SonosがDolby Atmosに対応した第2世代の「Beam」発表、5万9800円で年内発売

Sonos(ソノス)は長年にわたりホームシアター製品を販売してきたが、近年はリビングルームをさらに重視するようになっている。その始まりは、フラッグシップのサウンドバー「Playbar(プレイバー)」をより小さく、より手頃な価格にした「Beam(ビーム)」だった。そして2020年の新たなフラッグシップである「Arc(アーク)」は、同社のサウンドバーで初めてDolby Atmos(ドルビーアトモス)に対応した製品だった。

米国時間9月14日、このBeamが大幅にアップグレードされた。第2世代となった新型Beamは、449ドル(約4万9000円)という価格で同日より注文を受け付け、発送は10月5日から始まる予定だ。Sonosが先に発表した他の製品の値上げと同様、旧型Beamより50ドル(約5500円)ほど高くなっている(日本では旧型より8320円ほど高い税込5万9800円という価格で年内に販売開始予定)。良い知らせは、新しいBeamがさまざまな点で前モデルよりも高性能であるということだ。50ドル分の値上げに見合う価値があるかどうかは、実際に製品を試用してみないと何とも言えないが、注目すべき新機能がいくつか備わっている。

外観は先代とほとんど同じだが、グリルが布製から穴の開いたポリカーボネート製に変更されている。内部のスピーカーコンポーネントは変わらず、4つのフルレンジウーファーと1つのセンターツイーター、そして3つのパッシブ・ラジエーターを搭載する。前モデルと異なるのは、新しいプロセッサの処理速度が40%高速になったこと。これによって多くの新しい音声フォーマットが再生可能になった。

画像クレジット:Sonos

最も注目すべき点は、この第2世代のBeamが、映画やテレビ、音楽用のDolby Atmosに対応したことだ(後者は今のところ限定的)。Sonosでプロダクトマネージャーとして新型Beamの開発に関わったScott Fink(スコット・フィンク)氏によると、新しいCPUのパワーによってスピーカーアレイの数を増やすことができたという。これは特定のスピーカーコンポーネントが増えたわけではなく「サウンドバー内のすべてのスピーカーの再生と相互作用を調整する一連のソフトウェア」であると、フィンク氏は説明する。新型Beamでは、スピーカーアレイが前モデルの3つから5つに増えており、フィンク氏によるとこの増加分はサラウンドサウンドと高さ情報の専用になっているという。

このように、新しいBeamはArcと同じホームシアター音声フォーマット(Dolby Atmos、Dolby Digital Plus、Multichannel PCMなど)に対応しているが、価格はArcの半分だ。これらの新しいフォーマットを伝送するために、新型Beamは処理能力の向上に加えて、HDMI eARCによる接続も可能になった。Sonosによると、音声処理能力が向上したことでダイアログの明瞭度が改善し、従来も利用可能だったスピーチエンハンスメント機能の効果がさらに向上したという。

また、新型Beam(とArc)は、年内にAmazon Music(アマゾン ミュージック)のUltra HDとDolby Atmos Musicにも対応する予定だ。これまでもSonosのスピーカーには、HD音楽サービスに対応しているものがあったが、同社の製品で3D音楽フォーマットが機能するのは初めてのことだ。Apple Music(アップルミュージック)でDolby Atmosに対応する予定はないのかと尋ねたところ、当然ながら、それはまだ答えられないとのことだった。しかし、技術的な問題はないはずだ。SonosとApple(アップル)が協力して、より多くのApple Musicフォーマットに対応するようにすればいいだけの話である。

画像クレジット:Sonos

他のSonos製品と同様に、この新型Beamは同社の他のスピーカーと接続してマルチルーム再生が可能であり、他のSonosスピーカーをサラウンド用に使うこともできる。また、iOSデバイスを持っている人なら「Trueplay(トゥループレイ)」を使ってスピーカーを部屋に合わせて調整し、サウンドを向上させることができる。

Beamには遠距離マイクが搭載されているので、Alexa(アクセラ)やGoogle Assistant(グーグル アシスタント)による音声コマンドを受信することもできるが、これは必須ではない(上部にマイクのミュートボタンも備わる)。最近の他のSonos製スピーカーと同様、セットアップが簡単になるNFCも搭載されており、Sonosアプリを起動したスマートフォンを近づけると、自動的にWiFiネットワークに接続される。

ここまでSonosの発表を見てきた限りでは、なるべく多くの出費を抑えつつDolby Atmosを導入したくてたまらないという人を除けば、新型Beamはほとんどの人にとってそれほど重要なアップグレードではなさそうだ。しかし、Beamがすでにベストセラーのコンパクトサウンドバーであることを考えると(NPDのデータによる)、これらのアップグレードは競合製品に対する優位性を維持するためには役立つに違いない。たとえ50ドル値上げされようとも。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のNathan Ingrahamは、Engadgetの編集長代理。

