ロボット、仕事、そして変化に対する人びとの恐れ

3D illustration of robots.

【編集部注】著者のSteve CousinsはSaviokeの創業者兼CEOである。同社は人間の環境で働き、人間の生活を改善する自律ロボットの開発と展開を行なっている。以前にはロボットインキュベーターのWillow Garageの社長兼CEOを務めていた。

経済に対する技術のインパクトという話になると、ロボットや他の進歩が、失業につながるのではという懸念が続いている。しかし、新しいテクノロジーが仕事と経済に及ぼす影響について歴史が教えてくれるのは実際にはどのようなものだろう?さらに重要なことは、自動化を拒否して技術革新を妨げた場合には、世界経済におけるアメリカの競争力はどうなるのか?

コンピュータ科学者として、研究者として、そして今は急速に成長しているロボット企業のCEOとして、私は自分のキャリアを人々の生活を改善し、企業の成長を助けるための技術構築に捧げてきた。自動化が急速に経済を変革し続ける中で、ロボットが社会にどのような影響を与えるかを深く気にしている。

だからニュース記事がイノベーションを祝うのではなく、恐怖を撒き散らすとき、私は落胆している。最近もボストンの調査会社Forresterが、ロボットによって2025年までに米国の仕事の7%が失われることになると予測した。しかし報道でしばしば報道されないものは、Forresterが、ロボットから得られると述べているものだ。Forresterのアナリスト、J.P. Gownderは次のように述べている。「これらのテクノロジーは本当に重要で、一部の仕事は無くなってしまいますが、全体としては多くの予言者が信じるほど悲観的ではありません。現実には、自動化は、まったく新しい職種を含む、多くの新しい雇用増加を促すでしょう」。

多くのデータが、テクノロジーの進歩によって実際に仕事が創出されるという事実を裏付けている — 退屈で高いスキルの不要な職業を排除すると同時に、まったく新しい仕事のカテゴリーを創出する。イングランドとウェールズにおける1871年以来の国勢調査データの調査では、この140年間に破壊された仕事よりも、はるかに多くの雇用が創出されていることが判明している。 「機械は、繰り返しと労力を要する作業により使われるようなるが、過去150年間に比べても人間の労働の必要性の排除に向かっているようには見えない」と、デロイトによる報告書には書かれている。

ロボットは通常「仕事」全体を置き換えるのではなく、その代わりに「タスク」を肩代わりする。

ロンドンの経済研究センター(Center for Economic Research)による2015年の別の調査によれば、ロボットの使用は生産性と賃金を向上させ、全体的な雇用には悪影響を及ぼさないことが示されている。この研究によれば、これまでの全体経済へのロボットの貢献は、鉄道や米国の高速道路などの、歴史的に重要な技術とほぼ同じである。ロボットは通常「仕事」全体を置き換えるのではなく、その代わりに物品の運搬、機械の操作、情報の提供などの「タスク」を肩代わりする。企業が反復的または危険な作業を遂行するためにロボットを使用するなら、従業員はより面白くて価値のある作業を行うことができる。

しかしForresterの予測が正しくて、ロボット工学が将来的に実質的に雇用を失わせるとしたらどうだろうか?現状維持のために、研究を止め、革新を止め、新しい技術を創造しようとするのを止めるのが解決策なのだろうか?

競争が激しい今日の世界経済において、イノベーションを阻止することを選択することは、わが国にとって壊滅的なものとなるだろう。 2016年のブルームバーグ・イノベーション・インデックスは、米国を世界で8番目に革新的な国と位置付けている。2015年には6番目だった。他の国は、特に第1位の韓国、第2位のドイツは、革新主導型経済の構築に全力で取り組んでいる。

競争力を維持しながら、革新的な製品を開発するために、米国は技術革新を減速ではなく、加速させる必要がある。エアコン、ワクチン、ロボット、スマートフォンなど、企業が人生をより良くし、働きやすく、人々の健康を向上させる製品やサービスを開発すると、経済は成長する。

技術進歩にとり残されていると感じている社会のメンバーを見捨てるのではなく、革新によって作られた仕事にその人たちを引き込む必要がある。

私は自動化が雇用に影響を与えないだろうと言うほどおめでたくはない。歴史的に、技術によって一部の仕事が排除され、他の仕事が創出されている。産業革命の間に機械が大量に出現したため、洗濯屋、鍛冶屋、織物業者は廃業を余儀なくされた。しかし、それらの労働者の多くは、より良い給与と、工場でのより安定した仕事を得た。それ以来変化のペースは減速していない。ソフトウェア、コンピュータ、携帯電話、ロボットなどの技術は、一部の仕事を絶えず排除し続けてきた(貸ビデオ屋、受付係、メールルーム係、タイピスト、電話オペレーター、など)し、他の仕事を生み出してきた(ビデオゲームプログラマー、3D建築デザイナー、ソーシャルメディア専門家、など)。

例え途中で痛みが増しても、長期的には自動化が経済にプラスの影響を与えるという点で、私はオバマ大統領に同意する。最近のインタビューで、オバマ大統領は「私は楽観的な立場をとりがちです…歴史的に見れば、私たちは新しい技術を吸収し、人々は新しい雇用を見出しそして創出し、移動し、生活水準が一般的に上昇してきました」と述べた。

イノベーションが起きようとしている。米国が世界経済において強固な地位を維持したいならば、それを止めることはできず、止めるべきでもない。それが私たちが集団的な挑戦と機会である、この移行をうまく乗り切る方法だ。収入格差は世界中で増加し続けており、教育を受けた個人は革新的な経済において急速に地位を獲得し、一方低技能労働者は低迷している。技術進歩にとり残されていると感じている社会のメンバーを見捨てるのではなく、革新によって作られた仕事にその人たちを引き込む必要がある。

技術の急速な進歩に社会のすべてのメンバーを組み込むためには、教育と訓練を含むだけでなく(もちろんそれらは本質的だが)、エンジニアが直感的で使い易い機械を設計することを必要とする。タッチスクリーンインターフェースとシンプルなコマンドにより、新しく登場するコラボレーティブロボットの多くは操作が簡単だ。販売員たちがハイテクレジスター(基本的には小売店)を使うことを学んだことと同じように、人々はサービス、ホスピタリティ、小売、ヘルスケアなどの分野でロボットを操作する方法を学ぶことができる。したがって、ロボットが日常的な作業を引き継いでくれることで、人間はこれらの機械を使う側としてより充実した仕事に就くことができる。

これは、私の会社においては、Relayデリバリーロボットが「チームの一部」となるように、役立ち、信頼性が高く、使いやすいものにすることを意味する。ロボットが企業の生産性と収益を高めるのを助けるため、これらの企業はより多くのスタッフを雇うことに投資する。

人間には先天的に変化を恐れる習性がある、それが技術が現状を混乱させるような場合には特にそうだ。しかし、歴史は、ロボットのような革新的な技術を取り入れることによって、大きな進歩が見られることを証明してきた。経済全体を成長させる進歩は、より安全で有意義な仕事を見つけ出し、競争の激しい世界市場でアメリカの地位を確保するのに役立つのだ。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: 3ALEXD/E+/GETTY IMAGES

仕事の未来へようこそ

Marty Linn, General Motors manager of advanced technology and principal engineer for robotics, shakes hands with Robonaut 2 (R2), a humanoid robot developed by GM and NASA during a nine-year collaboration that also led to development of the RoboGlove, an exo-muscular device that enhances strength and grip through leading-edge sensors, actuators and tendons that are comparable to the nerves, muscles and tendons in a human hand. GM is licensing the RoboGlove intellectual property to Bioservo Technologies AB, a Swedish medical technologies company that will combine RoboGlove with its owner patented SEM glove technology.

【編集部注】著者のBrooks RainwaterはNational League of Cities(全国都市同盟)のシティソリューションおよび応用研究センターのディレクター 。共著者のNicole DuPuisはNational League of Cities(全国都市同盟)のシティソリューションおよび応用研究センターのインフラ担当シニアアソシエイトである。

情報技術、ロボット工学、人工知能の進歩が急速に進展する中で、現在労働力の転換が起こり、それが続いている。既に私たちが気が付いているように、現在の傾向が労働力の変化を不可逆的に加速させるときに、答えられなければならない疑問は、利益を広く共有し困難を和らげるためには私たちは何をすればよいのだろうか、というものである。

都市はしばしば、新技術が大量採用される際のトレンドサイクルをリードする。私たちは、新技術による失業が、新技術による革新と同じくらい古い話題であることを知っている。しかしながら米国の都市は、テクノロジーの成熟がローカル経済の全て、全ての労働者、そして全ての職業に多大な影響を与える時代に突入しているのだ。

自動化は技術革新の繁栄を支え、ビジネスにコストダウンをもたらすが、既存の仕事も変えてしまう。過去数十年にわたり、労働力の要素はますます自動化されるようになってきている。

最近は、食品サービスから工場のフロア、その他に至るまで、沢山の例を見ることができる。例えばEatsa人間とのやりとりが全く不要の新しいファーストフードレストランだ。客はタブレットを経由して注文し、用意された食品を壁に設置されたガラス棚から受け取るのだ。

Amazonのフルフィルメント・ウェアハウスではRobo-Stowを採用している。大きな在庫を動かす6トンのロボットアームと、Kiva Systemsが製造した箱移動ロボットたちが働いている。Kivaの導入以来、何かを見つけて箱に詰め出荷するまでの平均時間は1時間半から15分に短縮された。Amazonはまたその新しい Amazon Robotics部門を通して、自動化されたドローンと人工知能に多大な投資を行っている。

こうした初期の例は、エキサイティングなものではあるが私たちが失うものが自動化される仕事以上のものであることも明らかにした。多くの場合、企業は効率性の恩恵を受ける一方で、多くの消費者が依然として必要としている個人的な人間関係を失う可能性があるのだ。この方程式の人的側面はあらゆる理由で大切なものである — 仕事の中で最も重要なものだ。

プロジェクトに協力し、若いビジネスマン。

写真提供:Getty Images.

こうした中で、生計が危機に瀕している人びとがいる。過去20年間で、先進的なロボットが急速な技術の改善を受け、能力と可用性の両方が大きく変化している。学者たちは、2025年までに食品準備、ヘルスケア、商業清掃、そして老人介護の7から12パーセントのタスクがが商用ロボットによって実施可能になると予測している。

これが意味することは、高コストの都市化されたエリア ‐ ハイソで高給取りのホワイトカラーを既に引き付けている場所 ‐ における労働者階級が、更に追い詰められていくということである。それらの仕事の多くは自動化の煽りを受けやすく、私たちは多くの人たちが労働の場を離れ、都市の外に出ていくのを見送ることになるだろう。

労働者階級とサービス部門の仕事だけが、リスクに晒されているわけではない。人工知能と機械学習の進歩が「知識労働」の自動化をも可能にし始めているのだ。

進歩が現在のペースで進めば、2025年までに全世界で自動化ツールは、事務、顧客サービス、販売、教育、保健、科学技術、IT、財務、法律部門などに影響が及び、1億1000万から1億4000万人の人々の作業を行うことができるようになるだろう。

表面的な価値を見れば、これらの技術的進歩は非常に有意義であり、商業的相互作用に革命をもたらし、これまでとは異なる可能性を広げていく。

私たちにはまだ、オートメーション技術と人工知能が作り出す、新たな潜在的な仕事の種類はまだ分かっていない。それは技術を前にして想像を絶するものだ。しかし私たちは、訓練、教育を通じた準備と、究極的には柔軟性を奨励することが、私たちの都市での成功につながることを知っている。

人間とロボットが一緒に取り組んでいます。

写真提供:Getty Images.

私たちNLC(全国都市同盟)のFuture of Work報告書は、労働力の大きな変化に直面したときに抱える課題と機会について検討している。どこで、いつ、特定のジョブが消滅するかを予測することは困難だが、2025年以降に私たちが目にする仕事は、現在のものとは随分違っているものだろう。

ある者にとってはメリットは素晴らしいものになるだろうが、システムレベルでは課題はとても大きなものになるだろう。テクノロジーは、労働者間の不平等を悪化させ、経済のほとんどの分野に何らかの影響を与える。

これらの潜在的な緊張と激動は都市に集中するだろう。技術的実現可能性だけに左右されるわけではなく、自動化の採用は、技術のコスト、交換される労働のタイプ、そして重要な点だが社会的に受け入れられるかどうかに依存している。

これらの技術が仕事や仕事全体に取って代わるようになるにつれて、反応は楽観的な受け入れから怒り、欲求不満、さらには政治的な激変にまで及ぶようになるだろう。

社会への利益がより均等に分散する可能性があるのか、あるいは最近の歴史的傾向に沿って、収入ピラミッドの最上部に集中していくのか。私たちが行う政策の選択は非常に重要だ。

ネガティブな反応は、賃金や雇用を失う人々の間でより局所的に起きる可能性がある。一方で、ポジティブな反応は、より低い価格とより大きな選択の恩恵を受ける消費者の間で、より広範に広がる可能性がある。

私たちが政策上の解決策を模索しているところで、幅広い議論が始まる必要がある。これらは、ポータブルベネフィット(フリーランスのための持ち歩ける福利厚生制度の概念)から、労働力の再訓練、ベーシックインカムなどに及ぶ可能性がある。明日の労働力のために構築される、こうした種類の拡張された社会基盤は、これまでの職を失った労働者だけではなく、新しい方法で働く人々を支援するために必要となる。

同時に、この拡大された観点は、成長のための積極的な環境を作り出すことができる。これらの選択肢に焦点を当てることで、これらの急激な変化にただ流されて対応するのではなく、むしろ崩壊に先回りをすることができるようになる。

社会への利益がより均等に分散する可能性があるのか、あるいは最近の歴史的傾向に沿って、収入ピラミッドの最上部に集中していくのか。私たちが行う政策の選択は非常に重要だ。都市の指導者たちは、積極的に、公平さを第一の目標とする、より包括的なコミュニティを創造しようとしている。したがって、私たちすべてが、目の前に未来を早急に構築するのを手助けする場は都市にある — そしてそれを真に導くことが、指導者の責務なのだ。

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(翻訳:Sako)

AIに投資しないリスクを怖れよう

NEW YORK CITY, NY- MAY 27: IBM Watson's computer housing case.

IBM's Watson computer is best known for winning Jeopardy, unaware of time constraints, while playing against humans. Some of Watson's other features are based in problem solving across many different careers. A demonstration showed how quickly Watson is able to diagnose illnesses, and provided a real life case that took doctors and nurses six days to diagnose, and only ended with the correct diagnosis because a nurse had seen the disease before. Based on symptoms input, Watson was able to correctly diagnose in minutes. The demonstration took place at IBM Watson's New York City, New York office on May 27, 2015. (Photo by Andrew Spear for The Washington Post via Getty Images.)

【編集部注】著者のKR Sanjiv氏はWiproのCTO。

今後10〜20年間で人工知能がどのように変化するかを予測することは難しい。しかしそこには沢山のことが待ち構えている。2018年までに、ロボットが監督する労働者は300万人以上になるだろう;2020年までには、スマートマシンは3割以上のCIOにとってトッププライオリティの投資対象になる。

ジャーナリズムから顧客サービスといった様々なものが既にAIによって置き換えられつつある。それは徐々に人間の経験と能力を置き換えつつあるのだ。かつて技術の将来と見られていたことがすでにここにある、そして残された唯一の質問は、それはどのようにマスマーケットに展開してくのかということだ。

時間が経つにつれて、現在AIの先進性を活用している産業から徐々に収集されている洞察 ‐ そしてそれに伴う技術の革新 ‐ が、アプリケーションの成長の中でAIをより堅牢で便利なものとして行くだろう。AIに多額の投資をする余裕がある組織は今、さらに追随するための勢いを増している最中だ;AIで自身を活かせる場所をみつけることのできない組織は取り残される虞がある。

リスク vs 利益

ビジネスに対するAIアプリケーションのリスクが、利益よりも大きいかどうか(あるいはその逆なのか)を予測することは不可能だと主張する者も居る一方で、アナリストたちは2020年までに、すべての経済取引の5パーセントが自律ソフトウェアエージェントによって取り扱われると予想している。

AI未来は、思い切った投資に踏み切り、例えそれが挑戦であろうとも、テクノロジーを研究し、継続的開発に資金を提供する企業の肩にかかっている。それを偶然行ってしまう者もいる、例えば6年に渡ってあるプログラマーに合計50万ドル以上を払って、そのプログラマーが自分の仕事を自動化していたことを知っただけの企業のように。

AIの進歩の多くは軍事から来ている。米国政府が次年度のために要求したドローンの予算は46億ドルに上っている。現在フィールドで使用されている、人間によって操縦されるドローンを、人間の介在なしに飛行できるようなものに置き換えることが狙いだ。AIドローンは、単に目的地を指定してやればよく、防空設備をかわしながら自身の目的地に到達することができる。とはいえ任意の致死攻撃決定はまだ人間の目によって行われる。

広く受け容れられている考え方は、堅実にやることで得られる利益よりも、取り残されて直面するリスクの方が遥かに大きいということだ。

学術面では、マサチューセッツ工科大学とオックスフォード大学といった研究機関は、人間の脳をマッピングしそれをエミュレートしようと日夜努力を重ねている。ここには2つの異なる経路が存在している ‐ 人間の脳の複雑さを再現するAIを作成するやりかたと、実際の人間の脳をエミュレートするやりかただ。これには沢山の倫理的な問題や懸念がまとわり付いている。例えばAIはどのような権利を持っているのだろうか?そしてあなたが愛する(エミュレートされている)人を収容しているサーバーがシャットダウンされたら何が起きるのだろうか?

