Bilitiの電動トゥクトゥクなら都市のラストワンマイル問題も解決

創業から1年も経っていないBiliti Electricは、米国の密集した都市で電動の三輪自動車、トゥクトゥクを、当たり前に見かけるものにしたいと考えている。

米国時間11月17日、にロサンゼルスモーターショーで記者会見に臨んだ創業者でCEOのRahul Gayam(ラフル・ガヤム)氏は、この電動で運転席にドアがないGMW Taskmanという三輪のトゥクトゥクは、アジアとヨーロッパではすでに使われていると語る。インドのGMW Electricが作っているこの車両はヨーロッパや日本などにも輸出されており、ガヤム氏によるとすでに1200万回、2000万マイル(3200km)以上の配達を行ったという。同社はこれまで1400台ほど販売している。

現在、Biliti Electricは米国市場への進出を狙っている。

北米ではこのオートショーでデビューしたこのクルマは、機能性が高い電動の配達車を目指しており、充電しやすく、小さいわりに積載量は大きい。

販売価格8000ドル(約91万2000円)のGMW Taskmanは、世界のいろいろなところで見かけるトゥクトゥクなどに似ていて、ニューヨークやロサンゼルスやサンフランシスコなどの密集した都市で苦労しているAmazonやUPS、FedExのバンやトラックの、ラストワンマイルの配達の難しさを解決する車両になるよう設計されている。

画像クレジット:Biliti Electric

同社によると、Taskmanは1回の充電で最大110マイル(約176km)走り、最大1500ポンド(約680kg)の荷重を積載できる。荷台のスペースはおよそ64.6平方フィート(約6㎡)となっている。充電は家庭用の110Vなら7時間、220Vなら3時間半だ。商用車両にそのようなダウンタイムは困るので、Bilitiは交換バッテリーパックを無料で提供している。バッテリー交換はシザーリフトを使って1分間ですむ。

同社がオプションで提供している、荷台の三面につける太陽光パネルを使うと、それはガルウイングドアのように跳ね上がって空に対して水平になり、太陽の放射を吸収してバッテリーを充電する。Bilitiによると、その場合は理想的な条件下で充電時間は3時間半から4時間だ。ガヤム氏によれば、これらの車両の多くは、太陽の直射時間の長い北回帰線と南回帰線の間の熱帯地方で使われるという。

ロサンゼルスモーターショーでのガヤム氏のコメントによると、同社が狙う顧客はAmazonやWalmartのようなeコマースやリテールの大手だ。すでに米国とEU、日本、英国、UAE、インドで、AmazonやWalmart(Flipkart)、Ikea(イケア)、Zomatoなどにより実地テストが行われているが、最初の顧客はもっと小さな企業になりそうだ。

Bilitiのウリは、顧客の規模にかかわらず、ラストマイル配送を解決することだ。ルクセンブルグに拠点を置く投資家GEM Global Yieldが最近行った4億ドル(約456億円)のPIPE投資は、目標達成に必要な資金の一部となるだろう。

いろいろな荷物の、その最後のワンマイルの配達は、世界中の密集している都市を苦しめる難題であり、交通渋滞と地球温暖化と事故の増加に大きく貢献している。小さなパッケージや品物が配達センターから個々の目的地へ向かうときは、同じ場所に向かう他の荷物と一緒に小さな車両に積まれることが多い。そしてそのラストマイルは、ロジスティクスと環境の両方にとって悪夢であり、AmazonやFedExやUPSなどの全員を困らせている。そして今ではグッズを消費者や企業に届けるために、地元の郵便局が利用されることも多い。

Bilitiの車両は、1つの答えを提供するかもしれない。しかし、限界もある。まず、このクルマの最大速度は時速24マイル(約40km)だ。用途は、パークウェイから遠い都市部に限られるだろう。途中にハイウェイがあったり、州間ハイウェイなどは当然無理だ。

ガヤム氏によると、この車両は、カリフォルニア州などでは1月から登録可能になるという。

画像クレジット:Biliti Electric

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Hiroshi Iwatani)

農村部や遠隔地の何十億人たちにラストワンマイルのインターネット接続を提供するMesh++が約5.6億円調達

もしあなたがサンフランシスコ湾の水際に立って眺めたとしたら、おそらく6つほどの高速インターネットプロバイダーがあなたにギガビットのインターネットを提供しようと躍起になっていることを知ることになる。しかし、世界の農村地域に住む何十億もの人たちは、もしあるとしても、それ以下のサービスしか受けられないことが多い。その市場こそがMesh++(メッシュプラスプラス)が狙う場所で、同社はこのたびその構想を実現するための資金を獲得した。シカゴとナイロビに本拠地を置くこのチームは、農村や十分なサービスを受けていないコミュニティにインターネット接続を提供することに注力している。

