スマートニュースが総額100億円調達、米国事業を加速

スマートニュースは11月19日、8月5日に公表した31億円と合わせて総額100億円の資金調達を発表した。調達方法は、日本郵政キャピタルおよびACA Investmentsをリード投資家とした第三者割当増資で、グロービス・キャピタル・パートナーズ 、電通、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムなどが引受先として名を連ねる。

スマートニュースが米国市場拡大のため31億円調達、久夛良木氏招聘へ

スマートニュースは8月5日、日本郵政キャピタルをリード投資家とした総額31億円の資金調達を実施したことを発表。今回はシリーズEラウンドとなり累計調達額は122億円。同社によると、米国でユーザー数で前年比5倍以上と拡大しており、日米合算で2000万人の月間アクティブユーザーが利用しているとのこと。

今回調達した資金は、グローバルの開発体制を構築するために使われる。具体的には、プレイステーションの生みの親である久夛良木 健氏を社外取締役として招聘する。また5月からはFacebook News Feedのインフラ責任者を務めたYoulin Li(ユーリン・リー)氏が、エンジニアリングとバックエンド、基盤開発担当のバイスプレジデント(Vice President of Engineering, Backend System and Foundation、VPoE)として参画している。

同社の拠点は現在、東京、サンフランシスコ、ニューヨークにあるが、新たにパロアルト、アジア技術開発センターとして福岡、上海、計3つの技術開発拠点も開設。エンジニアやプロダクトマネージャー、データサイエンティストなどの採用を強化しているそうだ。

米国のトラフィック解析サービスであるParse.lyが2019年1月に発表した2018年12月時点での英語圏におけるメディアへの送客元としてはスマートニュース10位にランクイン。米Yahoo!が2018年10月、11月に占めていた10位のポジションをスマートニュースが奪取したかたちだ(編集部注:日本以外のYahoo!は米ベライゾンのサービスで、TechCrunchと同じグループに属している)。

とはいえ、7位にランクインしているDrudge Report(政治系ニュースアグリゲーターサイト)が占めるトラフィックでも0.8%。以下、bing、pinterest、スマートニュースと続くが、ぞれぞれの占有率は0.6%、0.5%、0.5%と影響力は限定的だ。

1位はGoogleで31.2%、2位はFacebookで14.4%。3位以下にもGoogle系のサービスがランクインしており、3位のnews.google.com(Googleニュース)が2.3%、6位のgoogleapis.com(GoogleChromeの「おすすめの記事」)が1.4%。Google系で合計すると34.9%と、3分の1以上のトラフィックを占めていることがわかる。

米国進出を果たしている国内企業としてはメルカリが思い浮かぶ。同社の2019年第3四半期(2019年1〜3月期)の国内事業の営業利益は64億円と好調だが、連結決算での最終損益は73億4100万円の赤字だった。第3四半期の連結決算で昨年より赤字が拡大したのはメルペイの販促費用がかさんだためだが、同社の場合は昨年に引き続き好調な国内事業の利益を米国事業に積極的に投資しているという状況だ。

スマートニュースは現在のところ非上場のため、国内事業の業績は明らかになっていない。しかし、米国事業の拡大には相当な時間がかかると考えられるので、足下の日本の事業も併せて強化、つまり大幅に黒字化していく必要があるだろう。米国で手強いライバルと戦うには、M&Aなどによるシェア拡大も戦略の1つになり得る。当面は、同社の国内の業績と、どのタイミングでIPOを狙っているのかが気になるところだ。

ドローン関連スタートアップ支援の「Drone Fund 2号」が52億円調達

ドローン関連のスタートアップに特化した投資ファンドであるDrone Fund 2号(正式名称:千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合)は5月7日、新たな投資家を迎えて総額52億円を調達したことを発表した。

Drone Fund 2号の出資者としては、同1号ファンドから継続のMistletoe Venture Partners、オークファン、DGインキュベーション、日本アジアグループ、キャナルベンチャーズ、FFGベンチャービジネスパートナーズ、リバネス、その他複数のエンジェル投資家。

2号ファンドからは、小橋工業、みずほ銀行、大和証券グループ、マブチモーター創業家一家、KDDI、電通、セガサミーホールディングス、松竹、KSK Angel Fund、その他複数のエンジェル投資家が出資していた。

今回新たに、西部ガス、GMOインターネット、オリックス、日本郵政キャピタル、東京電力ベンチャーズ、ゼンリン、エン・ジャパン、エイベックスの8社が加わり。総額52億円となった。

Drone Fund2号は、すでに新規で7社に投資中だ。具体的には、農業用ドローンを開発するナイルワークス、空飛ぶ車を研究・開発するSkyDrive、個人用飛行装置(エア・モビリティ)を設計・開発するテトラ・アビエーション、京大初のベンチャーのメトロウェザーなどの国内スタートアップのほか、米国やマレーシア、ノルウェーなどの企業へ投資している。1号ファンドを加えると投資先は29社になるとのこと。また、2号ファンドから出資を始めた小橋工業は、TechCrunch Tokyo 2018のファイナリストであるエアロネクストが開発したドローンの商品化・量産化を支援している。