Twitterが「プロトタイプ」プログラムのテスター公募を開始:第一弾は会話の修繕

Twitterは本日(米国時間2月20日)、新しいテストプログラムのためのテスターの公募を開始した。これは1月にCESで発表されていたものだ。このプログラムは、Twitterの利用に関するあらゆる面に改良を加える可能性があるが、まず実施されるのは、人と人の関わり合いに焦点を当てたテストだ。とくに、Twitterに表示される返信だ。

Twitterは、会話について行きやすくするために、返信に次のような新デザインを採り入れることにしている。返信ツイートに丸みをつける。それに続くツイートはインデントする。エンゲージメントと共有をタップしなければ現れないように隠し、代わりに返信の文章を表示する。色を追加して、話の脈絡をわかりやすくする。

我々は1月に「ベータ」アプリでその機能の初期の画面を見た(現在はベータ版ではなくプロトタイプと呼ばれているが)。詳しく解説しよう。

Twitterの機能に関わるルック・アンド・フィールの改良は、どう考えても厳しい注文だ。多くの人々が、Twitter内部の人間までもが、ツイートのやりとりを追いかけるのが難しいと指摘している。Twitterの目的が、そもそも会話のためのプラットフォームの提供だとするならば、それは製品の利便性を損なうばかりか、初めて使ってみようという人たちを敬遠させる原因にもなってしまう。

最近では、誰あろうTwitterのCEO、Jack Dorseyが、ジャーナリストのKara SwisherによるTwitter上でのインタビューに参加しようとしたときに、この問題がクローズアップされた。会話が進むうちに、Twitterのその問題点が、はっきりと表面化したのだ。共有ハッシュタグを使っているにも関わらず、それを見ていた人たちは、記者の質問と@jackの返事を追いかけることができなくなってしまった。

「あのスレッドはキツかった」とインタビューの後にDorseyはツイートしている。「もっとまとまり感のある、ついて行きやすい形にしなければ」

大手ハイテク企業の重役にとって、Twitterでのインタビューは(まだ?)日常的なものではないが、スレッド化された返信による長い会話は、よく行われている。2017年にTwitterが140キャラクターの字数制限を280キャラクターへと2倍に拡大してからは、もっと顕著になっているはずだ。その変更によって人々は、より繊細な表現で、より多くの考えを伝えられるようになったが、引き換えに、返信の内容をよく吟味しなければならなくなった。

同じころ、Twitterは「ツイートストーム」を公式な製品とし、連続したツイートを一斉に投稿できるようにした。その中の個々のツイートに、返信を付けることができる。

こうした変更によって、交わされる膨大な量の会話を追いかけることは、とくに大勢の人が参加している場合に非常に難しくなってしまった。

今回の新しいテストの狙いは、その問題を分析して、最終的には解決に持ってゆくことにある。

「これは、私たちの製品開発に対する考え方を刷新するものになります」とTwitterの製品管理ディレクターSara Haiderは1月のインタビューで話していた。「この特定の機能にとって、それが決定的な意味を持つ理由として、私たちが大規模な変革をいくつも予定していることがあげられます」

同社は、個別の独立したアプリの中で、開発の早期段階からTwitterコミュニティーを直接的に参加させる実験を予定している。まずテーマとなるは、会話の修繕だ。しかしゆくゆくTwitterは、そのプラットフォームで新しいアイデアを試し、正式な製品につなげてゆきたいとも考えている。

会話の修繕は、これまでで最大の変革になると彼女は話していた。だからこそ、これをきっちり行うことがTwitterには重要なのだ。

「私たちが適切な使い心地を構築できるよう、みなさんにはぜひこのプロセスに参加していただきたい」とHaiderは話している。

CESで公開された開発ビルド。製品版では見た目が変わるとのこと。

TechCrunchが1月にレビューしたビルドと同様、間もなく公開されるTwitterのプロトタイプでは「返信」のデザインが大きく変わる。会話は丸みのある、よりチャットらしい形状になり、追いかけやすいようにインデントされる。同社のこうしたデザイン変更は初めてではないが、丸みを帯びた形状は人間的な感じがする。

Twitterから公式な画像は出されていないが、「返信」はダイレクトメッセージのチャットのようになるとの話だ。つまり、丸みは帯びるが、吹き出しのような完全な丸ではない。

エンゲージメントや共有といった細かいオプションは、今のところ、画面をシンプルにするために隠されることになっている。ツイートをタップするとそれらが表示される仕組みだと、Twitterは教えてくれた。繰り返し言うが、ここでの主要な目的は、話に対してアクションすることではなく、会話の内容に集中できるようにすることだ。多くのソーシャルメディアがエンゲージメントに焦点を当ててきたことを思うと、これは面白い変化だ。それらのエンゲージメントを隠すことで、ユーザーがより長い時間使ってくれるようになるか。そこを見極めるのが、Twitterの本来の狙いだ。

CESで公開された開発ビルドでは、エンゲージメントが隠されている。

最初の投稿者のツイートや、フォローしている人からのツイートを色分けして、「読み手」に視覚的な目印を与えるというのは、ストレートでわかりやすい方法だ。

「読み手」は、ここでは有効な言葉かも知れない。Twitter上の会話の最大の問題点は、大勢の人が参加すると、うるさくて読に辛くなるというところにある。解決策のひとつとして考えられるのは、返信の制限だ。特定の返信しか表示しないようにする(これはすでに、フォローしている人の返信を上に表示するという形である程度行われている)か、CEO自身が可能性をほのめかしているように、すべての人の返信を禁止するかのいずれかだ。どちらも、エンゲージメント第一ではなく、読むことを第一に考えたTwitterの姿勢を示すものだ。だからこそ、返信を読みやすくすることがとくに重要となる。

先月、我々が見た開発ビルドでは、テスト用の目的のために、色は派手めに設定されていた。プロトタイプでは、もう少し抑えられた。現在、フォローしている人は青、スレッド開始者の返信はグレーで示されている。

すべての返信が色づけされるのと対照的に、返信は、今はグレーのラインで強調されているとTwitterは話してくれた。

このプログラムでは、テスターは2000名ほどに限られると同社では話している。しかし、クローズな条件で行われるベータテストと違い、このテスターは守秘義務契約を結ぶ必要がない。その代わりにテスターは、多くの人々の提案を聞けるよう、テストの様子を大勢のTwitterユーザーにツイートして、この変更について論議することが求められる。

さらにテスターは、フィードバックを、非公開の記入フォームで提出するか、Twitterの担当チームに直接ツイートすることになっている。

ツイートと返信のシステムは、長い間Twitterの脇腹に刺さった棘のようなものだった。もともとTwitterは、短文を交換するSNSのようなプラットフォームを開発したのであって、今のようなディスカッション用のプラットフォームに進化することなど予期していなかったからだ。

同社は長年にわたり、ユーザーのために物事をシンプルにしようと努力してきたが、効果は薄い。たとえば、ツイートと返信を結ぶ線を追加したり、ツイートのメタデータとして返信に「@ユーザー名」を設けたり「返信」アイコンを変えたりもしてきた。最近では、会話スレッドに「Original Tweeter」(スレッド開始者)バッジを追加している。

Twetterによると、このテストプログラムには、おもに英語を使う人と日本語を使う人を招きたいのこと。参加者はTwitterルールに従う必要がある。しかし、長年Twitterを利用した人だけが対象になるわけではない。同社がTechCrunchに語ったところによれば、ときどきしかTwitterを使わない人から絶えず使っている人まで、幅広いユーザーを対象にしたいということだ。

参加を希望する人は、@TwitterSupportでツイートを投稿するか、このリンクから申し込んでほしい。参加が認められた人には電子メールが送られ、次のステップの情報が知らされる。

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(翻訳:金井哲夫)

DARPAは自律型ドローン群のための新しいアイデアを募集中

米国防総省の研究部門は、ドローン(無人機。必ずしも飛行するものだけとは限らない)の投入を真剣に検討している。しかも1機ずつではなく、連携した一群としての投入である。The Offensive Swarm-Enabled Tactics(OFFSET)プログラムは第2の「スプリント」(アイデア募集短期プロジェクト:OFFSETプログラムには全部で5回のスプリントが予定されている)を開始しようとするところだ。この期間に、その回のスプリントの中心テーマに基いたシステムの、ラピッドプロトタイプを募集する。この春のスプリントのテーマは「自律性」に関するものだ。

ここでの目的は、センサ、ソフトウェア、あるいはより良いプロペラブレードといった新しいテクノロジーが、ドローンたちが集団として互いに調整し行動する能力を、どのように向上させることができるかに関するアイデアを数多く集めることだ。

具体的には、50機の群れが、お互いにあるいは地上のロボットたちと協力することによって、30分以内程度で「都市内の目的地を確保する」必要がある。これは少なくとも、これから参入を考えている者たちに対して、自身の技術が適用可能か否かを判断させるための「作戦背景」ガイドと成る。

ということで、農場にトラクターよりも素早く種を蒔くことができるドローンは、農民にとっては有益でも、ペンタゴンが興味を持つものかどうかは分からない。一方、都市の戦場に、自律センサーを投下するドローン群のアイデアを売り込むことができるなら、彼らはそれを気に入ってくれるかもしれない。

あるいは、単にコンパクトな地上のライダー(lidar)システムを使って、低コストで可視光も使わず、群れの連動を改善する方法を示すこともできる。あるいは、人間の介入なしに、群れを構成する機体たちに、空中で充電できるようなシステムをデザインするのも良いだろう。

実際、それらはかなり面白いアイデアたちとなるだろう。本プログラムのマネージャーであるTimothy Chungには、この5月にバークレーで開催される私たちのロボットイベントのステージ上で、それらを披露して貰えたらと思っている。Chungはこれだけではなく、Subterranean Challengeその他の沢山のプログラムをDARPA で指揮している。この新しいスプリントの基本ルールを説明するビデオを見る限り、進行は順調のようだ。

参加するために、実際に50機のドローンを所有している必要はない。シミュレータがあるし、それ以外にも価値を示す方法は用意されている。プログラムに関する詳細と、審議のためにあなたの仕事を提出する方法は、FBOのこのページを参照して欲しい

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(翻訳:sako)

画像:Dan Bruins

デザインとプロトタイピングツールのMarvelがシリーズAで400万ポンドを調達

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POP買収の熱も冷めやらぬ、デザイン・プロトタイピングプラットフォームのMarvelが、シリーズAの資金調達で400万ポンドを調達したことを明らかにした。ラウンドを主導したのはBGF Venturesで、これに以前からの支援者たちであるIndex Ventures、Connect Ventures、Inreach Ventures、Andy McLoughlin、そしてRichard Fearnが加わった。

Marvelは、ウェブとモバイルアプリのアイデアをプロトタイプ(またはワイヤーフレーミング)するためのシンプルなアプリとしてスタートし、今では誰もがデザインとプロトタイプを行うことが可能になることを目指す、オールインワンデザインプラットフォームへと成長した。組織の中心にデザインを据える企業たちを支援するために、個々のデザイナーやチームによって利用されている。

これを実現するために、Marvelはワイヤーフレームからユーザーテストまで、コラボレーション機能を提供しながら、Webやアプリのデザインワークフロー全体をサポートしている。

同社とその製品が成長した方法も興味深い。それが買収の巧妙な戦略によって少しずつ達成されてきたように見えることだ。ウェブやアプリデザインのエコシステムは、製品ではないにしても、沢山の機能に溢れていて、その多くが大きな企業へと成長することはない。

Marvelはいくつかの機能や製品の買収から始めた — POPの資産を獲得する前には、Plexiというデザインツールを買収した — 市場で先頭を走るために、それらを自社の製品に組み込んだのだ。

今日のシリーズAの目的はMarvelを会社として強化することだ。スタートアップのプラットフォームには現在、100万人以上の登録ユーザが居て、毎月約3万5000人の新規ユーザがサインアップしていると聞いている。最大の市場は米国と英国である。現在はセールスに投資しているが、最近までは現在までは多くを組織と顧客のサポートに向けて投資していた。新たな資本はまた、Marvelの新たな市場への進出や新製品の開発を可能にする。

BGF VenturesのパートナーであるRory Stirlingは、次のように述べている。「私たちはMurat、Brendan、そしてJonathanが、この数年にわたってこの事業を構築するところを見てきました。Marvelの旅に参加することは並ぶことのない誇りです。私たちは、彼らの製品へのこだわりとユーザーに対する親近感が大好きです。技術が創造的なプロセスをシンプルにするために使われるとき、驚くべきことが起こります。Marvelは、個人やチームが世界規模で優れた製品を作り出す方法を変える能力を持っていると信じています。これはまさにBGF Venturesが支援したい野心の一種です。私たちは、すでにチームが掴んでいる印象的で忠実なユーザー基盤を持つビジネスを、拡大する手助けをすることを楽しみにしています」。

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(翻訳:Sako)

New Labはハードウェアスタートアップのための新しいコラボレーションスペース

 

New Lab先月正式にオープンした 。その共同創業者のDavid Beltが、ロボティクスや人工知能といった分野の会社のための「コラボラティブワークスペース」と表現するスペースだ。

この施設はブルックリンのネイビーヤードに位置し、かつては造船に使われていた建物である。Beltはこの建物を、製造センターとして復活させたかったのだと語った。もちろん現在の産業と技術に対応できるようにして。

「ソフトウェア企業のためのリソースは、ニューヨークに沢山存在しています」と彼は私たちにに語った。「しかし、ハードウェアを作ろうとしている企業のためには、それほど多くのリソースは存在していません。そしてそれらのリソースには私たちが必要と考えるツールやコミュニティが備わっていないのです。なので、New Labは、人びとが集い、プロトタイプを行い、共にイノベーションを目指し、そういう人びとのプロダクトをマーケットに届けるために効率的な場所であることを目指しているのです」。

言い換えれば、ハードウェア企業は机と高品質なインターネット回線以上のものを必要としているので、New Labには溶接や、レーザーカッター、そして3Dプリンターといった設備が用意されている ‐ いずれも本当のプロトタイプを作る際に必要とされるものだ。

つい先日私たちは、建物のツアーを行う機会を得て、最初の登録メンバーの何人かに対するインタビューを行った。その中にはHoneybee Robotics(医療や火星探索までの幅広い用途のロボットを構築している)や、Nanotronics(産業用自動顕微鏡)、そしてStrongArm Technologies (倉庫従業員のような「産業アスリート」のための機器)の代表者たちも含まれている。

さらに詳しい情報とメンバーシップの申請はNew Labのウェブサイトへ

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(翻訳:Sako)

プロダクトデザインのコラボレーションツールInVisionがシリーズDで5500万ドルを調達

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プロトタイプ制作やデザインを複数人で協力して行うためのツールInVisionがシリーズDで5500万ドルを調達した。リード投資家はMark ZuckerbergやJack Dorseyなどの投資で有名なIconiq Capitalが務め、既存投資家のAccel PartnersFirstMark Capitalも今回のラウンドに参加した。

シリーズCで4500万ドルを調達してから1年弱での調達だ。InVisionはすぐに資金調達を行う必要があったわけではないが、企業内のコラボレーションを助けるツールに注目が高まっていて、投資に関心のある企業からのインバウンドの問い合わせが多くあったと共同ファウンダーでCEOのClark Valbergは話す。

InVisionは調達した資金の使い道に関して具体的な計画を決めていないが、引き続き適切であれば、戦略的な買収を行うつもりだという。InVisionは昨年、小さなデザインツールを5つほど買収し、そのほとんどは「アクハイヤー」目的だった。

InVisionは特定の人たち(デザイナー)が毎日使うことを想定したツールを構築しているため、最適なプロダクトマネージャーはデザイナー出身のファウンダーであるとValbergは説明する。何回かプロダクトマネージャーをデザイナーに転身させようと試みたがうまくいかなかったため、InVisionはすでに会社を設立し、プロジェクトのマネジメント経験のあるデザイナーを採用することが彼らにとって有益と考えるようになったという。

InVisionは200万人以上の登録ユーザーを抱え、Fortune 100の会社の70%で利用されているそうだ。 Facebook、Apple、Disneyといった有名なテクノロジー企業も含まれている。

Valbergはほぼ全ての企業において、デザインチームがInVisionを使い始めるという。けれど、多くの場合、組織の他の部署でもプロトタイプツールを使い始め、デザインプロセスとは直接関係のない人も利用するようになるという。例えば、ある会社のCFOは、このツールで、始めに開発者が構築した特定の決済フローに関してフィードバックするのに使っていたりしているという。