計画されているソリューションはエレガントだ。利用者が無線LANルーターを電源に接続すると、そのルーターは近くにある他のMesh++ルーターを探す。そしてメッシュネットワーク上で利用可能なインターネット接続が共有されるのだ。それぞれのルーターがノードとなって、Wi-Fiの恵みをその土地に広げていくということだ。同社は、1つのノードで10エーカー(約4万500平方メートル)の広さのWi-Fi接続を実現し、最大100人をサポートできるとしている。接続性の問題や停電などで局所的にインターネット接続がダウンしても、ネットワークの他の部分がそれを補うことができる。また、インターネット接続が完全にダウンした場合でも、ネットワーク内のメッセージングやニュースのアラートなどを使った内部のコミュニケーションに利用することができる。

インターネットへの接続は、イーサネット、携帯電話モデム、複数のポイントなど、さまざまな場所を経由して行うことができる。イーサネットや携帯電話モデムのセットをネットワークに配置し、すべてのソースからの帯域を集約することができる。そのため、そのうち1つが故障しても他が補うことができる冗長なネットワークを構成することになる。このやり方が、別途接続を確保する分離したネットワークに比べて賢いのは、とても信頼性の高いネットワークを構成できることだ。例えばファイバーのインフラがすでに故障し始めているような古い街にファイバーネットワークを敷設する場合などにも使うことができる。また、ソースを集約できるこのようなネットワークを持つことで、通常は信頼できないようなソースでも、失敗しても大ごとにはならないので、信頼して使うことができる。このようにして、非常に弾力性のあるネットワークを作ることができるのだ。

すべてが計画どおりに動いている日常的な接続性はもちろん、ネットワークは災害時にも耐えられるものでなければならない。これは2年前に実証されることになった、当時ハリケーン・アイダによってニューオリンズの広大な範囲で接続性が失われた事象が発生したが、同社のネットワークはダウンタイムなしに継続したと主張されている。

もちろん、農村部や遠隔地でのインターネット接続にはさまざまな課題があるが、Mesh++のソリューションは、アクセスと平等の観点から課題に取り組んでいる点が印象的だ。Elon Musk(イーロン・マスク)氏のStarlink(スターリンク)に比べれば、こちらの方がより平等性が高いのは確かだが、同時にインターネットのゲートウェイとして宇宙とつなぐStarlinkと、農村部のインターネット接続のローカル配信のためのMesh++の組み合わせも容易に想像することができる。

Mesh++のCEOであるDanny Gardner(ダニー・ガードナー)氏は「世界中のどこでもギガビットのインターネット接続を提供できる企業はいくつもあります」と語り、Starlinkが実際良い組み合わせであることを示唆している。「そうなれば理想的なパートナーシップですね。そうした企業の多くが直面している課題は、理論上は衛星1基につき数百人の人々にサービスを提供することができるものの、ラストマイルのインターネット接続が課題となっているのです。彼らにとっては、どこへでも接続できる私たちのような技術とパートナーを組むことで、世界に残る30億人の人びとをつなぐことができるでしょう」。

Mesh++は、大手携帯電話事業者さえ凌駕することができると考えていて、LTEや5Gネットワークとの競争にもまったく臆することがない。

「いいですか、T-Mobile(Tモバイル)は6GHz以下の5G接続で米国の大半をカバーすると約束したのです。しかし実際には、4Gでも経済的に見合わないまだカバーが終わっていないとすれば、当然5Gでもそうはならないでしょう」とガードナー氏はいう。

同社は米国の数多くの都市にテストネットワークを構築している他、ナイロビにも5人の子会社を設立している。

「最初に会社を設立したときは、主にインターネットへのアクセスを必要としている新興市場を対象としていました」とガードナー氏はいう。「最初のころ、この問題が米国内でどれほど大きな問題であるかを認識していませんでした。しかし時間の経過とともに、私たちは自分の家の周辺の接続性の問題を解決することにシフトして行ったのです」。

Mesh++は、インパクトインベスターであるWorld Withinが主導する490万ドル(約5億6000万円)の資金調達を行い、新規投資家であるLateral Capital、Anorak Ventures、First Leaf Capital、既存投資家であるSOSV、GAN Ventures、TechNexus、Illinois Venturesが参加した。

「今回の資金調達は、過去数年間の純粋な研究開発主導型の会社から、より販売に注力し、より成熟した組織に変えるという、会社の大きな転換を意味します」とガードナー氏はいう。「資金調達により、お客様や販売店と提携して、できるだけ多くの人とつながり、製品を世に送り出すことができるようになりました」。

同社は、米国のすべての家庭をインターネット接続でカバーできるようにするという、大きな経済の流れに乗っている。特に米国では、ラストマイルネットワークに多くの資金が投入されており、ここ数年では800億ドル(約9兆1000億円)を超えている。しかしそれでもすべての家庭に光ファイバーを届けるには十分ではない。そうしたやりかたは経済的にも物流的にも、人口密度の高い地域でなければうまくいかないのだ。そこで、鍵を握るのはメッシュネットワークになるかもしれない。Mesh++は、同社の技術によって、1世帯あたり400ドル以上かかっていたインフラ設置コストを29ドル程度に削減できるとしている。節約されるのは、オンサイトに設置する必要のあるハードウェアのコストではなく、主に設置のしやすさによる人件費だ。

画像クレジット:Mesh++

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:sako)

物流ラストワンマイルのDX目指す207が5億円調達、サービスの機能追加や外部システムとの連携機能開発

物流ラストワンマイルのDXを目指す207が5億円のシリーズA調達、サービスの機能追加や外部システムとの連携機能開発

物流業界のラストワンマイルのDXを目指す207(ニーマルナナ)は10月6日、第三者割当増資による総額約5億円の資金調達を発表した。引受先は、環境エネルギー投資、Logistics Innovation Fund、Headline Asia、DG Daiwa Venturesの計4社。調達した資金により、サービスの機能追加や外部システムとの連携機能開発、さらなる事業拡大・サービス成長にむけた採用活動の強化を行う。シードラウンドを含めた累計調達額は約5億8000万円となった。

同社によると、調達した資金は具体的には以下にあてるという。

  • 物流・配送利用者向けに再配達問題を解決する「TODOCU」(トドク)において、配送状況のリアルタイム確認を実現する機能追加
  • 配達員向け配送効率化アプリ「TODOCUサポーター」では、集荷関連業務すべてを一元集約し業務効率化を実現する機能追加
  • 物流・配送事業者向けの配送管理システム「TODOCUクラウド」において、物流会社および荷主のシステムとのAPI連携機能を開発

今後は、配送事業者・配送員の配送効率化をより高めるサービスを提供し、物流のラストワンマイル市場ですべての配送員が利用するようなインフラサービスへの進化を目指すという。2022年には日本全体の配達員の50%、10万人が活用するサービスを目指し、物流業界の人材不足などの課題解決に寄与したいとしている。物流ラストワンマイルのDXを目指す207が5億円のシリーズA調達、サービスの機能追加や外部システムとの連携機能開発

現在、コロナ禍によって生活者の巣ごもり需要が高まり、特にEコマース分野において顕著な変化が出ており、2020年の宅配便の取扱個数は約48億個と、前年度と比較し約11.9%増加しているという(国土交通省「令和2年度宅配便取扱実績について」)。

その中で物流業界では、人材不足や新人教育コストの増加、再配達問題、属人的管理作業の慢性化などをはじめ、以下のような課題が顕在化しているそうだ。

・​ドライバーは配送中に電話を受けるため都度停車する必要がある
・ドライバーが配送中に電話を受けることで気が散り事故の原因につながる
・ドライバーの配送状況を逐一確認しなければならない

207は、これら課題を解決すべく「いつでもどこでもモノがトドク世界的な物流ネットワークを創る」をコーポレートミッションに掲げ、2019年9月よりTODOCU、2020年2月よりTODOCUサポーターの提供を開始した。2020年5月には、人々の空き時間を利用して荷物を配達するシェアリング型宅配サービス「スキマ便」、同年12月にはTODOCUクラウドも提供している。

これらにより「配送状況をリアルタイムで一元管理可能」「ドライバーに土地勘がなくても視覚的に届け先を把握でき業務を効率化できる」「ドライバーが効率のよいルートで配送網を回れる」などが可能なことから、サービスローンチから約2年の現在、物流・配送事業者の従業員も含め1万5000名以上の配送員が利用しているという。

名古屋大学発、物流AIスタートアップ「オプティマインド」のルート最適化システム「Loogia」を佐川急便が全国的に導入

名古屋大学発、物流AIスタートアップ「オプティマインド」のルート最適化システム「Loogia」を佐川急便が全国的に導入

「ラストワンマイル配送におけるルート最適化サービス」の開発と提供を行うオプティマインドは10月4日、ルート最適化サービス「Loogia」(ルージア)の佐川急便への導入を開始した。佐川急便が集配業務で仕様する情報端末と、リアルタイムで最適な集配手順の決定を行うLoogiaをAPI連携し、ドライバー業務の効率化を図る。

