを証明するものである。Twitterは、しばしば大規模な嫌がらせのためのプラットフォームとして機能し、いまだに酷い振る舞いを報告してくる利用者に頼っているが、それが被害者を嫌がらせの洪水にひとりで立ち向かわせることになっているのだ。攻撃者はこのことを知っていて、その状況を利用し、大規模な嫌がらせキャンペーンを行うために何度も何度もTwitterに戻ってくる。

「私たちはこの種の振る舞いを報告してくれる人たちを頼りにしています、それでもこうした嫌がらせを防ぐためのツールやシステムの改良には多額の投資を続けています」とTwitterは述べている。「Twitterがこうした問題の対処に対してあるべき姿になるまでには、私たちはまだまだ沢山の努力を重ねなければならないことはわかっています」。

嫌がらせを積極的に監視し取り除くことに熱心な他のソーシャルメディアプラットフォームに比べると、Twitterの方策は対照的に見劣りがする。Facebookは、そのプラットフォーム上でテキストをスキャンする人工知能を使用し、いじめに対抗するためのリソースを提供している。Facebookはまた、Instagramにも類似のコメント監視システムを実装している。Facebookのような資源には欠けているTwitterは不利な立場なのだろう、少なくともTwitterはヘイトスピーチを戦うためのより良いツールに投資することはコミットしている。

しかし、これはTwitterにとっては新しい問題ではない、そして嫌がらせが継続的に利用者をプラットフォームから追い出している限り、会社の成長の鈍化に対してあまり明るい未来をもたらすことはない 。大量の不快なツイートを遮断するためのTwitterの最良のツールは、自身が持つ品質フィルタである。これは認証済利用者のみが利用可能で、脅迫や侮辱などをブロックすることを狙っている。本日Twitterは認証をより多くの利用者に解放することを発表した、このことによって品質フィルタは程なくより広範に使われるようになるだろう。しかし、嫌がらせキャンペーンの対象となる利用者たちは、彼らが受けている脅威をモニターする必要性を感じていることだろう。それによって脅威とプライバシーの侵害を追跡し、必要とあらばそうした嫌がらせ行為をしかるべき場所へ訴え出ることを可能にするためだ。

社会正義キャンペーンでTwitterが見せる卓越性を考えると、嫌がらせに対するTwitterのやる気のないアプローチは、とりわけ奇妙に映る。同社は、米国および世界中の政治的組織化のためのプラットフォームとなっていて、Black Lives Matter運動のソーシャルメディアとして選ばれていることを誇りにしている。

ドーシーはまた、今年のCodeConにおいて#staywoke Tシャツを着て、Twitterの黒人従業員グループBlackbirdsへのサポートを表明したが、しかしジョーンズのような黒人女性が嫌がらせに圧倒されることなく、ツイッターを利用することができないならば、ドーシーのハッシュタグ運動は失敗以外の何物でもない。Twitterは人種差別、性差別そして同性愛嫌悪の泥沼であるRedditのような存在になる危険性に直面しているのだ。Twitterは、今こそ#staywokeを単なるTシャツのキュートなスローガンではなく、実際に有効な行動につなげるべき時なのだ。

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(翻訳:Sako)