サブスクなど各種サービスの解約時に抑止・分析を行うチャットボットSmashが8016万円調達、解約抑止率向上を目指す

サブスクリプションサービスなどからの解約を抑止するリテンションボット(解約抑止・分析チャットボット)「Smash」を開発・提供するSmashは1月11日、第三者割当増資による8016万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は博報堂DYベンチャーズ、i-nest capitalの運営するファンド。調達した資金を元に、Smashのさらなる研究・開発を進め、解約抑止率の向上とロイヤルティ強化の実現を加速する。

サブスクリプションサービスや定期通販などでは、ユーザーがサービスへの加入や購入を手軽に行える反面「解約」も気軽に行いやすいという。これにより、企業にとっては解約をいかに抑止しLTV(顧客生涯価値)を高めていくかが課題として挙がっている。

同社のSmashは、各種サービスの解約というタッチポイントでユーザーとコミュニケーションを図り、解約の抑止や分析を行うAIチャットボットによるソリューション。「リアルタイムで空気を読むことによって、デジタルの枠を超え、より人間に近いコミュニケーションを実現」しているという。

2021年3月設立のSmashは、データを活用したマーケティング分析サービスを提供するスタートアップ。サブスクや定期通販の解約から企業の課題を見つけ出し、企業の強みに変えることで、ユーザーのロイヤルティ強化実現を目指している。

 

ユーザーの4人に1人は、アプリの利用1回で離脱している

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AppleのiTunes App Storeには150万以上のアプリがあり、Google Playには200万以上のアプリがある。だが、実際にコンシューマーの端末にインストールされるアプリの数はほんの一握りだ。ユーザーが日常的に使っているサードパーティーアプリは少数であることも分かってきた。モバイルアプリの利用に関する新しい調査結果によると、4人に1人のモバイルユーザーはたった1回しかアプリを使用せずに離脱していることが分かった。

アナリティクス企業Localyticsと彼らのユーザーベースにある3万7000個のアプリのデータから、2015年に34%だったユーザーのリテンション率は、2016年には38%となり、少し上昇したことを示している。

しかし、数値が回復したからといって、この数値が良いということではない。むしろ、この数値が意味するところは62%のユーザーは11回未満しかアプリを使用していなかったということを示している。

レポートは「これは持続可能なビジネスモデルではない」としている。

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最近の調査結果で、23%のユーザーはアプリを1回しかローンチしていないことが分かった。昨年よりは改善しているが、ほんの少しだ。比較のために記すと、2014年時のアプリを1回で離脱するユーザーは20%だった。

iOSではユーザーリテンションが少し改善した。1回しかアプリを使用しなかったユーザーの割合は昨年の26%から24%に下がり、11回以上アプリを使用する割合は2015年の32%から36%に上昇した。

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特に、成長の途中段階にあるアプリ(月間アクティブユーザーが1万5000人から5万人まで)はリテンションと離脱に最も大きな改善が見られたと調査レポートは示している。これは、アプリのプッシュ通知、アプリ内メッセージ、メール、リマーケティングの活用による結果だ。プッシュ通知はこれまでもユーザーを保持する施策として挙げられてきたが、アプリ内メッセージにも注目に値する影響があった。これらのメッセージはユーザーのリテンションを46%改善すると調査は報告している。

アプリ内メッセージをユーザーが見ても17%は1回しかアプリを使わずに離脱するが、アプリ内メッセージ機能のないアプリは1セッション使った後、ユーザーの26%が離脱する。

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マイナーな改善は見られたものの、総じてみればこのデータはアプリ開発者にとって悩みの種となるような内容だ。このレポートは、ここのところ続いたアプリ・エコノミーの弱点を示す報道にだめ押しする。人気のあったアプリ開発企業のPixiteが停滞するまでの詳細な記事では、彼らの収益が昨年、3分の1にまで落ち込んだという。他にもユーザーのアプリ発見、ディスク容量の不足、インストールプロセスに関し、 アプリ・エコノミーは壊れているという詳細な分析記事も出ている。

さらに投資家さえもアプリ企業から遠ざかっている。Union Square VenturesのFred Wilsonは、 昨年終盤に「コンシューマー向けサービスのモバイル企業を作るのは難しい時期にある。それらの企業に投資するのもまた難しい時期だ」と書いた。

良いニュースがあるとするなら、それはアプリの問題点が判明したことで、アプリがどのように機能すべきかということに関して新しいアイディアが登場していることだ。

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例えばGoogleは、 今月のI/Oイベントで発表した「Instant Apps」のデビューで、アプリのインストールプロセスを丸ごと刷新することを計画している。ユーザーがアプリを探し、ダウンロードやインストールするのではなく、Instant AppsではユーザーはURLをクリックするだけでほぼ瞬時にアプリをローンチすることができるようになるという。

しかし、Googleはスマートフォンのエコシステムの二大勢力の一方に過ぎない。Appleも同様に新しいアプローチを検討しなければ、開発者がAppleのプラットフォームで開発することへの意欲を失ってしまうことになるかもしれない(Appleはこの課題に対し、開発者向けに新しいガイドやハウツーをリリースしたり、ヨーロッパインドにアプリ開発センターをローンチすることで対処しようとしている)。

アプリの減速の影響はすでに出ているという話も出てきた。 別の最近レポートでは、開発者はApple WatchやtvOSのためにアプリを開発することにさほど関心を持っていないと示す。リリースするiOSアプリ1000個ごとに、tvOSのリリース数は10個、Watchアプリは1個に留まる。

もちろん、この数字はWatchとApple TVのプラットフォームのリーチにも比例するだろう。しかし、App Storeの初期にあったゴールドラッシュは姿を消し、アプリで利益を稼ぐのが難しくなっている。また、ロイヤルユーザーを獲得するコストも上がっている。2014年には1.50ドルから2.25ドルだった獲得コストは昨年2.50ドルに上昇し、時には4.00ドルにもなることがあった。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter