大規模Webサイトの内部リンク最適化のための11個のポイント

あくまで一般論ではありますが、Webサイトの規模が大きくなればなるほど、SEOの難易度も増加していくものです。

いわゆるデータベース系のサイトでは、アーキテクチャやユーザビリティ、クロールとインデックスなど、見るべき項目は多岐にわたります。

テクニカルな領域の難易度が高くなる状況ではありますが、その分、基本的なことを見落としてしまうこともあるかと思います。

その中でも、「内部リンクの最適化」に焦点をあてた、Search Engine Journalの記事を紹介いたします。

大規模なWebサイトの場合、内部リンクの構築には特別な注意を払うべきだ。

この記事では、内部リンクの最適化のためのシンプルなチェックリストとどこから始めるべきかを紹介しよう。

大規模なWebサイトにおける内部リンクは、その価値に見合うほど、愛され、注目され、最適化されているわけではない。

内部リンクは、Webサイトの権威性と検索結果での上位表示に役立つという確固たる評判がある。また、大規模WebサイトのSEO担当者が効率的かつ大規模に、ユーザー、クローラー、リンク効果を自由に動かすことができる、数少ないリンクベースのリソースでもある。

(内部リンクの「なぜ?」については、こちらの記事によく書かれている。)

優れた大規模Webサイトとは何か?内部リンクの最適化が徹底されており、Googleが新しいコンテンツを発見しやすく、素早くインデックスできるWebサイトと言えるだろう。

この記事では、大規模Webサイトにおける内部リンク構築と最適化をどこから始めればよいのか、無視してもよいものは何か、そして、コンテンツ公開時における注意点は何か、といった疑問にお答えする。

パンくずリストを忘れべからず

パンくずリストは、カテゴリ間や様々なセクション間でコンテンツを結びつけることに役立つが、あまり実施されておらず、多くの場合見過ごされがちな、リンクを自然に設置できる簡単な場所である。

加えて、自動化も可能であり、ユーザーが「戻る」ボタンを押すことなく、簡単に回遊する手助けにもなる。

理想的には、中間に位置する「パンくず」は、中規模な価値を持つページであることだ。具体例を挙げると下記となる。

Home>サブカテゴリー>製品

主要なカテゴリーページやメインとなる製品ページには自然とリンクや注目が集まる。これを活かしつつ、機能性を維持しながら、中規模な価値を持つページに広げていこう。

内部リンクの修正

簡単な整理が最適化にとって有効である。

多くのWebサイトが、壊れたリンクを修正する前に、新しいリンクの構築を検討してしまう。

壊れたリンクは、その役割を果たすことができていない。

管理する対象を広げる前に、既存のリンクを監査し、修正箇所を特定しよう。

大量のコンテンツを持つWebサイトや季節性のある製品を扱うWebサイトの場合、四半期ごとにこうした監査を行うことで、手に負えなくなる前に管理することができるだろう。

リダイレクトチェーンの特定と修正

リダイレクトチェーンは、良く設計されたWebサイトにも起こるモノであり、特に、大量の製品を扱っているWebサイトに顕著である。

ある製品の在庫が切れた場合、その代替の商品にリダイレクトを設置する。

そしてこのサイクルが繰り返され、最終的には10個の製品のリダイレクトチェーンとなってしまう。

手っ取り早い修正方法は、主要なカテゴリページにリダイレクトを設置することだが、不便となる場合もある。

在庫がある関連製品のページへとリダイレクトすると簡単ではあるが、メンテナンスが必要である。

リンクを整理し、可視化できるマップを作成する

複数のリンクカテゴリーを可視化するための簡単な方法は、紙に書いて整理することだ(もしくは、テキストをGoogle Sheetに書き出してもよい)。

整理したマップに主要な内部リンクのカテゴリーを記載することで、Webサイトのリンクツリーの実情を把握することができる資料となる。

また、このマップを作成することで、孤立したページを特定することや、内部リンクが不足している(もしくは、過度に設置されている)ページを把握することができる(Search Consoleには内部リンクのレポート機能がある)。

クリックの深さを修正する

これは非常にわかりやすい課題であるが、見過ごされがちな課題でもある。

特に、ニッチな商品を扱う大規模なWebサイトでよくある課題だ。

特定の商品ページにたどり着くまでに多くのクリックを要する場合は、その道のりを短縮できる方法を検討する価値があるだろう。

一般的には3クリック以内といわれているが、Webサイト内の全てのページが同じように関連しているわけではないため、やや不明瞭な指標となっている。

トップページから3クリック以内、というのは良い指標ではあるが、5クリックを必要とするページは必ず圏外になる、というわけではない。

明確なユーザージャーニーがあり、ビジネスにとって主要なページ(製品トップ、カテゴリートップ、リクエストの多いページ、など)へ簡単にアクセスできる状況にしよう。

そこから、クリック数を減らしていくのだ。

ナビゲーショナルディフェンス

時折、SEO担当者は課題解決のために過剰なエンジニアリングを行い、その結果、不用意な別の課題を作り出してしまうことがある。

最も強力で広範囲なリンクの設置場所(ヘッダー、フッター、メインナビゲーション、サブナビゲーション)は、ビジネスにおける最も価値のあるページのために活用しよう。

検索は重要であるが、ユーザービリティやカスタマージャーニーも同様に重要である。

ユーザーやビジネスにとっての価値が明確でない限り、これらの領域にリンクを設置する衝動に駆られないようにしよう。

一般的には、重要なエントリー、コンバージョン、情報ページなどがこの領域に適しており、すぐにインデックスさせたい新しいコンテンツは適していない。

備考:強力なリンクは魅力的ではあるが、リンクのためにコンバージョンに至る道のりを不明瞭にすべきではない。

リンク数を半分にし、権威性を2倍にする

これは必ずしも一般的な内容ではないが、まずは内容を見て欲しい。

何百ものリンクをページに設置してしまうと、PageRankを伝える能力や効率的にユーザーを遷移させる能力が奪われてしまう。

少なくとも、クリック過多によりユーザーを失ってしまうだろう。

さらに、各リンクから奪われるPageRankが多ければ多いほど、最終的に伝わるPageRankは少なくなってしまう。

これについては、「PageRankについての簡単な解説」という記事を参照して欲しい。

こうした場面で検討すべき項目を挙げていこう。

それらのリンクは必要なリンクであるか?理想的なユーザー行動に余計なアクションを追加していないか?ユーザーを混乱させていないか?ビジネスにとっての目的を果たしているか?

Webサイトやユーザーのためにならないリンクは削除しよう。

コンテンツ公開におけるチェックリスト

優れたコンテンツが詳細な情報に埋もれてしまうことはよくある。

下記の重要な項目に取り組み、基本的な作業が完了しており、後から何時間もかけて修正する必要がないようにしよう。

・新規ページのキーワードにあわせ、キーワードのデータをベンチマークしておく
・本文内に関連する内部リンクを設置する
・リンクマップを更新する
・アンカーテキストの最適化を行う(「続きを読む」、「ここをクリック」、「予約する」などは使用しない)

内部リンク構築の自動化

何千、何十万のページにリンクを設置することは簡単な作業ではない。

「10万本のリンクを手作業で設置したいんだ!」と考える人はいないだろう。

内部リンクの生成プロセスは、可能な限り自動化ができることが望ましい。

CMSの機能を使用し自動に内部リンクを組み込もうが、カスタムスクリプトで関連するカテゴリーのコンテンツに内部リンクを設置しようが、いずれにしても、内部リンクの設置を拡大化させることが重要だ。

手動のサイトマップが未だに存在していることは、ただただ驚くばかりである。

自動化を見据えて作成されていない古いWebサイトを引き継いだ場合、常に新鮮な状態を保つため、自動化を採用することは当然のことである。

内部リンクの自動化に適した一般的な箇所は、パンくずリスト(上記参照)、関連カテゴリーや製品の提案、「次に読む」の記事の提案、などである。

コンテンツ公開時にリンクを指定する

新しいコンテンツは、関連性のある重要なページからリンクが張られている必要がある。

カテゴリーページであれ、関連ブログであれ、関連する価値の高いキーワードでランキングされているページであれ、内部リンクを設置されていない状態で公開すべきではない。

これらは、(SEOや企業によるコンテンツ作成が本格化する前の)ブログ記事、PRは行われているがSEOが行われていない新発売の製品ページなどによく見られる。

おまけ:他部門による協力

正直に申し上げると、これには多くの会話が必要となる。

しかし、リンクの最適化についてのコミュニケーションを図ることや社内での啓蒙活動は、選択肢を広げ、施策の効果を活かすために非常に役にたつ。

良かれと思い行った施策が、他部署のおかげで台無しになってしまうことはよくある。

規模の大きい施策に取り組む場合、賛同を得ること、技術的な変更点を伝えることを、製品に影響が出る前に行うことが必要である。

まとめ

内部リンクはSEOの重要な手段である。

しかし、その効果は、適切に一貫して活用された場合に限る。

大規模Webサイトの場合、その規模に適した管理方法を見つけることが何よりも重要だ。

定期的なメンテナンスと考え抜かれた自動化により、自社のコンテンツを最大限活用する戦略を構築することが可能となる。

管理するページが多くなればなるほど、内部リンクの管理も難しくなりがちです。

記事中にもありましたが、新しく内部リンクを設置する箇所に意識が向きがちですが、壊れたリンクの修正や、それを可能にする管理体制なども事前に強化していきたいものです。

内部リンクの最適化は注力していきたい領域ですが、増やせば増やすほど効果が高まるものでもないため、最適なバランスを見つけられればと思います。


この記事は、Search Engine Journal に掲載された「11-Point SEO Checklist for Enterprise Internal Link Optimization」を翻訳した内容です。



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2015年、確実に成果を出すためのSEOの方程式

土居です。この記事では僕がSEOに携わるときにほぼ例外なく考えているイメージを可視化してお伝えします(脳内整理も兼ねて)。初心者の方は全体観を把握するために、実務者の方は思考の整理に、それぞれ一助になれば幸いです。

URL正規化の方法、、の前に考えるべきこと

主に制作とか開発の仕事をされている方と話していて、URL正規化についての考え方、についてちょっと違うんじゃないのと思うことがあるので書きます。すごく基本的なことなのですが、あまり話題として触れられていないように思ったので。

URLの正規化とは何ぞ、という方にまず解説

検索すればそういう記事はとてもたくさん出てきますが、サッパリでピンと来ませんという人のために、かなり粗いんですけど例えを入れておきますね。まずはイメージから。

例えばSalesforceみたいな基幹システムを色んな人が好き勝手触ってると、いつの間にかどんどんデータが乱れてくることってありますよね。その中でも結構やっかいなのがこういうデータの重複登録問題。

電話番号違い、社名表記違いなどで同じ企業データが重複判定されずに複数存在してしまっている状態

例えばですが、こういう感じですね。こうなってしまうと企業データを検索して新しいデータ入力しようとしたりするときに無駄な確認とか処理が発生しますよね。もちろんトラブルの原因にもなるのでこれはよろしくないです。

で、こういう風に「複数存在してしまっているけど実質同じものはひとつにまとめた方が良いよね」というのがいわゆるSEOの正規化のイメージです。

(補足)
もともと正規化って「”名寄せ”みたいな感じ」って言ったほうが近いものがあるかもしれませんが、SEOの話題としては必ずしも名寄せとは感覚が同じでない場合とかもあるのでそういうことにしておきます。

どっちにしても「1つであるべきデータがバラバラになっていたら管理とか処理にあたって色々不都合ありますよね」ということだと思っていて下さい。

SEOでいうところの正規化について

SEOでいうところの正規化のイメージは、「複数の異なるURLに同じコンテンツが存在する場合、どのURLを検索エンジンが評価すれば良いのかを1つ定めてそこに評価をまとめる」ということです。

実質的に同じコンテンツが、異なる複数のURLで閲覧できてしまう状態から、正規化処理を行いひとつの代表的なURLを指定しそこに評価を統一する

検索エンジンも、同じコンテンツなのに別々のURLでそれが返されてしまうと、「どれを見ればいいんだろ?」ということになって正しい処理が行われなかったり、少なくとも無駄な処理をさせることにはなってしまうわけですね。

規模や内容によりますが、あまりにこうした問題がサイト全体で好き勝手に発生しまくっているという状況はSEO上かなりネガティブになり得ることですので、きちんと整備しておくことに越したことはありません。

さてようやく本題です。

まず最初に考えるべきは「重複させないための仕組み」

冒頭の例に戻りますが、ああいう形での重複データがあると、検索して最新状況確認する際に色んなとこに情報が散らばってたりしていて、「誰だよこっち書いた奴、こっちにまとめろよ」みたいなことになるわけですね。

この状態は間違いなく色々不便かつ正しくない状態なので、避けるべきことです。

1つ2つあるだけならまだしも、これが数百とかに渡って大量の重複データがシステム内に存在する、あちこちに情報が散乱してまとまってない、みたいな状態になっていたらもうカオスですよね。

で、この時にその部署の管理者が真っ先に考えるべきことって、「重複が原因で顧客データに不備があってで何かトラブルが発生したときの対応策」とか「重複データをどのデータにまとめるかのルール」ではなくて「重複データが発生しないための仕組み」ですよね。

予めシステム側で上手く照合されるように良い塩梅の条件決めておくとか、オペレーター側での指導や管理の徹底だったりとか、そういうことで問題が起こらないように仕組みを作っておくわけです。

最近LINEマンガでROOKIESを久々に読んだのですが、

「あらかじめ打球を予測していとも簡単に捕る。それが本当のファインプレーだ」

と池辺教頭もおっしゃっていまして、それと同じ理屈です。

コンテンツに対してURLが一意であることが理想

SEOに話を戻します。前の話をURL正規化の話に無理やり帰着させて、「URLがばらけるから正規化しよう」ではなくて「URLがばらけないように作ろう」が先にあるべきだ、という話ですね。

テクニカルに「こうすればいいんです!」みたいな応急処置を積み重ねていくと、後々どこでどんな処理をしていたかとか分からなくなったりリニューアルの際に抜け漏れが発生したり、あまり良いことはありません。

もちろん、www.とか拡張子とか「/」有無とかutm系のパラメータとかそういう当たり前に発生するものはいつも通りの転送やcanonicalなどで正規化処理をする必要がありますので(今回は解説割愛)、そういうもの以外での不要な正規化処理を避けようとすることが大事ということです。

分かりやすい例で言えばクロスカテゴリ(財布(アイテム)×シャネル(ブランド)みたいにあるカテゴリと別のカテゴリとの掛け合わせ)が発生するようなサイトでこういう形を稀に見ます。

経路によって、クロスカテゴリのページや商品のページのURLが変化してしまっている例 実質的に同じコンテンツが複数存在するのが当たり前の仕様なのでこれはよろしくない

こういう仕様でガッチリとシステムを固めてしまうとあまり簡単にはいじれなくなりますので無理やりcanonicalで対応するような処理をする必要が出てきます。

この場合は、複数の可能性が考えられる経路やカテゴリに、クロスカテゴリのURLや商品ページのURLが依存してしまってるのが問題ですね。

ディレクトリの従属関係を予め決めておく、商品ページはカテゴリから独立したディレクトリ配下のURLにする、などの考慮があると一意のURLが定まる

これは一例ですが、このように商品のURLはカテゴリや経路に依存しない仕様にしておかないと、というような配慮があれば正規化処理などここではもともと考える必要もなかったわけです。

よほど大規模だったり複雑なサイトでなければ、最初にURLについて考えておけば大抵の問題は回避できるんじゃないかなと思います。それなのに「URLもちゃんと考えておかないと」って考えて設計しようとしている方って意外に少ない気がします。

あるコンテンツに対してURLは一意、が基本

「ひとつのコンテンツに対してURLがひとつ」であるべきで、余計な正規化処理をしなくてよいURLの設計を心がけてみてください。

SEOってサイトとかページとかではなく本質的にはURL単位でクロールされ、URL単位でインデックスに格納され、URL単位で評価が付きます。そういう意味ではURL設計を考慮することは基本的なSEOのひとつです。

仕事柄、色んなエンジニアの方と話す機会ありますが、「URLをどう吐きだすかとか深く考えたことなかったッスねー」という感じの人は (受託開発してるとかメディア運営してるとか関わらず)多かったりします。

特に幅広いコンテンツを扱うとか大量のコンテンツを扱う、とかの場合、このあたりのURLの考慮の有無によって後々余分な処理をするための工期が削減できる、改修や拡張が入った時にも変更が少なくて済む、変更が少なくて済むということは実装ミスによる検索トラフィック損失などのリスクが減らせる、というわけです。

補足:検索エンジンが進化しても機械への配慮はしておく

「Googleも上手く対処できるようになってるから細かいことはあんまり気にしなくていいよ」とはGoogleがよく言っていることで、確かにそうなってきています。しかしここは受け手としては「検索エンジンの技術に合わせることに躍起になってコストかけなくていいよ(Googleが頑張るからさ)」と捉えたいところ。

サイトを作る方は、「それでもサイトを制作する時には(検索エンジンに限らず)機械への配慮を怠らない」と考えるべきと思います。SEOに限って言えば、そうすることで防げる損失がかなり大きい場合も珍しくありません。

ということで、この記事を読んで「へぇそういうこともあるのか」と感じた方は、是非参考にしてみてください。

ヴォラーレ株式会社 土居

SEOで本当によく見る”もったいない”内部リンク設計

SEOといえばコンテンツや外部リンクの話はしょっちゅう出てくるものの、内部リンクをどう作るかみたいな話はあまり出てこないな、という気がしています。今回は実はとても大切な内部リンクの、よくありがちなミスとその対策について見ていきたいと思います。

内部リンクの作り方は大事なのにあまり話題にならない

最近良く、SEOでリンク買うのはダメ→良いコンテンツを作ればいいんだ!という論調の記事を見かけることがありますが、ただコンテンツを充実させればいいというわけではありません。

もし良いコンテンツがあって多くのリンクを集めていたとしても、それを検索エンジンが正しく評価できる設計でサイトが作られていなければ、十分にSEOの効果が発揮されない場合も多くあります。

逆にいえば、ある程度の地盤となるコンテンツやリンクといったSEOの資産があれば、テクニカルな改善によってパフォーマンスは大きく向上します。

その重要な技術のひとつが内部リンクの構築方法です。ユーザーにとって内部リンクはページからページヘ快適に移動するための手段でありナビゲーションですが、SEOの観点からすると

  • クローラーがサイト内を巡回するための経路
  • サイトの構造やページ毎の意味情報を伝える手段

などの役割を果たします。

検索エンジンはページ内にあるリンクのURLを読み取ってクロール対象を決定します。また、内部リンクも外部リンクと同様、より多くのリンクが集まっているページが評価される仕組みになっています。

サイト内で適切にリンクの受け渡しを行い、重要なページに評価を集めるという施策を行うのは基本なのですが、意外とこのあたりのことをしっかり考えて作られているサイトはそこまで多くないように思います。

この記事では、内部リンクに関して良くみられる、適切とは言えない実装について解説します。

SEOでよく見る”もったいない”内部リンクの事例

現場でよくあるケースとしてはこういうのでしょうか。

  • 重要なコンテンツがクロールされにくくなっている
  • 検索結果に表示させる必要のないページが大量にインデックス対象になっている
  • 重要なページにリンクが集められていない
  • アンカーテキストにキーワードが含まれない
  • 正規のURLにリンクされていない

以下、順番に見て行きます。

重要なコンテンツがクロールされにくくなっている

例えば、求人検索や物件検索、ホテルの予約などを行うサイトでよくありがちなのがこのパターンです。

検索エンジンは、HTML上にURLが記載され、aタグでリンクされているものはクロールの対象としてページランクを受け渡しますが、Javascriptで構築されたリンクやフォーム形式で取得するコンテンツを必ずしも正しく処理できるとは限りません。

トップページにフォームがポンとおいてあり、ユーザーはそこから目的のページを探せるけれど、静的なリンク(aタグで記述されたリンク)が設置されていないがために検索エンジンはその先のページを上手く把握できないようになっているサイトが多くあります。

※静的なリンクはないけどユーザーはコンテンツを見つけられる形式の例
検索ボタンを押せば検索できるが、クローラーがその先のコンテンツを取得できないためコンテンツが発見できない。

Javascriptやフォーム形式が悪いということではなく、それだけでは検索エンジン最適化としては不十分ということです。検索流入口としたい(orなり得る)ページを正しくクロール・インデックスしてもらうには、タグでのリンクをきちんと設置する必要があります。

※検索エンジンもユーザーもコンテンツを見つけられる形式の例
重要なページにはaタグでリンクすることで検索エンジンがこの先の内容を見つけることが出来る

※Javascriptやフォームのような形式であってもクローラーがユーザーに近しい動きをし、情報を取得するようにはなっていますが、それは「可能である」ということであって「何も問題がない」ということでは決してありません。この辺りは勘違いされている方が多いポイントですのでご注意ください。

検索結果に表示させる必要のないページが大量にインデックス対象になっている

サイト内のリンクを重要度の低いページにばかり流してしまっている、そもそも必要の無いページをクロールさせたりインデックスさせる要因になってしまっているという課題です。

様々パターンはあるのですが、制作担当者が良かれと思ってやっているのが裏目に出てしまっている例としてよく見るのが、インデックス数を増やすために細かくカテゴリを分けすぎている、などです。

例えば、検索できる求人ページが500あったとして、それを見つけるのに5000個のカテゴリはいらないわけですよね。一概には言えませんが、かなり細かく分けても数百もあれば検索条件としては十分なはずです(それで賄えないものはフリーワードなり他の探し方で補うなどが出来るはず)。

かつては、「インデックスされているページが多いほどSEOには良い」という理屈が実際に成り立ってしまっていた側面があり、その名残でとにかくページを増やすためだけに不要な(中身もなく、検索されることもないし、ユーザーも使用しないような)カテゴリを機械的に作りまくっている、というサイトを見かけます。

“コンテンツの品質”が評価として重要度を増して以降、こうしたほぼ存在意義を持たないページが量産されているようなサイトは検索結果で露出されにくくなっており、インデックスを整理するという意味でも内部リンクのコントロールは重要になっています。

重要なページにリンクを集められていない

先のパターンと表裏一体ではありますが、今度は上位表示されるべきページに対してリンクが集められていないというパターンです。

例えば、パンくずリストひとつを取り上げてみても、末端の詳細ページからいきなりトップページに戻ってしまっていて、SEOにとって重要な中間のカテゴリページにリンクが渡っていないというサイトはよくありますね。

パンくずリストはサイトの構造を検索エンジンが理解するためにシグナルとして使われる要素でもありますので、単に上位ページに戻れるという仕組みだけではなく、サイトの構造やコンテンツの従属関係を正しく伝えられなければなりません。

重要な中間ページにリンクが返せるように設計するのが良く、「案件詳細」とか「検索結果一覧」みたいな適当なリストにしないこと

パンくずリストに限らず、図の良くない例のように重要なページに下位ページからリンクが返されていない場合、複合キーワードとしてヒットしてほしいい重要なキーワードでの評価を高められないため、露出の可能性が大きく下がってしまいます。

ここでも、サイト設計の段階でSEOを考慮しなければ修正がなかなか大変な場合も多いです。

アンカーテキストにキーワードが含まれない

アンカーテキストのキーワードマッチという点で言えばSEO上の重要度は以前よりも下がっているとは言え、特に理由がなければアンカーテキストは極力リンク先のページが何のページかが分かるように記述するべきです。

画像でリンクする場合にはalt属性に代替テキストを記述しなければなりませんが、その場合「画像を外してページを見た場合にどういうテキストでリンクされているか」を考えて代替テキストを作ります。

正規のURLにリンクされていない

www.の有無や拡張子(index.html)やスラッシュ有無など基本的な正規化処理は行われているのに、そのページに対するリンクは正規URLに向けられていないというケースもよく遭遇します。

余計なリダイレクトを挟むことはユーザーにも負担をかけSEO上もプラスにはなりませんので、面倒でもリンク先URLは書き換えておくべきです。

まとめ

以上、SEO実務上よく出会う不適切な内部リンクのパターンをピックアップしてみました。どれも基礎的なお話でしかありませんが、こんなの全て完璧にできているよ、というサイトのほうが少ないのではないでしょうか。

こういったものは、必ずしも技術的に難易度が高いというものではなく、「知っていればそうしていたけど、特に気にしてなかったからそうしなかった」という理由で不適切な実装をされているケースが大半だと認識していますので、それは単純にもったいないですよね。MOTTAINAI。

MOTTAINAI  モッタイナイは、世界中のアイコトバ。

とはいえ、規模が大きくなりサイトが複雑になればなるほど面倒なことが多いですし、どのページをインデックス対象にするか、どの部分を重要なページとみなしリンクを配分するかなどはサイトによって大きく変わってきますし、一概に「正解」を定義することはできません。

こういったところの微妙なニュアンスなどもセミナー等でコミュニケーションする中で知ってもらおうというような活動もやってます。こういうノウハウ系の記事もちょこちょこと更新していけるよう頑張っていきますので、引き続きよろしくお願いします。

ヴォラーレ株式会社 實川 節朗

WordPressって何?という人が読んでも5分で何となく分かる記事

今回はこのブログでもお世話になっているWordPressについて解説します。WordPressって何?という人向けの記事です。

WordPressとは?

WordPressはCMS(Contents Management System)というものの1種です。直訳で「コンテンツ管理システム」です。

通常、Webサイトを作成・公開するためにはHTMLやCSSの知識が必須ですが、WordPressに代表されるCMSを利用すればそのような専門知識などをもっていなくとも文章や画像といったコンテンツさえ準備する事が出来ればWebサイトを作成・公開する事が出来ます。Webの専門知識がない人でもブログなどでWebに記事を公開できるのは、そういう仕組みがあるからですね。

しかし一口にCMSといってもめちゃめちゃ幅広いものです( Google検索「CMS 種類」 )。

そのたくさんあるCMSの中でも特に多くのシェアをもっているのがWordPressなんです。

WordPressが使われる理由

WordPressには他のCMSと比較して以下のような特徴を持っています。

情報が豊富

ユーザが多いので情報が豊富です。WordPressに関する書籍は数え切れないくらい出ていますし、何か困った事が起きてもGoogle検索で大体の事が解決できます。

Webサイトの基本的な構造が作りやすい

トップページが有り、カテゴリページが有り、タグページが有り・・と言った基本的なWebサイトの構造をHTMLをいっさい触らずに作る事ができます。

プラグインが豊富

プラグインというのはWordPressに追加機能を簡単に付与させる事ができる仕組みです。サイトの表示を高速化するものや、サイトのバックアップを助けてくれるものなどたくさんのプラグインが有ります。「こんな機能があったらいいのにな・・・」と思う機能はだいたいプラグインを探せば有ります。

テーマが豊富

テーマはWebサイトの着せ替え機能みたいなものです。記事や画像、カテゴリやタグなどの情報はそのままに、サイトの見た目部分を変更する事が出来ます。

WordPressはテーマを作成して公開、利用する仕組みがよく整えられていて、世界中のデザイナー、デベロッパーが作成した様々なテーマが無料で公開されています(有料のものもあります)。ユーザはそれらを自由に利用する事ができ、自分でテーマを作成して使用する事もできます。

つまるところ、WordPressが多くのシェアを獲得している理由としては、

  • 数あるCMSの中でもすごくポピュラーで情報がたくさんある事
  • HTML、CSSなどの詳しい知識が無くても大丈夫なお手軽さ
  • プラグインやテーマなどが自由に使える拡張性の高さ

というところかなと思います。

WordPressの仕組み

さてここからは、WordPressというCMSが、どのような(技術的な)仕組みで動いているのか?管理画面から投稿した記事や画像が、どのようにWebサイトとして反映されているのか?ということにも触れていきたいと思います。

WordPressのサイトにアクセスしてサイトが表示されるまでの流れ

WordPressでは、ユーザが投稿した記事やそれに対するコメントなどが直接HTMLのファイルを生成する訳ではありません。

WordPressは「PHP」というプログラミング言語で構築されており、コンテンツの管理には「MySQL」というデータベースを利用して、CMSとしての機能を実現しています。

WordPressで作成されたWebサイトにアクセスした時、ブラウザあるいはブラウザの向こう側で一体どういう事が起きているのでしょうか。サイトが表示されるまでのざっくりとした流れは次の通りです。

1. ブラウザはサイトに見たいページの情報を送ります。
2. サーバサイトにアクセスがあるとPHPが動作し、MySQLから記事やコメントなどのデータを取り出してHTMLを生成、送信します。
3. 送信されてきたHTMLを、ブラウザがうまく変換して表示します。

ブラウザがサーバーにアクセスし、PHPがMySQLのデータを参照しHTMLを生成しブラウザに返すという流れ

WordPressを動かすPHPと、データを保存するデータベースが分かれており、連携して1つのページを表示させるというのがポイントです。

コンテンツの管理にデータベースを使う理由

WordPressではコンテンツの管理にデータベースを利用していると説明しました。

このような仕組みを取る事で「コンテンツ」と「Webサイトの器(≒テンプレート)」を別々に管理する事が出来るようになっています。

例えば、MySQLを操作するためのSQL文が書ければデータベース中のコンテンツを一斉に扱う事が出来ますし、HTML、PHP、CSSが書ければ自由なレイアウト、デザインでコンテンツを展開出来ます。

HTMLはPHP、CSSの部分とコンテンツの部分を別に管理しているから、独立してデザインの変更などが行える

また、Webサイトの見た目をテーマによって簡単に切り替える事が出来たり、プラグインによる拡張が容易に行えたりといった機能を提供できるのも、コンテンツ管理にデータベースを利用しているおかげです。

コンテンツをデータベース化し、表示をプログラムで作るという仕組みがWordPressの汎用性、拡張性の高さを支えているのです。

SEOから見るWordPress

WordPress自体にSEO効果があるという情報をよく見ますが、それは正しいと言える側面もある一方、捉え方次第では誤解を招きそうなので、SEOに関することも最後に解説しておきます。

別にWordPressを使ったからといってSEO効果があるわけではない

SEOとは「Webサイトが検索エンジンから正しい評価を受ける事が出来るように最適化する事」です。SEOを正しく行う事でWebサイトはその存在を正しく検索エンジンに理解・評価してもらう事が出来ます。そうする事でWebサイトは適切なキーワードにおける適切な順位に登場する事が出来るようになるのです。

ですので、WordPressを使ったからといってそのサイトが検索結果のより上位に表示されるかというと、そんな事はありません。それを踏まえた上で、WordPressはSEOとどういった相性にあるのか考えてみます。

SEOを行うには都合が良いという点はある

WordPressを使っただけでSEO的に何か効果があるかといえば全くそんな事は無いという話は先にしました。ただし、SEOを行う上で都合が良い点はあると言えます。

例えばプラグインを使って簡単に記事毎のmetaディスクリプションやキーワードを設定出来たり、カテゴリ、タグ構造を用いた内部リンクの調整やアイキャッチ画像の設定がやりやすかったりと、サイト訪問者がサイト内を迂回してくれるような仕組みが作りやすかったりします。

つまり、WordPressそれ自体にSEO効果は無いですが、SEOを比較的やりやすいのがWordPressだ、という認識で良いと思います。

全体まとめ

まとめると、

  • WordPressは最も使われているCMS(コンテンツ管理システム)の1つ
  • WordPressは文章やコメント、画像などのオリジナルなコンテンツと、サイトそのものの構造や見た目を切り分けて管理できる。
  • だから、コンテンツをそのままにサイトの構造やデザインを容易に調整できる。
  • 情報の豊富さ、ユーザの多さからWordPressにまつわる大体の事がググればなんとかなる。
  • WordPress使えばSEOばっちりかと言えばそんな事無い。
  • ただし構造の変えやすさ、SEOを助けるプラグインの存在などから、SEOはやりやすいと言える

という感じです。どうでしょう。WordPressがどのようなものなのか、ざっくりと伝わったでしょうか?この記事で少しでもWordPressに興味をもっていただけると嬉しいです。

ヴォラーレ株式会社 工藤

おすすめの記事

2013.4.26 SEOセミナー開催レポート:「理解していれば回避できるはずの問題は予め回避しておくが吉」

さて、最近セミナー報告ばかりになりつつある当ブログですが、今回は4月26日(金)に開催しました制作や開発に関わる方向けのSEOセミナーのレポートです。前回と同じくtwitterで内容お伝えしていたのでそれもまとめてあります。

twitterまとめ:Webサイト設計に関わる無料SEOセミナー セルフまとめもいいとこ

4月26日に開催されたセミナーの風景

今回はマーケティングとかリンクとかコンテンツとか検索エンジンアルゴリズムといった話題にはあまり触れず、Webサイトの設計・制作にあたりどういったことを予め考慮しておかなければならないのか、という内容で予定では120分のところ150分くらいに渡りお伝えしました。

諸注意として予めお伝えしたこと

本題の前に皆さんに事前にお伝えしたこととして、

  • 検索エンジンが評価したいのはコンテンツ&リンク
  • 検索エンジンは「正しく作られたWebサイト」を評価したいのではない
  • 正しく作られたWebサイト≠高く評価されるWebサイト

というのがまず原則としてあります。ですので、ここではあくまでSEOの観点から、という話にしますが、例えば実際にHTMLのマークアップを行う方がいくらそれらを美しく記述したところで、それ自体はSEOの完成ではなく、むしろSEOを行う土台を整える作業のうちのごく僅かな要素の一つ、というところでしかありません。

しかし、それでも尚、「(ある程度)検索エンジンを考慮してサイトを作る」ということはとても重要なものであるという認識でおり、サイト規模が大きくなる、とか長きに渡ってコンテンツを配信していく、というサイトであればあるほど、運用に入る前、設計の段階でどこまでSEOが考慮されたか、によって運用後の検索トラフィックには大きな差が出ます。

「クローラーの仕組みやランク付けアルゴリズムを研究して完璧なSEO設計をする」とかそういうことではなく、ある種の「普通に回避できるはずだった問題」を予め回避することが出来るのであれば、それは事前に対処して回避しておくのが吉じゃないですか(実際には、普通に回避できるはずだった問題点を回避できてなくて色々損してるケースがあまりに多く勿体ない)、ということが今回の本旨です。

セミナーコンテンツ

詳細はボリュームが多いので(スライド150枚以上)概要をラインナップとして並べます。

150枚以上のスライドを小さく並べてみた
※実際のプレゼンで使用したスライド一覧

1.検索エンジンの基礎知識

今回はかなりサラッと流しましたが、これはどの回でも必ず行います。最低限、裏でどんなものがどのように、何のために動いているのかは理解しておかないとその先の話が通じなくなってしまいます。

  • 検索エンジンの仕組み
  • 検索エンジンの収益モデル
  • 検索結果が返されるプロセス

2.企業がSEOに取り組む意義と得られるもの

今回はメインの話題がサイトの作り方の部分だったりもするのでここも流してしまいましたが、目的と手段を混同しないように、ということと、最終的にどのようにSEOを通じて検索トラフィックが獲得されるのか、ということに簡単に解説しました。

  • 企業がSEOを行うメリット
  • SEOのWebプロモーション上の特性
  • SEOの運用と目標達成までのプロセス

3.SEOの取り組み内容とその分類

例えば内部対策と外部対策とか、コンテンツとリンクとか、ユーザビリティとクローラビリティとか、まあ色んな確度からそれぞれの要素が様々分類されて対比されます。まずはどういう要素がSEOには存在していて、それぞれがどういう分類をされるのか、みたいなことをかなりザックリまとめてお話しました。

  • 機械(検索エンジン)を考慮したサイト設計
  • キーワード/コンテンツ/リンク
  • 制作・開発担当者が直接SEOに貢献できる事
  • 内部と外部 / 機械と人間

4.制作者が行えるSEO

メインはこの部分です。事例を交えて、サイトのデザインや機能の実装にあたり最低限、少なくとも知っておかれたい、或いは気にされたい部分を約100枚くらいのスライドで駆け足で解説しました。

限られた時間の中で、なのでこういうお話を新情報として聞かれる方もいらっしゃったと思いますが、もちろんボリューム的には一つ一つについて網羅できるはずもないので、まずは「なるほど、こういうことも気にしておかないといけないのね」ということだけでも理解して頂ければ良いかなとは思っています。

  • 検索キーワードと流入口ページの確保
  • テキスト情報の独自性の担保
  • 重複コンテンツ問題
  • クロール・インデックス
  • ページレイアウト
  • サイトの速度

まとめ

今回お話した内容は、一つ一つの項目としては取り立てて珍しい話ではないというかごく基本的なことの確認、おさらいのような感じでしたが、しかし基本的であることと皆さんがそれを満遍なく理解しているということはイコールではありません。

実際に、少なくとも全体から見れば一部を除いた多くのWebサイトは、SEOに適しているとはとてもではないが言い難い、というような作り方をされていると思います。

少なくとも、HTML構文チェックで100点を目指すこと自体のSEO的な価値というのはほぼ皆無だと思っておりますが、そういう類の「最適化」を求めるのではなく、最低限、作成するコンテンツの内容や得られたリンクが漏れ無く無駄なく評価される、ということがSEOの前提ですので、こうした認識は、Webの制作や運用に関わる皆さんにやはり最低限以上は知っておいて頂きたいなと感じる所存です。

次回開催のお知らせ

アンケートやTwitter上での反響は割と良かった方だったので、僕個人の省エネも兼ねて5月にもう一度同じ内容のセミナーをすることになりました。

詳細:Web制作・開発に関わる方向けのSEO設計基礎セミナー(第二回)

Web制作会社の方や社内のWeb担当者の方をメインターゲットとしていますが、マーケティング担当者の方とかまあ色々要は基本的にはご興味がありましたらご参加頂ければと思います。

当日は事前に簡単なレジュメ(?)をお配りして、プレゼン資料とかは終了後にお持ち帰り頂けるようにしていますが、今回は資料印刷ミスりました。細かな誤字チェックとかは複数人でやったのにも関わらず表題だけが作成当初のまんまになってました。

Web制作者が知っておきたい基礎SEO設計セミナー(仮) で印刷しました
※内容は本番でした。

ということで5月のセミナーも告知前からちらほらと参加お申込み頂いている企業様もいらっしゃり大変有難い状況ではありますが、今後のセミナーも機会とご興味とお時間ありましたら是非ご参加下さい。

ヴォラーレ株式会社 土居

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2013.2.26 SEOセミナー開催レポート:「基礎と累積の2軸で考え、まずはスタートラインに立つ」

先の2月26日、弊社主催の無料SEOセミナーを開催させて頂きました。スピーカーの實川自身は今回が初となるセミナーでしたが、アンケートではなかなかの高評価を頂いておりました。ご参加頂いた皆様、大変お忙しい中ご足労下さり、誠に有難うございました。

セミナー風景、写真

今回のセミナーでは、SEOの基本である内部対策、外部対策やその考え方について、基本的な部分を中心に90分弱お話させて頂きました。概要を以下にレポートとしてまとめます。

1.SEOをとりまく環境の変化とその背景
2.SEOの考え方と取り組み方
3.具体的に何をすれば良いの
4.まとめ

SEOをとりまく環境の変化とその背景

SEOをとりまく環境

ここ最近の低品質外部リンクの淘汰や各種アルゴリズムアップデートを経て、これまで多くの企業(SEO会社を)がSEOの中で目指してきたベクトルと、検索エンジンが向かうベクトルに差異があることが結果として露呈するようになりました。

・企業の目標
色んなキーワードで上位表示して、自然検索経由の流入を増やしたい。

・検索エンジンの目標
検索サービスとしての価値を向上し、検索ユーザー数を維持、拡大したい。

企業としては最終的には売上・業績を伸ばすことを目的に、ウェブサイトへのトラフィックを増やす一つの手段としてSEOに取り組み、ゴールを見据えた目標設定をします。

しかし検索エンジンとしては、ユーザーの「検索して情報を見つける」という一連の行為の満足度を向上させることができるような検索結果を返せるようにする、ことがまず前提としてあり、この視点が欠落した施策が逆効果、裏目に出たり効果が薄れてきたりしている、という背景があります。

検索エンジンの変化

例えば外部リンクが検索順位に大きく影響するため「リンクを購入する」という考え方があります。しかし検索エンジンは昔よりもはるかに精度が向上していますので、リンクを貼れば順位が上がる時代から、少し間違えばそうしたリンクが原因となってサイトへの評価が思い切り下げられるような時代へと変化しました。

Googleが不正リンクを使ったランキング操作の抑制や、低品質なウェブサイト(中身がない、コピーサイト、重複するコンテンツなど)を検索結果から除外するための動きが、最近では過去に比べより活発になり、そうした施策に対するSEOのリスク、特にそうした施策にばかり依存したSEOを行うことのリスクが顕在化してきています。

※筆者補足※
一方で仮に有料リンク、人工リンクだったとしてもその累積によりウェブサイトへのアクセスや売上が一定量担保出来ている場合だと、すぐにその状況から脱却する(つまりそうした恩恵を破棄して、やり方を一新する)、といった選択肢を取ることも企業的な諸事情により難しいケースが多いのもまた事実と思います。

つまり「わかっちゃいるんだけど、さあどうしたもんかね」という状態にある方が比較的多いのではないかな、ということですね。

そうした中、今後は、一気には難しいけど徐々にそういう方向にシフトしていく流れが今後も加速していくでしょう、ということと、問題提起されている人工リンク施策については次第に衰えていくもののしばらくは健在で、リンク提供型のSEOサービスに対しても一定量の需要が引き続き残るでしょう、とは思っていますし、多分これが多くのSEO関係者の共通認識だと思います。そのことの是非については特に触れませんが、基本的にはそういうことだと思っています。

SEOの考え方と取り組み方

このような状況において、今後どうやってサイト運営に取り組めば良いのでしょうか。「人工的なリンク施策に頼るは怖いからコンテンツをとにかく増やそう」というような考え方はもちろん良いのですが、そうは言っても時間や労力、場合によってはお金がかかるお話ですのですぐ行動!とする前に一旦落ち着いて考えてみる必要があるのではないでしょうか。

SEOを2つの軸で考える

今回のセミナーでは、SEOを行う上で考えるべき軸を大まかに以下の2軸として解説していました。

縦軸にリンクやコンテンツ(累積資産)、横軸にサイト設計(基礎)、のグラフ

①累積する資産:コンテンツやリンク

  • ユーザーがサイトを訪れる理由になる(コンテンツ)
  • 独自の資産となり、競合優位性を築く
  • 結果が出るまでには大抵それなりの時間がかかるしその覚悟が必要
  • 成功すれば、無料の検索トラフィックが安定して獲得できる
  • 基本的には終わりがない取り組み

②基礎となる土台:サイト設計

  • 累積したコンテンツやリンクを適切に認識、評価させる
  • 初歩的なWeb/SEO知識でもある程度改善できる
  • ちょっとした改善で大きな効果があることもある。(逆も然り。)
  • 応用的な改善は非常に難しいし高い専門知識が必要

以上を踏まえ、少しばかり乱暴な分類ではあるかもしれませんが、以下のようなマトリックスでウェブサイトのSEOを考えてみると整理しやすいのではないでしょうか。(セミナーの前後の細かい文脈は割愛しますのでセミナー時資料とは若干修正入れています)

先ほどのグラフを用いて 左上:コンテンツやリンクはあるが設計に難あり、 右上:コンテンツやリンクが十分で設計もよく出来ている、 右下:設計に問題はないがコンテンツやリンクは乏しい、左下:コンテンツもリンクも設計もダメダメ の分類をしているマトリックス図

縦軸をコンテンツやリンクの軸、横軸をサイト設計の軸として、右上に行けば行くほどSEOとしては優れていて、左下のような状態(基本的な最適化も出来ていなければコンテンツもリンクも乏しい)は当然優れたSEOには程遠い、というイメージです。

SEOに優れたサイトにするためには縦軸、横軸どちらか一方だけ優れていれば良い、というわけではなく、どちらも基本的なことはしっかり出来ていなければ継続的にSEOに取り組んだとて、十分な結果を得ることは難しいということですね。

ですので次の図のように自社のサイトがマトリックスの右下枠に該当するのであれば、細かなチューニングにこだわるのではなく、コンテンツを見直したり増やしながらリンクを獲得していく必要がありますし、左上枠に該当する場合は、闇雲にそのまま突っ走るのではなく、改めてSEO設計を見直すことでコンテンツやリンクの評価を正しく受けることができるようになります。

先ほどの図でマトリックスの左下から左上枠に向かって改善を図ろうとしている図:「適切に評価されるための土台が整っていないのにひたすらコンテンツやリンクを増やす」

マトリックスの左下から右下枠に向かって改善を図ろうとする図:「コンテンツやリンクが乏しいのに細かなサイトチューニングばかりこだわろうとする」

優れたサイトとして検索結果での露出アップを目指すために、何もないところからいきなり完璧を目指すのではなく、まずはスタートラインを目指す、ひとまず「損をしない」ところまでを見据えてSEOに取り組む、というのが今回の一つの主なテーマになります。

マトリックスの中心をスタート地点として、コンテンツやリンクもまずは必要十分なものを揃え、基礎的なSEOを踏まえた実装が出来ているという状態を目指しましょう、という図

具体的に何をすれば良いの

ここから先は、ごく基本的なSEOの内容について概要を説明させて頂きました。このブログの読者の多くの方には改めて解説するようなことではないことも含まれるかもしれませんが、

  • 検索キーワードの考え方や探し方
  • 目標とするSEOキーワード選定の基準
  • コンテンツマップや主要なキーワード
  • キーワードチューニングの考え方と方法
  • クロールやインデックスの仕組み、その制御について
  • 内部リンクのSEO上で考慮するポイント

等について、事例も含めながら少し駆け足で解説しました。今回のセミナーではいずれもごく基本的な事柄でしたので記事ボリュームの関係から詳細についてはここでは割愛させて頂きます。

※筆者補足※
基本的なこととは言っても、本来これら一つ一つの項目でも最低1時間ずつくらいはかけてお話しないといけないくらい、考えることや知らなければいけないことは多いと感じているのですが、一つのセミナーでまとめて語ることはやっぱり難しいです(昔一度トライしましたが2時間半の予定が4時間くらいかかってなお、全然話しきれなかったです)

まとめ

基本的なこと、一般的にこうした方が良い、と言われていることをとにかくやってみる、ということが出来れば、度合いはともあれ基本的にSEOとは一定以上の効果が得られるものです。見る限り、世の中に公開されているウェブサイトの大半は、SEOの基本的なことがキチンと実践できているとは言い難い状態である、というのが現実だと思います。

何か素晴らしいSEOの事例、素晴らしい技術、最新の動向などを知ることもとても大切と思いますが、まずは走り出しの段階で、当たり前にやった方が良いことを当たり前に実践できているか、ということがその後のSEOの成否を大きく左右することにつながると思います。

情報収集される際の注意として、主にリンク関連の話題、「上位表示対策」についての話題などでインターネット上にある情報は玉石混交、かつ内訳は石が大半という印象ですので、情報の取捨選択に自信がない方や相応のリスクを負えない方、そもそもどういうリスクがあるかがよく分からないという方は、何かしらの根拠がない限りはあまり参考にされないほうが今は無難だと思います(SEO関連の書籍につきましても良著とそうでないものは同様に分かれる、という印象です)。

最後に、今後も定期的にSEOセミナーは開催します(直近では3月に別テーマで開催させて頂く予定です)。基本的にはこうした基礎的なセミナーは無料で開催するスタンスですが、夏あたりに少し突っ込んだテーマで有料のセミナーも開催させて頂く予定ですので、その際には改めて告知させて頂きます。

と、今回の記事は比較的堅苦しい感じで終わらせて頂きます。このブログにつきましても、基本的には若いメンバーを中心に(今度こそ)継続的に更新していく予定ですので、引き続きよろしくお願い致します。

文責:ヴォラーレ株式会社 土居

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内部リンクの構造の変化がアクセス数に与えた影響

今回の記事は内部リンクの最適化がSEO対策上及ぼす効果に関する話題です。SEOで「リンク」と言えば外からのリンク(外部リンク)を指すというイメージもある方もいるかもしれませんが、内部リンク(サイト内リンク)はサイト内で行き来するリンクのことで、ユーザーを受け渡すという意味では大きく価値は変わりません。

内部リンクのSEO対策における重要性

「外部リンクだけではなく、内部リンクも変わらず重要です」というのは簡単ですが、実際にどのような価値があるのかということを言われると、その役割は様々で一口に言うのは難しいです。

こちらで書くと長くなりますので別のブログの関連記事を紹介します。

「検索エンジン最適化」について再考・まとめておく- 天照SEOブログ

私が個人的に別で書いている記事ですが、この中に内部リンクに関する重要事項がかいつまんで話されているので参照下さい。上記記事の言葉を借りて以下に内容を簡単にまとめると、

  • ページランクの調整
  • リンク階層の調整
  • WEBページ間の情報の関連付け
  • アンカーテキストで端的にページの主なテーマを示す

という内容になっています。詳細はこちらでは割愛しますが、サイト内のナビゲーションという意味だけではなく、SEO対策に於いても色々な意味を持っていると言えます。

内部リンクの改悪・改善が検索流入数に与える影響

約1年半前にオープンし、SEOを弊社で行ってきたとあるクライアントさまのWEBサイトを2011年の春~7月にかけてリニューアルしました。目的は主にUI(ユーザーインターフェース)の改善によるPV(ページビュー)数の増加と直帰率の低下、SEO対策面での強化、その結果としての問合せ数の向上です。

UI・デザイン面での向上をはかるにあたり、少し(見た目上)目立って露出されていた内部リンクを、一旦どのページからも外してみた時期がありました。その関係で、一部のアーカイブのページへの内部リンク(※)が極端に減少しました。それが下記図の①の時期です。

この時期に検索エンジンに関わる変更はそれ以外には行っておらず、その減少が内部リンクの構造の改悪によるものと判断し、その後にそれを修正し、見た目上のストレスにならない位置へとそれを以降しました。また、その他でもそれが下図の②の時期です。

クリックで拡大
※クリックすると画像が拡大して見られます。

ちょっと見た目には分かりづらい変化ではありますが、実際に数字を見てみると6月中旬から7月上旬にかけて、それまでのアベレージのアクセス数に比べて約10~15%程度(数で言えば約25~40/日 程度)の減少があり、実際に新しいコンテンツを追加した後にそのページが明らかにランキング上位にヒットしなくなったということも実際に見られました。

②以降数日後からは順調に回復し始め、最終的にはその他のUIの改善に伴い更に内部リンクを強化(主にTOPページから下位ページへのリンクの見直し)を行い、つい先日ようやく過去最高の検索流入数(492)をマークしました。2ヵ月前からの推移を見ればそれなりの%での改善が出来ています。

また、PV数もまだまだとは言えリニューアル前後で見れば大分改善しています。

PV数の推移

※①の内部リンクは、イメージではブログでいう「タグ」とか「カテゴリ」へのリンクのようなアーカイブに飛ばすリンクのイメージです。

簡単にまとめ

少しざっくりとした内容ではありますが、基本的なことは昔から誰かが言ってきたことで、特に難しいテクニックを使っているわけではなく、重要なページには内部リンクを集めた方がよく、関連性の高い内部リンクは価値があり、アンカーテキストは端的にキーワードで書いた方が分かりやすく、、などということです。

言われてみればどこかで聞いたことがあるようなフレーズですが、やはりSEOと言うとどうしてもそのあたりの意識が飛んでいってしまってテクニックというか小技を頭に描いてしまうのは我々SEO業者の良くないところかもしれませんが、一旦冷静になって考えてみるとちょっとした一部の改善だけで少なくとも数%とか数十%くらいのアクセス改善は行えるのではないかと思います。

内部リンクの最適化は特にページ数が多い、更新が多いなどというWEBサイトでは特に影響力が大きいので、あまりナメてかからない方が良いですね。ご参考までに。

ヴォラーレ株式会社 土居健太郎

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