STORES 予約が入退室管理クラウド「iDoors」とAPI連携開始、完全非対面で予約から入退室管理まで一元管理

STORES 予約が入退室管理クラウド「iDoors」とAPI連携開始、完全非対面で予約から入退室管理まで一元管理

オンライン予約システム「STORES 予約」(ストアーズ予約)を提供するヘイ(以下、hey)は9月1日、エーティーワークス提供のクラウド型入退室管理システム「iDoors」(アイドアーズ)とのAPI連携を開始したと発表した。同連携により、予約から入退室の管理までを完全非対面で実現可能となった。

iDoorsは、エーティーワークスが独自開発し提供しているIoT電気錠制御盤「iDoorsエッジ」に様々な「認証端末」をつなげることで、どこからでも入退室管理が行えるクラウド型入退室管理システム。顔認証、QRコード、ICカードなどの認証端末を利用でき、遠隔地にある設備や無人設備などの入退室管理も行える。

今回のAPI連携により、STORES 予約で予約を行うと、iDoorsより自動で予約当日の入室キーが発行される仕組みを実現したという。設備の入室方法はテンキーリーダーとQRリーダーの2種類から選択でき、どちらも固定パスワード、またはワンタイムパスワードを設定可能という(いずれもiDoorsへの加入および導入工事が必要)。

予約から入退室管理までを完全非対面で実現可能にすることで、コロナ禍の感染症予防・対策に加え、システムのオートメーション化による設備管理時のヒューマンリソース削減が可能になるとしている。

スタートアップ企業がテレビCMを放映する狙いとその効果

独立系ベンチャーキャピタルのB Dash Venturesが主催するB Dash Campは、例年春と秋に開催されるスタートアップの祭典だ。業界の著名人が数多く登壇するセッションが多いことでも知られる招待制のイベントで、今年の春は5月23日、24日に北海道・札幌で開催されている。

そのイベントで開催された「テレビ広告のベストプラクティスを探る」というテーマのセッションには、GOの三浦崇宏氏、ヘイの佐藤裕介氏、ラクスルの田部正樹氏、マネーフォワードの辻庸介氏が登壇した。

同一ジャンルで真っ先にCMを放映し純粋想起を促す


まずは、数々の広告を手がけているPR/マーケティング会社のGOでクリエイティブディレクターを務める三浦氏は「CMには驚きがないと視聴者は反応しない」とコメント。最近のCMでは「ハズキルーペのCMは素人くささの残る演出だが、それが逆に視聴者の驚きになって結果的には大きな宣伝効果を生んだ」と語る。

さらに「サービスへの信頼、好意を持たせるためにはタレントを起用するべき」とも。特にあまり知られていないサービスほど、タレント起用の意義は大きいという。最近の視聴者はどんどん疑い深くなっているが、知っているタレントが出ているCMであれば安心感を持つ人が多いとのこと。

例えば、三浦氏が手がけたクラウドファンディングのCAMPFIRE(キャンプファイヤー)のCMについては「(CAMPFIREのほか、MakuakeやReadyforなど)3大プレイヤーがいる業界なので、その中でいち早くCMを打って認知を高めたかった」という。クラウドファンディングといえば、CAMPFIREという純粋想起を狙ったCMだという。そのため「15秒版よりも30秒版のほうを多く配信している」とのこと。このCMの出演者は、タレントののんと、チャップリンパフォーマーのジェイソン・アーリンという、多くの人が知っているタレントを起用している。

ほかにもさまざなタレントと交渉したそうだが、金銭面での折り合いが付かなかったり、「自分が責任が持てないサービスには出演できない」「夢を叶えるサービスに夢をすでに叶えた人間が出るのかどうか」などの理由で断られたそうだ。

さらに三浦氏は、CMとタレントという文脈で最近の面白い会社として、腹筋などを低周波で鍛えるトレーニングギアの「SIXPAD」で有名な名古屋を拠点とするMTGを紹介。「MTGはCMにクリスティアーノ・ロナウドを使っているが、あれはロナウドに自社の株式を分けたことで成立した案件」とのこと。同社はスキンケアブランド「MDNA SKIN」も展開しており、このイメージキャラクターになっているマドンナにも同様の契約を結んでいるそうだ。

さて、CAMPFIREのCMについて三浦氏は「CAMPFIREなどのクラウドファンディングを始めたいと考えるターゲットユーザーはテレビの前にはいない」とも言う。テレビの前の99%の人はクラウドファンディングでプロジェクト始める人ではないが、そういう人に向けてクラウドファンディングが健全なサービスであることを周知するという狙いもあったという。実際にクラウドファンディングには「お金がないから支援してください」という負のイメージをもたれることもまだまだあるそうだ。