Loogiaは、オプティマインドが開発し運営しているラストワンマイルのルート最適化クラウドサービス。ラストワンマイルとは、物流においては、顧客の手に届けるまでの最後の配達段階のことを言う。このラストワンマイル固有の制約条件を加味したアルゴリズム、地図ネットワークの分析、加工、ビッグデータの学習モデル構築といった独自のノウハウを活かしたサービスとなっている。配送情報を入力すると、40以上の「現場制約」を考慮した最適ルートを計算する。GPSなどから実際の走行データを読み込むことで、精度の高いルートの算出が可能とのことだ。

佐川急便では、配送ドライバーは、出発前に集配先の位置から集配順序やルートを決めているが、今まではドライバーの勘と経験によるところが大きかった。そこをシステム化することで集配順とルートが自動計算される。また、再配送など集配状況が変化した際にも自動でルートが再計算されるため、新人ドライバーも熟練ドライバーも変わりなく、業務が効率化される。

オプティマインドと佐川急便は、2020年8月、14日間の実地検証を行った。時間指定のものも含めて80個の荷物を習熟度の異なるドライバーに配達させ、従来の方法と、Loogiaを使った方法とで比較したところ、Loogiaを使ったほうは、ベテラン、新人とも、ルート組み時間、配送業務時間、走行距離が短縮された。名古屋大学発、物流AIスタートアップ「オプティマインド」のルート最適化システム「Loogia」を佐川急便が全国的に導入

この結果を踏まえ、2020年11月から12月にかけて、全国500名のドライバーに試験導入を実施。すると、とくに新人や習熟度の低いドライバーに有効性が示され、そうした経験の浅いドライバーから継続利用の要望が強く寄せられたことから、全国導入が決まった。

さらにこの試験導入により、Loogiaをドライバー端末に搭載する際の操作性や、配送業務におけるドライバーノウハウのアルゴリズム化といった課題が顕在化した。今後も、課題解決に向けた検討を続けてゆくという。

30分以内にiPhoneをお届け?ハイエンドブランド製品を宅配するドイツのArive

ヨーロッパと米国では、15分以内に食料品が配達されることが普通になりつつあり、この産業はスタートアップの巨大な戦場と化している。このためヨーロッパと米国でのスタートアップは、10分または20分以内の食料品配達のために、前四半期だけで31億ドル(約3409億円)以上を調達した。しかし、そうしてみなが争っているのは平均注文価格がかなり低い市場なのだ。だが、もしそれが数百ドル(数万円)単位のもので、しかも冷蔵を必要としなかった場合はどうなるだろう?

その場合、ハイエンドの消費財がラストワンマイルで配達されることになるため、これはおそらく消費者にとって最新の「15〜30分間を争う戦場」になるだろう。

この分野に登場した新顔がドイツのスタートアップのArive(アライブ)だ。Ariveはハイエンドの消費者ブランドを30分以内に配達する。今回、468 Capital、La Famiglia VC、Balderton Capitalから600万ユーロ(約7億8000万円)のシード資金を調達した。

有名なブランドを在庫に持ち、ラストワンマイルの配送を工夫することで、Ariveはフィットネス製品、化粧品、パーソナルケア、家庭用品、ハイテク製品、ファッションを提供する。消費者はアプリを介して注文を行い、配達は自転車のみを使って30分以内に行われる。

こうしたスタイルが今までなかったわけではない。パンデミックにより、私たちの多くが自宅で仕事や遊びをするようになって、都市の中心部の交通量は、新型コロナ以前のレベルをまだ下回っている。

Ariveは、ブランドと直接提携してオンデマンド配達用の製品を提供し、スピードと利便性を求める新しいタイプの顧客に新しい流通チャネルを提供すると述べている。

Ariveは現在ミュンヘンで利用可能であり、つい最近ベルリン、フランクフルト、ハンブルクでもローンチされた。30分の配達保証は、食料品業者ほど多数のマイクロフルフィルメントセンターを必要としないことを意味し、インフラストラクチャのコストを低く抑えるのに役立つ。

Ariveの共同創業者であるMaximilian Reeker(マクシミリアン・リーカー)氏は、次のように述べている「超高速食料品配達の分野は、徐々に競争が激しくなっていますが、私たちが愛してやまないブランドは、いまだに3日間配送スキームから抜け出せずにいることがわかりました。現代の時間のない消費者にとって、これは長すぎます」。

468Capitalの投資家であるBardo Droege(バルド・ドローゲー)氏は、次のようにコメントしている。「都市はダイナミックで動きの速い場所です。そこに住む人々は自分たちのライフスタイルを反映したツールやサービスを求めています。だからこそ、15分で届く食料品というカテゴリーが急速に普及したのはそれが理由です。Ariveのチームもこの流れに乗ることができると確信しています」。

画像クレジット:Arive

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(文: Mike Butcher、翻訳:sako)