Facebookも「ペイ」参入、Facebook系の全アプリで利用可能に

Square、Venmo、PayPal、Apple Pay、Google Pay。スマホで誰かにお金を払う方法にまったく不足はないし、会社があまりにも大きくなりすぎているという批判の声も高まる中、Facebookは同名のサービスだけに留まる気配はない。

FacebookがFacebook Payを発表した。同社もしくはグループ会社が提供するMessenger、Instagram、WhatsApp、そしてもちろんFacebook本体で使える統一決済システムだ。一度支払い方法を有効にすれば、あらゆるFacebook系アプリで利用できる。なお、Facebookではマーケットプレイスなどのセクションで利用できる。

Facebook Payは今週公開すると同社は表明しているが、最初はFacebook本体とMessengerだけで、かつ米国ユーザーに限り利用できる。ほとんどの主要クレジットカードおよびPayPalに対応しているとFacebookはコメントしており、同社の仮想通貨への取組みとは別物であることを注意深く説明した。

これを必要としている人がいるのだろうか?たぶんいない。Facebookマーケットプレイスを使ううえでの抵抗を多少減らすかもしれないし、ある程度の潜在利用者がいるかもしれない。しかし正直なところ、友達と割り勘したり中古のギターを買う時ためなら、それこそ山ほどほかの方法がある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Shopify、決済用カードリーダーとPOSアプリをイギリスで近日提供開始

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Shopifyは事業者向けクレジットカードリーダー(読み取り機)とPOSアプリをイギリスでまもなくローンチする。同社のリーダーは非接触式、ICチップ、磁気テープによる決済をサポートし、店舗側はAndroid PayやApple Payなどのコンタクトレス決済と、従来のカード読み取り式決済の両方に対応できる。アプリは無料で、iPhoneまたはiPadに接続したリーダーと連動する。

Shopifyのアプリとリーダーをセットで使えば、イベントや期間限定のポップアップ・ストア、固定店舗などで幅広い支払方法に対応できるようになる。さらにShopifyのeコマース機能で、実店舗でのショッピング・エクスペリエンスをオンラインストアと結びつけることも可能だ。

Shopifyのカードリーダー本体は、今なら期間限定で20ポンド引きの59ポンドで事前予約が可能。前述のようにアプリは無料で、決済手数料は1.6パーセントから。決済ごとの基本料金はかからない。

Shopifyのプロダクト・グロース・マネージャーHailey Colemanは「イギリスはShopifyにとって2番目に大きな市場」とTechCrunchに語る。「Shopify POSアプリとカードリーダーのローンチで、スモールビジネスオーナーはカード決済をいつでもどこででも、簡単かつ安全に受付可能になります。これでイギリスの事業者にもShopifyでビジネス全体を回してもらえます」。

今回イギリスで提供開始となるShopifyのリーダーとソフトウェアがあると、小売店側にとって最新のモバイル決済技術の導入もかなり容易になる。同社のカードリーダーはコンタクトレス(非接触/NFC)決済機能を内蔵し、Android PayとApple Payにも自動的に対応する。

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(翻訳:Ayako Teranishi)

MasterCardが11億ドルでVocaLinkを買収、イギリスの決済サービスへ参入

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イギリス企業の動向を追っている人向けに新たなニュースが入ってきた。新たに一社、イギリスで生まれ育った大手テック企業が外国企業に買収されることが分かったのだ。本日(米国時間7月21日)MasterCard Inc.は、VocaLinkと株式の92.4%を取得することで合意に至ったと発表した。VocaLinkは、イギリス国内のATM、ダイレクトデビット、そして大手モバイル決済ネットワークを支える一大テック企業だ。買収額は総額11億4000万ドルにのぼり、全額現金で支払われる予定。まず7億ポンド(9億2000万ドル)が支払われ、さらにアーンアウトとして、業績に応じて最大1億6900万ポンド(約2億2000万ドル)が現金で支払われる。

残りの7.6%の株式については、少なくとも向こう三年間は引き続きVocaLinkの株主が保有するとMasterCardは発表の中で述べた。

VocaLinkは、2015年に1億8200万ポンド(2億4000万ドル)の売上と、110億件以上の決済処理数を記録している。

今回の買収は、今週発表されたイギリス企業のエグジットで2番目となる規模で、1位はソフトバンクが月曜日に発表した、半導体チップのリファレンスデザイン事業を行うARM Holdingsの320億ドルでの買収だった。

イギリスのEU離脱を決定づけたBrexitよるポンド安の影響で、多くの人が今後このような買収案件が増加するのではと問題視している。ソフトバンクCEOの孫正義は、ARM買収へのポンド安の影響を否定しており、MasterCardも同様の回答をしている。

「ご想像の通り、買収には何ヶ月もの時間をかけてきました」とMasterCardの広報担当者は今回の買収について語った。「MasterCardは、Brexitの投票が行われる何ヶ月も前からVocaLinkを買収したいと考えていました。そのためBrexitは買収の要因にはなっていません」

今のところ、MasterCardはVocaLinkの買収で「全ての種類の電子決済や、決済の流れに積極的に参画し、顧客やパートナーのためのサービス向上を行う」戦略を固めていくつもりだと話す。さらにMasterCardは、イギリスの決済エコシステム内で、重要な役割を担っていきたいとも語っている。

「イギリスという私たちにとって重要な決済市場で大きな役割を担うことができるという、今回の買収によって得られたチャンスに私たちは興奮しています」とMasterCardの社長兼CEOのAjay Bangaは声明の中で述べた。「VocaLinkは、素晴らしいテクノロジー、資産、社員を持つ類まれな企業です。私たちは、VocaLinkのテクノロジーを投資を通じて最大化し、イギリスそして世界中の私たちの製品やソリューションへ組み込むことをとても楽しみにしています」

今回の買収から、さらに多くの外国企業が、イギリスの決済サービスや、イギリスにおけるコンシューマリズムや消費文化の受容を利用しようとしていることがわかる。昨日のTechCrunchのニュースでも、Squareがようやくイギリスでの営業開始に向けて動いていることを示す証拠について報じられていた。

VocaLinkは、2007年に設立後も特にベンチャー投資を受けず、今ではATM、BACをベースとしたダイレクトデビット、そしてFaster Payments(モバイルテクノロジー)の3大決済ネットワークを運営しており、ほぼイギリス居住者全員分の決済をカバーしているほか、外国市場向けにもその他のサービスを開発してきた。

Fast ACH(高速小口決済システム)を利用したモバイル決済アプリのZAPPがそのうちのひとつだ。VocaLinkはソフトウェアをライセンシングし、スウェーデン、シンガポール、タイ、アメリカといった国々の小口決済サービスのサポートも行っている。

MasterCardは、今後もVocaLinkのビジネスではイギリスに焦点を当てていくつもりではあるものの、上記から今後どのように同社のビジネスを発展させていこうとしているか読み取ることができる。

「本日の発表は、私たちのパートナー、顧客、社員にとって前向きなニュースです」とVocaLinkのCEO David Yatesは声明の中で語った。「今後も、最高レベルの品質を保ち、イギリスの決済システムがスムーズに機能するよう注力していきます。同時に、これからはさらなるイノベーションへの投資を行い、世界中の企業や消費者向けの、高い競争力を持つ決済ソリューションを生み出していきます」

MasterCardは、株式取得後から最大24ヶ月間は株式の希薄化への影響があると予測しており、「VocaLinkの株式取得が2017年初旬に完了すれば、2017年と2018年の一株あたり当期純利益が、5セント分希薄化することを見込んでいる」と述べた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter