電動化を推進する英高級車メーカーのベントレーが新型車「フライングスパー・ハイブリッド」を発表

102年の歴史を持つ英国の超高級自動車メーカーであるBentley Motors(ベントレー・モーターズ)は現地時間7月6日、最新のハイブリッドモデルを発表した。Volkswagen Group(フォルクスワーゲン・グループ)傘下の同社によれば、この最新型「Flying Spur Hybrid(フライングスパー・ハイブリッド)」は、ベントレー史上最も環境に優しい車であるという。

この新型車は、ベントレーの「Beyond100(ビヨンド100)」戦略の一環であり、同社は2023年までにラインナップをすべて電動化し、2030年までにはすべてのモデルを電気自動車のみにして、カーボンニュートラルな企業になることを目指している。ベントレー初の電気自動車が2025年に発売予定であることを考えると、これは大変な目標だ。今のところ、ベントレーの電動化モデルは、まだこのフライングスパー・ハイブリッドと、SUVのBentayga Hybrid(ベンテイガ・ハイブリッド)しかない。

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ほとんどの主要な自動車メーカーは同じような公約を掲げており、Ford(フォード)、GM、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、Kia(起亜)、Nissan(日産)などのメーカーはすでに電気自動車を生産している。ベントレーのような自動車メーカーが目標を達成するためには、電動化モデルの生産台数を飛躍的に増加させなければならない。特に、現在はTesla(テスラ)が独占している高級EV市場に割って入ろうとするのであれば、なおさら努力が必要だ。

ベントレーの発表によると、フライングスパー・ハイブリッドの新しいパワートレインは、2.9リッターV型6気筒エンジンと1基の電気モーターを組み合わせたものであるという。エンジン単体で最高出力416psを発生し、550Nmのトルクを5650rpmまで維持する。トランスミッションとエンジンの間に配置されたモーターは、最高出力136psと最大トルク400Nmを発生。システム総合では最高出力が544ps、最大トルクは750Nmにもなる。これはベンテイガ・ハイブリッドよりも、それぞれ95psと50Nm上回る。

容量14.1kWhのリチウムイオンバッテリーは、(地域によって異なるが)約2時間半で満充電が完了する。ガソリンも満タンにすれば、700km以上の距離を走行できるという。0-100km/h加速はV8エンジン搭載バージョンのフライングスパーとほぼ同等の4.3秒(フライングスパーV8は4.1秒)。最高速度は285km/hに達する。

ドライバーは、センターコンソールに備わるスイッチで3種類のEモードを切り替えて、バッテリーの使用を管理することができる。クルマを始動させると、可能な限り電気のみで走行するEVドライブ・モードがデフォルトで選択される。ハイブリッド・モードは、ドライバーがナビゲーションシステムで目的地を設定すると、そのルートに合わせて適切なドライブ・モードを予測し、自動的に選択する。この予測に基づいてエンジンの惰性回転も積極的に利用する。システムは走行中にバッテリーの電力を最も効率的に利用するための計算を絶えず行い、例えばこれから都市部に向かう場合は、バッテリーに電気を蓄えておき、都市部に入ったら最適なEVモードで走行できるようにする。逆に高速道路ではV6エンジンをより多く作動させることができる。そして3つめのホールド・モードは、エンジンと電力をバランス良く使い分け、必要なときに電力で走行できるようにバッテリーの充電量が維持される。ドライバーがスポーツ・モードを選ぶと、デフォルトでこのホールド・モードになり、電気モーターによるブーストと減速時のエネルギー回生が確実に行われる。

フライングスパー・ハイブリッドのインフォテイメントスクリーンでは、エンジンとモーターのエネルギーフローを確認できる。航続可能距離、バッテリー残量、充電状況などのEV走行に関する情報は、センタースクリーンの他、インストルメントパネルやヘッドアップディスプレイにも表示できる。フライングスパー・ハイブリッドには使用地域にあった充電ケーブルが付属するが、家庭で充電したいオーナーには、充電ユニットと充電ケーブルを収納できるベントレーのロゴ入りウォールボックスが無償オプションとして提供される。

フライングスパー・ハイブリッドは、現在ほとんどの市場で注文可能だが、ベントレーによると、今のところ、EU加盟27カ国、英国、スイス、イスラエル、ウクライナ、ノルウェー、トルコ、ベトナムでは受注が開始されていないとのこと。

また、ベントレーは同日、シングルモルト・スコッチウィスキーのメーカーであるThe Macallan(ザ・マッカラン)とのパートナーシップも発表。「特徴的なコラボレーションを展開し、より持続可能な未来に向けた両社のビジョンを推進する」と声明で述べている。ベントレーの広報担当者によると、このパートナーシップの一環として新しいシングルモルトウイスキーが発売される予定だという。さらに「今後、両社のコラボレーションによる製品や体験が追って発表される」とのこと。体験とは…高級飲酒運転ということだろうか? より具体的な両社のコラボレーションとしては、スコットランドのストラスペイ地域にあるThe Macallan Estate(ザ・マッカラン・エステート)で、ベントレーの完全な電気乗用車のフリートを2025年までに導入することが発表された。さらに、ベントレーは2021年中に2台のハイブリッド車を、ザ・マッカラン・エステートに納車する予定だという。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ベントレーモーターズが2026年から電気自動車のみの生産にシフト

VW Group(フォルクワーゲン・グループ)傘下の超高級車メーカーBentley Motors(ベントレーモーターズ)は2026年からプラグインハイブリッド車と電気自動車のみを生産する。今後10年でガソリン車から脱却するのが狙いだ。

同社は米国時間11月5日、ラインアップする全モデルを2030年までにEV化すると発表した。Beyond 100というこのプランはすでに進められており、2つのプラグインハイブリッドモデルが来年、2021年にお目見えする。同社初の電気自動車は2025年に発売される予定だ。

ベントレーモーターズによるとこのプランの目的は、12シリンダー内燃エンジンで動くグランドツーリング車で知られる同社を「持続可能なラグジュアリーモビリティ」におけるリーダーに変えることだ。ベントレーはすでに、築80年の本部を改築し、Carbon Trustによってカーボンニュートラルと認定された英国初の工場となったと説明している。

社長兼CEOのAdrian Hallmark(アドリアン・ホールマーク)氏によると、Beyond 100プランは同社のEV化モデルの開発やオペレーションから、ティア1サプライチェーン、小売ネットワークに至るまで、社のあらゆる部門に関係するという。

ベントレーのシフトは親会社の電動コネクテッドカー生産・販売のリーダーになるという広範な戦略の一環だ。フォルクスワーゲンは2025年までに年間100万台の電気自動車を販売する目標を打ち出している。

同社のプランは、2023年までにすべてのモデルラインにハイブリッド車を持ってきて、オペレーションを改善するという以前の約束を広げるものだ。全サプライヤーは持続可能性の査察をパスし、年末に持続可能性の資格を証明することになる。

ベントレーはただ電気自動車にシフトしているだけではない。自社を「不況知らず」にすることを狙っている。これは、リストラと従業員800人の削減(うち200人は契約社員に置き換わった)で始まった野心的な目標だ。同社は厳しい状態にあったが、他の多くの自動車メーカーもまた新型コロナウイルスパンデミックで政府が命令した事業停止の影響を受けた。ベントレーモーターズは11月5日、コスト削減やリストラによって、社は「酌量できる外部要因にも関わらず、2020年通年で良好な財務実績を達成できる」位置につけていると述べた。

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(翻訳:Mizoguchi

2020年ベントレー新型フライングスパー:極上の乗り心地とパフォーマンス

なんと言ってもBentley(ベントレー)なのだ。最高である。

ベントレーの新型フライングスパーはラグジュアリーを極めた高級セダンである。ほとんどのスポーツカーよりも大きなエンジンを搭載し、極上の座り心地の4つの座席を備え、まるでシャワーフロアを滑る石鹸のようになめらかに道路を滑走する。27万9000ドル(約3000万円)という価格を掲げたさすがの仕様である。

パワフルであるにもかかわらずこの上なく快適なのがこのセダンの特徴だ。ベントレーによると、同車はW型12気筒エンジンを搭載しており時速は207mphに達するとのことだが、それを確かめようという気にはなれなかった。速く走るということは、目的地に早く着いてしまうということだからだ。新型フライングスパーを試乗した1週間、ずっと運転していたいとどれほど願ったことか。

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レビュー

新型フライングスパーはベントレーのセダンにおける長い歴史を反映している。ベントレーの4つのラインナップの中でフライングスパーは、豪華なミュルザンヌモデルのひとつ下のより手頃な価格のモデルとして格付けされており、よりドライバーにフォーカスしたセダンである。サイズは若干小さく少し控えめではあるものの、それでも仕上がりは秀逸である。

ボンネットのクリスタルオーナメントに至るまで、フライングスパーの全ては極上の体験を叶えるためにデザインされている。後部座席のヘッドレストのピローは、著者のベッドにある枕よりも柔らかくサポート力がある。マッサージシートの機能は的確。オーディオは響き渡る低音とクリアな高音が楽しめる驚きのクオリティだ。

フライングスパーが持つ快適性は、格下クラスの車種でも提供されている。大型セダン向けのマッサージシート、贅沢な素材、大型セダンにして卓越したドライビングダイナミクスは、8万ドル(約860万円)のキャデラックや15万ドル(約1600万円)のメルセデスベンツでも体験できるのだ。私はこれらの車を全て運転したことがあり、どれも素晴らしいのだが、フライングスパーはどの点においても少しずつ他社を上回っている。しかし、他社よりもはるかに高額なこの価格が正当性を持つか否かは、お金を払う人が決めれば良いことである。

ラグジュアリーで惹きつけ、パフォーマンスで心を掴む

フライングスパーの走りは堂々たるものだ。ボンネットの下に搭載されたW型12気筒エンジンがクルージングに十二分なパワーを提供。最高出力626hpと663フィートポンドのトルクを発揮し、パワーは底なしだ。これこそが堂々たるセダンに必要とされているものなのである。車両の俊敏性を高めるために再構成されているものの、過去のモデルと同様、今回アップデートされた フライングスパーも全輪駆動を採用している。今回の仕様では、ほとんどの動力が後輪に送られる。前輪に動力が供給されるのは、主に車が後部のスリップを検出した場合だ。その結果、高速のスタートを切っても十分な安定性を確保できるようになった。

高速時にフライングスパーはその実力を発揮する。なめらかなシフトと驚くほどの惰性能力で道路を走り抜ける。アクセルオフ時には余力で延々と惰性走行を続けていられるような感覚だ。実際に機械面で同社は卓越した成功を収めており、ドライバーと同乗者双方に比類ない乗り心地を提供している。フライングスパーの乗車体験を極上のものにするために熟練した運転手は必要ない。ベントレーはあらゆる問題点を細やかに解決。アグレッシブな運転であっても乗り心地を快適なものにしてくれる。

新型フライングスパーでの居眠りは禁物だ。この車は3.7秒で時速60マイルに達するのだ。これより速い車はあるが、このベントレーほど大きな車でこの実力はほぼ存在しない。スピードを出してもサイズ感が安定感をもたらし、音の遮断効果のおかげで運転席のすぐ目の前で起きているエンジンの激しいドラマからドライバーを隔離。誤解のないよう言うと、フライングスパーは高速ではあるものの素早いという感覚とは違う。これは素晴らしいことである。ベントレーがもたらすエクスペリエンスは、首の折れるような高速スタートとは一線を画すものなのだ。

ヘッドレストピローが最高だ

インテリアには期待通りの設備が整っており、広さも余裕のある造りだ。ドライバーは快適かつ見晴らしの良い位置にゆったりと収まり、後部座席の乗客は5つ星ホテルにある枕と同じくらい柔らかいヘッドレストで快適に過ごすことができる。

セダンにモダンな要素をプラスすべく、車載インフォテインメントスクリーンが中央に埋め込まれている。超ワイドスクリーンにユーザーコントロールのほとんどが表示されるが、これは少し時代遅れに感じられる。フォルクスワーゲンブランド全体(VWはベントレーを製造している)の他のトップクラスの車両と比較すると、触覚フィードバックやエアージェスチャーなどの先進的な機能やデザインの洗練性において同システムは劣っている。

しかし画面自体には驚かされる。ボタンを押すだけで画面が逆回転し、木製のトリムに埋め込まれた3つのアナログダイヤルが姿を表す。モダンな要素を隠し、ベントレーが誇る時代を超えたエレガンスを演出する上品なクラフツマンシップである。

ベントレーフライングスパーの車内はある意味、馴染みのあるものだ。回転するインフォテインメントシステムを除くと、フィット感やトリムは、アウディ、メルセデス、レクサスによるトップクラスのセダンと変わらない。他とは違うインテリアを望む場合は、ベントレーミュルザンヌにステップアップするしかない。

後部座席にもリクライニングリアシート、マッサージャー、車内温度とメディアを調節するタッチスクリーンを備え、前部座席と同様の心地良さを実現。しかし大型セダンにしては後部座席の足元の余裕は少ない。快適ではあるものの、身体の大きい大人は予想よりも窮屈に感じるかもしれない。少なくとも現時点では、フライングスパーでは拡張ホイールベースを備えていない。後部座席に座ると前部座席よりも特別な体験を得ることができる。何せこのヘッドレストピローが極上なのである。

フライングスパーの約27万9000ドル(約3000万円)という価格は、BMW、アウディ、メルセデスのトップクラスのセダンをはるかに上回っている。これら自動車メーカーのスーパーセダンも同レベルのパフォーマンス統計と豪華な仕様を備えているため、売り上げは難航するだろう。生で見るとフライングスパーは競合他社とは異なる威厳を放っているのが分かる。フライングスパーはテクノロジーを内部に秘めつつ、時代を超えたエレガンスを体現しているのだ。

フライングスパーはドライバーと同乗者双方に素晴らしい体験をもたらしてくれる。一部の高級車は豪華さかパフォーマンスかのどちらかに重点が偏っており、これを両立させるのは簡単なことではないが、ベントレーのセダンは見事にこれを実現してくれた。ドライバーはほとんどのスポーツカーに劣ることのない素晴らしいスポーツセダンを運転することができ、同乗者はこの上ない快適な乗り心地を体験できるのだ。

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(翻訳:Dragonfly)