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(文:Nathan Ingraham、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ホームシアターに劇場のような体験をもたらすPhilipsのHue Play HDMI Sync Box

Signify(シグニファイ)はスマート照明製品のHueシリーズを着実に拡大し続け、家の内外向けにあらゆる製品を生み出してきた。色、強度、明るさの調整など照明をリモートでコントロールするこういった製品の機能は申し分ないが、最近発表された製品の一つに、接続されたこれらすべての照明を自宅におけるダイナミックでインタラクティブなエンターテイメント体験に変えることに重点をおいた製品がある。Philips Hue Play HDMI Sync BoxはゲームコンソールやApple TVなどのビデオソースとテレビの間で使用する比較的シンプルなデバイスで、さまざまなHue製品を活用して同期されたライトショーを楽しませてくれる製品だ。

製品の概要

Hue Play HDMI Sync Boxは根本的には、4つのHDMI入力と1つのHDMI出力を持ったHDMI スイッチャーである。入力デバイス(AppleTV、Roku、Xbox、PS4など)からの信号がボックスに送られ、テレビに届く。切り替えは最後にアクティブだったデバイスに応じて自動的に行われる。アプリと音声コントロールを用いてこれを手動で変更することも可能だ。

Sync Boxはディスプレイとオーディオにおけるさまざまな最新の品質基準に対応している。4K 60Hz解像度、HDR10+、Dolby Vision規格、DolbyAtmosサラウンドサウンドをサポートしている。また、著作権保護のためにHDCP 2.2に準拠したHDMI 2.0bもサポートしている。

Hue Sync Boxがただ単に高価なHDMIハブというだけでなく、その非常に優れた機能を確実に発揮するには、HueのカラーライトのみならずHue Bridge(第 2 世代の丸みを帯びた正方形のバージョン)が必要だ。テレビスタンドの上やテレビの背面に簡単に取り付けることができるHue Playライトバーや、Hue SigneのマルチカラフロアランプやテーブルランプなどのHue製品をお持ちの場合は、コンパニオンアプリのSyncを使用して、ボックスを通して再生される動画の画面上で起きていることを照明に反映させることができる。

Image Credits: Philips

デザインと性能

なぜこのデバイスが欲しいのか。それは見た目がすごくクールだからである。Hue Syncは監視ツールと組み合わせた場合、Macや PCで再生されるビデオで使用できるソフトウェア機能としてすでに登場していた。ただしこれには、公式のNetflixアプリやブラウザーの Netflixを操作できないなど多くの制限があった。Sync Boxは潜在的な障害を排除し、これでメディアセンター PCを実行しなくても通常のストリーミングやゲームソースを使用できるようになる。

ボックス自体は比較的大きいが、これは複数のHDMIポートに対応するためにこのサイズになったのだろう。Apple TVの約 2 倍の表面積ではあるものの非常に短いため、どんな既存のホームシアター設定にも容易に溶け込むことができると思う。

Hue Play HDMI Sync Boxのセットアップは非常に簡単で、アプリをインストールし、指示された際に Hue Bridgeの同期ボタンを押すだけで完了だ。前述の通り、最大4つのソースをプラグインでき、入力デバイスを使用するとボックスが自動的にソースを切り替える。また、アプリを使用して入力を手動で変更(および名前を変更)することも可能だ。このアプリを使用して光の強度、明るさ、応答性を微調整し、好みやアクティビティに応じて弱めたり強めたりすることもできる。たとえば「ゲーム」設定では、テンポの速いインタラクティブなコンテンツに適したよりダイナミックな効果を実現するため、最大の強度と応答性に設定されるという具合だ。

Image Credits: Philips Hue

特に公式のHueアプリで、専用の「エンターテインメントエリア」にHueライトの位置を時間をかけて正確に設定すると、シーンの色と明るさを模倣する照明の能力が非常に高く発揮されると著者は感じた。最も控えめな設定で使用すると、効果はわずかでも、実際には視聴体験を確実に強化してより高い没入感をもたらしてくれる。最大限の設定で使用すればかなり強調されるが、長期間使用すると良い意味でバックグラウンドに馴染んでいく。

特にファームウェアのアップデート以降、Hue Play Sync Boxは著者のホームシアターで素晴らしい実力を発揮し、テレビ視聴体験をより豊かなものにしてくれている。暗い部屋の方がより効果的なのは明らかだが、鮮やかな色と真の深い黒を生成する高品質のOLEDスクリーンだと特に効果を発揮するようだ。

総合評価

Hue Play HDMI Sync Boxは229.99ドル(約2万4000円)と少し高価ではあるものの、映画、ストリーミング、ゲームなど、家庭でのテレビ視聴体験全体を確実に豊かにしてくれる。4つのHDMI入力があるため必要であればそれを使用してテレビにポートを追加することもできる。最近のアップデートのおかげで、それによってビデオ品質が犠牲になることもないだろう。

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カテゴリー:ハードウェア

タグ:Philips Philips Hue ホームシアター

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(翻訳:Dragonfly)