InVisionでユーザーが自然にコラボレーションできるようにすることは、InVisionの実際のデザインツールと同じくらい重要であるという。彼らのツールは講堂のようなもので、いくつかのチームがそれぞれ壇上でプロジェクトに取り組んでいるのに似ていると話す。その企業の他の何千という社員は観客席から壇上にあるプロジェクトを見たり、デザインの過程でフィードバックをしたりしているイメージという。

Slackが一般的な組織内のコミュニケーションツールであり、AtlassianやGitHubがエンジニア向けコミュニケーションツールであるように、InVisionの最終的な目標はプロダクトベースのコミュニケーションツールになることだ。今回の資金調達はその目標に早く到達するための助けとなるだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

HAXLR8Rのレポートに見る、ハードウェアスタートアップのトレンドと予想

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深圳市(中国)に拠点をもつハードウェアスタートアップをインキュベートするHAXLR8Rが、興味深いレポート「Hardware Trend 2015」を2月末にリリースした。少し時間が経っているが、2015年のハードウェアスタートアップのトレンドを知るには非常に有用な資料だから、その要点と、目を引いたプロダクトをいくつかTechCrunch Japanでも紹介しよう。

ちなみに、HAXLR8Rは去年、本家TechCrunch「Lean Hardware」というハードウェアスタートアップ関連の連載をしてきた(日本語には未訳)。HAXLR8Rを含む中国語圏の動向を伝える記事としては、「米西海岸と急接近、中国深圳や香港、台湾に根付くハードウェアスタートアップの今」も参考にしてほしい。

さてレポートだが、以下の構成となっている。

1. Hardwear Trends
2. Fundings & Exits
3. Ecosystem Growth
4. Lifestyle
5. Personal Health
6. 3D Printing
7. Smart Home
8. AR/VR
9. Drones
10. Robotics
11. Twelve wares to avoid
12. Prototyping
13. Manufacturing
14. China Rising

HAXLR8Rのジェネラル・パートナーであるBenjamin Joffeによると、レポートの要旨は以下の通りだ。

  • レポートではハードウェアスタートアップへの投資とイグジットをピックアップしている。2014年には多くのハードウェアスタートアップに投資され、Oculus VR、Beats Electronics、Nest Labsんどがその地歩を固めた。
  • ハードウェアスタートアップのエコシステムは、ハッカースペース、メーカーズフェア、インキュベーター等により急成長している。
  • ウェアラブル、トラッキングデバイスのマーケットは活況となってきている。トラッキングデバイス、新センサーは、ヘルスケアや身体能力強化にフォーカスしてきている。
  • 3Dプリントは商品として認知されてきている。
  • スマートデバイスはドア鍵、ドアベル、セキュリティカメラ、サーモスタットから家庭内に浸透してきている。
  • AR、VRは消費者へのリーチ寸前で2015年クリスマスにはヒットすると予測している。
  • ドローンとロボットは拡大している。ロボットはワークショップ、ラボや家庭に入ってきている。清掃、調理、サービス、庭掃除、保管、ピンポンで遊んでくれるなど多岐ににわたる。
  • プロトタイプ製作は以前より安価、簡単、迅速になったプラットフォームがでてきている。電子回路をプリントできるものまで出てきている。
  • 深圳がハードウェアスタートアップのプロトタイプ製作、製品製造の拠点となってきている。
  • 中国と深圳はグローバルスタートアップに目を向けている。
  • これからは構造がシンプルな製品はみな”Xiaomization”されるリスクにさらされる(Xiaomi(小米)の新しい流通モデルに破壊されるリスク)。Xiaomi は既にSamsung、GoPro、Dropcamなど多くと競合関係になっている。

レポートの中にあることだが、大きなトレンドとして「深圳がハードウェアのシリコンバレー化してきた」ということがある。かつては中国といえば低レベルな製品を安価に製造するだけの工場と思われていたのが、現在は様変わりしている。深圳ではその地域一帯が工場で埋め尽くされており、しかもユニークなプロトタイプ製作と量産のエコシステムを形成しているのである。深圳、香港、台湾では以前よりもプロトタイプ製作が容易になってきているようだ。

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深圳の電子部品マーケットは数十の高層ビルにわたって展開されている。これは一見秋葉原と同じようなマーケットに見えるが、深圳のマーケット店舗は周辺の工場と直結しており、単品〜1000個のパーツまで柔軟に供給できるようになっているのが異なる点であろう。

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さて、レポートは192ページにわたるスライドになっているが、この中から興味深かったプロダクトを搔いつまんで紹介しよう。

Shot Stats Challenger

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KickStarterプロジェクト。 テニスをする人はすぐにわかると思うが、打球時の衝撃を和らげるゴム製品と同様な、ガットとガットの間に装着するタイプのもので、Bluetoothでスマートフォンと通信し、ラケットスイングのスピードを測定したり、ガットの衝撃からラケットのどの部分でボールを捉えているかチェックできる。

Roadie

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ライブ中にMCをしながらギターのチューンを変えるのは結構大変な作業だ。MCに集中するとチューンができない、チューニングに集中するとMCがとまってしまう、というジレンマに遭遇する。多勢のオーディエンスの前で無言でペグをまわしているときほど気まずい瞬間はない。しかも、あわててしまうとチューンがぴったり合わなかったりする。そんなギタリストの救世主がRoadieかもしれない。従来はチューナーのメーターを見ながら手動でギターのペグをまわしていたのを、チューナーとモータが一体化してペグまで自動でまわしてチューンしてくれる。これならMCで談笑しながらチューンも自動で完了させることが可能となる。

Giant 3D Printer

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3Dプリンタは色々なバリエーションが出てきて、プリントできるサイズも大きなものが可能となってきている。中国の巨大な3Dプリンタは1日で10棟の家を建てることが出来る。しかも1棟50万円程度と安価である。荒天や極寒においてもほぼ自動で短時間に家が建つのであれば、災害時の仮設住宅建設などに最適かもしれない。

Beddit

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薄いシーツ型センサーを布団に敷いて睡眠をモニタし、スマートフォンアプリにデータを送信。睡眠が浅いときに目覚まし機能がはたらく。いろんな睡眠時の情報をモニタしてくれる。

Mousr

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ネコを家の中だけで飼っている家庭が増えてきた。しかし、ネコは元々は野生動物。家の中の環境に慣れているはずがない。ネコは本来1日20回狩りをするという。家の中で飼われてそんないつもの行動が制限されてしまってはネコにとって大きなストレスとなる。ストレスが溜まったばかりに飼い主に面倒を起こしたりする。そこで、Mousrは、ロボットネズミとしてネコから逃げ回り、ネコの狩猟行動をシミュレートしてあげる優れものだ。これで家庭内も円満に。

Copenhagen Wheel

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米国発のスタートアップSuperpedestrian社が開発した、自転車の後輪ホイールを交換するだけで電動アシスト自転車にすることができるCopenhagen Wheel。製品名のCopenhagenは自転車大国デンマークの首都名が由来。ホイールの赤い円盤内にモーター、バッテリー、ジャイロなどを搭載。

HUVr

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ハードウェアスタートアップの中には駄目なものも出てきている。例えばHUVrだ。これはホバーボードをうたっていたが全くのフェイクだった。あったらいいなと誰もが夢想するものだが、現実はあまくはなかった。反重力でも何でもいいから実現されることを願っている。

Hendo

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ところがカリフォルニアのスタートアップHendo Hoverは、レンツの法則を応用して強力な地場を発生させ浮上させるホバーボードをKickstarterで資金調達完了してしまった。1台約100万円だが既にKickstarterでの予約は完売状態。HUVrのフェイク動画から考えたら夢のようだし、夢を実現してしまうところがまたすばらしい。

OTTO hackable Camera

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オークランドに拠点を置くの Next Thing Co.がつくったスマホアプリと連動するGIF動画を簡単に制作できるデバイス(カメラ)だ。カメラのクランクをひっぱってまわすだけでGIF動画が撮影でき、画像エフェクトもかけられる。Wifiでスマホアプリと同期して、アプリ上で撮ったGIF動画を友人と共有したりできる。

以上スライドの中からいくつか紹介したがこれ以外にも192ページにわたってスライドレポートになっているので2015年ハードウェアトレンドを占うのに参考にしてみてはどうだろうか。

Hiroki Takeuchi / POYNTER CEO Ph.D)