これらの質問へは未回答のままだが、最終的には、全産業に対するAIシステムの実証済みの利便性が、全ての経済部門の主要なプレイヤーたちに、それと連携をするように拍車をかけるだろう。現在の情報技術が既存のすべての産業に実質的に不可欠であることと同様に、人工知能もそうなって行くことは誰の目にも明らかである。

計算の未来

これまでは、AIは主に特定の機能を果すための、事前にプログラムされたツールを作り上げるために使われてきた。これらは、著しく固定化されたものだった。こうした種類のAIベースのコンピューティング戦略が一般的になっている。だが未来AIは、真の意味での学習に依存することになる。言い換えれば、AIは、もはや何をしろと言われているかを理解するために、直接コマンドを与えられることに頼る必要はなくなるのだ。

現在私たちは、自動認識と学習に依存するGPSシステムや、発話を解釈するモバイルデバイス、そして私たちの意図を解釈することを学ぶ検索エンジンを利用している。とりわけプログラミングでの、AIにおける次のステップは、GoogleのDeepMindやIBMのWatsonのような進展をもたらすものになる。

DeepMindは知識ではプログラムされていない – 与えられたタスクのための手作りのプログラムまたは特定のモジュールは存在していないのだ。DeepMindは自動的に学習するようにデザインされている。システムは、最終結果に創発特性が得られるように、特に汎用性を目指して作られている。グランドマスターレベルの囲碁プレイヤーを倒せるようなソフトウェアをプログラムできる能力のような、こうした創発特性は、DeepMindがそうするようにプログラムした人が誰もいないということを知れば、さらに計り知れない深い印象として受け止められることだろう。

伝統的なAIは、対象分野が狭くそして知識を得るようにプログラムされたことだけを行うことができるが、Olli(Watsonによって支えられた自動運転車)は、モニタリングと乗客との相互作用から学習を行う。新たな乗客が推奨観光スポットを訊ねたり、目的地を明示的に指示したりするたびに、その情報は記憶され、次の人のために使われる。新しいセンサーが常に追加され、車自身が(人間のドライバーのように)仕事をするにつれ、継続的に、よりインテリジェントになって行く。

しかし、これらのAIシステムは、Googleのような企業が彼らに本当にやって欲しいと思うことを行うことができるのだろうか。例えば既存のリコメンデーションソフトウェアよりも優れている消費者の購買動向に関する予想などを?あるいは過去のパターンに関連付けることによって、動的にサプライチェーンの取引を最適化することなどを?そうしたところこそが、本当にお金のある場所なのだ。そしてそれらはゲームをしたり、運転したり、繰り返しタスクを行うよりもずっと複雑な問題なのである。

様々なAIプラットフォームの現在の実証例 – たとえばファッションの間違いを見つけたり、健康上の問題を予測するといったこと – は、明らかにAIが拡大していることを示しており、上に挙げたより複雑なタスクも、近い将来に現実のものとなるだろう。

程なく、AIは複雑な人間の意思決定プロセス、例えば投資アドバイスを与えるとか、患者に処方箋を提供するといったことなどを模倣できるようになるだろう。実際には、真の意味での学習による継続的改善によって、1次対応とより危険な仕事(トラックの運転のような)は完全にロボットによって引き継がれて、同じビジネスプロセスを繰り返す代わりに、問題解決のために人間が時間を使えるようになる新しい産業革命へと繋がって行くだろう。

AIへ投資しない代償

投資の利益とリスクは、漠然としていて、不確実で、推測の域を出ないものだ。ビジネスにおいて新しいもの全てに共通する、1つの良く知られたリスクは、不確実性そのものである。だからリスクは主に、誤った投資の形でやってくる、これは金融の世界では特に珍しい話ではない。

だから他の奇妙で新しいすべてのものに対する場合と同様に、ここで広く受け容れられている考え方は、堅実にやることで得られる利益よりも、取り残されて直面するリスクの方が遥かに大きいということなのだ。

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(翻訳:Sako)