フードテックPerfeggtが植物由来の代替卵販売に向け3.2億円調達

世界市場では、乳製品や肉などの植物由来の代替品の売上が急増しており、Perfeggtは卵でも同じことをしたいと考えている。

ベルリン拠点のフードテック企業Perfeggtは、2022年第1四半期にドイツ、スイス、オーストリアでニワトリが存在しない卵製品をデビューさせようとしている。まず製品を立ち上げ、その後2022年後半にヨーロッパで事業を拡大すべく、同社は現地時間11月25日、初のラウンドで280万ドル(約3億2000万円)を調達したことを発表した。

このラウンドの出資者は、EVIG Group、Stray Dog Capital、E2JDJ、Tet Ventures、Good Seed Ventures、Sustainable Food Ventures、Shio Capitalだ。

PerfeggtのCEOであるTanja Bogumil(タンジャ・ボグミル)氏は、Lovely Day Foods GmbHの傘下にあるPerfeggtを、EVIGの創業者でCEOのGary Lin(ゲーリー・リン)氏、ドイツのベジタリアン・ビーガン食肉メーカーRügenwalder Mühleで長年R&D責任者を務めたBernd Becker(ベルント・ベッカー)氏と2021年初めに共同で設立した。

Perfeggtの共同設立者、左からベルント・ベッカー氏、ゲーリー・リン氏、タンジャ・ボグミル氏(画像クレジット:Patrycia Lukaszewicz)

「私たちはもっと良い食べ物を食べるべきだと心から信じています」とボグミル氏は話す。「私の母方の家系は小規模な農業を営んでいたので、私たちが食べるものがどこからくるのかを常に意識してきました。12歳のときにベジタリアンになったのは、叔父が屠殺場に連れて行ってくれて、自分が食べていたソーセージが正しい方法で作られていないことを教えてくれたからです。そこで起こっていることを完全に理解していたわけではありませんが、正しいとは思えませんでしたし、人道的とも思えませんでした」。

すでにサステイナビリティが確立されている乳製品とは異なり、卵はまだ未開発の部分が多いとボグミル氏は考えている。確かに、Simply Egglessや、2021年夏の初めに2億ドル(約230億円)を調達したJust Eatなど、同様の植物性代替品を製造する企業はある。しかし、世界では年間1兆3000億個以上の卵が生産されており、つまり成長の余地があり、用途も多様だとボグミル氏はいう。

Perfeggtの最初の植物性卵製品は、空豆から作られたタンパク質が豊富な液体の代替品だ。この製品は、フライパンでスクランブルエッグやオムレツのように調理することができる。同社はまず、外食産業向けに製品を発売する予定だ。

他の食品と同様、味が肝心だ。この製品では、口当たり、感覚、風味、食感が似ているものを目指したが、これらの要素はすべて、人々が植物性の代替品に切り替えるために必要だとボグミル氏は話す。

「これは、私たちが時間をかけて見つけ出したものです。私たちの製品は、これらの用途に必要な機能性を模倣するのに非常に適した空豆を中心に作られています」と同氏は付け加えた。

そのため、ドイツのエムスランドにあるPerfeggtの研究開発拠点では、生命科学の研究で知られるワーヘニンゲン大学・研究機関と緊密に連携し、動物性食品の栄養的・機能的特性に最も近い植物性タンパク源とその組み合わせを検証している。

今回の資金調達により、同社は本社と研究開発施設のチームを増強する。同社では現在、食品科学者、マーケティング、研究開発を担う人材を募集している。

一方、ボグミル氏は、卵の代替品の分野に参入する企業が増えることは、人々を植物性食品にシフトさせるというPerfeggtの使命につながると考えている。

「これは1人勝ちの市場ではありません」と同氏は話す。「代替タンパク質がこれほどまでにメインストリーム市場に近づいたことは、歴史上初めてのことです。明らかに、これは資本市場に反映されており、ニッチ市場の開拓だけでなく食の未来にも影響を与えています」。

E2JDJの設立パートナーであるStephanie Dorsey(ステファニー・ドーシー)氏は、声明文で次のように付け加えた。「私たちは、次世代の代替タンパク質を開発し、人間や地球、動物の健康を向上させるソリューションを見つけたPerfeggtの急速な技術進歩に、非常に感銘を受けています。卵市場は巨大な機会であり、これは始まりにすぎません」。

画像クレジット:Patrycia Lukaszewicz

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

電子レンジで温めるだけの植物由来食品を宅配するAllplantsが59億円を調達

ベジタリアン向け食事宅配サービスを提供するAllplants(オールプランツ)は、Draper EspritがリードするシリーズBラウンドで3800万ポンド(約59億円)を調達した。英国の消費者に、家で温める、植物由来のおいしい食事を提供することを目指す。

今回のシリーズBラウンドの規模は、ヨーロッパの植物由来食品の企業としては過去最大とのことだ。

ロンドンを拠点とするAllplantsは、2018年にシリーズAで750万ドル(約8億5500万円)を、またエクイティ・クラウドファンディング・プラットフォームのSeedrsを通じても資金を調達している。

同社によると、2017年の創業以来、収益は毎年2倍以上で推移しているという。

シリーズBに参加した他の新規投資家には「パーパス・ドリブン」の消費財ファンドThe Craftory、シリコンバレーを拠点とするTriplePoint Capitalに加え、イングランドの国際的なサッカー選手であるChris Smalling(クリス・スモーリング)氏とKieran Gibbs(キーラン・ギブス)氏、英国の独立系スナック菓子会社Proper Snacksの創業者でMBE(大英勲章第5位)のCassandra Stavrou(カサンドラ・スタブロウ)氏などがいる。

また、既存の投資家からFelix Capital(オートミールベースの代替ミルク「Oatly」を開発したベンチャー企業)とOctopus Venturesも参加した。

近年、欧米では、食肉生産にともなう気候変動への懸念が高まり、植物由来の代替品への関心が高まっている。

さまざまなスタートアップが肉に代わる便利な製品を幅広く開発してきた。Allplantsのような消費者に直接届ける食事や、Heuraのような植物由来の肉代替製品などの選択肢がそうだ。後者の製品はAllplantsの食品の原材料になるかもしれない。

関連記事:スペインの100%植物由来チキンのスタートアップ「Heura」が英国に進出

Alplantsは「植物由来の食品に興味がある人々」、つまりフレキシタリアンの消費者市場が急速に拡大していることが同社の成長要因だと分析する。同社によると、現在、英国だけで100億ポンド(約1兆6000億円)、先進国市場では年間1000億ポンド(約16兆円)の市場規模があるという。今のところ英国のみの展開だが、同社のウェブサイトには、世界進出も視野に入れているとある。

今回の資金は、ロンドン北部のウォルサムストウにある植物由来食品のキッチンを現在の6倍に拡張するために使用するという。急増する国内需要に対応する。

現在、同社のキッチンでは140人のシェフが24時間体制で働く。冷凍された状態で消費者に届けられるため、従来の電子レンジ食品と同様、食べる前にオーブンや電子レンジで再加熱する必要がある。

現在のメニューは、朝食、昼食、スナック、おやつ、夕食をカバーし、カレーやチリ、パスタやリゾットなど、さまざまな種類の世界の料理を提供している。肉の代替品としてはビーガンのタンパク源となる、ビーガンチーズ、豆腐、豆、ビーガンチョリソーなどが含まれている。

ユーザーは、宅配用に用意された料理の中から、1人分または2人分の量を選び、6食入りの箱を作る。

また、好みに合わせて「肉の代替品」のみの食事(いつも肉の塊がお皿にのっていることに慣れている人向け)や「最もチーズの効いた」料理(100%ビーガンのチーズを使用)のセレクションなど、バラエティに富むセットを販売している。

同社は、肉を使った食事を植物由来の食品に変えることが、環境への負荷を減らす最も効果的な方法の1つだと指摘する。植物由来の食事を週に1日増やすだけで、英国の平均的な消費者の食品からの二酸化炭素排出量を年間10%以上削減できるとしている。

さらに、シリーズBにおける計画として、他の販売チャネルへ迅速に進出する能力を構築するという。つまり長期的には、スーパーマーケットなどの小売店を含めたマルチチャネルでの販売を視野に入れているようだ。

今回の資金調達は、チームの大幅な拡大にも充てられる。料理学校で研修を受けたシェフをはじめ、オペレーション、イノベーション、マーケティング、テクノロジーなど、ビジネスのあらゆる機能に関して採用を予定している。

また、シリーズBの計画には、拡大する顧客層の好みに合わせて食事の範囲を広げることや、より幅広いカテゴリーの製品を開発することなどが含まれる。

Allplantsの創業者兼CEOであるJonathan Petrides(ジョナサン・ペトリデス)氏は、声明の中で次のように述べた。「我々が料理に関わり始めてからの5年間で、植物由来食品の需要が爆発的に増加していることを実感しています。我々には、このムーブメントをより多くの人々のキッチンに届けるためのエキサイティングな計画が多数あり、今回の投資はそれを可能にしてくれます」。

「食品の選択は非常に個人的なものです。ですから、品質と味は常に我々の最優先事項です。それが我々のすべての活動の原動力であり、顧客が妥協することなく、より多くの植物を食生活に取り入れることを可能にしています」とペトリデス氏は付け加えた。「我々は今、より多くのおいしいレシピや製品を想像して創造し、そして提供することができます。そして最終的には、植物由来の生活が我々の地球の未来にもたらす変革を加速させることができるのです」。

Draper EspritのパートナーであるNicola McClafferty(ニコラ・マクラファティ)氏は投資にともなう声明で次のように述べた。「今回の投資は、Draper Espritにとって非常にエキサイティングです。Allplantsは、今日の食品消費において最も急速に成長している複数の分野が交差する場所で、ユニークな位置にいます。消費者にとって非常に便利な方法で、味、持続性、栄養に配慮しながら高品質の植物性食品を提供しています」。

「ペトリデス氏と彼のチームは、非常に明確な価値観を持ち、信じられないほど力強い成長と忠実な顧客ベースを持ちあわせた、すばらしいブランドを確立しています。Allplantsは、消費者への直販ビジネスを拡大すると同時に、英国内および海外の新しいチャネルにも進出する可能性を秘めています。植物由来の食品に興味がある消費者に栄養、味、利便性を提供する、世界的なブランドになれると信じています」。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi