ダイソンの顔に装着する空気清浄機

空気。私は好きだし、あなたも好きだ。私たちはみんな、1日中その中を歩き回り、肺や血液をその物質で満たしている。飽きることはない。しかし、あなたも私も、ペットのチンチラも、みんなが必要としている、美しくすばらしい命を支える空気が、ときに悪くなることもある。その通り。私たちが頼る空気には、時に悪いもの、微小なものが混ざるのだ。あなたの鼻の中に飛んできて、柔らかくて無防備な内部を大混乱させることが大好きな何かが。

この2年間で、ここ米国では空気清浄機が2020年の57%増をはじめとして販売台数を大きく伸ばしている。パンデミックにカリフォルニアの山火事などの現象が重なり、多くの人が家庭やオフィスにフィルターを設置するようになった。そうする間にも、Dyson(ダイソン)のエンジニアたちは、ある重要な問いを自問自答していた。もし、顔に清浄機を取り付ける方法を見つけたらどうだろう?マスク着用が日常になった世の中では、もしかしたら突拍子もない問いではないかもしれない。

おそらく。

画像クレジット:Dyson

Dyson Zone(ダイソン・ゾーン)は野心作だ。ダイソンでおなじみの製品デザインを多く取り入れながら、はっきりと目立つ、顔に装着するタイプであることが大きな特徴だ。より正確にいえば、ヘッドフォンに括り付けるかたちで口の前に置かれるもののようだ。正直にいえば、基本的なフォルムはアメフトのヘルメットに一番似ている。

同社によれば6年間で500回の試作を経て、最終的な製品が生まれたのだという。Dysonはいう。

当初はシュノーケルのような清浄空気用マウスピースと、モーターや内部機構を収納するバックパックの組み合わせでしたが、6年間の開発期間を経て、空気清浄型ヘッドフォンDyson Zoneは劇的な進化を遂げました。500回を超える試作の結果、当初はうなじの位置にあった1つのモーターが、イヤーカップに1つずつ、計2つのコンプレッサーとなり、シュノーケルのマウスピースは、顔全体に接触せずにクリーンな空気を送り出す、効果的で非接触型のバイザーに進化して、まったく新しいクリーンエアの供給機構を実現しました。

画像クレジット:Dyson

取り外し可能なバイザーは、顔に直接触れることなく、ユーザーの口と鼻に向けて一対のフィルターされた気流を吹き付ける。アレルゲンや汚染物質などの微粒子をろ過するように設計されている。Dysonは、Zoneが新型コロナウイルスのような病原体を除去する能力があるかどうかについては特に触れていない。その代わり、本製品にはさらに、フェイスカバーを装着するためのアタッチメントが付属している。ヘッドフォンは3種類のノイズキャンセリングモードを搭載し、フロントピースには4種類の空気清浄機能が搭載されている。

正確な価格と発売時期は未定だが、いったいこれをいくらで売るつもりなのかを知りたい私にとっては残念なことだ。ざっくりと、この秋のある時期に一部の市場で発売される予定だということは決まっている。さらなる詳細については、今後数カ月以内にお知らせする。

画像クレジット:Dyson

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

汚染物質をナノレベルまで粉砕して無害化する新技術の空気清浄機Molekule

サンフランシスコのMolekuleが作っている同名の製品は、すっきりしたデザインの、分子レベルの空気清浄機で、それは25年前の移民の夢から生まれ育ち、今年2017年にはTime誌の「今年の優秀発明25」に選ばれた。

発明者のYogi Goswamiは、自分の息子Dilipが赤ちゃんのとき、呼吸困難に苦しむのを見てこれを着想した。Dilipの症状は重い喘息だったが、当時は室内の空気中の汚染物質を完全に除去する空気清浄機がなかった。

従来のHEPA(high-efficiency particulate air filter)フィルターはその名のとおり、分子レベルではなく微粒子のレベルで空気を漉すから、相当量の汚染物質がそのままリリースされ、しかもその前にそれらが破壊されることもない。

そこで先代のGoswamiは、アレルゲンやカビやバクテリアのようなものも濾過できて、しかもそれらをHEPAフィルターがキャチできるサイズの1/1000にまで粉砕するフィルター技術に挑戦した。その、photo electrochemical oxidation(光電気化学酸化, PECO)と呼ばれる技術とナノテクノロジーを利用する彼の技術は、汚染物質を分子のレベルにまで破壊し、室内の空気からさまざまな汚染物を取り除く。その結果、もっとも敏感な体質の人でも安心して呼吸できる空気が得られるようになった。

Dilipと姉のJaya Goswamiはこの技術の特許を取り、父の発明を一般に提供していくためにMolekule社を創った。

同社のスタイリッシュな空気清浄機製品は、高さ50センチのシリンダー型で、その中に特許を取得したフィルターがある。定価は800ドルと高いが、毎月67ドルの月賦も可能だ。この秋のカリフォルニア州北部の大規模な山火事のときは、これが多くの人たちの呼吸を助けた。Jayaによると、そのときはMolekuleの在庫が完全に涸渇したため、早期の出荷が不可能になった。今抱えているバックオーダーが消化されるのは2018年の1月3日ごろ、という。

Molekuleは今日までに、1300万ドルあまりのベンチャー資金を獲得している。

カリフォルニアの山火事はまだ各所で鎮火していないから、この製品の登場はタイムリーだった。また、地球温暖化によって今後さらに多くのCO2が空気中にリリースされ、植物や花が放出する花粉の量も増えるだろう。

最近、South of MarketのMolekule本社を訪ねてJayaにインタビューした。上のビデオで、それをご覧いただきたい。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Wyndは身の回りから大気汚染に取り組む、ちっちゃな空気清浄機だ

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スタートアップのほとんどは単にスマホケースを強化したり、スピーカーをちょっとだけ持ち運びやすくしたりといったものが多い。それでいて、世界の重荷を一身に背負うといった企業がある。小さな子供たちに目を向け、この酷い世界が将来少しでもマシな場所になるようにするには何ができるかと考えているような会社。確かに、それは小さな空気清浄機が担うには重すぎる責務ではある、でも、何事もどこかからは始めなければならないものではないか!

Wyndの共同創業者でCEOのRaymond Wuは先週我々のニューヨークオフィスを訪れ、同社の名前の付いた189ドルの卓上空気洗浄機について語った。その商品は彼の率いる小さなチームの願い、それは自分の子供たちが吸う空気を今よりほんの少しだけ綺麗にする手助けをしたい、という思いから生まれた。

同社の報道向けの資料とWu自身が言及しているのがCDCによる研究で、驚くには当たらないのだが、地球汚染の最前線では事態は悪化の一途をたどることが予想されるというものだ。そしてWyndの報道向け資料の大部分でフィーチャーされているのが赤ちゃんのベビーカーの中に置かれたちっちゃな円錐形の装置だ。少しがっかりする現実であるが、まあ、それが人生というものだ。

Wynd

「空気は(普通)透明です」、同社のウェブサイトでWuは説明する。「我々はそれを当然と思っているのです。毎日無意識に2万回以上呼吸します。我々は自分が体内に取り込むものの多くをコントロールできます。どのスーパーで農作物を購入するか、水道水が安全じゃない時どのブランドの水を飲むか、家を塗るペンキはどれを買えば有機化合物を放出しないか、間接喫煙を避けるためにどのルートを歩くか。しかしながら、危険なのが大気全体で、そしてそれが有毒な粒子で満たされていてそれがゆっくりと我々の肺を破壊し呼吸を阻害するのなら、 逃げ道を工面することも別のブランドを買うこともできません」。

美しいデザインのこの小さな装置は医療グレードのフィルターと、専売特許のエアーフローシステム、そして色の変わるリングは検出した空気の品質に反応する。しかし、実際最もクールな特徴は着脱式センサーだ。「我々はただ空気を綺麗にしたかったわけではないのです」とWuは説明する。「我々はみんなに空気の品質とは何なのか教えたいのです」

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そのセンサーはWyndの底部(充電する部分)から外すことができ、衣類に付けて空気中の微粒子を検出することができる。これは多くの点で大変便利な特徴だ。例えば、フィルターに組み込まれているセンサーのほとんどは、設置されている場所が装置のアウトプットに近すぎるせいで、実際に周りの空気で何が起こっているのか現実的な測定値が得られにくい。

そして、現在の同社のアプリは世界中の専門の気象観測所で測定された空気の品質を示す測定値を提供しているが、将来的には利用者同士が小さなネットワークを構築して、その地域の空気の品質に関してリアルタイムで情報を提供できるようにしたい。Wyndは現在Kickstarterを通じてプロジェクトの資金を募っている。本日より、資金提供者は139ドルで同社のフィルターを手にすることができ、センサー単体なら69ドルだ。もちろん、キャンペーン終了後はもっと高くなるよ。

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[原文へ]

(翻訳:Tsubouchi)