続けて三浦氏は「CM業界では、宣言編のあとに展開編が続くことが多いが、今回手がけたCAMPFIREのCMはクラウドファンディングを認知させる宣言編」だったという。CAMPFIREはまだ展開編のCMは作ってないそうだが、宣言編のCMを流したあとに鉄道駅などにポスターを掲示したところ、ポスターを見たユーザーがYouTubeでCMを見直すという現象も起きたそうだ。そしてCMを作る側の人間は「こういった宣言編のCMをやりたい人がいっぱいいる」とのこと。

同業他社にぶつけて認知度を上げるコイニー


ヘイの佐藤氏は、同社が提供しているキャッシュレス決済サービス「コイニー」のCMを紹介。このCMは、ナレーターなどを除くとほぼ社内で制作したそうだ。CMの目的は、キャッシュレス決済というカテゴリーと、コイニーの付加価値を訴求すること。より大手の同業他社がCMを放映している時期を狙い、一定期間は放映期間を被せつつ、CM内でサービス名を連呼して認知を高める作戦だったそうだ。

この戦略を採ることで、コイニーよりも資金を投下してタレントを使った他社CMを見た視聴者が「○○が出ているコイニーだよね」といった勘違いを誘導する狙いもあったそうだ。そのほか、トヨタなどの大手企業のCMのあとに流してもらって安心感を高めるという施策も実行したそうだ。ちなみにコイニーのCMについてラクスルの田部氏は「視聴者は上戸彩が出てるのは紳士服のアオキとコナカのどっちだっけ?というレベル。それならCMを打ちまくってやりきるのが大事」とコメントした。

ラクスルはABテストで放映CMを決定


そのラクスルの田部氏は自社のCMについて、コストを抑えられる地方、地方大都市、首都圏・関西圏にフェーズを分けてCMを配信したとのこと。第1フェーズではCM放映後にどういったキーワードが検索されるかをチェック、第2フェーズではタレントは女性がいいのか男性がいいのかを複数のCMを流して比較。こういったABテストを各2カ月、計4カ月繰り返したうえで、評価が高かったものを首都圏などに配信するという手法を採ったそうだ。

地方でCMを打ったところ「ネット印刷」というキーワードはさほど検索されず、「チラシ印刷1枚1.1円」や「ラクスル」という言葉への反応が高かったとのこと。そして好感度については、男性タレントよりも女性タレントのほうがウケがよかった。

その結果、首都圏など放映されているCMには「チラシ印刷1枚1.1円」のキーワードやタレントののんが起用されている。田部氏は、チラシなどの印刷市場は3兆円ほどと言われていて、最近はネット印刷が1年100億円規模で増加している。競合大手がいる中でラクスルはこの年間の増加額の過半数をとっているとのこと。「一度CMをやりきって認知させておけば、その広告費を減らしても売上が落ちない。こういった数字は資金調達の際にも重要」と語る。

タレント起用で認知度を高めたマネーフォワード


マネーフォワードの辻氏は、自社のCMについて「当初私は、タレントなんて使わなくていいのはないかという反対派だったが、実際に放映してみるとタレントを起用したCMのほうが圧倒的だった」とのこと。本当は会社の使命などの想いをCMでも伝えたいが、詰め込んでも視聴者の頭からは抜けてしまうのが悩みどころとのこと。理想としているのは、巨人軍の終身名誉監督である長嶋茂雄氏が出演しているセコムのCMとのこと。ちなみに辻氏の「これから起用するなら誰?」という問いに、クリエイティブディレクターの三浦氏は「イチロー氏」と即答。


マネーフォーワードCMは、チュートリアル徳井、オリエンタルラジオ、ローラなどを起用してきたが、現在では藤田ニコルをはじめさまざまなタレントやキャラクターが出演している。現在のCMは出演するタレントに実際にお金に対する考えて書いてもらってからCMに臨んだそうだ。ちなみに「つば九郎のCMは社内で評価が高かったのですが、つば九郎はしゃべらないというキャラ設定のため、CMでもフリップをめくるだけで音がなく、視聴者に刺さらなかった」と苦笑いした。

そのうえで、CPA(顧客獲得にかかる広告の費用対効果)は2年できっちりと刈り取るため、CMを受けてのウェブのほうにはかなり力を入れたそうだ。「なぜCMを放映したのか?」という問いには、「競合のプレーヤーがいるカテゴリーで真っ先にCMをやりたかった」とのこと。辻氏は続けて「そのために、資金調達したらすぐにCMに投下していた」と振り返る。CAMPFIREのCMと似た傾向だ。

プロダクトやサービスが一定水準に達したあとに、スタートアップ企業が新たな資金調達に成功するとテレビCMを打つというのは、最近では当たり前になってきた。今回のセッションを終えて個人的に感じたのは、至極当たり前だが「とにかく目的を持ってやりきることが大事」ということだ。