AppleもGoogleもAmazonも、それにSamsungも、みんな、家庭などのインターネットに接続されたデバイス(“コネクテッドデバイス”)をコントロールする独自のスタンダードを作ろうと競っている。そしてMozillaは今日(米国時間2/6)、物のインターネット(internet of things, IoT)をコントロールするためのオープンなゲートウェイを、これからは誰もが作れる、と発表した。同団体はまた、IoTが大きなテクノロジー企業が牛耳るものにならないための、フレームワークとオープンなスタンダードを作成中である、と確認した。
コネクテッドデバイスは、うちのサーモスタットはAmazon Echoの言うことしか聞いてくれない、こっちの電球はSiri、あっちの電球はGoogle Homeでしかコントロールできない、という支離滅裂な状況さえなければ、すばらしいだろう。
いろんなアクセサリのメーカーも、ごく少数の巨大テク企業がIoTの規格を支配している状態を必ずしも歓迎しない。彼ら巨人たちは、いちいち彼らから、高価なライセンス料を取るかもしれない。そしてお客には、どれかひとつを選ばなければならないという面倒が生じる。
Mozillaは、オープンなWebの熱心な支持者だ。このような非営利団体がコネクテッドデバイスの規格を考えるのは、良いことのように思える。同団体が提案するProject Thingsは、複数のプロジェクトをカバーする。ではそれは、どんな規格だろうか。
まずMozillaは、W3Cと共同でWeb of Things(物のWeb)のオープンスタンダードを作りたい、と考えている。それにより、アクセサリのメーカーとサービスのプロバイダーが、同じ標準規格でデバイス同士が対話できるようにする。その規格は、JSONとRESTとWebSockets APIで構成される。それはWeb上のデータとAPIのスタンダードであり、すべてのコネクテッドデバイスがこれを実装することによって、任意の機器やサービス間の対話を可能にする。
次は、同じくMozillaが提案するWeb of Things Gatewayによって、プロプライエタリなAmazon Echo, Philips Hue, Apple TV, Google Homeなどなどがオープンなデバイスに置き換えられる。そのゲートウェイは、Raspberry Pi 3やZigBee、USBドングルZ-Waveなどを使って、今すでに作れる。
メーカー企業も、共通の規格に基づいて独自のゲートウェイを作れる。たとえばNetgear社は、今後のルーター製品にWeb of Thingsのゲートウェイを内蔵できるだろう。そしてそのルーターは365日無休で働き、物のインターネットにも奉仕する。また適当なブリッジを作れば、APIの相互通訳が可能になるから、Amazon、Google、Appleなどのスマートスピーカーが互いに会話できるようになる。つまりWeb of ThingsはこれらプロプライエタリなAPI(HomeKit API, Smart Home Skill APIなど)のための共通言語になる。
そしてさらにMozillaは、コネクテッドデバイスをコントロールするためのインタフェイスも作っている。そのためのWebアプリケーションをスマートフォンの画面に出せば、そこから家の機器をコントロールできる。たとえば声で照明をつけたり、IFTTTふうのルールで家の中を自動化したり、デバイスをレイアウトするフロアプランを加えたり、いろいろできる。
またMozillaが設計したアドオン(プラグイン)をインストールすれば、新しいデバイスやプロトコルもサポートできる。重要なのは、これらすべてが、あなたの家にあるあなたのゲートウェイで行われることだ。声で灯(あか)りを点けても、もうGoogleやAmazonにはそれが分からない。
そしてWeb of Thingsのプロトコルをデベロッパーが利用すれば、家全体をコントロールするネイティブのアプリを作れる。Mozillaはこの問題をいろんな角度から見ているので、そんな日が来るのも遠くはない。そして、今からすでにProject Thingsをいじり始めて、その開発に寄与貢献するデベロッパーがいても、かまわない。